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主夫の徒然なるままに

「学校に行きたくない」と子供が言ったとき

「学校に行きたくない」と子供が行ったとき親ができること」石井志昴(いしいしこう)著をよんだ。

 ずいぶん昔のことだが、我が娘が中1の時、「今日は学校に行きたくない」と言った。塾講師である私は、昼過ぎまで家にいるので、「わかった。そのかわり、今日予定していた庭木の剪定を手伝ってくれ」と言って、二人で昼まで汗をかいて働いた。次の日から何も言わずに娘は学校に通った。家の仕事の手伝いをさせられるくらいなら、学校に行ったほうがましと思ったに違いない、とその時は感じていた。

 この本を読んでみると、その時、「何で学校に行きたくないのか?」「とにかく学校に行け」と親から言われなかったのが良かったのかもしれないと思った。

<悪霊退散、あくりょうたいさん>

 塾講師を続けていると、いろいろな子供に出会う。塾は嫌だけど行かないと怒らるからくる子、何とかサボれないかあの手この手を使って通塾する子。しかし、ほとんどの子供は、塾が楽しくて楽しくて仕方がない子が多かった。母親が、「塾が楽しいといつも言うので、心配だ」とも言われたことがある。それでも、何人かは、退塾していく。
 
 たった一日で「塾に行きたくない」という子も数人いた。みんなについていけない、勉強が出来なくて恥をかきそう、先生と合わない、などである。たった一日で何がわかるというのか、親も先生も説得しようとするが駄目であった。塾なので、他のたくさんある塾から探せばいいので本人に悪気はないと思うが、親はやはり落胆する。


 これが、学校であれば、どれほど親が、落胆し、失望し、怒りの声を上げることになるのは想像に難くない。普通の親ならなんとか普通の生徒として通学してほしいと願うだろう。だが、その対応を間違うと、より傷が深くなり、取り返しがつかなくなるかもしれない。

 そんな時、この本を読んでみたらどうだろうかと思った。
子どもを信じ、とにかく、心身ともに休ませる。急がない、勉強や進路など心配しない、ジックリ見守る、など多くのケアの方法が書いてある。

 子どもが再び歩き始めたら、いろいろな方法を示してあげればいい。個人的にも知らなかったが、「不登校新聞」を読む、フリースクールに行く。N高校に行く、など、幾つもの復活の呪文が待っている。いつでも、いくらでも、間に合うと書いてある。

 ところで、この本で初めて「不登校新聞」というのを知った。残念なことに紙の新聞はもう発行されていないそうである。ただし、ネットでの発行は続けているようである。


 もう一つ、この本でN高校についてその成り立ちを知った。
 N高校創設者の川上量生(かわかみのぶお)氏との対談が掲載されている。N高校の進学実績などは、いろいろと目にしていたが、どうのような高校なのか全く知らなかった。この対談で、N高校の目指すところを知り衝撃を受けた。
「不登校の話を聞いときに思ったのは、落ちこぼれというふうに判断されているのは、今の学校教育のルールでのはなしでしょう。」
「授業はおもしろいものにしよう。だけど単位や卒業といったこととは関係ないものにしよう。」
「N高の生徒は偏差値で輪切りにされていません。多様性のある生徒たちにN高で学んでもらいたい。社会の多様性を知った彼ら彼女らに各業界で活躍してもらう。そえが、僕がやりたい脱偏差値教育です。」

 週刊誌などで毎年春に大学進学実績などが掲載されるが、N高校の実績はかなりすばらしい。東大や早稲田などの大学進学者数も多い。ただそこの合格を目指すのが目的ではない。生徒が自発的にやりたいことをやるために一流の大学に入学するのである。個人的に、この本で、N高校について初めて知って、本当に驚いている。ネットとITを使った個別教育のすばらしさを知った。


 さて、最後まで読んで満足感にひたることになるのだけれども、やはり、現実は、多くの暗く悲しい出来事の山積みなのではないだろうか思ってしまった。いじめや不登校になる一番多い学年は、小学2年生だという。あまりに悲しい「今」だと思ってしまう。









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