懸案であったPDT後の剖検脳の病理所見に関する論文がやっと受理されました。悪性脳腫瘍の治療においては、患者の死は避けようのないものであります。主治医は、初診から画像診断、手術、放射線治療、化学療法など、患者と戦い続けますが、現代の医療では完治しきれないのが、悪性脳腫瘍なのです。数年の経過において、患者およびその家族との信頼、絆は強いものとなります。そして、死を迎えた時、主治医は冷酷な申し出をしなければなりません。死を悲しむ家族に、剖検検索の依頼をするのです。この時ほど、主治医にとって辛い申し出はありません。多くの家族が、散々苦しんだのですから、もう切るのはやめてほしいとおっしゃいます。ただ、私の患者のご家族様の多くは、目の前の死を、なんとか同じ病気で苦しむ患者様に役立ててほしいとおっしゃいます。それだけ、悪性脳腫瘍に一緒にチャレンジしてきたという意識を抱いていただいていたものと感じております。特にPDTという新規治療法を行なったことの成果を、剖検で検索することは非常に重要なことであることも理解されているご家族が多いのです。本論文はPDTを受けていただいた患者様の剖検脳を検索した、世界初の論文となりました。 First autopsy analysis --- と題しましたのは、その点を強調したかったのです。2-3ヶ月後にPublishされましたら、その内容を報告させていただきますが、PDT施行部には剖検時にはほとんど腫瘍細胞は残っておりません。その範囲はPDTの照射面積+11mm程度であり、従来のPDTの有効進達度として報告されてきた10-11mmとほぼ同様でありました。また一つPDTのエビデンスを構築することができました。今後もどんどん論文をpublishして、PDTという新規の科学的根拠を積み重ねてゆきたいと思っております。
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