忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
*当サイトは商品やサービスへのリンクにアフィリエイトを使用しています。

痛過ぎる「ミリオンダラーベイビー」

2005年06月24日 | 作品紹介(映画・ドラマ)


ポニーキャニオン
ミリオンダラー・ベイビー 3-Disc アワード・エディション



ポニーキャニオン
ミリオンダラー・ベイビー

「多くの人間は、
 皿洗いや床掃除をしながら、人生を悔いながら死んでいく」

当BLOGで紹介した「サイドウェイ」もそうなのだが、
私はこういう台詞を吐く人間の出てくる映画にやたらガツンとくる。
あの時こうしていれば、
自分の人生は180度変わっていたかも知れない、と、
戻れるはずのない時間を思い返しては、
「あったかも知れない幸せ」を夢見る。
夢の期限を悟ったら、今度は自分の置かれた環境から
「満足」と思える妥協点を見つけ出し、
そこを拠り所として日々を過ごしていく。

街頭インタビューで
「今の生活に特に不満はない」と答える人の大半も、
どこかに置き去りにしてきた「悔い」の一つや二つは
絶対にあるはずなのだ。
この映画は、そういう「忘れたふり」や
「気付かぬふり」をする人間の頭を掴み、
力ずくで正面を向かせるような、そんな映画である。

年老いたトレーナーと、
三十路を過ぎてなお夢を見続ける女性ボクサーが
ありきたりな師弟関係でもなく、
親子でもなく、友情でもなく、恋愛でもなく、
ただ、お互いがお互いを強く必要としている姿は
とてもシンプルでわかりやすい。

監督という、映画全体を俯瞰する立場にいながら、
自らも役者として出演したクリント・イーストウッドと、
落ちぶれた老ボクサーを演じるモーガン・フリーマンの二人は
ますます円熟味を増してさすがの上手さなのだが、
今回は何と言ってもヒラリー・スワンクだ。
「ボーイズ・ドント・クライ」以来、二度目のオスカー受賞も頷ける。
「モンスター」のシャーリーズ・セロンといい、
「めぐりあう時間たち」のニコール・キッドマンといい
オスカーを手にする女優達は何故こうも力強いのだろう。
ここまでやられては男優の立つ瀬がないではないか。

観賞後、簡単に「面白かった」と口に出せない映画ではあるが、
観ておいて損はない。
金を払って痛い思いをするのも、たまにはいい。
「女性版ロッキー」だと思って観に行くと
強烈な竹篦返しを喰らうので要注意。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:ミリオンダラー・ベイビー
    配給:松竹
   公開日:2005年5月28日
    監督:クリント・イーストウッド
    出演:ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン、他
 公式サイト:http://www.md-baby.jp/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする