今回のPDT症例は頭痛と見当識障害で発症した右前頭葉嚢胞性膠芽腫の男性でした。術前検討にて、同側中大脳動脈に未破裂脳動脈瘤を合併しておりました。嚢胞性膠芽腫は通常の膠芽腫と比較して、多少予後が良いとの報告が多い様です。その理由として腫瘍細胞の周囲脳組織への浸潤度が低いことが挙げられています。今回は右側でもあったので、嚢胞壁を含む白質をやや拡大切除しました。フランスのDuffauらが述べている、Supratotal resectionを目指した訳です。つまり、造影される腫瘍本体を超え、周囲浸潤脳を含んだ全摘出です。今回はさらに脳梁に2箇所、周囲脳白質に3箇所のPDTも加えました。これ以上の局所浸潤腫瘍細胞への治療は無いと思います。なお、本症例においては、腫瘍摘出後に右中大脳動脈瘤をClipしました。腫瘍切除後でもあり、ほぼretractor freeで5分で動脈瘤に到達し、15分でclip終了しました。症例も神経脱落症状無しで元気であり、術後のMRIにても腫瘍の消失を確認しています。
最新の画像[もっと見る]
- 日本画像医学会 4年前
- フランスのe-Congress終了 4年前
- フランス ナンシーでの e-congress 4年前
- 論文引用22位 4年前
- ミラー論文アクセプト 4年前
- PDTの進達度 5年前
- Brain Tumor Pathology誌にaccept 5年前
- 国際光線力学学会 in Boston 終了 5年前
- 月末まで学会研究会のラッシュです 5年前
- 脳腫瘍病理学の最新知識 5年前
興味をもってくれてありがとうございます。レーザー治療といっても、レーザーで焼く治療ではありません。前日に投与した薬と弱いレーザー光が反応して、がん細胞だけを殺す治療です。現在は開頭手術の追加治療として行っています。