JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

男子の世界標準バレーの先にあるもの パナソニック

2013-03-24 10:18:53 | 用語解説
パナソニックは強豪チームでしょうか。世界的に見れば弱小チームでしょう。しかし、とんでもないシフトで、さらに若手も試しつつ、先日東レに勝ちました。

・スーパーエースが後衛でレフト役をし、レフトがバックライトに入る
自業自得負傷により、スーパーエースの清水邦広選手を欠いたパナソニックは、本職スーパーエースの山本隆弘選手ではなく、本職レフトの川村慎二選手をライト起用。前衛では守備免除にしつつ、後衛では川村慎二選手にサーブレシーブさせてバックセンターを打たせる、実質的レフト扱い。そして、レフトの福澤達哉選手とジョンパウロ選手が後衛でサーブレシーブ免除になり、サーブが打たれた瞬間にバックライトに走り、バックライトを打ちます。

これは、川村慎二選手のバックライトへの信頼がないから、という消極的解釈も可能ですが、積極的側面もあるのではないでしょうか。攻撃力がある福澤達哉選手とジョンパウロ選手のうち、前衛の選手はサーブレシーブしてレフトから打つ。後衛の選手は、レフトから一番離れたバックライトを守備免除で打つ。守備が安定している川村慎二選手が守備でも貢献する。さらに、福澤達哉選手とジョンパウロ選手と川村慎二選手が交代でサーブレシーブから抜けるため、誰か一人がサーブで集中放火されることがなくなります。その上、福澤達哉選手は他人のAパスをハイジャンプで高速で打つのが持ち味ですから、そういった局面で福澤達哉選手が調子を上げてくれます。

もちろん、川村慎二選手は本職レフトですから、S1も大丈夫です。

このシフトで若手も使いながら東レに勝ったわけですから、ライトしか打てずサーブレシーブもできないスーパーエースという存在意義に疑問符が投げかけたのではないでしょうか。ファイナルラウンドでのパナソニックの繰り出すバレーに要注目です。いわゆるトリプルレフトといった形は、以前全日本でも見られ、それがあまり上手く行かなかったので、なかなか評価されないのが残念です。

・何がパナソニックのオリジナルを可能にしたか?
これは、川村慎二選手の前衛のライト攻撃と、福澤達哉選手とジョンパウロ選手のバックライトの攻撃力によって成り立っています。やはり特筆すべきは、福澤達哉選手とジョンパウロ選手のバックライトでしょう。ジョンパウロ選手は高いのでなんとでもなりますが、福澤達哉選手のバックライトがこんなに上手とは驚きです。

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