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アイ!サラマッポ in バギオ

フィリピン人介護者のケアを受けながらの、フィリピンでのインディペンデント・リヴィング…、心の赴くまま、ここに記します。

フィリピン人看護師・介護福祉士候補者が日本へ

2009-04-17 10:24:51 | フィリピン人看護師・介護士(Caregiver)

 今朝のまにら新聞の記事によると、「日比間の経済連携協定(EPA)に基づくフィリピン人看護師・介護福祉士候補者の日本派遣に関し、フィリピン側送り出し機関となる労働雇用省海外雇用局(POEA)は16日、日本の医療施設との調整を経て絞り込まれた看護師・介護福祉士候補者の派遣人数が計298人で、5月10日に日本へ出発する予定だと明らかにした。」そうです。

  やはり、日本サイドの受入れ機関、施設等が、当初の予定よりかなり減っているのでしょう…。


外国人看護師・介護士の受入れの前途は…。

2009-04-16 16:21:37 | フィリピン人看護師・介護士(Caregiver)

 今朝のNHKニュース「おはよう日本」によると、今年度のインドネシア人看護師と介護福祉士候補者の受入れ希望機関、施設が当初の予想より大幅に減少し、現在までに受入れ可能人数は260人程度だそうです。EPA(経済連携協定)の合意では、「2年間で1千人受入れる」ということでしたから、日本国内で唯一の仲介機関「国際厚生事業団」は、昨年8月に来日した208人に続いて、今回は約790人を選抜する予定だったそうです。…が、現実的にかなり厳しい数字となりつつあるようです。

 日本の特養老人ホームなどで、インドネシア人介護士を受入れるのに逆風が吹き始めた背景には、日本語教育等にかかる経費などのほか、やはり現場ですぐに介護に当たってもらう上で、いろいろな困難や問題点が見えてきたから、ということもきっとあるのでしょう。
 しかし、予想されたこととはいえ、やはり、昨年の世界的金融危機のあおりで職を失った非正規労働者や派遣社員、そして正社員だった人たちで、介護職に就くことを選んだ人たちが増えたという状況の変化が大きく影響しているようです。これは、自分自身の経験から感じることですが、介護に関しては、たとえ自国で介護(ケアギヴァー)の課程を終えてはいるが、社会通念や習慣、言葉の壁がある外国人よりも、たとえ介護の経験がなくとも、やる気さえあればそうした求職中の日本人の方が、よりスムーズに現場に入っていけるように思います。

 その一方で、ではEPAによる国と国との合意事項はどうなるのだろう、という懸念は誰しもが持つことでしょう。相手国に、今の日本の経済事情を分かってもらい、受入れ人数を減らすのでしょうか?そして、景気が上向きになり、また介護の人手が足りなくなった時、「介護士が必要ですから日本に来てください。」と言えるのでしょうか?

 フィリピンからも、すでに選抜された4百数十人の看護師と介護福祉士候補生が、もう2週間もすれば日本に派遣されます。私が、こちらの新聞で「FTA(貿易自由協定)による、その看護と介護の人材受入れ」の記事を初めて見たのは2003年の初めでした。少なくともそれから6年間!その間ずっと協議を重ね、様々な課題を乗り越えて合意に至り、ようやくこぎつけた感のあるフィリピン人看護師と介護士(ケアギヴァー)の受入れ…。一体この先、どうなっていくのか、不安を感じます。でも、日本国内の今の事情を考えると、その「2年間で1千人」という外国人受入れの人数枠も、減らさざるを得ないのか、と複雑な思いです。

 カリフォルニア州ロサンゼルス市は、深刻な財政危機により、教育予算を大幅に削減、近々5千人!の教職員を解雇するそうです。本当に、大変な事態です。


インドネシア人介護福祉士候補者はどうして帰国したのか?

