武井神社蔵、山嵜儀作作 推定。 ケヤキ材。
四神は中国の思想から由来するもので、北が玄武(黒)/東が青竜(青)/南が朱雀(赤)/西は白虎(白)。
北信地方には、四神の彫物、旗、絵がいくつかの神社にあり、祭事の際に出されることがあります。
武井神社に保存されています四神は、作風から 山嵜儀作の作と考えています。ほぼ同じものが更級横田神社にあります。これらは全て親子の形です。単身のものが長池神社、治田神社にあります。山嵜家文書に長池神社の剣竜の下絵があり、治田神社は宮司家の記録から慶應年間に山嵜儀作が作ったことが明記されています。おそらく親子の四神は、儀作のアイデアで治田神社の単身の四神の後にアレンジして製作されたものと思われます。
これらの四神像は8月の『山嵜儀作展』(以前 ブログで紹介、詳細はカテゴリー全般をみてください。)で展示する予定です。
北の守り神:玄武 (親の玄武の上に子供が乗っています) 親の玄武のしっぽの毛が破損しています。
東の守り神:青竜 (脇に子龍がいます)
南の守り神:朱雀 (やはり親子で、お互いに目があっています。)
西の守り神:白虎 (親子)。儀作の作風の特徴が表れています。
中央(大地)の守り神:剣竜(黄竜) 竜とありますが、動物はいません。中央の剣が象徴。
比較対照用に 更級横田神社(長野市篠ノ井)の四神の玄武を以下に載せます。子の玄武の向きが180度異なりますが、後は同じです。
中国の五行思想に整合させるように、後から中央の剣竜が加えられたのではないかと考えています(私見)。中国の国土を想像しますと、中央に黄河が流れ肥沃な土地があり(土、黄、土用)、北は寒さ(黒、冬)があり、東は海(青、湿、春)があり、南は暑さ(赤、熱、夏)、西は乾燥した砂漠(白、乾、秋)があります。季節も、春―土用―夏―土用―秋―土用―冬―土用と移り変わっていきます。本来 五行は水(黒)、木(青)、火(赤)、土(黄)、金(白)で、四神と五行を整合させるにあたり、少しずれがあると思っております。
四神は、日本ではキトラ古墳の壁画、相撲の土俵周囲の柱に色を付けたり、横浜中華街の4つの門にも相応する色が着色されています。
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