『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』がたまらなくおもしろかったので、読了後すぐに「流れ」で買ったのがコレ。
外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント | |
山口周 | |
大和書房 |
ひと言でいうと「柳の下にいつもドジョウはいない」という結果だったが、そこはソレ、その気になれば何からだってなにかを得ることはできるのだ(っていうとあまりにも著者に対して失礼。それほど悪い本ではありませんが、なにせ直前に読んだもののインパクトが強すぎたもんで)と言い聞かせつつ、『外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』(それにしてもこのタイトル、いつものわたしなら強い拒否反応を示すことマチガイナシですが、なにせ直前に読んだもののインパクトが強すぎたもんで)を読む。
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まずメンバーというものは、自分が思っている心配ごとについて、いよいよ本当にヤバいという段階になるまで、リーダーに上げてこないものだと考えてください。その上で、リスクを未然につぶしていくためには、メンバーが察知している「心配ごとの小さな種」を、積極的に聞いて回ることが必要です。(Kindleの位置No.1220あたり)
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このことに長けていたことにより成果をあげたのが、南極点に初めて到達した探検家アムンセンだとして、その南極点到達レースにおけるライバルであるロバート・スコットと対比してこう書いている。
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たとえば、いわゆる「雪目」を防ぐための雪メガネのデザインに関するエピソードなどがわかりやすいでしょう。アムンセンは、どのような雪メガネがいいか、隊員たちから提案を募集しています。おそらく、その時アムンセンには、長い雪国での体験から、どのような雪メガネが良いかについて、自分なりの確固とした考え方があったはずです。しかし、そのアイデアは出さずに、まずは隊員からアイデアを募ったのです。こういうところに、隊員一人一人の意見を尊重し、結果としてチームの参画意識、自主性、モチベーションを高く保とうとしたアムンセンのチーム運営に関する姿勢がうかがえます。
一方のスコットは、チーム運営に厳格な海軍の階級制度を取り入れていました。考えるのは隊長であるスコットで、メンバーは忠実に従順にスコットの命令に従うことを求められたのです。(No.1230あたり)
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言わずもがなであるが、アムンセンの良さは「自分なりの確固とした考え方」があるにもかかわらず、しらっと「隊員からアイデアを募った」というところにある。それに対してスコット隊は、メンバーのモチベーションが低下したことがケアレスミスの続発につながり、結果的に全滅する。それを評して著者いわく。
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スコット隊の「肩のこる雰囲気」が、隊員一人一人の自主的な注意、配慮をなくしてしまったのです。
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この締めくくりがズシンと胸にこたえた。
わたしにはロバート・スコットの気持ちが痛いほどよくわかるからだ。
13年前のわが部署の雰囲気を、当時入ったばかりだった某くんが「今だから言えることですけど」と回顧していわく、
「私語のひとつもできないような・・・」
もちろんその原因は誰あろうこのわたしだ(ったらしい)。
こういっちゃなんだが、本人まったく悪気がなかった。
まさに、「よかれの思い込みが組織をダメにする」、笑えない笑い話だ。
この10年あまりの歳月は、それへの反省とそこからの脱却にかなりのウエイトを置いてきたつもりであるにもかかわらず、「肩のこる雰囲気」が払拭されたかといえばそうでもない。ついこの前も、わたしの言葉(態度)によってミーティングがフリーズしてしまったことがあったばかりだ。
ああ・・・
『外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』を読み、辺境の土木屋がわれとわが身をふりかえる、の巻。
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