白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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上野愛咲美二段-黒嘉嘉七段

2019年02月24日 17時48分44秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
本日はSENCO CUPワールド碁女流最強戦幽玄の間解説を務めました。
世界最強と呼ばれる2人の戦いだけあって、レベルが高かったですね。
また、劣勢になってからの崔精九段の粘りには驚きました。
世界の頂点を目指すには、精神的な強さも必要なのですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
決勝の碁をまたここでご紹介するのも何なので、今回は1回戦の上野愛咲美二段と黒嘉嘉七段の対局をご紹介したいと思います。
この対局、残念ながら上野二段が負けてしまいましたが、内容は凄まじいものがありました。

ちなみに、黒嘉嘉七段はオーストラリア人と台湾人のハーフで、その美貌を生かして芸能活動も行っています。
仲邑菫新初段との記念対局では、「仲邑菫さん、台湾のトップモデル・黒嘉嘉七段と記念対局」という見出しを付けているニュースもあってビックリしました。
これだけ見ると、プロ同士の対局とは思えませんね(笑)。
(厳密には、仲邑新初段はまだプロではありませんが)

それでは対局を振り返っていきましょう。



1図(実戦)
上野二段の黒番です。
この碁は途中まで黒がリードしていたという話ですが、私が注目するのは別の部分です。

黒△!
この手では黒Aと打ち、全体の連絡を保つのが自然な形です。
しかし、一見カス石にも見える黒×を助けたということは・・・。
白×への殺意が見えますね。
物騒な世の中です。





2図(実戦)
黒2~6も凄い迫力です。
今度は白×を狙っています。





3図(実戦)
白1と黒模様を消しにきた時、黒2と怒りの反撃!
そして・・・。





4図(実戦)
実力行使!
左右どちらかの白を取る狙いです。


実際には本人の作戦は少し違うのかもしれませんが、傍目にはひたすら白石に襲い掛かっているように見えます。
凄い迫力です・・・。
ぜひこの棋風のまま世界一を目指して欲しいですね。