角川エンタテインメント
ザ・リング2 完全版 DTSスペシャル・エディション
アジアンホラーブームの礎となった
「リング」がハリウッドデビューを果たしたのが今から3年前。
本作は日本版の監督でもある中田秀夫を起用し、
前作も手掛けたアーレン・クルーガーが
日本版とは全く異なるシナリオを書き下ろして制作された、
ハリウッドオリジナルの「リング2」である。
時代的にビデオを使うわけにもいかなかったのか、
本作では呪いのビデオは冒頭に少し出てくるだけで
本編には全く絡んでこない。
サマラ(ハリウッド版の貞子)の性格もずいぶんと変わってしまった。
「母親を慕う娘」の部分に集中的にスポットを当てたせいか、
本作は「怖い」というよりむしろ
「可哀相」なキャラクターとしてサマラが描かれている。
「13日の金曜日」のジェイソンも
作品によっては同情の余地を与えたりしていたので
まぁこんなアプローチもたまにはいいかと思うのだが、
ひとつだけ気になる点が。
本作では水が大量に使用されている。
本作のキーワードは「ビデオ」ではなく「水」なのだ。
そこに母親を探す娘(幽霊)と、
我が子を守ろうとする母親との対立という図式・・・
これは完全に「仄暗い水の底から」ではないか。
確か「仄暗」も「ダークウォーター」というタイトルで
ハリウッドリメークが決定しているはずなのだが、
「リング2」がこうなってしまうと、「仄暗」の立場がない気がするのだが。
これは勝手な想像なのだが、
中田氏は「JUON」を手掛けた清水崇とは
ハリウッドという市場に対する認識がかなり異なるような気がする。
清水氏の場合は、「自分のどこを買われたのか」をまず考え、
「自分に出来る範囲のことを最大限やろう」という意図が見えたのだが、
中田氏の場合は、「自分のウリとハリウッドのニーズ」をまず考え、
「ハリウッドでウケるように撮ろう」という意図が見える。
「JUON」の物足らなさは、日本人から見れば
馴染みの清水節であることが原因であったが、
「リング2」の物足らなさは、日本人が撮ったにも関わらず
ジャパニーズホラー特有の湿気が足らないことが原因なのだ。
もちろん、中田氏ならではの驚かせ方もあるにはあるが、
細かく突っ込み始めたらキリがない、
まさにザル状態の脚本と相まって、正直あまり楽しめなかった。
あまりにも拍子抜けなラストにも愕然とした。
●を●●れば解決はないだろう。
ハリウッド版の前作も別物として楽しめたというのが最低条件、
さらにオリジナルストーリーの「リング」という点に
1800円の価値を見出せる人なら、か。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
タイトル:リング2
配給:アスミック・エース
公開日:2005年6月18日
監督:中田秀夫
出演:ナオミ・ワッツ、
公式サイト:http://www.thering2.jp/
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