2009-03-17 16:07:11 | フィリピン人看護師・介護士(Caregiver)
   今朝のNHKニュース「おはよう日本」で、介護の現場で研修中の3人のインドネシア人介護福祉士候補者の様子が取り上げられていました。8月7日に初めて日本に来て七か月余り…。日本語も上手に話し、お年寄りの入所者への接し方に戸惑いながらも、慣れない土地で必死に毎日を過ごしているのが伝わってきました。入所者の感想もまずまずといった感じでした。これまで、インドネシア人介護士による事故等の報告はまだないそうです。

 それにしても、8月に来日したインドネシア人看護師と介護福祉士候補者は、現地での公募の遅れなどにより、定員5百人の半分以下の「208」人という数でしたが、それが今残っているはわずか百人余りとは…!?
 今まで日本に残り、介護の現場に出ているインドネシア人の様子もさることながら、途中で断念し(?)インドネシアに帰ってしまった人たち約百人が、どういう理由で帰国したのか、または帰国せざるを得なかったのか、それを知りたい気がします。それをはっきりさせることで、今後、フィリピンや他のアジアの国から看護師や介護福祉士候補者を受け入れるにあたり、様々な問題点がより浮き彫りになるはずです。

 フィリピンからは、もう一か月半もすれば多くの看護師、介護福祉士候補者が来日する運びですが、こちらもかなりの応募者の中から、応募条件を満たし、最終面接をパスしたのは、やはり定員割れの四百数十人だったようです。それでもインドネシア人の2倍以上の人数です。受け入れ体制は本当に整っているのだろうか、と心配になります。

 今朝は、介護に関してもう一つ話題がありました。
 
厚生労働省はこの4月から、介護保険制度の要介護認定の判定基準を見直す予定ですが、その見直し原案を、利用者団体等からの反発で、もう一度見直す(修正する)ことになったそうです。
 
厚労省の見直し案では、例えば寝たきりの人は「移動する機会がない」から「移動介助の必要度が『なし』」と判定される(!!!)、認知症の人が一人で買い物をする場合も「介助の必要度なし」とされていたそうです。ひどい話です…。
 見直された案が、見直される(修正される)のは当然ですね…。

<余談ですが…>
 やはり、家の近くの他の場所にも小ぶりですが「わらび」がありました。おそらくこの時期だけ見られるのでしょう(^^)。
 フィリピンでは「Pako」(パコ)と呼ばれ、ココナッツミルクで煮て食べられることもあるようですが、私が見つけたわらびとはちょっと違う種類のシダ類です。

 
 (先日オーガニック野菜ショップで見つけたパコ)

<お詫び>
この記事の中での「インドネシア人看護師と介護福祉士候補者で、今日本に残っているのは百人余り」という情報は、私が誤って情報を受け取った可能性があります。お詫びさせていただきます。(4月16日)
正しくは「インドネシア人介護福祉士候補者百人余り」ということで、看護師を含めると2百人余りということでした。


フィリピン人看護師と介護福祉士候補者の最終選考

2009-02-21 23:55:57 | フィリピン人看護師・介護士(Caregiver)

 今週は、19日に、フィリピン人看護師と介護福祉士候補者の受け入れに関して、日本サイドの唯一の仲介機関である「国際厚生事業団-JICWELSによる、フィリピン人応募者の面接、選考がミンダナオ島ダバオを皮切りに始まった。」というニュースがありました。7千人を超える応募者があったようですが、要件を満たした536名から最終的に450名に絞られるそうです。5月の入国予定に向けて着々と準備が進められているようです。
 ちなみに、今私の生活に関わっている看護課程卒(未資格)のジェンさんは、今回の「介護福祉士候補者」の応募には間に合いませんでした。それとは別に、TESDAのケアギヴァー認定審査を、3月7日に受ける予定だそうです。本当は先週14日の予定でしたが、本人の準備不足で3週間伸びたようです。残念…。
 外国からの看護師・介護福祉士候補者受入れは、インドネシアに続いてフィリピンは二か国目となりますが、今回は募集人員の看護師・介護福祉士候補者、ほぼ枠いっぱいの計450名が選ばれる運びとなるでしょうが、一方の日本での受け入れ機関がまだ足りていないようです。
 今、ベトナムとの経済連携協定-JVEPAの中でも「ベトナム人看護師・介護福祉士候補者」の日本受入れが組み込まれていますが、受入れる日本サイドの受容能力-Capacityは大丈夫だろうか?と心配になります。

