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新古今和歌集の部屋

三十六歌仙絵 伊勢 画家不明色紙コレクション



三輪の山

  いかにまち見む

     年ふとも

 たづぬる人も

       あらじとおもへば

 

伊勢平安前期の女流歌人。伊勢守藤原継蔭の娘。宇多天皇の寵愛を受け、伊勢の御と呼ばれた。十五首

 

春歌上
 寛平御時きさいの宮の歌合の歌
水の面にあや織りみだる春雨や山の綠をなべて染むらむ
よみ:みずのもにあやおりみだるはるさめややまのみどりをなべてそむらむ
 
春歌下
 題しらず
山ざくら散りてみ雪にまがひなばいづれか花と春にとはなむ
よみ:やまざくらちりてみゆきにまがいなばいずれかはなとはるにとわなむ
 
賀歌
 七條の后宮の五十賀屏風に
住の江の濱の眞砂をふむ鶴はひさしきあとをとむるなりけり
よみ:すみのえのはまのまさごをふむたずはひさしきあとをとむるなりけり
 
 題しらず
山風は吹けど吹かねどしら浪の寄する岩ねは久しかりけり
よみ:やまかぜはふけどふかねどしらなみのよするいわねはひさしかりけり
 
離別歌
 題しらず
忘れなむ世にも越路のかへる山いつはた人に逢はむとすらむ
よみ:わすれなむよにもこしじのかえるやまいつはたひとにあわむとすらむ
 
戀歌一
 題しらず
み熊野の浦よりをちに漕ぐ舟のわれをばよそに隔てつるかな
よみ:みくまののうらよりおちにこぐふねのわれをばよそにへだてつるかな

 題しらず
難波潟みじかき葦のふしのまもあはでこの世を過ぐしてよとや
よみ:なにわがたみじかきあしのふしのまもあわでこのよをすぐしてよとや

 題しらず
わが戀はありその海の風をいたみ頻りによする波のまもなし
よみ:わがこいはありそのうみのかぜをいたみしきりによするなみのまもなし

戀歌三
忍びたる人と二人ふして
夢とても人に語るな知るといへば手枕ならぬ枕だにせず
よみ:ゆめとてもひとにかたるなしるといえばてまくらならぬまくらだにせず

 題しらず
逢ふことの明けぬ夜ながら明けぬればわれこそ歸れ心やは行く
よみ:あうことのあけぬよながらあけぬればわれこそかえれこころやはゆく

戀歌四
 題しらず
言の葉の移ろふだにもあるものをいとど時雨の降りまさるらむ
よみ:ことのはのうつろうだにもあるものをいとどしぐれのふりまさるらむ

 題しらず
さらしなや姨捨山の有明のつきずもものをおもふころかな
よみ:さらしなやおばすてやまのありあけのつきずもものをおもうころかな

戀歌五
 題しらず
春の夜の夢にありつと見えつれば思ひ絶えにし人ぞ待たるる
よみ:はるのよのゆめにありつとみえつればおもいたえにしひとぞまたるる

 題しらず
思ひ出づやみののを山のひとつ松契りしことはいつも忘れず
よみ:おもいずやみののおやまのひとつまつちぎりしことはいつもわすれず

雜歌下
 亭子院のおりゐ給はむとしける秋よみ侍りける
白露は置きてかはれどももしきの移ろふ秋はものぞ悲しき
よみ:しらつゆはおきてかわれどももしきのうつろうあきはものぞかなしき
 
 
令和5年12月15日 壱/八
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