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アルコール依存症の治療、その6:飲み方のレクチャー

2006-12-15 13:44:52 | アルコール依存症
さて、非常に長らく間があきましたが、いよいよアル症の話の続きです。

アル症治療の第一段階は飲酒の原因の説明です。かいつまむと、
 お酒を飲みたくなる原因は先祖(無意識)にお酒を飲み足りない(問題が解決されていない)人が、あなたの体を借りて(意識では認知されない無意識に突き動かされて)飲酒する

というものです。

こうした原因の説明は、罪悪感の低減に役立ちます。
余談ですが自助でも「アル症は風邪と同じように、病気である」というレクチャーをしますが、おそらくは罪悪感(自分がダメだから、意志が弱いから飲むのだ等)を低減することで飲酒圧力を低下させる効果を経験の中から学んだのでしょう。

次にお酒の飲み方をレクチャーします。
お酒の飲み方は、
「仏壇にお酒をお供えして、それを下げて飲む」
のが基本となります。

まず、普通は仏壇に悪いものは供えないでしょう。仏壇にお供えするのは良いもの、大切なものというのが常識です。
したがってそこにお酒を供えるのは、「お酒は悪いものではなく、祖先から自分の代わりに飲むように頼まれて飲んでいるものだ」という罪悪感低減の方向に働きます。

基本的には妻・母がお酒を供えます(お供えされてない場合は、本人が供えて下げて飲みます)。もともと近親者(妻・母等)に植え付けられた飲酒への罪悪感ですから、近親者がお酒を神聖なもののように扱う事でより効果的に罪悪感を低減させる事が出来ます。

また、アルコール依存症にしてもただの大酒のみにしても、もともとは「幼児がいつまでもタオルにしがみつくここを参照」事と同じ理屈です。つまり酒飲みにとってお酒はとても大切なものです。その大切なものを、仏壇にお供えするほど大事なものであるように扱えば、アル症本人にとってもとても嬉しい事です。

自分が大事にしているものを大事にしてくれる人に対しては、人間親近感や愛情や忠誠心が沸いてくるものです。アル症はもともと人間に対する依存が酒という物質に向かっているものです。これを人間に向けなおして、適切に依存させる(正しく甘えさせる)というのがアル症回復の鍵ですが、ここで培われる親近感・愛情・忠誠心等はそれを促進する効果があります。


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