 また18日には、外国人看護師・介護福祉士候補者受入れと関連するニュースがもう一つありました。
外国人介護職員らの日本語習得を支援する『すみだ日本語教育支援の会』が、介護福祉士の外国人向け試験問題では、漢字にふり仮名をつけたり、『右下肢』など難しい専門用語を『右足』と置き換えたりするなどの対策を講じるよう厚生労働省に要請した。」とのことです。これは、日本人と結婚するなどして永住権を得た外国人で、介護施設等に就職した後、より高く安定した収入が見込める介護福祉士の資格を目指す際、ネックとなる漢字や専門用語への配慮を要望したものですが、当然、外国からの候補者にも適応できるだろうと思います。
 
そうした、日本語教育を支援する団体、今現在インドネシア人研修者を受け入れている介護施設等、「現場」からの声にこそ真実味があるような気がします。

<写真> 白いハイビスカス(ダバオにて撮影)

・・・余談ですが、介護者によると、14日の記事のブーゲンビリアは白とピンクの花(葉っぱ)が混じっているので、「Mr. & Mrs. Bougainvillea」(ミスター&ミセス…)と呼ぶそうです。バレンタインにはピッタリだったようです(^^/)。


フィリピン人看護師・介護士の日本就労希望者公募

2009-02-05 20:17:59 | フィリピン人看護師・介護士(Caregiver)

 昨日のマニラ新聞によると、比日経済連携協定(JPEPA)に基づくフィリピン人看護師・介護士の日本就労希望者公募で、送り出し機関のフィリピン海外雇用局(POEA)が、3日までに少なくとも約六千人(看護師約二千人、介護士約四千人)の応募があったことを明らかにしたそうです。2009年度の日本側受け入れ枠は最大五百人(看護師2百人、介護士3百人)で、競争率十二倍超の狭き門です。これまでに992人が事前審査を通過したとのことですが…。

 ところで、私の生活に関わってくれている専従介護者の一人、ジェンさんは、3日TESDA(テスダ)バギオ支所に行き、ケアギヴァー認定証の取得方法を聞いてきました。今月14日に筆記試験、実地試験に面接という「認定試験」があるとのことでしたが、一日ですむ簡単なもののようです。
 
が、POEAのホームページの日本への介護福祉士候補への応募条件(必要書類)の中には「Training/Skills Certificate」という項目はありますが、「TESDA」のケアギヴァー認定証とは明記されておらず、少し戸惑っています。公募期間の締め切りもはっきりと分かりませんが、ジェンさんは、とりあえず近いうちに、そのPOEAのホームページから申し込んでみる、と言っています。このインターネットによる登録と必要書類の送付によって申し込んだことになるようです。

 http://www.poea.gov.ph/jpepa/registration.html

 ジェンさんの場合、それ(日本への応募)とは別に、TESDAの「ケアギヴァー認定証」は、カナダなどの海外へ、ケアギヴァーとして行くプロセスを進める上でも有効だから、ということで受験するつもりだそうです。彼女の父親は、もう20年余りもサウジアラビアのリアドで働いていて、年に一度は休暇でフィリピンに戻ってくるそうですが、彼女がイスラム圏の病院等で働くのには賛成してくれないとのこと。例えば、そのサウジアラビアでは、看護課程を出ていれば、フィリピンの看護師国家資格はなくともそれほど問題にされないようで、賃金は低い(月数万円)ですが、需要は少なくないようですが…。

 ちなみに、友人からの情報によると、「日本側の受け入れ機関が少なかったため、今日から二次募集を始めたようです。看護師受け入れ50機関、介護士受け入れ20機関足りなかったようです。」↓

 
http://www.jicwels.or.jp/html/EPA-Philippine_info.htm


インドネシア・フィリピン人の介護福祉士「候補者」

2009-01-29 18:31:16 | フィリピン人看護師・介護士(Caregiver)

