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『高気密高断熱で自然素材の家が好きな一級建築士のブログ』

茨城県取手市 シンク設計事務所 辰野峻也のブログです
これから家づくりをされる方の役に立つ情報をお届けします

良い家を建てる、それが私たちの理念。Ua値について

2020年05月03日 01時59分37秒 | 高気密高断熱の家
今日は高気密高断熱住宅のUa値について考えていきたいと思います。
シンク設計事務所ではUa値0.46~0.34、C値0.3が目標値です。
性能にこだわる方には、ダブル断熱+トリプルガラス樹脂サッシの採用でUa値0.3以下も可能です。
この値がどのくらいの基準、性能になるのか説明していきたいと思います。

高断熱Ua値はどこまでやるべきか?

↑省エネ基準の地域区分です
まずは省エネ基準を見ていきましょう。日本全国色分けがされており、とてもわかりやすいですね。
茨城県南は5地域に入っています。5、6、7地域はUa値の基準をみると0.87となっています。この0.87という値は、省エネ基準とはいうものの、かなりゆるい基準、クリアして当たり前の基準です。0.87をクリアしたところで性能の良い家にはなりません。
 
では北海道を見てみましょう。
北海道は1、2地域に分類されておりUa値は0.46となっています。
Ua値0.46となると、5地域ではかなり良い値です。
シンク設計事務所のUa値0.46目標の値は、こちらの北海道の省エネ基準を基にしています。
更に見ていきましょう。


↑Ua値には、省エネ基準より厳しいZEH基準というものもあります。
ZEHとは、ネットゼロエネルギーハウスの略称で、政府が推進している取り組みです。
補助金制度があり、制度を使おうとすると、家づくりで満たすが項目がたくさんでてくるのですが、その一つの基準にUa値も入っています。
このZEH基準をみると、4、5、6、7地域はUa値0.6以下となっていますね。
省エネ基準より厳しい値です。
 

↑更に、HEAT20 外皮性能グレードというものもあります。
こちらでの5地域は、HEAT20 G1で0.48、HEAT20 G2で0.34という非常に高い性能が求められています。

パソコンや家電等にも『性能』というものがあり、スペックが良いものほど高価です。
必要以上のものについてはオーバースペックと呼ばれることもあります。
性能にこだわりたいと思う方は確かに存在し、僕もパソコンや家電を購入する際は情報を集めて比較検討するのが好きな方です。

では家の場合の『性能』はどうでしょうか。
これは、住んでいる地域と費用対効果を考えて検討していくことが良いと思っています。

茨城県南の5地域で、高気密高断熱住宅にするために、Ua値はどこまでやるか?を考えると、100%これが正解というものはありません。
そこで、近年ハウスメーカーでも基準にあげるZEH基準のUa値0.6以下は、ひとつの基準になると考えています。

話がそれますが、あくまでもZEH基準のUa値0.6に対しての考えで、ZEH『認定』をとることはおすすめしていません。
(2023年1月26日追記、今ではこどもエコすまい支援事業となる補助金制度があることからZEHのBELS認定等をとる方が多くなっています)
補助金の申請期間や完成時期、間取り等の満たす項目がたくさんあることや様々な申請や費用がかかってきます。また補助金についても年々下がってきています。
『認定住宅』については、長期優良住宅の『認定』であれば、住宅ローンの借入金額によっては、メリットとして該当する方がいらっしゃいますのでそちらをおすすめしています。

話をもどしまして、
ZEH基準のUa値0.6で本当に大丈夫?を考えると、
先日記事にあげた『「窓」は何を選ぶべきか?高気密高断熱に最適な「窓」とは』をみていただけるとわかるのですが、多くのハウスメーカーが採用している『アルミ樹脂複合窓』でもUa値0.6以下は比較的簡単な数字なのです。
窓の標準を『樹脂窓』で考え、しっかり断熱材を入れるとUa値0.46以下、ダブル断熱仕様であればUa値0.34以下の値を算出できますので、せめてUa値0.46以下はクリアしたいところです。(2023年1月26日一部訂正)

また、最高基準のHEAT20 G2、5地域でのUa値0.34まで必要か?を考えると、これは答えるのが難しく、その方の考え方次第になります。
というのも、Ua値0.34をクリアするには内断熱だけでは性能が足りず、外断熱と内断熱のダブル断熱が必須になってきます。
断熱にこだわりを持ち、そこに価値があると感じる方であれば、家の性能を追求するダブル断熱の選択は良いと思います。

なぜなら、家の性能を上げることは、新築時にしかできないことだから。

仮に30年後にリフォームしようと考えた場合、キッチン、ユニットバス等、水廻りの住宅設備機器は比較的簡単に交換可能ですが、断熱に関してはリフォームで簡単にとはいきません。

