オンライン翻訳「Google翻訳」,「Latinlexicon」等をラテン語辞書代わりに, カンで試し訳してみる.ラテン語は語順とか結構自由らしいから,勘も役立つはずである.変化とか格とか文法事項は知らないので,勘で当てはめてみる.
(D.A. 第356条.) 二重周期の定義された分布Ωに由来する方程式.
未知数nの最大値特性を使う驚くべき方法で, nの各値に対して複素数集合Ωの決められた成分を結びつける補助方程式は,十分注目に値する.(*値分布関数と楕円関数)
しかし,ここでは以下の二つの場合に限って考えることにしよう.一つは,その根が1/2・(n-1)となるような二次方程式,2つ目は,n-1の中に因数3を含む,その根が1/3・(n-1)となるような三次方程式である.
1/2・(n-1)をmで表わし, nを法とするときのそれぞれの場合の最初の根をgで表わすことにする.複素数の集合Ωは,二周期(m, 1)と(m,g)から成り立っているが,前者では根[1], [gg], [g^4], ... , [g^{n-3}]が含まれ,かわって,後者では根[g], [g^3], [g^5], ... , [g^{n-2}]が含まれる.nを法として二つに分けた,最小正剰余, gg, g^4, ..., g^{n-3}を,任意の類,R, R', R''などで置き換え,また残りの(non residua horum, 平方非剰余である)g, g^3, g^5, ... , g^{n-2}をN, N', N'',等で置き換える. (m, 1)であるときの根は[1], [R], [R'], [R'']等と一致する.周期(m, g)のときの根は[N], [N'], [N'']等と一致する.
(* ここらは,代数的整数とかガロア群とか,関係ありそうな感じがする.ガウス集合とかよくわからないが,またエイゼンシュタイン(Eisenstein)の楕円関数とかここらが出所なのだろうか(参考(?): Weil, `Elliptic Functions According to Eisenstein and Kronecker').それにしても,a=bq+rの真相がそういう所にも顔を出すというのはやはり新鮮な驚きではある.ガウスの第4証明はユークリッドの互除法の拡張であるというのは,言い過ぎかもしれないが.n-1≡1=e^mのような関係をf(a+bi)=0の解集合の構造の仕組みとしてとりだすというようなことは,突飛だろうか.)
(しかし,このまま続けるのは,ちょっと無理かもしれない.「ある種の特異級数の和について」に戻るのが効率的かもしれない.たちまち頓挫してしまった.)
例として,p=13とすると,1からp-1=12までの間で, 1, 2, ..., (p-1)/2の平方がp=13の平方剰余である.mod 13として,
1^2≡1, 2^2≡4, 3^2≡9, 4^2≡3, 5^2≡12, 6^2≡10だから,A={1, 3, 4, 9, 10, 12}が平方剰余,B={2, 5, 6, 7, 8, 11}が平方非剰余である.Aの元aのうちで(P-1)/2までの範囲に属するものはA'={1, 3, 4}でその元をa'と表わすと,それ等の補値は,13-1=12, 13-3=10, 13-4=9で,a'とp-a'をあわせればAに等しい.Bに対しても同じようにすれば,B'の元b'に対する補値p-b'がでてくる.ω=360/13とおけば,
4Σ cos(a'ω)=4{cos(1・ω) + cos(3・ω) + cos(4・ω)}= -1 + √13.
4Σ cos(b'ω)=4{cos(2・ω) + cos(5・ω) + cos(6・ω)}= -1 - √13.
etc.
このような関係は,pが4m+1の形の素数のとき成り立つ.すなわち,pが4m+1の形の素数ならば,
4Σcos(a'ω)=-1 ± √p.
4Σcos(b'ω)= -1 ? √p.
Σsin(aω) = Σsin(bω) = 0.
2Σcos(a'ω) - 2Σcos(b'ω) = ±√p.
