アイ!サラマッポ in バギオ

フィリピン人介護者のケアを受けながらの、フィリピンでのインディペンデント・リヴィング…、心の赴くまま、ここに記します。

2009年度の、フィリピン人看護師・介護福祉士候補者受入れ人数

2009-06-03 12:18:05 | フィリピン人看護師・介護士(Caregiver)

 日比経済連携協定(JPEPA)に基づいて、日本で看護師や介護福祉士を目指すフィリピン人候補者のうち、5月10日の273人に続いて、第2陣として先月末に10人が日本に入国しました。これで、今年度(初年度)これまでにフィリピンから受け入れたのは、計283人(うち看護師93人)ということになりました。
 5月11日の厚労省の発表によると、介護福祉士候補の190人の受け入れ先は、28都道府県の特別養護老人ホームなど92施設で。看護師候補93人は23都道府県の45病院で、うち2病院は介護福祉士候補者も受け入れるそうです。
 
このほか、日本の介護福祉士養成校で国家資格を取得できるコースでは、最大50人が10月に来日する予定です。
 
第2陣の10人は、日本語能力が認められ半年間の日本語研修が免除された人たちで、第1陣の273人とは別に、日本の生活や介護に関する約1週間の研修を受けた後、すぐに今月10日から5都府県の特別養護老人ホームなど9施設で働き始めるそうです。
 
日本語が話せる!というフィリピン人で、真っ先に思いつくのは、日本では「タレント」、フィリピンでは「エンターテイナー」と呼ばれる。通称「ジャパユキ」さんです。「ジャパユキ」という言葉には、フィリピン国内外で一種独特の偏見や差別的な響きがありますが、このEPAによる介護の人材受入れが人々の話題になり出した数年前から、「日本」を経験し「日本語」もある程度話せるジャパユキさんたちですから、「ケアギヴァーとして日本に戻ろう。」と、真剣に6か月のケアギヴァー課程(Caregiver Course)で勉強を始めた人たちは少なくありません。この第2陣の10人の中にも、そういう人がいるかもしれません。
 
が、そうだとしても大変狭き門です。フィリピン国内では、不確かな情報ばかりが先走り、それに乗っかり、淡い(?)希望を打ち砕かれた人たちがどんなに多いことか、と思います。
 
また、受入れに関して、フィリピンサイドの調整・選考機関であるフィリピン労働雇用省海外雇用局(POEA)が、日本の国際厚生事業団(JICWELS)による最終面接に至るまでにどういった基準で数千人の応募者を10分の1の人数にまで絞り込んだのか、明らかにしてほしいものだと思います。募集要件を満たしている応募者から「先着順で…」といった話も聞きます。
 
インドネシアの例を見ても、来年度と合わせて「1000人」という看護師・介護福祉士候補者をフィリピンから受け入れるのは、今の日本の経済状況、この案件に関する政府・当局のあいまいな態度からしても、まず難しい数字でしょう…。ひょっとしたら、今年度の「283」という人数を下回りかねない、と思います。

【日比政府間の自由貿易協定(FTA)の中で、史上初めて看護師百名・介護士百名という「人的資源」をフィリピンから受け入れるという基本的な合意がなされたのは二〇〇四年一一月のことだった。法務省による、フィリピン人エンターテイナー(ジャパユキさん)の法的規制が始まったのと同じ時期だ。二〇〇四年末の法務省の人身取引対策行動計画に沿って、二〇〇五年には二度にわたって省令が改正され、ジャパユキさんたちの日本入国要件は厳格化、その数は著しく制限されることになった。
 
さて、そのFTAの合意により、事実上海外からの看護師と介護士の受け入れが解禁されたことになる。超高齢化が進む日本の社会の中で、介護を必要とする人は今後ますます増えていくだろうが、フィリピンの人には「お年寄りの一人暮らしがまったく想像できない、信じられない。」という。街を歩けば妊婦に当たる?ほど、ヤングパワーあふれるフィリピンに、日本は介護というサポートを期待するのも自然な流れだと思う。しかし、その際、フィリピン人介護士を安い労働力としてとらえるのではなく、頼れる仲間としてどう育て、共存していくか、という視点に立つことが必要となるだろう。(中略…)
 
