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人生これ,雑記.

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物理学と数学

2007-06-11 01:05:57 | 本と雑誌

『アインシュタインの相対性理論』 M. ボルン,東京図書

● 第VII章 6. 数学と実在

こうして問題は,公理の起源に帰着される.公理は点,直線,平面その他の概念について厳密に成り立つ少数の命題を含んでいる.これらは普通の科学あるいは日常生活の命題とは異なり経験に源を発していない.したがって,これらの命題が絶対的に確実であることを保証する根拠はこれ[経験]以外のところに求めなければならない.カント(1781年)によれば,時間と空間は直観の形態であり,アプリオリ,すなわち,すべての経験にさきだち経験を可能ならしめているのである.

[・・・ ではあるが,このような哲学理論に判断を下すのは差し控えるとして ・・・]

わたしたちが扱うのは空間と時間の物理学であり,知識の源としての直観から離れようとしている科学であり,直観よりももっと精密な規準を要求している.

したがって,実際に主張されているのは,空間(実は時空)における一致,すなわち認識可能な2つの物質の点が同時刻に同一場所に重なる,ということだけである.

[・・・]

ミンコフスキーの言葉でいえば,これは物質の世界線の交叉によって時空連続体のなかに記録された世界点である.物理学はこのような``記録された世界点"の間の関係を論ずる学問である.

 数学理論はこれらの関係を論理的にまとめたものである.

現実の世界に適用できる学説としての幾何学は,物理学の他の分野にくらべて特に有利な地位を占めているわけではない.物理学の他の分野におけると同様,形の概念もまた物体の現実のふるまいと同じやりかたで条件づけられている.幾何学に特別の地位をあてがうことはできない.

直線は定義により光線,慣性運動の軌道,剛体を固定された2つの点のまわりに回転するときの不動点の集合,その他の物理的ななにものかである.このように定義された直線がユークリッド幾何学で主張されている性質をもっているかどうかは,経験によってのみ決定される.

●7. 時空連続体の計量

 [粗筋] 4次元連続体にガウス座標を導入すれば,一般相対性原理より広い前提が形式的には含まれている.この相対化の一般理論(数学的方法)を,物理学的考察,特に等価原理と結び付けなければならない.

適当に基準系を選べば,世界の任意の箇所で十分小さな領域に対して,重力場を消去することができる.このような基準系は無数にある.それらは互いに等速直線運動をしており,そこでは特殊相対性理論の法則が成立する.

この小さな領域では

  G = s^2= x^2+y^2+z^2-(ct)^2

なる量は不変量であり,[・・・] 世界線OPが空間的なら,sは2点O,P(x,y,z,t)が同時的となる基準系で測ったOPの距離であり,時間的ならs=ictであり,tはOとPが同一場所で生起する基準系でのOとPの生起の時間間隔(4次元間隔という)である.

一般相対性理論によれば,物理法則はガウス座標の任意の変換に対する不変式で表される.

*ガウス座標 

 曲がった曲面(例えば,紙を水でぬらして,まるめてから広げて乾かしたような感じの,シワシワになった平面)では,無限小の領域ではユークリッド幾何が成り立つが,より一般的な理論が必要となる,曲線群で網の目のように覆ったとき,縦横に当たる曲線にそれぞれ番号を割り当てる.網目の結び目は縦横にあたる曲線の番号の組で与えられる.このような曲面上の点の指定方法をガウス座標という.ユークリッド幾何学は典型的な遠隔作用理論であり,ガウスの曲面論は近接理論である.近接作用と場の理論に基づく理論にはガウスの理論にならったものが要求される.

※ こういうことから,ガウスが三角形の内角の和が本当に2直角であるかどうかを測量で確かめようとしたという話が逸話になっているのかも知れない.

* 一般相対性原理

 真の物理法則は,任意に運動するすべての基準系でまったく同じ形をとらなければならない.これは特殊相対性原理の拡張を意味する.

* 等価原理

重力質量と慣性質量の一致の法則.


『原子』 ジャン・ぺラン, 岩波文庫

2007-06-09 01:32:41 | 本と雑誌

● 序文

あらゆる公式は,たとえそれ自体どんなに深遠であっても,無限の多様性を把握できないかぎり,それがその認識が形成される多くの状況から離れたとき,致命的にそのすべての意義を失う.われわれがもし長老J.H.ロスニィと共にこのような主張を想い起こすならば,際限なく不連続な物質,点々と星々によって掘抜かれた連続のエーテル,そこにこそ,われわれの創りうる宇宙観があるのである.[・・・] こうしてわれわれはパスカルが,人間は``二つの無限の間に浮遊するもの"と表現するに至った,あの親しみ深い印象を再発見するのである.

● ブラウン運動の法則

われわれはまた,たとえ近似的にせよ,通路のどの点にたいしても切線を定めることができない.そしてそのことはまさにわれわれが微分係数をもたない連続関数を考うべき真の自然の場合に他ならない.このような関数は数学者が想像していたものであるが,それを単なる数学的好奇心と見做すべきではない.なぜなら自然はそのような関数を,微分係数をもつ関数と同様に暗示しているからである.[・・・] アインシュタインおよびスモルーコフスキーは,一定時間内における粒子の出発点と終着点を結ぶ直線部分を,活性を表す特徴的量として選んだ.

● 空の青色

われわれにとってはなはだ親しみ深い空の青い色は,物質の不連続的構造へのわれわれの尺度を導くのに役立つ諸現象の一つであるということに疑念をもつことはできないのである.

● 光と量子

 その空洞が閉じられているとか,また不透明であるとかいうことの意味は,ある二つの物体の一つがその空洞の内部に,他の一つがその外部にあるときに,放射によってはこれら両者の間に何も熱的影響を及ぼすことができないということである.

---<感想>---------------------

Diracの空孔理論のような.空洞を真空と読むのは,熱的を或る電磁的起源と読むのは?

 


人間と科学

2007-06-07 01:01:21 | 本と雑誌

科学における創造的思考
 湯川秀樹

人間と世界というテーマは,多くの驚くほど多様な面を持つ.誰もこのテーマで,その側面のすべてを取り上げることはできない. この講演では,人間と科学という側面について述べるつもりである.このテーマでさえ限られた時間で語るには広すぎるのだが,後ほどには主題を更に限るつもりであるが,暫くは,人間の環境としての世界を形づくるのに科学の果たした役割について語ろうと思う.
今日われわれが環境と呼ぶものは,たまたま我々を取り囲んでいる自然の単なる部分ではない.人間は家を建て,衣服を縫い,機械を組み立て作る.科学と技術は,  人間と自然の間の関係に緊密に関係している.
今日人間は,人間の手の触れていない元々の自然の本性を混ぜあわせて作った人造物に取り囲まれている.人造のものと自然のものというような言い方をするが,互いに区別するのは実際難しいということを忘れてはならない.それらは,次の二つの理由から,本質的に同じでさえある.
第1に,素材が同じである.人工物の原材料は,人間が出現しそれらに手を加える以前からすでに存在している.第2に,自然のものか人工のものかに関わらず,すべてのものに同じ自然法則が支配している.よく「人間は科学を創った」というが,誤解してはならない.無から科学は創れない.科学を創るとき人間の出来たことは,自然の中に隠されている何ものかを発見することであった.人間が自然の中に発見しなければならない最も重要な二つは,最も基本的な意味における原物質と自然の普遍的法則である.

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Creative thinking in science

Hideki Yukawa

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MAN AND HIS WORLD is a theme which has many and immensely diverse aspects. Nobody can take up this theme in all its aspects. In this lecture I will confine myself to Man and His Science. Even this is too broad to be dealt  with in a limited time. I shall further narrow the subject later on, but  for a while let us dwell on the role played by science in shaping the  world as the environment of man.
 

What we call environment today is not simply the part of nature which happens to surround man. Man builds houses, manufactures clothing, and creates machines. Science and thechnology intervene between man and nature. Today man is in the midst of the man-made articles, mixed up with nature in its original form untouched by man. Man calls the formers "artificial"  and the latter "natural" respectively, but we should not forget that they are not really distinct from each other. On the contrary, they are essentially the same for the following two reasons: Firstly, the  material is the same --- the raw material of any man-made artile had been there already in nature before man appeared and touched it. Secondly, the same laws of nature prevail on all things irrespective of whether they are "natural" or "artificial." One may well say "Man created science," but one must not make this mistake. Man could not create science from nothing. What man could do in creating science was to discover something hidden in nature. The two most important things which man has to discover in nature are the raw material in its most fundamental sense and the universal laws of nature.
         


『量子力学の誕生』 ニールス・ボーア論文集2,岩波文庫

2007-06-04 23:46:08 | 本と雑誌

● 7. 原子の安定性と保存法則

よく知られているようにこの〔古典〕電子半径

(1)  d=e^2/(mc^2)=2.8×10^(-13) cm

は,電子の電荷をその質量に本質的に影響を及ぼすことなく集中させることの可能な領域の下限を定めるものであり,それゆえ帯電した質点としての電子という理想化の許される限界を表している.

量子力学の理論形式では,力学の基礎方程式は古典論の正準形式の形で維持されており,作用量子が顔を見せるのは正準共役変数のいわゆる交換規則のなかにのみである.このように量子力学は,作用量子が無視できる極限では対応論にのっとって古典力学を包摂しているが,しかし一般の場合にはその記述は,[・・・],本質的に統計的な性格のものである.

