悪性脳腫瘍に対するレーザー治療

悪性脳腫瘍で苦しんでおられる患者様、および御家族に、私が開発したレーザー治療の有効性、安全性を紹介します。

Epithelioid膠芽腫の再発

2017-02-26 16:32:55 | 日記
Epithelioid膠芽腫は昨年度改訂された国際脳腫瘍分類で初めて登録された病態です。通常の膠芽腫より再発が早く、予後も悪いことが特徴とされています。本日報告するのは、PDTを行わなかった患者様ですが、術後の病理診断にてepithelioid膠芽腫と診断された方です。当院で術後に放射線治療とテモダールの内服治療を開始、終了後は関連病院でリハビリテーションに励んでいただいておりました。まだ初回手術から4ヶ月が過ぎたところですが、すでに摘出腔の後内側に再発しました。この部位は島回の後方部分であり、非常に運動機能の温存が困難な部位です。再手術の可能性も考えましたが、再手術をすることにより、患者様の右半身運動機能を悪化させる可能性が高く、手術は断念し、Bevacizumab療法を行うこととなりました。本当にこの部分の再発には悩まされます。SanaiのZone II+IIIという部位であり、非常に摘出にあたりリスクが伴います。一生、右半身完全麻痺にしてしまう可能性が高い部位なのです。しかし、Bevaizumabの効果が5-6ヶ月の可能性もあるため、手術を行うか否か、最後まで悩見ました。治癒する病態では無いだけに、いつも患者様にとっての幸せを第一に考えたいと思います。しかし、膠芽腫は本当に手強いです!!

PDT保険診療から3年!

2017-02-15 13:07:22 | 日記
2014年1月1日から保険適応治療となったPDT。あっという間に3年経過しています。当院では悪性グリオーマを中心に、悪性髄膜腫も含めて約50例の患者様にPDT治療を行わせていただきました。有効性は実際にPDTに携わった医師、看護師とも、皆が口を揃えて、”グリブラの患者様が亡くならなくなりましたね”と言ってくれる様になったことを見ても明らかです。今後、当院、一施設での3年間の治療成績を本年はまとめて学会・論文などで報告する予定です。この3年の間に2名の方が亡くなり、解剖を受けていただくことに御承認いただきました。一例目は2度目の再発の膠芽腫の方で、初発から4年半、2例目は膠芽腫から膠肉腫に転化した方で、初回治療から10年以上経過しています。5月の日本脳腫瘍病理学会で報告予定ですが、2例ともPDT施行部の脳組織は、ほぼ瘢痕化しており、腫瘍細胞もパラパラとしか認められません。再発はPDT施行部以外から生じ、脳に広く浸潤しておりました。やはりPDT施行部は長期に亘って良好に腫瘍再発を制御していました!!ぜひ、世界初の論文として、世界に広めたいと思っています。この様に一例一例の患者様を徹底的にフォローアップし、調べ上げることが、臨床の醍醐味なのです。欧米では初療を行なった医師が剖検の検索まですることはありません。日本の臨床医だからこそできることなのです。今後も一人でも多くの悪性脳腫瘍に苦しんでいる患者様に最善の治療を行い、励ましながら一緒に戦っていきたいと思います。

2017年PDT増!

2017-02-14 00:43:11 | 日記
昨年末に週間新潮に癌の最先端治療としてPDTを取り上げていただいて以来、脳腫瘍と診断された多くの患者様からPDTの適応につきお電話をいただきました。多くは、他臓器ガンの脳転移と診断された患者様のご家族からのものでした。残念ながら現在のPDTは原発性悪性脳腫瘍にのみに適応を有しており、転移性脳腫瘍には適応が無いことを伝えさせていただきました。しかし、私としては転移性脳腫瘍もグリオーマと同様、腫瘍細胞は周囲脳に浸潤しています。グリオーマよりは進展深度が浅いため、よりPDTの有効性が期待できるものと考えています。実際、転移性脳腫瘍でも再発は局所(同じ部位)が多いのです。いつの日か、適応拡大がなされることを祈っています。さて、年が明けてすでに1ヶ月半が経ちましたが、PDTの適応患者様が急激に増加しています。本年に入ってすでに7名にPDTを施行しました。難しい患者様もありましたが、概ねPDTは有効性が期待できるレーザー照射ができたものと思っています。一体、本年は何例の患者様にPDTを行えるのか、楽しみです。添付しましたのは、7例の中で最も困難であった症例です。果たしてPDTの効果が示せるでしょうか?