本日から10年に一度レベルの寒波が来ていますね。
テレビからは各地での厳しい寒さの中継が流れてきています。
茨城県取手市、我が家の室内外温度計でも、今朝の外気温は-2℃を指していました。
早朝の-2℃くらいならよくあることですが、日中も最高は1℃までしか上がらず、おまけに強風であったために現場まわりで外に出たときはかなりの寒さを感じました。
最強寒波到来ということで、昨日の朝のテレビ番組、モーニングショーで日本の住宅について特集になっていましたので紹介します。
連絡をもらってTVをつけましたので途中からですが、トップの写真にあるように、全国での冬季のリビングの平均室温が出ていました。
先進国の中で日本は、特に家の〝室温が低い・寒い〟ということが問題視されている状況です。
WHO(世界保健機関)では、冬期の室温を18℃以上に保つことを推奨しています。
それに比べてトップの写真を見ていただくと、各地でリビングの室温18℃を下回っているところがほとんどなのがよくわかります。
茨城県も16.4℃と達成ならず。
18℃以上を達成しているところは、赤いところの北海道、新潟、千葉、神奈川、静岡の5つの道県のみでした。北海道は全国最高で19.8℃と断トツです。全国最低は香川県で13.1℃でした。
昔から北海道の住宅は暖かいと聞きますよね。
寒い家の一番のリスクといえば、やはり命に係わる問題、ヒートショックでしょう。
年間、交通事故で亡くなる方は4000人程度に対し、入浴中の心肺機能停止ヒートショックが原因で命をなくす方は、20000人ほどで交通事故の4~5倍の数といわれています。
リビングの室温18℃を達成したとしても、寝室や脱衣所でも18℃以上であることが望ましいのです。
他にも、高齢者の血圧の上昇や子どもの気管支ぜんそくのリスク、介護にも影響があるなどが紹介されていて、介護については初耳でしたので興味深く拝見しました。
なぜ日本の住宅は寒いのか?問題。
皆さん、おおよそ分かっているように、今までの日本の断熱基準、茨城県の場合はUa値0.87が最低ラインで、欧米の断熱基準Ua値0.4前後と比べ、圧倒的に〝断熱〟が足りていないことにありました。
また家の隙間を表す〝気密〟に対しては、そもそも今でも基準すらありません、というのが現状です。
断熱に関しては、断熱材をたくさん入れれば解決と思いがちですが、実際の家の性能については、隙間を小さくする〝気密〟がたいへん重要です。
どういうことかというと、服で例えてみましょう。ダウンジャケット思い浮かべてください。着ていても前のジッパーをしっかり閉めなければ腕や背中は暖かいかもしれませんが、寒波が来ているような寒い日では開けたままでは寒いままです。熱を逃がさないように首元までジッパーを閉めるとかなり暖かくなります。隙間を無くすことが大切です。
同じように、バケツの場合はどうでしょうか。バケツに水を入れ溜めておきたくても、バケツに穴が開いていたり割れていたのでは水はどんどん流れ落ちてしまいます。
家の場合は、隙間があるとどうなるのかというと、冬に暖房器具で暖められた空気は性質上、上のほう(天井や2階のほう)に行きたがります。そのとき家に隙間があると、床に近い下のほうの隙間からは冷気が入り込み、家の上のほうの隙間からはせっかく暖められた空気がどんどん抜けていってしまうのです。
これにより床が冷たいということになり、部屋の上のほう(頭上)が暖かいということがあったりします。
断熱・気密がしっかりされていない家の場合は、吹抜を設けたりリビング階段を採用するとこのようなことが起こるので、吹抜けやリビング階段の家は寒いと言われる方がいるのです。
しかし、高気密・高断熱の家はこういうことにはなりません。暖かい空気は性質上上に行きがちですが吹抜けやリビング階段であっても、エアコン暖房で1階の床のほうまでしっかり暖かくなります。
実際に、我が家の冬のLDK勾配天井の大空間の室温は20~26℃の範囲で暮らしています。暖房は薪ストーブになりますがうまくサイクル運転できるとだいたい22~24℃くらいで生活できます。
家で暖かく暮らすために大事なことは、暖房設備をどうするかということより、新築時にいかに家の隙間を少なくして家づくりをするか、ということのほうが重要です。
日本では昨年、2022年にようやく断熱等級の新設がありました。
2022年4月に等級5が新設、2022年10月に等級6・7が新設されています。
なんとこの等級追加は23年ぶりのことでした。
茨城県はほとんどが5地域に該当し、高気密・高断熱の家づくりとして目指すべき等級は等級6のUa値0.46以上が最低と私は考えます。
↑ 過去記事になります
シンク設計事務所では、Ua値0.46~0.34を標準目標として家づくりを行っています。
家のすき間値、C値は0.2以下を目標値として、気密測定は全棟行います。
北海道では暖かい家が定着しています。
冬季のヒートショックも北海道は死亡率が最低レベル。
茨城県は全国で二番目に多い数字になっています。
この研究データからも、家の性能がいかに大切かがわかります。
新築で家を建てるときに、「デザイン重視」や「価格重視」のみで選ぶということは、自分から性能の低い家を選んでいることになり兼ねません。
今は賢い建て主になれば、高気密・高断熱の性能の良い家は建てられます。
私が小学生のときは、周りで半袖半ズボンの子がいたりしました。各学年一人とまではいいませんがそういう子が皆さんの周りでもいたのではないでしょうか。僕も小6の冬は友達を真似して半ズボンで通った記憶があります。笑顔
冬は寒いもの、寒さを我慢することが美徳とされてきたような感覚がありますが、そういう時代はもう終わりです。
寒い家は、高齢者は命に係わり、子どもにもリスクがあります。
様々なリスクを考え、暖かい家で暮らしていくことは贅沢ではありません。
これからも一級建築士として高気密・高断熱の家づくりを行っていきます。
また自然素材の木の家づくり、原価で建てる家づくりを行っていきます。