 昨夜のNHK「ニュース7」で、インドネシア人介護福祉士候補生がいよいよ介護現場での研修に入ると報じられていました。昨年8月、北京オリンピック直前に、オリンピックムード一色の日本に、オリンピックとは無縁かのようなインドネシア人看護師と介護士2百名余りが入国、半年に及ぶ日本語研修を終えての次のステップに入ったわけです。その介護現場(特養老人ホーム)に向かうバスの中で、「(まだ日本語がうまく話せないから)シンパイ。」と言う男性と、「ダイジョウブ、ダイジョウブ…。」と笑顔で自分に言い聞かせているかのような女性の対照的な表情が印象に残りました。

 日本人でも合格率が約50%の介護福祉士の国家試験の受験条件の一つには、「3年間の介護現場での実習」があり、彼らはそれを経て、3年後に「一度だけ」「日本語で」受験するチャンスが与えられる、ということになります。彼らが与えられている猶予期間は4年間ですから…。「その一度の受験にパスできなければ、自国へ帰る」という条件のもとで日本にやってきた訳ですが、その高すぎるハードルをクリアできる人は、まずいないか、いてもごくわずかでしょう。
 
まるで、当初から、4年経過後にインドネシア人介護福祉士の誕生と、その後も日本にとどまって介護福祉士として働いてもらうことを期待していないかのような、厚生労働省の厳しすぎる条件提示です。

 しかし、私は、NHKのインタビューを受けているそのインドネシア人の表情を見ていて、少なくとも、受験までのこれから3年間は、お年寄りの介護現場に、何らかの良い足跡を残してくれるだろうことを期待させられたのです。実際の介護現場では、言葉の壁や習慣の違い等により、様々な問題が生じるでしょうが、それらも良い意味で、日本の介護現場に問題を提起することにもなるだろうと思います。

 その南国の純粋な若者たちには、日本のお年寄りに通じうる何かを秘めているように思えたのです。言葉は通じにくくても、心は必ず通い合うはずです。そして、なぜか気持ちがワクワクしました。


 さて、フィリピンでは、4月の「看護師2百名、ケアギヴァー(介護士)3百名」の受け入れに向けて、フィリピン国内での公募や選考のプロセスが進んでいくことでしょう。
「看護師」は、フィリピンでの看護資格を持ち、3年以上の実務経験があること。一方のケアギヴァー(介護士)は、看護大学か、4年制の大学卒業者で、フィリピンの政府機関「TESDA-テスダ」(Technical Education and Skills Development authority-技術教育技能開発庁)の「ケアギヴァー認定証」があれば、日本の介護福祉士候補生として、「3百名」の枠に入るべく応募資格が与えられます。

 現在、バギオでの私の生活に、専従介護者として関わってくれているのは、結局、メディカル課程は出ていないが、マニラにいた時からもう1年間以上ケアをしてくれているマリアさんと、以前は助っ人として一時的に関わってくれていたジェンさんが、年末年始をバギオよりもっと北部の実家で過ごした後、バギオに戻って来てくれ、その二人に落ち着いています。二人ともステイ・イン・ケアギヴァーという形で、住み込みなので、私も助かるし、生活経費がかからず、お給料をそっくり貯金できる彼女たちにとっても好都合な訳です。

 それはさておき、ジェンさんは3年前に看護課程を卒業しており、今年は再度看護師国家試験に挑む予定でいるようです。その彼女も、「TESDA」のケアギヴァー認定証さえあれば、日本への「ケアギヴァー」としての応募する資格が生じることになります。今日、バギオ市内の「TESDA」に問い合わせたところ、担当者が今マニラに出張中で、来週帰ってきたら連絡してほしいとのこと。これはひょっとしたら、今からでも間に合う話なのかも…と胸を躍らせながらも、当の本人にはあまり期待しないように伝えてあります。でも、ひょっとしたら…。(また、事態が転じたら報告します。)

 

