ヒルネボウ

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腐った林檎の匂いのする異星人と一緒 34 ゲーム(STAGE11 本当の名前)

2022-10-29 22:39:18 | 小説

   腐った林檎の匂いのする異星人と一緒

      34 ゲーム(STAGE11 本当の名前)

あなたがいてもいなくても、ゲームは続く。

そのことを、あなたは知らない。

知っているふりをするために、あなたは町の通りを歩く。しゃなりしゃなり。くねくね。シャキッ。くねくね。だらり。

まっすぐ歩いても退屈だから、曲がろうよ。どっち? どっちでもいいの。でも、決めないとさ。ほら、通り過ぎちゃったよ、角の靴屋さん。この先、しばらく、まっすぐだよね。その次は右か。右。右、右、右だってば! 

忙しい。忙しい。なぜだか、とっても忙しい。

景色が色褪せる。夢から醒めたような感じ。そう思うと、色が戻っている。ただし、異様な色合い。本当とは信じられない。信じたくない。信じると、ここがどこだかわからなくなってしまいそう。

一休み。

街路樹の下で俯く。

ここが思い出の場所? へえ、そうなんだ。

思い出せない。自分の名前が思い出せない。その名前を誰が付けてくれたのか、思い出せない。名前を付けてくれた人のことを思い出せたら、名前も思い出せるのかもしれない。

ジャ…… 

ううん。その名前じゃなくて、本当の名前。

名前なんか、どうでもいいんだよ。

自分が自分でなくてもいいんだよ。

ああ、止まっちゃったね、ついに。左に行くんじゃなかったの? 何があるの、そっち。お肉屋さん? 遊園地。学校。焼け跡…… 

今からでも戻れるとしたら、あなたはどのSTAGEに戻りますか。

(続)

 


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