「身代わり伯爵」シリーズ

角川ビーンズ文庫　『身代わり伯爵の冒険』　
　　　　　　　　　　　　『身代わり伯爵の結婚』　清家未森・著


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初めはそこまで期待しておらず、発売当初も書店でも素通りしていたくらいだったのですが、意外に面白かったです。
流石は雑誌掲載時読者人気No.1で文庫化しただけのことはありますね！

ネタバレ部分反転（PCのみ）


サブキャラが好きになれる作品は大抵好きです。
夫のハーレム計画を誰より楽しみにしてる王太子妃と、白百合騎士団のムサい連中が好き。
双子兄（＝ヒロイン兄）は王女とセットでなら好き。
単体で好きと言い切るには…こう…計算高さと軽薄さとナルシストっぷりが…。
妹を利用したりもしてるくせに、慕われてると分かって安堵するときとか、ちゃんと大事には思ってるんだなとーか思うと、絶対に嫌いになれないんだこれが。
こういう本音と嘘の使い分けが上手いタイプは、油断ならんくせに不意打ちで見せる本音一つでひきつけられたりするのが腹立たしいですね。
双子兄は王女にテーブル投げつけられるといいですよ。盾にされる白百合騎士団の連中が哀れですが、まぁ頑張れ。
二十歳まで嫁の貰い手がなかったら貰ってくれるそうですが、それだと非常に癪なので、それまでに力技で落とすことをお薦めします。
ヒロインの恋は…きっとたくさん泣く羽目になるだろうが、両思いだからまぁいいよ。何せヒロインだ。いずれ幸せになるに違いない。
第二王子の横恋慕も気になるところではありますが。
憎めないから幸せになってほしいんですが、まず無理でしょうな。
相手が悪いよ。

正直ヒロインの恋は、早いとこヒロイン達くっついちゃえばすべての思惑吹っ飛ばしてうだうだ悩まなくて済むんじゃないの、とか言いたくなるこの焦れったさ。
お前あそこで四の五の言わずにキスしときゃあよかったじゃんこの甲斐性なし！みたいな。
手出してないから今ならまだとか思って遠ざけてしまえる訳ですよ。
悩むなら動けよ！と。
後先考えないのは危険でもあるけれど、それが時に状況打破に繋がることもあるんだぞ。と、説教を垂れてみる。
…しかしそこで告白も何もなしにいきなり暴挙に出たら、ヒロイン大混乱の末下手すりゃ泣かれる訳で、それを読みつつ「ケッ、馬鹿め。」とか吐き捨てたに違いない自分もいる。（多大な矛盾）

多彩なキャラクターと軽妙な会話とテンポの良い展開が素敵なこの作品。
次巻期待大です。