しかし量子力学が統計的性格のものであるからといって,そのことはエネルギーや運動量の保存法則がその有効性を失うということを意味するものではなく,

素粒子の存在と作用量子の存在を原子の電子的構成の理論の独立な基礎として扱うことが可能なのは,量子力学から導き出された水素原子の半径,すなわち

(2)  a=h^2/(4π^2me^2)=5.3×10^(-9)cm

で象徴される原子の大きさが,  (1)で与えられる電子半径にくらべて十分に大きい〔a/d=(1/137)^(-2)〕という事実に根本的な根拠を有している.[微細構造定数の逆数の2乗]

量子力学の記述の本質的な限界は,原子の諸問題の相対論的に適切な扱いを展開する試みにおのづと登場する特異な困難に強調されてきた.たとえば,スピンの効果を非常に手際よく説明しているディラックの電子の量子論には,よく知られているように,電子の安定性とは相容れない遷移過程の出現を含んでいる.この過程には臨界値mc^2を越えるエネルギー変化がともない,電子はエネルギーと質量が負になる状態へ導かれる.そのうえ,原子と電磁場を閉じた量子力学系とみなすことによって輻射効果を厳密に扱おうとする試みは,原子と場の結合のエネルギーに無限大が現れるというパラドックス〔発散の困難〕をもたらすことになる.

* 正準変数---物理系の状態を指定する変数(正準座標)qとLagrangian L(q, q')から,qの正準共役変数(正準運動量)p=∂L/∂q' を定義する.p,qを正準変数という.q' (ほんとはqの上にドット)はqの時間微分(dq/dt).

qp-pq=i h/(2π)といったような関係.hはプランクの定数(作用量子ともいう).

*遷移 Bohrの振動数関係 ν=(W_n - W_m)/h,  定常状態から突然の状態の変化.量子的飛躍ともいう.

*輻射場 輻射場を調和振動子の集団とする見方は,Lord RayLeigh(1900)に始まる(『古典物理学I』岩波講座)

* 調和振動子-------------------------------------------------------------- 

「いろいろな問題のシュレーディンガーの方程式を立ててこれを解くとき,変数分離の方法が使えて,各自由度につき一次元的な問題になることが多いのである.その一次元的な問題が調和振動子の問題になることが多いのである. 最も簡単なのは固体の原子の運動でアインシュタインの模型とよぶ考え方をする場合で,各原子を三次元の調和振動子とみなし,そのシュレーディンガー方程式をx,y,zの変数に分離すればおのおのは一次元調和振動子の問題となる.二原子分子の運動は,回転運動と,二つの原子の距離の変化についての運動とに分けられるが,後者は一次元調和振動子と考えられる.多原子分子では,多くの一次元調和振動子の集まりと考えられる.空洞内の電磁場の振動や固体内の弾性振動も,一次元調和振動子の集まりと考えられる.」 『初等量子力学』 「4. 調和振動子」,原島鮮著,裳華房

*定常量子状態(a stationary quantum state)----------------------------------------------

粒子系に許される(または可能な)定常量子状態を数えることができれば,エントロピーとは可能な状態の数の対数値であるから,系のエントロピーが知られる.

定常量子状態という考えはニールス・ボーアが1913年に発表した有名な論文``原子と分子の構造"のなかで示したものでる.一定のエネルギーをもつ物理系の定常量子状態の性質は1個の粒子をその空間のある部分に見いだす確率が時間によらないということである.定常量子状態は,その系のすべての物理量の観測値が時間によらず一定であるような系の状態であると定義される.

エネルギー準位の縮退度(degeneracy)とは与えられたエネルギーまたは,与えられた狭いエネルギー領域内のエネルギーをもつ量子状態の数であると定義される.縮退しているのはエネルギー準位であって量子状態ではない.

* 零点エネルギー

 量子力学で取り扱う1次元調和振動子は等しいエネルギー間隔のエネルギー状態の無限の系列を持っている.そのエネルギー(固有値)は

 E=hω(n+1/2) ,ここではhはDiracのh(プランク定数hを2πで割ったもの)をあらわす.

で,1/2・hωを零点エネルギーという.

『キッテル 熱物理学』,丸善

* 発散の困難

『素粒子の世界---物質と空間の窮極に挑む』片山泰久著,ブルーバックス

 いろいろな無限大が結局二つのタイプにまとめられる,という事実である。一つのタイプは凝集力中間子場[「スピン0の中間子場は電気量を凝集させる場ということになりますね。」坂田昌一]で避けられる性質のもので,電子の自己エネルギーと同じ根をもっている。凝集力中間子場はそれを明確にとり出してくれたわけだ。無限大の大半をまとめてしまって残ったのものは別のタイプということになる。この別のタイプは真空が偏極を起こす結果生じる。真空でない媒質では外から電磁場を加えると,電気の正・負がわかれる。これを偏極という.[・・・,ディラックの空孔理論から,真空にも偏極を考えることができる・・・] 電子の作用は偏極した媒質を通すことになるから電子の電気量を変えることになってあらわれる.すると,この新しい無限大は,結局電子の電気量をゼロにしてしまう.

<感想> 発散の困難と新たなカップリング(重力?)やエルゴードの機構になにかありそうだが,考え中.