<写真> マインズ・ビューでイゴロット民族衣装をまとってポーズ…のジェンさん。

 …その後、フィリピン人介護福祉士候補生に関してもう少し調べてみると、ほぼ1年前の2007年12月に、「社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案」が可決され、その中で准介護福祉士の資格が新たに設けられたようです。フィリピン人ケアギヴァーにも日本人と同じ介護福祉士国家試験を課しながら、不合格となっても「准」介護福祉士として日本で介護の仕事に就く道を開くということのようです。そこでは4年後の2013年までの期限付きの暫定措置と修正されたようですが、それだとこれから4年後ですから意味のない措置となりそうです。

<付記> 昨日付の、友人からのメールの情報によると…
「フィリピン側の申請窓口のホームページが動かなくなってしまい、申請できない状態が続いているようです。」


日本フィリピンボランティア協会(JPVA)の介護つきツアー

2009-01-23 17:24:31 | フィリピン人看護師・介護士(Caregiver)

 フィリピンで「ケアギヴァー養成課程」(通常6ヶ月間)を修了しても、海外にケアギヴァーとして働きに出ることがそうそう容易でないことに気づいた人たちは、どうしているのでしょう。

 一つには、ケアギヴァーとして海外へ出ることを諦めず、そのためのプロセスを進めながら、当面は国内でケア(介護)の仕事に就くことを考えるでしょう。
 二つ目に、当初から「海外へ出る」ことを念頭に、履修期間が短期の「ケアギヴァー養成課程」を選んだものの、それが難しいとなると、別の職種で海外へ出ようとするでしょう。それは工場での仕事だったり、家事手伝い(ドメスティック・ヘルパー)だったり、レストランのウエートレスだったり、男性であれば建設現場での仕事だったり、多岐の分野に及ぶでしょう。最近は、金融危機、雇用不安の影響で厳しいようですが…。

 もともと、現政権下の一大国家プロジェクトとして始まった「フィリピン人ケアギヴァー養成」は、単に、「高齢化を迎え、介護の手が足りない先進諸国へケアギヴァーを送り出す」ということだけでなく、退職者を中心に、外国人をホスピタリティあふれるフィリピンに呼び込む、そのために仮に多少のケアが必要となったとしても、フィリピンにはケアギヴァーがたくさんいる、ということを示す目論見もあったのです。ですから、もう数年前から、「介護付き住宅」などのPRビデオを作ったりして海外にアピールしています。そして、もちろん日本人向けの介護付き(お風呂付)住宅もあります。
「海外へフィリピン人ケアギヴァーを送り出す」と同時に、「ホスピタリティあふれるフィリピンに多くの外国人を呼び込む」という二つの狙いの下で「ケアギヴァー養成」プロジェクトが始まった訳です。
 しかし、「看護師の養成」とともに、この歴史の浅い「ケアギヴァー養成」プロジェクトの方も、様々な問題に直面する中で見直されていくことでしょう。


 私が、ミンダナオ島のダバオで生活していた4年間(2003年2月25日~2007年4月22日)、マニラからダバオに移るきっかけとなり、その活動にも関わらせていただき、大変お世話になった「日本フィリピンボランティア協会・JPVA」(網代正孝会長・NGO)は、二十数年前、日系人会と連携してその窮状を打開しようとする当初の活動に始まり、現在に至っては、多方面の分野で、ミンダナオ島のみならずフィリピン各地で様々なプロジェクトを展開されてきました。環境問題への取り組み、社会福祉分野での地域社会への貢献、教育を通しての人材育成、7年前には、諸活動の集大成として、フィリピン日系人会とともに、故内田あや子氏基金によって「ミンダナオ国際大学」を開校させました。

 http://jpva.org/

(日本フィリピンボランティア協会のホームページ)

 その日本フィリピンボランティア協会は、日本の超高齢化社会を見通して、十数年前に(!)すでに、無償で「日本人向けケアギヴァー課程」を設けていました。履修できるのは、ダバオのメディカル課程を終えた人たちでしたから、提供した主な履修内容は日本語学習でした。「ケアギヴァー」という言葉が世間に認識され始める、はるか以前のことです。