が成り立つ.x^p - 1 = 0の1以外の根をa1=cos(ω)+isin(ω) , a2=cos(2ω) + isin(2ω), .., a_{p-1}=cos[(p-1)ω] + i sin[(p-1)ω)]とおけば,x^{p-1} + x^{p-2} + ... + x + 1= (x - a1)(x-a2)...(x - a_{p-1}).x=1を代入すると,p = (1 - a1)(1- a2)...(1- a_{p-1}) . このW^2=±pがガウスの和に当たる(本文参照).
次に,p=23とすると,同じように,1, 2, ... , 1/2・(p-1)=11の平方が,mod 23として,平方剰余である.その集合をA, 平方非剰余の集合をBで表わす.
A={1, 2, 3, 4, 6, 8, 9, 12, 13, 16, 18}
B={5, 7, 10, 11, 14, 15, 17, 19, 20, 21, 22}
で,Aの諸元aの補値p-aはBの諸元bと等しく,Bの諸元bの補値p-bはAの諸元aと等しい.諸元aと諸元bを合せると,{1, 2, 3, ... , p-1=22}となる.Σcos(aω) = Σcos[(p-b)ω] = Σcos(bω)が成り立つ(ω=360/p(度)=2π/pで,cos(pω)=1, sin(pω)=0だから).x^p - 1=0の1以外の解はcos(ω) + i・sin(ω)だから,x^(p-1)+ x^(p-2) + ... + x = -1に代入すると,(cos(ω) + i・sin(ω))^n = cos(nω) + i・sin(nω)から,
cos(ω) + cos(2ω) + cos(3ω) + ... + cos[(p-1)ω] = -1.
sin(ω) + sin(2ω) + sin(3ω) + ... + sin[(p-1)ω] = 0.
というようにして.
Σ cos(aω) = Σ cos(bω) = - 1/2
2Σsin(aω) = ±√p, 2Σsin(bω)= - 2Σsin(aω)
etc.
という関係が4m+3の形の素数pのとき成り立つ.ωのところは,ほんとは,kω(ここでk=1, 2, 3, ..., p-1.k=0のときはx=1)だが煩わしいので.ちなみに,本では「kは素数nで割り切れない与えられた整数」となっている.
この根号量に付与すべき「符号決定の問題」をめぐって,「われわれはまったく思いもかけない困難に出会う」.(p.23)
この問題に解答を与えたのが,当の,相互法則の第四証明にあたる,「ある種の特異級数の和」であるということなので.
・触媒のように作用させながら,固有に作用する構造を導くような手法という感じであれば,グリーン作用素とか,量子作用素とかという話になっていくのだろうか.x^p - 1 = 0をみると,何故か,不定性が高いとはいえ,x^p + 1 = 0がわきに置かれている感じがする.
・もう一つは,現代物理の発展(素粒子理論の発展,ディラックの空洞理論とか,場の理論,中間子論,etc. 岩波講座10『素粒子論』)が,ガウスの探求の姿の一つのドラマをなしているような印象であるということ.印象が重なる部分があるのは当然かもしれないが,特別な,真理の間の関連の現出という感じで印象深い(などと言ってみたい).古代ギリシャのアトム(atomos)が,(1)それ以上分割できない(不可分性),(2) 新しく創りだされたり,消えてなくなったりしない(恒常性),(3) 真空に対する(峻別される)実体である,という基本的な属性をもつものとされていたが,電子や光子,陽子の発見をめぐる長年の経緯などから,昔の原子の規定では捉えられない素粒子というある意味の原子を基本にして考える素粒子論形成の歴史的な経緯,しかも,それらの規定が関連しながら,素粒子の本質を浮き彫りにしていく展開(例えば,スピン1の中間子場をめぐる特徴が,スピン0で偶奇性が奇の中間子場でも満たされることがわかったというような話など)があたるのではないだろか.
・第四証明の考究の意義を,超幾何関数,多価解析関数,モノドロミー,組紐理論へ示唆する「第1章 方程式を解く」,『現代数学の流れ2』岩波書店.(「x^5 + tx -1=0, tは定数.t=0のときは,x^5 -1 = 0で,x=1, θ=e^{2πi/5},θ^2, θ^3, θ^4がその解のすべてである.t=0のときx=1となるtについて連続な解を求めることにして,それをx=f(t)であらわす.このx=f(t)は, t=- 5^5/(256^{1/5})θ^j, ここでj=0, 1,2,3,4 ,において分岐をもつ多価解析関数である.この分岐の様子,すなわちモノドロミーは,幾何学的には,ガロア群と密接なつながりがある`組紐群(braid group)’によって支配されており,多くの興味深い事実が知られている.」(p11~14)).
