悪性脳腫瘍に対するレーザー治療

悪性脳腫瘍で苦しんでおられる患者様、および御家族に、私が開発したレーザー治療の有効性、安全性を紹介します。

運動機能モニタリングの進歩とPDT

2017-11-08 01:12:02 | 日記
我々、悪性脳腫瘍医の治療目標は、悪性脳腫瘍の可及的切除ではありますが、同時に患者様の脳機能を最大限に温存することも目標です。近年では手術中に覚醒させて言語機能の温存を図ったり、運動機能を刺激しながらモニターする方法を日常的に行なっています。PDTを行う上で、いかにその対象となる腫瘍組織を小さくできるかが、PDTの治療効果向上の絶対的な因子であります。同時に脳機能を温存するために、多くのモニタリング技術を駆使することになります。昨日PDTを行わせていただいた患者様は、他院で手術、放射線治療、抗がん剤治療などを受けられた後の再発でありました。島回という非常に重要な神経群が密集している部位であり、可及的摘出を行う上で、繊細な運動機能モニタリングを要求される部位です。術前のナビゲーション画像で腫瘍は運動神経路に接しており、かなりの確率で麻痺が出現してしまうことを覚悟しての手術になりました。画像は腫瘍(オレンジ)の最深部で黄色の二本線が、緑の運動神経路に達しているところです。腫瘍の奥の脳を、刺激電極で串刺しし、6mmの深度で運動反応が出現しました。まさにこの画像通りの反応が出たのです。これ以上の深さを摘出できないものと判断し、この部分にはPDTを行いました。術後数時間は左半身の運動麻痺が見られ、肝を冷やしましたが、今朝には完全に麻痺が消失していました。腫瘍もほぼ摘出し得ており、PDTの効果も期待できそうです。医療機器の進歩は確実に脳外科手術の技術革新に貢献しています! この電極はN医大の脳神経外科のY教授からお借りしているものです。すばらしい機器を開発していただき、我がチームの皆でY教授に感謝した一日になりました。