え~~最近ラーメンレポとかいろいろ書いていますが、正直ネタがマンネリ化している気がするので、ちょっと寄り道しまして、日ごろお世話になっている食べ物関係の漫画のレビューなんか書いちゃってみようかなあ。
という完全に思いつきの企画です。
いつもと違う感じですが、まあごゆるりとお楽しみいただければ幸いです。
食キングは1999年4月~2004年4月まで漫画ゴラクで連載されていた、土山しげる氏の著作による漫画。
同誌は古くは「ザ・シェフ」など昔から料理漫画を得意としてきました。
今でも、こちら土山氏の作品や自分の愛読書ともなっている「酒のほそ道」などが連載されています。
さて、この食キングは同氏の代表作ともいえる存在。
世の中グルメ漫画数あれど、土山氏の描く料理漫画は他の料理漫画と一線を画すものがあります。
料理漫画の第一人者とも言われているビッグ錠氏の作品や、過剰な演出が話題となった「ミスター味っ子」見られるような「料理勝負もの」
クッキングパパなどに代表される「ホームドラマ」
「美味しんぼ」に代表される「食べる側からの評論」
まあ「美味しんぼ」に関しては一部料理勝負な面もありますが、あくまで主人公の「山岡士郎」は料理人ではなく新聞記者です。
そしてこの「食キング」は・・・「再建」
函館の名店、五稜郭亭。その五稜郭亭の伝説のシェフ北方歳三。
食材への愛、確かな技術、そして食べる人のことを第一に考える料理への姿勢で料理界で知らない人はいないと言われる北方。
彼が自分の店である五稜郭亭を離れ「再建請負人」として、経営の傾いた飲食店を次々に再建していく物語です。
「修行」と称し、一見料理と関係の無いような訓練を強い、決め台詞は「質問は一切認めん!」
まあ話を読んでいくと後からその修行の理由が判ってくるのですが、時には「???」が並ぶ展開も・・・まあそれも「食キング」いや土山氏の作品の魅力でもあります。
これ以前の土山氏は「極道ステーキ」や「借王(シャッキング)」「蛮王(バンキング)」などバイオレンスなものが中心でした。
ちなみに、「○キング」というのは土山氏の漫画における定番ともなっております。
基本的に「なにか」&バイオレンス。
そう「食キング」はグルメ&バイオレンスなのです。
そう思って、これを見てみましょう・・・
まずこれ、第1巻の表紙。
もちろんこの表紙の人物が主人公「北方歳三」なのですが・・・
完全に包丁で誰かを刺そうとしてます。
これバックが食材じゃなかったら、完全に強盗とかのひとコマではないかと・・・。
ストーリーの序盤はこの「北方歳三」が講師として「愛の貧乏脱出大作戦」を繰り広げ、閑古鳥が鳴く洋食店、味の落ちた餃子屋、無謀な素人経営で火達磨経営に陥った立ちそば店を見る見る「再建」していきます。
そんな彼が、何故店を離れ「再建請負人」をやっているか?それはストーリーの中盤から終盤のストーリーのなかで徐々に明らかに。
まあ概要はこの辺にして、ディテールに目を向けていきましょう。
こちらは記念すべき第1話。
閑古鳥が鳴く洋食屋さん。
起死回生のつもりで作ったメニューが・・・カツカレーにハヤシライスも加えたハヤシカツカレー。そんな場面から物語りは始まります。
このハヤシカツカレー、新メニューとしての出足はまあまあでした。
しかし、この洋食店の息子さんは味が判るのか、
涙の懇願で店の再建を頼まれます。
店に帰るとそこには
食べ残されたハヤシカツカレーの残骸たちが・・・そして
北方の怒り爆発!
なんと見開きで大激怒ぉ~~!!
心を入れ換えると約束した店主の修行が始まります。
その修行とは
学校給食の600人分のカレー!
朝から昼までの間にこれを一人で作らせるとは・・・北方さん無謀すぎます!!
なんか分量のも天文学的だし・・・。
これ・・・昼に間に合いますか?
ちなみにこの分量、よく見ると液体がccでの換算はいいのですが、粉ものもccの換算・・・g(グラム)換算じゃないんですか?
しかし、めげずに店主!
カレー作りに取りかかります。
文章をちゃんと読むと、玉ねぎ150個、ニンジン75本・・・ってありますけど、これみんな一人でみじん切りしたんでしょうか?
明らかに当日の朝に入ってそこからの仕込みで昼食600人分・・・これをこれをこなせる腕のある料理人なら、もはや修行は要らないのでは?
などという言葉は飲み込んで読み進むのが、「食キング」・・・そして北方歳三の楽しみ方です。
「先生!こんなに汗が飛び散りそうな人が作ったカレー嫌です!」
「マスクしてください!」
とか言うツッコミも物語のケレン味なので気にしないように。
そんなわけで一度は挫けそうになった店主も、カレーを待ち望む子供達の声を聞いてやる気復活!
見事にカレーを作り上げました。
そういえば書いていて今気がつきましたけど、サイドメニューってこの日どうしたんですか?あとご飯炊いてないですよね?まさかカレーだけ?それマズくない?
まあそのカレーが完成した描写は無いので、恐らくライスとサイドメニューは普段給食を作っているおばちゃん達が作ったのでしょう。
そう思って補填しておきましょう。
というわけで店主さん料理人の心を取り戻しました。
カツカレー、カツサンドという看板メニューも出来ました。
美味ければ子供の様にガツガツ食う!これが北方流・・・。
そして満を持して!気合一発!
「開店だっ!」
・・・そういえば、カツレツを作る修行はしていなかったようですが・・・そこらへんは元から腕が良かったって言うことでOK?
まあ600人分のカレーを5~6時間で一人で作れる男なので、その辺は心配要らないでしょう?
と、ここまで書いて気がついたのですが、第1話って「北方歳三」っていう名前は出てこないんですね。
本人は名乗ってないし、他の登場人物も「あんた」とか「おじさん」とかしか呼んでない。
何度も読んでいるので、気がつきませんでしたが、完全に店の人からしてみれば「何処の馬の骨とも判らない人間」です。
それに店の未来を総額20万円で託すとは・・・そういう意味でこのお店の経営が傾いた意味も判ってくる気がします。
ちなみに北方の正体が判明するのは第2話、親子丼の修行の回。
再建中の店に偶然居合わせたグルメ雑誌の女性記者に正体を見破られてしまいました。
軽く目をそらしている辺りが不審なある種の「家出中年」北方歳三。
ちなみにのちなみに、その女性記者ですが、
こんな思わせぶりな終わらせ方をしておきながら・・・この登場が最後となります。
初めてこの漫画をここまで読んだときには、この姉ちゃんは物語の狂言回しになるのかと思っていましたが・・・。
この伏線のぶつ切り具合もまあ土山先生ならでは!
と、このような展開で進んでいく食キング。
興味がわいた方は、ちょっと読んでみて下さい。
テーマを変えて何度か書いてみます。
ではでは
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