・不定方程式とモジュラー変形.ω= (aω' + b) / (cω’+ d), ad - bc = ±1.
・一次合同式 ax ≡ b (mod.m)を解くことは,一次不定方程式 ax + my = bを満たす整数xを求めることと同じである.(a, m)=1のとき , あるいは(a,m)=d>1ならば,bがdで割り切れるときに限り解が存在する.ax + my = bの一つの解がx0, y0なら,一般の解は,tを任意の整数として, x = x0 + (m/d)t, y=y0+(a/d)t, ここで最大公約数(a, m)=d.
[例] 18x^2 -60xy +50y^2 = 8を解け.判別式D= 30^2 - 18・50 = 900 - 900=0. (18, 60, 50)=2, 8/2=2^2で,式は2(3x - 5y)^2= 8である.したがって,3x -5y=±2を求めることと同じである.(3, 5)=1だから解は存在し,かつ解は無数にある.)(『初等整数論講義』)
・ピタゴラスの定理(x^2 + y^2 = z^2).
(1) m, nを任意の整数とすれば,x=m^2 -n^2, y=2mn, z=m^2 + n^2は解となる(Brahmagupta).
(2) pが4m+1型の素数ならば,斜辺がpで三辺がいずれも整数の直角三角形が存在する.pが4m+3型のときにはそのような直角三角形は存在しない.p^2=x^2 + y^2
(3)pが4m+1型の素数のときは,p=x^2 + y^2を満たす自然数x, yが存在する.pが4m+3型の素数のときは,そのような有理数さえ存在しない.
(「Fermatと数論」,『数論1』岩波現代数学の基礎)
・自然は現象する.おそらく,親和する道行きの伴侶(human mind)として.数というものの秘密も,そういう道行きの過程に秘められているのだろう.女神は黄金比であるが,気まぐれで,混乱しかもたらさない.かも知れない.指示し指示されるものの構造の,余剰なのかもしれないが(一つの感想).参考: Leonhard Euler, 「素数列に何らかの規則を見つけようとする数学者達の探求はこれまでのところ空しく終わり,もはや人知の理解の及ばない謎ではないかと思うようになった.(Mathematicians have searched so far in vain to discover some order in the progression of prime numbers, and we have reason to believe that it is a mystery which the human mind will never be able to penetrate.) 確かめたければ,素数表を眺めてみればいい.そこには,10万を超えてつづく数が並び,直ちに,規則も秩序もないことに気付くことだろう.これまで,算術は確かな規則をわれわれに与え,それによって,どんなにわずかな規則の痕跡のないときでも,そういった数の列を望むだけ得ることができたのだから,こういう事態はまさに驚くべきことである.私は,まだそこまでの結果に至っていないが,自然数の約数の和に関するとても奇妙な法則を発見した.それは,素数列と同様に不規則であり,あるいは,素数列と同じものではないかと思うほどのものである.この規則は,さらに詳しく述べるつもりだが,たとえ完全な証明がなされなくても,その確かさを疑い得ないといった類いの真理であるから,まさに重要なものだと思うのである.さりとて,私は,厳密な証明と見なしうるほどの根拠を提示するつもりである.」
・AI( Artificial Intelligence)すなわち人口知能言語.人工知能は,コンピュータのプログラミング言語や数式システムやデータベースシステムと深い関係があるのだろう.あるいは知というものの複雑に絡み合った関係そのものなのかもしれない.Hilbertの第10問題と抽象積分.AIはある不可能な事態への道行きというというものだろうか.慣れないことは噛まずに語れるか心配ではあるが.(参考: Joel Moses ` Macsyma : A Personal History' の最初の方)
・小さな玉がフラクタル図形のように毛羽立っているのか,よじれているのか,よじれる長さは決まっているのか,というイメージはまずいのか.極限操作と解析の幾何的イメージ.例えば,遺伝子のコードを区切りながら組み替える仕組みにも通じそうな感じもする.(古典解析的に)陰伏関数の連続性と連続的微分可能性への制限.参考:『自然科学者のための数学概論』,『解析概論』,『数学事典』
・「量子包絡代数」の先駆けというのはどうなんだろう.制限のうちに交錯する道筋を一般性へ高めるという幽玄のうちに無限を捉えるということかもしれない.ガウスの無限に対する態度とはそういうことなのかもしれない.
