悪性脳腫瘍に対するレーザー治療

悪性脳腫瘍で苦しんでおられる患者様、および御家族に、私が開発したレーザー治療の有効性、安全性を紹介します。

PDTの進達度

2019-12-04 00:30:41 | 日記
原発性悪性脳腫瘍に対するPDTが認可されて6年が経過し、いよいよ7年目に入ります。2020年の保険改訂で果たして技術料はどのくらいアップするのか、DPC新枠の設定が実現するのかなど、来年2月の骨子公表まで不安と期待がいっぱいな状況にあります。さらなる国内普及のためには、コストの問題を少しでも進展させないと。日本脳神経外科学会、日本レーザー医学会の保険委員、外保連委員として活動の成果が試されるところです。さて、PDTの開発当初から、ずっと課題であったPDTの脳内進達度(治療効果域)についての業績がこのところ相次いでpublishされました。私はPDT施行後に亡くなられた患者様の脳を検索することによって、平均12.7mmの深度の組織変化を確認いたしました。また、ご遺体の脳を用いて我々がPDTで用いるレーザー光の正常脳内進達度を、共同研究者が最近論文をpublishしておりますが、それでも10-11mm程度のレーザー進達を確認してくれています。また、私どものPDT認可後にすぐに臨床取りかかってくれていた、神戸大学のグループは、術後のMRI画像を詳細に解析し、照射部の6-7mmの深度まで画像上の変化が見られることをAJNRという権威ある雑誌にpublishしてくれました。我々も100例を超える自験例の術後画像を現在解析中であり、来年早々には論文化できそうな状況です。これらの報告からもPDTの有効深度は1cmという、現在までの考えは間違いではない様な印象をいただいています。今後もこれらの科学的evidenceを重ね、PDT の普及の一助にしていきたいと思っています。