 そして、今年もまた、ビザなどの問題がなく、海外に渡航・滞在できる日本人向けに、「短期滞在型の介護付き体験ツアー」が、年に5度組まれています。

 http://jpva.org/tour-k.html

「フィリピン人が日本に入ることが難しいならば、ビザ等の制限のない日本の人たちにフィリピンに来てもらおう」という発想の転換です。要介護度が高い場合など、状況によってはツアーへの参加を遠慮してもらうこともあるようですので、事務局に問い合わせるのが一番だと思います。中期滞在(1か月程度のミドル・ステイ)に関しても相談に乗っていただけることと思います。

<写真> 2004年3月 ダバオ市のJPVA「マリナオン・ドミトリー」にて   -「ケアギヴァー課程」履修生、スタッフの方々と。


 ちなみに、フィリピン人が渡航ビザを該当国大使館・領事館に申請せずに、直接観光ビザにより渡航できる国と地域は、タイ、シンガポールに香港くらいだと思います。


フィリピン人介護士(ケアギヴァー・Filipino Caregiver)日本受入れ

2009-01-19 15:00:15 | フィリピン人看護師・介護士(Caregiver)

 さて、一方のフィリピン人介護士(ケアギヴァー)に関してですが、これもまた看護師と同じように、受け入れる日本サイドが期待しているのは「介護福祉士」の資格を取ってもらい、「介護福祉士」を多く育てることよりも、介護現場で日本人介護員の補助的な役割を果たしてくれれば…、という程度の感覚なのでは、と想像されます。少なくとも、受け入れ当初は…。

 先日、『在日フィリピン人でヘルパー資格を取得した人がもう「千人」以上いるという事実!すごい数だと思います。』という記事を書きました。そのほとんどは、日本人男性と結婚し、日本で暮らすフィリピン人女性でしょう。ずっと日本で生活していて、日本語もある程度堪能で、日本の文化・習慣にもある程度通じている在日フィリピン人の人たちでさえ、取得した資格は「介護福祉士」資格ではなく、ヘルパー資格なのです。
 そのヘルパー資格も2級までで、「1級ヘルパー資格」を持つ在日外国人ヘルパーはほとんど見られないと思います。要は、インドネシア、フィリピンからの外国人ケアギヴァー(介護士)に、日本の資格取得を課すならば、それは「介護福祉士」資格ではなく、「ヘルパー2級」程度の資格で十分ではないか、ということです。もちろん、知識や技能はより高いに越したことはありませんが、大切なのは、様々な介護の現場で、どのくらい力を発揮できるかです。


 フィリピンでは、「ケアギヴァー課程」(介護士養成課程)流行りの中でもまた、「ケアギヴァー課程は出たものの…」就職できない人たちがたくさんいます。もっとも、初めから「6か月間」という短い課程を終えれば、海外へ「ケアギヴァー」として渡れる、という思惑の元にその課程を履修するのですから、それもまた看護師同様、海外へ出るための手段であったはずなのです。年齢に特に制限もなく、短期間で海外への道が開かれるのですから、多くの人が飛びつき、「ケアギヴァー課程」もここ数年間に多く産出されてきた訳です。ところが、そのカリキュラムがある程度の域に達している学校もあれば、「講義は週に一度、実習でも車椅子に触ったこともない…。」といった低レベルの学校もあるのです。
 海外へ履修生を輩出できるのは、一部の一流の学校で、ほとんどの学校は履修後「ケアギヴァー認定証」を渡して、それで終わりです。生徒募集段階では「あなたも6か月ケア(介護)の勉強をして海外へ行きましょう!」などというものの、実際には、そのケアギヴァー課程流行りを逆手にとった「ビジネス」の要素が強いのです。
 
もちろん、海外にいる家族、親せきの手助けで、また海外就労を斡旋するエージェンシーを通して等、実に様々なルートで「ケアギヴァー」として海外へ働きに出る人はたくさんいます。そこでうまくやっていける人もいれば、生活習慣の違いや。ケアギヴァーとしての知識、技能を問われ、解雇されることも少なくないようです。
 