・でもって一句, 春浅し そよ風一つはじけけり.
昔,旅行した京都の四条交差点で,百貨店から出たとき,春風が吹き去っていって,春か,と思ったら,空気がまだ結構寒かった,という場面を思い出してみた.
浅き春 大通り一筋のはてまでも.
・数とは何か.例によって「感じ」で言い放しになるが,数論的関数が,ガンマ関数のグラフをゆがめて縮小したような感じなら,mod. 1の類別で,超越数など数概念の拡大の幾何化を示しているような気がする.数はときに,憂鬱に沈み,自らの本性も靄の中にかき消すが,同時に,その靄ついた見知らぬ小径をほのかな明かりで先導するするような感じもする.そういうところは人間に似ているかもしれない.数とは,四条大通り交差点の信号待ちであるというのは,冗談であるが,そういう時空が<私>の作用とともに生きられるときもあるのかもしれない.{x} = x- [x]とか,そういうことかもしれない.ところで,[x]は実数xを超えない最大の整数を表わすのだから,{x}=x-[x]はxの少数点以下の部分を表わすことになる.
・そろそろ,標準を定めて,掘り下げて行くべきなのかもしれないが,結局,ゼータ関数をみて行くということなのだろうから,リーマンのゼータの第三積分表示とか,Siegelがガウスの相互法則の第四証明に導かれて解明したというような感じということでつながるのだろうか.超関数や量子化ももちろん示唆されるだろうけれど(参考: 『数論2』岩波, 『岩波数学事典』etc.)
(D.A. 第356条.) 二重周期の定義された分布Ωに由来する方程式.
未知数nの最大値特性を使う驚くべき方法で, nの各値に対して複素数集合Ωの決められた成分を結びつける補助方程式は,十分注目に値する.(*値分布関数と楕円関数)
しかし,ここでは以下の二つの場合に限って考えることにしよう.一つは,その根が1/2・(n-1)となるような二次方程式,2つ目は,n-1の中に因数3を含む,その根が1/3・(n-1)となるような三次方程式である.
1/2・(n-1)をmで表わし, nを法とするときのそれぞれの場合の最初の根をgで表わすことにする.複素数の集合Ωは,二周期(m, 1)と(m,g)から成り立っているが,前者では根[1], [gg], [g^4], ... , [g^{n-3}]が含まれ,かわって,後者では根[g], [g^3], [g^5], ... , [g^{n-2}]が含まれる.nを法として二つに分けた,最小正剰余, gg, g^4, ..., g^{n-3}を,任意の類,R, R', R''などで置き換え,また残りの(non residua horum, 平方非剰余である)g, g^3, g^5, ... , g^{n-2}をN, N', N'',等で置き換える. (m, 1)であるときの根は[1], [R], [R'], [R'']等と一致する.周期(m, g)のときの根は[N], [N'], [N'']等と一致する.
(* ここらは,代数的整数とかガロア群とか,関係ありそうな感じがする.ガウス集合とかよくわからないが,またエイゼンシュタイン(Eisenstein)の楕円関数とかここらが出所なのだろうか(参考(?): Weil, `Elliptic Functions According to Eisenstein and Kronecker').それにしても,a=bq+rの真相がそういう所にも顔を出すというのはやはり新鮮な驚きではある.ガウスの第4証明はユークリッドの互除法の拡張であるというのは,言い過ぎかもしれないが.n-1≡1=e^mのような関係をf(a+bi)=0の解集合の構造の仕組みとしてとりだすというようなことは,突飛だろうか.)
