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スカーペッタ 上・下
パトリシア・コーンウェル 著 講談社文庫 / 2009.12
ベントンと共に活躍の場をニューヨークに移したスカーペッタ。
そこに恋人殺しの嫌疑がかかった、一面識もない青年からの指名が来る。
「僕は殺していない。自分の理解者にしか話はしない……」。
コーンウェルが女性主人公(ヒロイン)の名前をタイトルに冠して放つ、シリーズの転換点となる傑作!
待望の「検屍官」第16弾。
今回は文句なしに面白かったです。
ラストも映画みたいにスーッと切り上げてくれる感じがして、とてもスマートなラストだなと思いました。
今回の事件は、犯人が身近にいたというのがよかったと思いました。
ほとんどが、何処の誰だか判らない、ぽっと出(?)の犯人ばかりだったので、推理のしようも、驚きようもありませんでしたが、今回は、この人が?と驚く(重要人物ではありませんが)ことができたので楽しめたと思います。
クライマックスでは、またまたスカーペッタに命の危機が訪れたかと思ったら、なんと、ルーシーが至近距離で撃たれたり(でも、助かる)、結構な衝撃があったと思います。
他にも、前作から続く、マリーノとの関係が丁寧に描かれていて、最後も、ルーシーが罰せられないようにとマリーノが機転を利かすところもよかったです。
マリーノからスカーペッタとルーシーにきちんとした謝罪はありませんでしたが、また、昔のように戻れたのかな?という雰囲気もあり、何かを乗り越えるということは、善くも悪くも何かを削ぎ落としていくことなのかなとも感じられました。
ラストで、スカーペッタがマリーノに最近のお酒の好みを聞くところはグッときました。
前作でマリーノの飲酒が原因でスカーペッタは悲しい思いをしましたが、だからといって、お酒を飲ませたくないというのではなく、マリーノに、自分で判断するべき…ということをやんわりと伝えるところが素敵だなと思いました。