イギリスは、ずっと以前からフィリピン人看護師を受け入れ、フィリピン人看護師にとっても憧れの国ですが、「フィリピン人ケアギヴァー」に関しては、フィリピン政府に対して「もっとプロとしての知識、技能を備えたケアギヴァーを!」と、ここ二、三年、受け入れを一時ストップしたり、養成課程のカリキュラムの充実や、養成期間の延長等を要請してきたりしています。「6か月間」のケアギヴァー養成課程が、「1年間」「2年間」の課程になるかもしれません。

(続く)


フィリピン人看護師-Filipino Nurse

2009-01-16 17:52:33 | フィリピン人看護師・介護士(Caregiver)

 海外へのフィリピン人看護師派遣の歴史は古く、その評判も良いというのは、やはり、そのホスピタリティあふれる国民性によるところが大きいのでしょう。もちろん英語が話せて、新しい環境への適応能力も高いということもありますが、大家族の中で自然と身についた他者への思いやりや優しさ、我慢強さ、南国育ちのおおらかさ…といったものが良いように働いているようです。

 ところが、ここ最近は、そのフィリピン人看護師を取り巻く状況も多少変わってきているようです。
 看護の人材が過剰で、「看護課程は出たものの…」行き先のない人が増えています。

 私は、マニラにいた頃、介護者を探すのに、たまに新聞の求人広告欄に「介護者募集」の記事を掲載(一行約2百円)しました。バギオに来る前の昨年8月、一度その求人広告を掲載したところ、「Wanted Caregiver」(ケアギヴァー募集)としたにもかかわらず、多くの看護課程出の応募者があったのです。看護課程を出ても、国家試験を通っていなければ未資格ですから、フィリピン国内であっても「看護師」として病院等で採用されることはありません。ですから、通常、私の所に応募してくる看護課程出の人は、まだ国家試験を通っていない未資格の人たちでした。ところが、その昨年8月のケアギヴァー募集広告に、以前はあまりいなかった正看護師の応募者が急に増えたのです。
 その時は、50件ほど応募の問い合わせがありましたが、「正看護師」の応募者2~3割(!)、「未資格」の看護課程出の応募者3割、「ケアギヴァー」の応募者が2~3割で、残りは「准看護師」「助産師」またはメディカル課程以外の応募者でした。

 看護課程を修了した後、国家試験を通るのも年々難しくなってきているのに、その国家試験をパスした「正看護師」の就職も難しくなってきているようです。病院やクリニックでの求人が少ないので、次に考えるのは「プライベートの看護やケア(在宅)」の仕事を探す訳です。

 でも、看護学校の実習以外に、看護職の経験が浅かったり、なかったり、というのはまだ「看護師」とは言えません。それに、看護学校卒業後、三年もブランクがあれば、看護現場への就職は技術的にも難しいでしょう。

 それでも、多くの人たちがハイスクール卒業後「看護課程」を選択するのは、それが最も安定した海外での就労の道だからなのでしょう。ハイスクールで成績優秀だった人たちが、家族の期待を背負って看護課程に進むのは自然な成り行きでもあります。

 その歴史あるフィリピン人看護師海外就労の状況も、現在の金融危機のあおりを受けているのは確かでしょう。
 また、一年半前のことですが、2006年6月の看護師国家試験での、「試験問題漏えい事件」により、欧米諸国のフィリピン人看護師への信用も多少落ちた感があります。

 看護師として海外へ出るのに、フィリピン国内での2~3年の実務経験が法律で義務付けられたのは、わずか四年ほど前のことですが、その時は、「優秀な看護師が海外に流出し、近い将来フィリピンに看護師がいなくなる」という懸念からでした。
 2005年度には、約千人の医師が、新たに看護資格を取得して海外へ出た、というデータもあります。その行先はほとんどが欧米なのでしょうが、フィリピンの医師資格があっても、欧米の病院では「准看護師」としてでしか働けない(!)からです。そのあたりは、はっきりと提示されています。だから、「医師」が「看護師」資格を取得し直して、海外へ出ようとするのです。そして、看護資格国家試験のレベルも上がっていきます。

 例年、フィリピンの看護師資格国家試験は6月と12月頃の二度実施されますが、昨年は11月29日、30日の二日間行われた看護国家試験に8万人以上が受験したそうです。そして、三ヶ月後の二月末に合否が発表され(遅い!)、約40%余りが合格する見込みです。