(しかし,このまま続けるのは,ちょっと無理かもしれない.「ある種の特異級数の和について」に戻るのが効率的かもしれない.たちまち頓挫してしまった.)
例として,p=13とすると,1からp-1=12までの間で, 1, 2, ..., (p-1)/2の平方がp=13の平方剰余である.mod 13として,
1^2≡1, 2^2≡4, 3^2≡9, 4^2≡3, 5^2≡12, 6^2≡10だから,A={1, 3, 4, 9, 10, 12}が平方剰余,B={2, 5, 6, 7, 8, 11}が平方非剰余である.Aの元aのうちで(P-1)/2までの範囲に属するものはA'={1, 3, 4}でその元をa'と表わすと,それ等の補値は,13-1=12, 13-3=10, 13-4=9で,a'とp-a'をあわせればAに等しい.Bに対しても同じようにすれば,B'の元b'に対する補値p-b'がでてくる.ω=360/13とおけば,
4Σ cos(a'ω)=4{cos(1・ω) + cos(3・ω) + cos(4・ω)}= -1 + √13.
4Σ cos(b'ω)=4{cos(2・ω) + cos(5・ω) + cos(6・ω)}= -1 - √13.
etc.
このような関係は,pが4m+1の形の素数のとき成り立つ.すなわち,pが4m+1の形の素数ならば,
4Σcos(a'ω)=-1 ± √p.
4Σcos(b'ω)= -1 ? √p.
Σsin(aω) = Σsin(bω) = 0.
2Σcos(a'ω) - 2Σcos(b'ω) = ±√p.
が成り立つ.x^p - 1 = 0の1以外の根をa1=cos(ω)+isin(ω) , a2=cos(2ω) + isin(2ω), .., a_{p-1}=cos[(p-1)ω] + i sin[(p-1)ω)]とおけば,x^{p-1} + x^{p-2} + ... + x + 1= (x - a1)(x-a2)...(x - a_{p-1}).x=1を代入すると,p = (1 - a1)(1- a2)...(1- a_{p-1}) . このW^2=±pがガウスの和に当たる(本文参照).
次に,p=23とすると,同じように,1, 2, ... , 1/2・(p-1)=11の平方が,mod 23として,平方剰余である.その集合をA, 平方非剰余の集合をBで表わす.
A={1, 2, 3, 4, 6, 8, 9, 12, 13, 16, 18}
B={5, 7, 10, 11, 14, 15, 17, 19, 20, 21, 22}
で,Aの諸元aの補値p-aはBの諸元bと等しく,Bの諸元bの補値p-bはAの諸元aと等しい.諸元aと諸元bを合せると,{1, 2, 3, ... , p-1=22}となる.Σcos(aω) = Σcos[(p-b)ω] = Σcos(bω)が成り立つ(ω=360/p(度)=2π/pで,cos(pω)=1, sin(pω)=0だから).x^p - 1=0の1以外の解はcos(ω) + i・sin(ω)だから,x^(p-1)+ x^(p-2) + ... + x = -1に代入すると,(cos(ω) + i・sin(ω))^n = cos(nω) + i・sin(nω)から,
cos(ω) + cos(2ω) + cos(3ω) + ... + cos[(p-1)ω] = -1.
sin(ω) + sin(2ω) + sin(3ω) + ... + sin[(p-1)ω] = 0.
というようにして.
Σ cos(aω) = Σ cos(bω) = - 1/2
2Σsin(aω) = ±√p, 2Σsin(bω)= - 2Σsin(aω)
etc.
という関係が4m+3の形の素数pのとき成り立つ.ωのところは,ほんとは,kω(ここでk=1, 2, 3, ..., p-1.k=0のときはx=1)だが煩わしいので.ちなみに,本では「kは素数nで割り切れない与えられた整数」となっている.
この根号量に付与すべき「符号決定の問題」をめぐって,「われわれはまったく思いもかけない困難に出会う」.(p.23)
この問題に解答を与えたのが,当の,相互法則の第四証明にあたる,「ある種の特異級数の和」であるということなので.
