マタイがどうしてもユダヤ人たちに広まっている、復活についての噂話の由来を著そうとしているわけで、そのために若干話の背後に辻褄の合わないところが生じた、というのが実際のところではないでしょうか。「『弟子たちが夜中にやって来て、我々の寝ている間に死体を盗んで行った』と言いなさい。もしこのことが総督の耳に入っても、うまく総督を説得して、あなたがたには心配をかけないようにしよう」(マタイ28:13-14)というのが、その内容でした。たしかに、これはローマ兵です。そしてこれは、ユダヤ人たちの間に広まっている、復活に関して弟子たちの工作があったとする噂がどこから来たのか、を明らかにするためのマタイの弁明のような説明でした。これは金により買収されて発された噂なのである、と。「兵士たちは金を受け取って、教えられたとおりにした。この話は、今日に至るまでユダヤ人の間に広まっている」(マタイ28:15)と結論づけるのです。