 
これは私の勝手な想像ですが、「外国人の看護師受け入れ」に関して、日本サイドが期待するのは、おそらく「正看護師」というより、「准看護師」レベルの人材なのではないでしょうか?
 インドネシアから、フィリピンから「現地の看護師」を受け入れ、日本語教育や現場研修を提供しながら、三年以内に日本の、日本語での看護試験にパスして、日本の医療現場で「正看護師」として働けるようになるインドネシア人、フィリピン人正看護師が、あなたには想像できるでしょうか?

 時間とお金を無駄に使うことを考えるならば、むしろ最初からきっちりと、外国人には「准看護師-Nursing aid」としての勤務を期待するなどと明示した方が、受け入れる側、送り出す側双方にとって、もっとクリアに、スムーズになるように思えるのですが…。


フィリピン人ケアギヴァー(介護士)と看護師

2009-01-13 20:39:55 | フィリピン人看護師・介護士(Caregiver)

 まにら新聞によると、昨日12日、日比政府間経済連携協定(EPA)による、フィリピン人看護師・介護士(ケアギヴァー)の日本受け入れ規定に関する覚書がマニラで締結されました。これによって、日本サイドでは、医療・福祉施設など受け入れ機関の公募、フィリピンサイドでは、フィリピン人看護師・介護士の志願者の公募、候補者面接、それに続く候補者の日本派遣に向けた日程が大筋で決まったとのことです。
 フィリピンから看護師・介護福祉士候補者が実際に日本に入るのは、4月末から5月上旬の間となるようです。

 この覚書調印により目の前に迫ったフィリピン人看護師・介護士日本受け入れの話題は、フィリピンで最も大きなABS・CBNテレビ局の「TVパトロール」という夜のニュースでも「Trabaho sa Japan」(日本で仕事が…)というタイトルで、先ほど取り上げられていました。

「6か月の日本語研修の後で、看護師は3年以内に、ケアギヴァー(介護士)は、介護福祉士の資格を4年以内に日本語の資格試験でパスしなければならない。」という条件がかなり高い、と報じられていました。

 でも、その6か月の日本語・文化研修後、病院や介護現場での体験実習、勤務へと進んで行くのでしょうが、「看護師の月給7万6千ペソ(現在の通貨換金レートで約14万5千円)」、「介護福祉士の月給が5万7千ペソ(約11万円)」という金額に目を引かれたフィリピンの人も多かったことでしょう。現在円高という事情もあって、ペソ(フィリピン通貨)で伝えられると、こちらで暮らしている私にとっては、ずい分高額に感じられました。介護福祉士の月給でも、公にされているアロヨ大統領の月給とほぼ同じ!です。

 そして、今後、「あなたもケアギヴァーとして日本へ行こう」などというキャッチフレーズを掲げて、違法な就労斡旋エージェンシーや悪徳リクルーターが、ますます、さらに横行することが容易に予想されます。

  事実、日比間のFTA(Free Trade Agreement - 自由貿易協定)で、IT技術者とともに初めての人材受け入れが、日比政府間で協議され始めた数年前からすでに、「日本がフィリピン人ケアギヴァー(介護士)受け入れへ!」という情報を利用し、詐欺まがいの行為で儲けようとした、多くの名ばかりの「日本行きケアギヴァー養成学校」がフィリピンの全国至る所にできました。

 実際に正規のルートで日本に行ける見込みは、今年と来年とで「看護師400名・ケアギヴァー(介護士)600名」の千人が最大限ということです。誰でも日本へ行けるようなうまい話に乗って騙される、授業料だけ巻き上げられる、という被害者が今後ますます増えることでしょう。

 ちなみに、この「TVパトロール」ニュース番組は、夜6時半から8時までの約1時間半で、この「フィリピン人看護師・ケアギヴァー受け入れに関する覚書調印」により「志願者の公募がすぐ始まる」という話題は、ちょうど7時半(約1時間後)に、約2分間取り上げられました。