しかし、そのFTAでの基本合意の後、フィリピン国内では、「あなたも日本語を勉強して日本へ行こう!」などとだまして金儲けをたくらむ悪徳リクルーターが横行し、多くの被害者が出るといった事態が起きてきた。それは、正確な情報が伝わりにくい、また出稼ぎ大国フィリピンの実情を逆手に取った許しがたい行為なのだが・・・。事実、看護師や介護士の養成学校はダバオでも大流行で、そのほとんどは海外へ行くための手段としてその課程を選んだ人たちである。私の介護者募集の広告を見て電話をかけてきた人の中にも、「なーんだ。海外行きじゃないのか・・・。」とプツッと電話を切ってしまう人もいるほどだ。
 
現在、フィリピンの人口八千万人の約一割に当たるフィリピン人が、海外で就労中であったり実際に居住したりしている。そして、国内の有能な若者のほとんどは、移住とまでいかなくとも、海外での就労を希望する、国外脱出志向がとても強いのだ。大家族の多いフィリピンでは、家族の一員の誰かが、また親戚をも含めると最低一人は海外にいる、といっても過言ではないほどだ。しか<し、海外へ渡るプロセスはそれほど容易ではない。たとえば、海外で評判が高く需要の多い看護師でも、二〇〇二年に制定された法律により、免許取得後二、三年のフィリピン国内での病院勤務が、海外の病院で働きに出るための必要最低条件となった。フィリピン国内の看護師不足を解消するための苦肉の策である。そして、社会人としても自立している優秀な看護師は、地方にはとどまらずまずマニラへ出る。それが、海外へ働きに行くための近道の一つなのだ。】
☆拙著『アイ!サラマッポ~フィリピン人介護者と生きて~』(20088月発刊)☆
 下巻第4章「ダバオ市にて」より抜粋

 
<写真> 日本フィリピンボランティア協会・JPVAの在宅介護の実習生受け入れ
    (2004年7月 ダバオ市にて 読売・山田氏撮影)
 

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyotama/kikaku/057/main.htm

(読売新聞・山田氏の記事-2004年8月)

http://blog.goo.ne.jp/isshin3_ph/c/1ae6f2406bb8beed3975d057ca1e19c3

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2 コメント

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Unknown (群青)
2009-06-04 13:09:51
こんにちは、初めてです。日本の東京から投稿しています。まだ梅雨に入っていない過ごしやすい気候です。

こちらの身近では、日本の永住権を持ち子供達を育てているシングルマザーが、2級ヘルパーの学校を修了し、先日から特養の正社員で働いています。
かなりの数のフィリピナが働いているようですし、ケアギバーの学校で勉強している人も相当数います。
外国人が安定的な給料や福利厚生を受けて働ける・・ということでは、ケアギバー職はそれが2級視覚でも、かなり恵まれていることになります。
来日前は、祖父母相手に面倒を見ていた彼女たちの、明るくユーモアたっぷりの介護現場は、お年寄り達にとても人気があるようです。
漢字交じり日本語による業務記録は問題があるようですけども。

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群青さん、はじめまして。 (Isshin-編集人)
2009-06-05 12:57:02
群青さん、はじめまして。
初コメント、ありがとうございます。

 ヘルパー2級資格は、フィリピンの方にとっては十分!おっしゃる通りで、それで安定した収入や福利厚生を得られるなら、日本の永住権を持つフィリピーナにとっても、介護職は大変恵まれた 職種ということになると思います。
南国の、大家族の中で育った彼女たち、豊かなホスピタリティ、エンターテインメントあふれる国民性…も、よい評判、人気をう向け結果に結びついているのでしょうね。

貴重なお声をサラマッポです。
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