JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

背番号10番リベロ佐野優子選手のコンビ

2012-09-22 01:55:23 | 全日本女子 コンビ
・セッター
佐野優子選手のレシーブは、かなりセッターに配慮した球質になります。全日本のセッター低いためピンポイントでレシーブを返す必要がありますが、佐野優子選手はその上に回転まで殺しています。また、セッターがレシーブした際の2段トスも佐野優子選手が担当します。

・表レフト
木村沙織選手とはサーブレシーブで隣り合います。そのため、佐野優子選手はかなり木村沙織選手のカバーに入ります。しかし、逆に木村沙織選手が佐野優子選手のカバーに入るときも。これは非効率的なので、お互い守備範囲を確認して佐野優子選手に任せるべきでした。スパイクレシーブでも隣り合います。相手のレフト打ちに対して佐野優子選手と木村沙織選手の間のスペースはブロックの真後ろとなります。そこを抜かれたときには、コンビと言うより2人とも食らいつきます。これに何度救われたことか。また、2段トスを担当する佐野優子選手ですが、アンダーからの2段トスは、低い上に落ち際にかなり加速してしまい、ボールが打ち所から逃げてしまいます。そのため、佐野優子選手の2段トスを打ち切れずに木村沙織選手が失点するパターンが多く見られました。

・裏レフト
裏レフトに対しても、佐野優子選手はアンダーで2段トスを集めます。これも失点源となってしまいました。スパイクレシーブの際、迫田さおり選手はバックセンターの助走に入るためにややコート後方を守りますから、佐野優子選手はややコート前方を守ります。そのため、ブロードでバックレフトの長いコースに打たれると拾えなくなります。韓国のキムヒジン選手が楽々決めていたのもこのコースです。

・ライト
山口舞選手はサーブレシーブが苦手なので、佐野優子選手がかなりカバーに入りました。山口舞選手のLに合わせた特別仕様の2段トスも練習していました。新鍋理沙選手ならサーブレシーブは得意なので、佐野優子選手は木村沙織選手のカバーに専念できます。

・センター
センターが使えるかどうかは佐野優子選手の守備に掛かっています。また、佐野優子選手の2段トスから荒木絵里香選手のBクイック、井上香織選手のCワイド、大友愛選手のLに上げるコンビもありました。有効かどうかを検証できるだけの本数はなく、またそんなコンビを練習するならオーバートスを練習して欲しかったというのが私の内心ですが、これは世界でも佐野優子選手にしかできないプレーであることに違いはありません。

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
佐野のアンダーのこと (KM)
2012-09-25 20:23:16
はじめまして

様々な方が佐野が決してオーバーハンドパスしないことを批判していますが、なぜ佐野は決して聞き入れないのでしょう?
返信する
KMさん、 (JM)
2012-09-26 15:21:20
コメントありがとうございます。

佐野優子選手は、2010年にはオーバーからの2段トスも上げていましたし、対人練習ではもちろんオーバーを使います。それを見て思ったのですが、佐野優子選手は指が短いようです。そのため、オーバーを使うと、親指~中指にかけての手のひら部分がボールに密着してしまいます。すると、トスにドライブ回転がかかり、アタッカーから見ると打ち所から逃げていくトスになってしまうのです。

また、指が短い佐野優子選手が、斜めに手に入ってくるボールをオーバーで飛ばすと、ドリブルの反則をしてしまう危険性があります。そのため、佐野優子選手はボールが下向きに落ちるタイミングでオーバーを使うため、トスの出所はかなり低いです。159cmが屈んでオーバーを使うなら、出所という意味ではアンダーとそう変わらないのではないでしょうか。

さらに、佐野優子選手がオーバーを使いにくいのは、フォーメーションにも関係しています。佐野優子選手はセンターと交替するので、ラリー中はバックレフトを守ります。竹下佳江選手はライトを守りますよね。すると、竹下佳江選手がレシーブしたボールは、ライトから佐野優子に飛んでいきます。そのため佐野優子選手はライト方向を向いてトスアップします。つまり、バックセンターとライトにはそのまま右向きの姿勢で上げられますが、レフトにはバックトスをしなければなりません。手のひらがあそこまでボールに密着すると、バックトスは無理です。そのため、バックセンターかライトにしか上げられなくなりますが、ライトは2段もバックライトも打てない山口舞選手ですから、結局バックセンターにしか上がりません。ブロッカーにはバレバレになります。

しかし、バックトスができなくても、アンダーならレフトとバックセンターの両方に上げられます。そのため、ブロックを絞られる危険性が減ります。このような理由で、佐野優子選手はアンダーにこだわるのだと思います。

2段トスのアンダーも問題でしたが、私はチャンスボールのレシーブでもアンダーを使うことにも問題を感じます。攻撃のタイミングが遅れて、相手にフォーメーションを立て直す時間を与えてしまうからです。そのため、後衛の木村沙織選手がオーバーでレシーブに行くこともありましたが、本来木村沙織選手はバックセンターの助走に入らなければならないはず。

次期リベロには、セッター並のオーバーを期待したいですね。
返信する
ありがとうございます。 (KM)
2012-09-27 23:06:00
返信ありがとうございます。

バレーボールを解説するブログは多々ありますが、独断だったり理想論だったり海外の権威を後ろ盾にしていたりする方が多く、面白くタメになる一方こころの中のモヤモヤが解けないと感じることも多くありました。

しかし、このJMさんの具体的かつ多面的かつ詳細な説明には「圧倒された」という他ありません。

今後も楽しみに拝読させていただきます。
ありがとうございました。
返信する
KMさん、 (JM)
2012-09-27 23:52:30
そのようにおっしゃっていただき、とても嬉しく思います。私も他の方のブログでよく勉強させていただいております。画像入りのブログは真似したいのですが、やり方が…。

バレーボールは本当に奥が深いので、同じ試合を何度繰り返し見ても、毎回新たな発見があるような気がします。佐野優子選手のアンダーについて、より詳細に分析し、いつか連載形式で記事にしようと思います。

これからもコメントをお待ちしております。
返信する

コメントを投稿