とはいえ、費用対効果を考えた場合の結論として、
茨城県南5地域の場合、Ua値0.46前後、C値0.3程度を目指せば十分な高気密高断熱の高性能住宅になると考えています。


Ua値とQ値
Ua値とは、「外皮平均熱貫流率」のことで、「家の表面」からどれくらいの熱量が逃げるのかを表す数値です。
以前はQ値という「熱損失係数」、「家の表面」と「換気」からどれくらいの熱量が逃げるのかを表す数値で性能が考えられてきました。
ですがQ値は、家の床面積の違いによって数値にバラツキがあり、家が大きく、正方形に近い建物ほど数値が有利になる傾向がありました。
そこで、断熱性能を平等に比較するために、建物形状の影響を受けにくいUa値に変更されたといわれています。
Q値にも良い点はありました。それは換気についても考慮されていたということです。
Q値の算出に考慮されていた24時間換気については、Ua値ではカウントされなくなってしまいました。
ただ家づくりにあっては、総2階の四角い建物ばかりではありません。
建物形状の影響を受けにくいUa値は、ひとつの目安ということで良いとは思っています。

また換気について、私たちは、全熱交換器による第一種換気を標準仕様としています。
給気口を設け、暖かい空気を逃がしてしまう第三種換気を標準仕様とするメーカーが多いのですが、これは換気を考慮するQ値の計算をするにしても、第一種換気のほうが性能は有利です。
24時間換気については、夏の冷たい空気や冬の暖かい空気を逃がさない『第一種換気』をおすすめしています。


Ua値だけで判断してはいけない


それから大事なこと
Ua値は、C値のような測定値ではなく、設計値によるものということを覚えておきましょう。
これは、断熱材の性能と厚み、窓の数、種類、性能から算出される値なので、理論上の断熱性能が実際に期待できるかどうかは別問題です。特に、断熱材に関する、施工不良、地震等によるすき間、将来に対する経年劣化などは考慮されていません。

そのことを踏まえ、メーカーカタログ等のUa値だけで判断するのではなく、
実際の自分の家の断熱方法は高気密高断熱に向いているのか、性能はどの程度になるかを知ることが大切です。

天井断熱なのか、屋根断熱なのか、基礎断熱なのか、床断熱なのか、どんな断熱材を使うのか、どんな施工方法なのか、
高気密高断熱住宅に向いていて且つ、長期間を考えるうえで適正かが重要です。
また、忘れてはいけません、気密測定をして隙間の小さい家を目指しましょう。

性能を突き詰めるためには、物件ごとにUa値、C値を算出することが必要なのです。

賢い家づくりをしよう


良い家を建てる、それが私たちの理念です。

シンク設計事務所の家づくり、家の性能Ua値0.46、C値0.3をハウスメーカーや工務店で求めると、住めるまでの状態で坪単価70~80万円(税抜)以上になるところが多いと思います。
それは、各ハウスメーカーの材料や住宅設備機器、メーカーのオリジナル仕様、自然素材の仕様等、様々な各メーカーの長所がある中で、Ua値やC値の性能まで考えてしまうと更にコストアップの要因になる場合が多いからです。中には断熱にこだわるメーカーもありますが、はじめから坪単価はやはり高価格設定です。

私たちの家づくりは、性能が良いにもかかわらず、坪単価50万円台(税抜)から可能です。
近年の傾向としては、造り付の家具、無垢の床、自然素材の壁など、健康住宅を求められる方が多いです。さらに、暖房設備についてもこだわりのある方もいらっしゃいます。
ですから、そういうところにもお金をかけることを考えていくと、坪単価60万円(税抜)程度になる場合が多いのが現状です。
仮に、家具や無垢材等の自然素材を希望されない場合、ダブル断熱+トリプルガラス樹脂サッシを採用をしてUa値0.3以下の性能にのみ、こだわる場合ではどうかというと坪単価60万円程度あれば可能です。
限られた予算の中で優先順位を決め、お金をどこにかけるかを選択できます。

一流ハウスメーカーが安心と、坪単価80万円以上をかけられる方もいるとは思いますが、自分の家そのものには関係ない展示場の維持費やカタログ費、多額の広告費、営業の経費等を払っているのはハウスメーカーで建てるお客さんです。
そういうサービスを必要としないのならば、より本質的な家づくり、賢い家づくりはできます。

それが、私たちの分離発注による家づくりです。

坪単価60万円程度で、性能の良い自然素材の家づくりができることには理由があります。
各専門工事業者との直接契約、それによる中間コストがかからないことで、原価での家づくりができる。

私たち建築の専門家と一緒に『賢い家づくり』をしましょう。

シンク設計事務所 辰野峻也


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