萌芽落花ノート
５ 酔っぱらいの朝
目が覚めると
だれもが死んじまった朝だ
靄を割って駆けだそうか
まるで生きているみたいに
暗い中で息を潜めていたのは
夜明けを待っていたからじゃない
酔っぱらいの並べた小間物が広がる
ぬめぬめ
笑い涙で眺めている
ずっと前に終わっていたんだ
戦争も
革命も
飢えも寒さも
幸も不幸も
目が覚めると
人間ぽっち 終わっていたんだ
始まる前から
（終）
goo blog お知らせ
プロフィール
-
- 自己紹介
- 志村太郎 (しむらたろう）
著書『いろはきいろ』(自費出版)『「こころ」の読めない部分』(文芸社）『「こころ」の意味は朦朧として』(文芸社) HP「ミットソン」
goo blog おすすめ
カレンダー
最新記事
最新コメント
バックナンバー
ブックマーク
- ミットソン
- ミットソンとは、「見ると損、見えないものが見えないのなら」 といったような意味だったのかもしれません。 あるいは、それは、夕暮に飛ぶという、幻の鳥の名前なのかもしれません。 ミットソンには、詩歌、物語、評論など、 海藻のように気ままで薄っぺらなものが群生しています。
- goo blogトップ
- スタッフブログ
