白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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利かしと利かされ

2018年06月08日 23時39分25秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
明日は武蔵小杉の永代塾囲碁サロンにて指導碁を行います。
対局前には講座も行いますので、ご都合の良い方はぜひお越しください。
なお、対局の棋譜をその場でお渡しするサービスも行っております。

さて、本日は黄竜士杯第13戦と第14戦が行われました。
第13戦で韓国の崔精九段が中国の4番手、王晨星五段を破ったので、第14戦の於之瑩六段との対局が優勝決定戦となりました。
それでは、その対局をご紹介していきましょう。
なお、棋譜は幽玄の間でご覧頂けます。



1図(テーマ図)
黒△とノゾキを打った場面です。
ノゾキに継がぬ馬鹿は無しという有名な格言があるように、ノゾキに対してはつなぐのが基本です。





2図(変化図)
ということで、白1とつなげば無難ですが、黒はそれから2と守る予定でしょう。
黒△と白1の交換は、黒にとっていわゆる利かしです。
先手で得をしたということですね。

例えば、黒△が障害物になって、中央白の身動きが若干不自由になる可能性があります。
また、黒△は下辺黒を若干強化している可能性があります。
さらに、黒△は何かのシチョウ当たりになる可能性もあります。





3図(変化図)
例えば、このようなことになった時に黒△があるかないかで、白を取れるかどうかが変わりますね。

ところで、先ほどから可能性とか若干といった言葉が多く、具体的な効果の大きさを理解し難いと感じられるでしょう。
実際、決して大きな効果ではないのです。
地に換算したとして、せいぜい1目違うかどうか・・・。

ただ、1目だろうと0.1目だろうと、黒にとって利かし、白にとっては利かされになることは間違いありません。
そこで・・・。





4図(実戦)
実戦はノゾキにつながず、白1と反撃していきました。
黒2の分断を許しましたが、互角に戦えると判断したのでしょう。
思わぬところから戦いが激しくなりましたね。

相手にとって都合の良いことを邪魔したくなるのは当然です。
それはアマの皆様も同じでしょう。
ただ、プロの判断基準は厳しく、少しでも不満を感じるとすぐに怒り出します(笑)。

アマはノゾキにつなぐのが基本ですが、プロはノゾキにはつながないことから考えます。
このことを知っておくと、プロの碁を理解しやすくなるでしょう。
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