JMのバレーボール観戦記

テレビのバレーボール解説では触れられない戦術面や選手個人の特徴について、「全員応援」の立場から語ります。

S1対策 全日本女子2012OQTの場合

2012-09-14 01:41:25 | 用語解説
前回記事では、S1ローテの連続失点を解説しました。では全日本女子のS1対策を見ていきましょう。

・S1の問題点
S1で前衛がRCLとなった時、Rには山口舞選手、Lには表レフトの木村沙織選手がいます。山口舞選手はライトですがもともとはセンタープレイヤーですので、クイックとブロードが命です。そんな山口舞選手がレフトからレフトオープンを打つわけですから、かなり厳しいローテになります。また木村沙織選手がライトに回ってしまいます。木村沙織選手はライト打ちは巧さはあっても体重は乗りません。さらに、相手もかなりマークしています。木村沙織選手でもS1でライトから決めるのには苦しみます。

・解決策1 木村沙織選手と佐野優子選手に頑張ってもらう
セッターの竹下佳江選手は、S1でかなり木村沙織選手に上げていきます。何度も何度も上げ、決まらなくても信頼は揺るがないようです。また、苦手ポジションから打つ前衛2人はサーブレシーブにも入るため、その2人の守備範囲を狭めるために、リベロの佐野優子選手は本当に広い範囲を守ります。

・解決策2 山口舞選手にセンターらしい動きをさせる
山口舞選手本来の良さを引き出すために、レフトからBクイックに入ってセンターとダブルクイックをしたり、レフトからBセミにブロードで入ってクロスに打ったり、センターのBクイックを囮にしてレフトからAセミにブロードで入ったりします。この場合、相手から返球されるまでのタイミングで木村沙織選手がレフトにスイッチし、前衛の並びをLCRに修正できます。

・解決策3 裏レフトの選手にバックレフトを打たせる
山口舞選手がレフトからセンターらしい動きをすると、レフトが空になります。そこに、普段はバックセンターを打つ江畑幸子選手や迫田さおり選手がバックレフトから打つことにより、レフト不在を補います。また、山口舞選手のBクイックは遅く、迫田さおり選手のバックレフトは速いため、このコンビは時間差のような効果もあります。

・解決策4 ライトに新鍋理沙選手を起用する
新鍋理沙選手は、レフト打ちも苦手ではありません。単に高さやパワーが全日本の他のレフトに届かないだけで、本人としては嫌ではないでしょう。新鍋理沙選手ならS1はピンチではなくなります。

OQTでは、このような解決策で何とか乗り切っていました。ロンドンでは、さらに驚きの対策が飛び出しました。これについては別記事で特集します。

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