【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【あっけない結婚式】

2010年05月15日 | チェンマイに潜む
 バンコクの騒乱で、また多数の死者と負傷者が出たという。

 現政権から事態解決のための指針が示されて以来、平和裡な話し合いが進展することを期待していたのだが、再び流血の事態となったことが無念でならない。

     *

 首都での苛烈な政争を遠目に見ながら、オムコイは実に長閑なものである。

 昨夕から、隣家では結婚式前夜のパーティーが始まり、大音量の音楽が夜の11時近くまで鳴り響いた。

 音楽がやんでも酔った人々の嬌声がやまず、何度も何度も目を覚ます。

 少しうとうとしたかと思ったら、人々が立ち働く音と声が聞こえ始めた。

 時計を見ると、4時半である。

 やれやれ。

 村の衆が、結婚式と葬式に費やすエネルギーは半端ではない。

     *

 昨夜整地された隣家の庭には、大鍋が3つ。

 焚き火の上で、ぐらぐらと煮立っている。

 いずれも、昨夕断末魔の悲鳴をあげていた2頭の黒豚料理である。

 店で炊いた大量の米を差し入れし、再び米が炊きあがったところで、手伝いに行っていたラーが3種類の豚肉料理を器に盛って戻ってきた。

 開店準備をしながら、これで手早く朝食を済ませる。

 隣家の庭には、すでにたくさんの村人が集まり、豚肉料理に舌鼓を打っている。

 庭に入りきれない人たちが、店の前や駐車場に座り込んで賑やかなものだ。

     *
 9時に、店前の教会広場で式が始まった。

 隣家はクリスチャン、しかも新郎はチェンマイの銀行員ということで、完全な洋式である。

 バラの花で飾られたバージンゲートとバージンロード(これはちょっとお粗末)が設けられ、まずは新郎と介添人がゲートをくぐって、壇上に座る。

 続いて、花を持った子供たちの先導で、新婦とその両親が同じようにバージンロードを歩き、花嫁が壇上の新郎の横に座った。



 若者たちによる賛美歌斉唱と、司祭による説教。

 ここまで見届けて店に戻ると、仏教徒の村長や顔役たちが店の前にずらりと居並んで式を見守っていた。

 式は30分ほどで終わり、新郎新婦が再びゲートをくぐって外に出る。

 ゲートの前で、記念撮影。

 あとは家に戻って、会食である。

     *

 仏教徒の結婚式に較べると、実に整然としてあっけない。

 仏教徒の式では、何はともあれ焼酎である。

 長老たちが新郎新婦を囲んで、結婚の心得を盛り込んだ伝統歌を延々と歌い、新郎新婦は彼らにビールや焼酎、バナナの葉巻などをいそいそと供し、親密なときを過ごす。

 太鼓や銅鑼が鳴り、踊りも始まり、それが行列となって村の中を練り歩く。

 そして、2~3日がかりの宴会、宴会、また宴会。

 酔っぱらいが続出し、猥雑な笑い声が深夜まで絶えない。

 私の好みは、もちろん後者である。

 付き合うのは、かなり疲れるけれど。

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