・触媒のように作用させながら,固有に作用する構造を導くような手法という感じであれば,グリーン作用素とか,量子作用素とかという話になっていくのだろうか.x^p - 1 = 0をみると,何故か,不定性が高いとはいえ,x^p + 1 = 0がわきに置かれている感じがする.
・もう一つは,現代物理の発展(素粒子理論の発展,ディラックの空洞理論とか,場の理論,中間子論,etc. 岩波講座10『素粒子論』)が,ガウスの探求の姿の一つのドラマをなしているような印象であるということ.印象が重なる部分があるのは当然かもしれないが,特別な,真理の間の関連の現出という感じで印象深い(などと言ってみたい).古代ギリシャのアトム(atomos)が,(1)それ以上分割できない(不可分性),(2) 新しく創りだされたり,消えてなくなったりしない(恒常性),(3) 真空に対する(峻別される)実体である,という基本的な属性をもつものとされていたが,電子や光子,陽子の発見をめぐる長年の経緯などから,昔の原子の規定では捉えられない素粒子というある意味の原子を基本にして考える素粒子論形成の歴史的な経緯,しかも,それらの規定が関連しながら,素粒子の本質を浮き彫りにしていく展開(例えば,スピン1の中間子場をめぐる特徴が,スピン0で偶奇性が奇の中間子場でも満たされることがわかったというような話など)があたるのではないだろか.
・第四証明の考究の意義を,超幾何関数,多価解析関数,モノドロミー,組紐理論へ示唆する「第1章 方程式を解く」,『現代数学の流れ2』岩波書店.(「x^5 + tx -1=0, tは定数.t=0のときは,x^5 -1 = 0で,x=1, θ=e^{2πi/5},θ^2, θ^3, θ^4がその解のすべてである.t=0のときx=1となるtについて連続な解を求めることにして,それをx=f(t)であらわす.このx=f(t)は, t=- 5^5/(256^{1/5})θ^j, ここでj=0, 1,2,3,4 ,において分岐をもつ多価解析関数である.この分岐の様子,すなわちモノドロミーは,幾何学的には,ガロア群と密接なつながりがある`組紐群(braid group)’によって支配されており,多くの興味深い事実が知られている.」(p11~14)).
・不定方程式とモジュラー変形.ω= (aω' + b) / (cω’+ d), ad - bc = ±1.
・一次合同式 ax ≡ b (mod.m)を解くことは,一次不定方程式 ax + my = bを満たす整数xを求めることと同じである.(a, m)=1のとき , あるいは(a,m)=d>1ならば,bがdで割り切れるときに限り解が存在する.ax + my = bの一つの解がx0, y0なら,一般の解は,tを任意の整数として, x = x0 + (m/d)t, y=y0+(a/d)t, ここで最大公約数(a, m)=d.
[例] 18x^2 -60xy +50y^2 = 8を解け.判別式D= 30^2 - 18・50 = 900 - 900=0. (18, 60, 50)=2, 8/2=2^2で,式は2(3x - 5y)^2= 8である.したがって,3x -5y=±2を求めることと同じである.(3, 5)=1だから解は存在し,かつ解は無数にある.)(『初等整数論講義』)
・ピタゴラスの定理(x^2 + y^2 = z^2).
(1) m, nを任意の整数とすれば,x=m^2 -n^2, y=2mn, z=m^2 + n^2は解となる(Brahmagupta).
(2) pが4m+1型の素数ならば,斜辺がpで三辺がいずれも整数の直角三角形が存在する.pが4m+3型のときにはそのような直角三角形は存在しない.p^2=x^2 + y^2
(3)pが4m+1型の素数のときは,p=x^2 + y^2を満たす自然数x, yが存在する.pが4m+3型の素数のときは,そのような有理数さえ存在しない.
(「Fermatと数論」,『数論1』岩波現代数学の基礎)
・自然は現象する.おそらく,親和する道行きの伴侶(human mind)として.数というものの秘密も,そういう道行きの過程に秘められているのだろう.女神は黄金比であるが,気まぐれで,混乱しかもたらさない.かも知れない.指示し指示されるものの構造の,余剰なのかもしれないが(一つの感想).参考: Leonhard Euler, 「素数列に何らかの規則を見つけようとする数学者達の探求はこれまでのところ空しく終わり,もはや人知の理解の及ばない謎ではないかと思うようになった.(Mathematicians have searched so far in vain to discover some order in the progression of prime numbers, and we have reason to believe that it is a mystery which the human mind will never be able to penetrate.) 確かめたければ,素数表を眺めてみればいい.そこには,10万を超えてつづく数が並び,直ちに,規則も秩序もないことに気付くことだろう.これまで,算術は確かな規則をわれわれに与え,それによって,どんなにわずかな規則の痕跡のないときでも,そういった数の列を望むだけ得ることができたのだから,こういう事態はまさに驚くべきことである.私は,まだそこまでの結果に至っていないが,自然数の約数の和に関するとても奇妙な法則を発見した.それは,素数列と同様に不規則であり,あるいは,素数列と同じものではないかと思うほどのものである.この規則は,さらに詳しく述べるつもりだが,たとえ完全な証明がなされなくても,その確かさを疑い得ないといった類いの真理であるから,まさに重要なものだと思うのである.さりとて,私は,厳密な証明と見なしうるほどの根拠を提示するつもりである.」
・AI( Artificial Intelligence)すなわち人口知能言語.人工知能は,コンピュータのプログラミング言語や数式システムやデータベースシステムと深い関係があるのだろう.あるいは知というものの複雑に絡み合った関係そのものなのかもしれない.Hilbertの第10問題と抽象積分.AIはある不可能な事態への道行きというというものだろうか.慣れないことは噛まずに語れるか心配ではあるが.(参考: Joel Moses ` Macsyma : A Personal History' の最初の方)
・小さな玉がフラクタル図形のように毛羽立っているのか,よじれているのか,よじれる長さは決まっているのか,というイメージはまずいのか.極限操作と解析の幾何的イメージ.例えば,遺伝子のコードを区切りながら組み替える仕組みにも通じそうな感じもする.(古典解析的に)陰伏関数の連続性と連続的微分可能性への制限.参考:『自然科学者のための数学概論』,『解析概論』,『数学事典』
・「量子包絡代数」の先駆けというのはどうなんだろう.制限のうちに交錯する道筋を一般性へ高めるという幽玄のうちに無限を捉えるということかもしれない.ガウスの無限に対する態度とはそういうことなのかもしれない.
・でもって一句, 春浅し そよ風一つはじけけり.
昔,旅行した京都の四条交差点で,百貨店から出たとき,春風が吹き去っていって,春か,と思ったら,空気がまだ結構寒かった,という場面を思い出してみた.
浅き春 大通り一筋のはてまでも.
・数とは何か.例によって「感じ」で言い放しになるが,数論的関数が,ガンマ関数のグラフをゆがめて縮小したような感じなら,mod. 1の類別で,超越数など数概念の拡大の幾何化を示しているような気がする.数はときに,憂鬱に沈み,自らの本性も靄の中にかき消すが,同時に,その靄ついた見知らぬ小径をほのかな明かりで先導するするような感じもする.そういうところは人間に似ているかもしれない.数とは,四条大通り交差点の信号待ちであるというのは,冗談であるが,そういう時空が<私>の作用とともに生きられるときもあるのかもしれない.{x} = x- [x]とか,そういうことかもしれない.ところで,[x]は実数xを超えない最大の整数を表わすのだから,{x}=x-[x]はxの少数点以下の部分を表わすことになる.
・そろそろ,標準を定めて,掘り下げて行くべきなのかもしれないが,結局,ゼータ関数をみて行くということなのだろうから,リーマンのゼータの第三積分表示とか,Siegelがガウスの相互法則の第四証明に導かれて解明したというような感じということでつながるのだろうか.超関数や量子化ももちろん示唆されるだろうけれど(参考: 『数論2』岩波, 『岩波数学事典』etc.)