<本日の一言>
昔から視力が低く、目の疲れには悩まされています。
30代に入ってから、ますます酷くなったような・・・。
原因はスマホとパソコンだと思われるので、ブルーライトカットメガネを作ろうと思います。
おすすめのお店やブランドなどありましたら、教えて頂けると嬉しいです。
皆様こんばんは。
本日は囲碁の本をご紹介します。
「囲碁手筋大事典」 著・石田芳夫 1890円+税
辞典ではなく、事典です。
囲碁の「じてん」は、こちらで表記されていることが多いですね。
辞典は言葉や出来事の意味を解説するものですが、囲碁においては名前が無いものを解説することが多く、また意味よりも使い方を解説することが多いので、こちらの方が適切でしょう。
さて、言葉の定義はともかく、「じてん」です。
一般には国語辞典、英和辞典、百科事典など色々とありますが・・・。
これらを1ページ目から順番に読んでいく人は、かなりの少数派でしょう。
いわゆる読み物とは一線を画するものです。
しかし、囲碁の事典ではそれを読者に要求します(笑)。
これ以上なく硬派な部類の本と言えるでしょう。
もちろん、1割だけ読んでみるということならそう苦労はありませんが、それでは1割しか学ぶことができません。
これが例えば私の本だと、読み進めるごと難易度が上がっていく仕組みになっているので、とりあえず分かりやすいところだけ読むという方法も有効なのですが。
そして、この本は1つのテーマ図を示す度に、正解図・失敗図(または変化図など)が1つずつ付いてくるという形式ですが・・・。
テーマ図の数、なんと668!
大事典と名乗るだけのことはありますね。
内容の方も、石を取る手筋、死活、攻め合い、石の形など多岐に渡ります。
さて、この本の読み方ですが・・・。
①まずテーマ図を見て、正解を少しだけ考えてみます。
②正解図・失敗図(変化図)を確認します。
ということになるでしょう。
解説も付いていますが、図で何が起こったのか分からなかった時に確認する程度で良いと思います。
種類にもよりますが、手筋は理屈で覚えることが難しいものが多いです。
ですから、形そのものを覚えてしまうことが最も確実です。
そのために大事なのは、数をこなすことです。
ですから、必ずしもじっくり読み込む必要はなく、テーマ図と答えを確認したらどんどん先に進んで良いのです。
もちろん、最初はそれでも時間がかかるでしょう。
なにしろ668図ありますからね。
ですが、以前にもお話ししたように、繰り返し練習することが大切です。
そうすれば、テーマ図を見た時に答えが浮かぶようになってくるでしょうし、1周にかかる時間も短くなっていくでしょう。
例えば最初に5時間かかったとしても、2回目は3時間になり、3回目は2時間に・・・といった具合です。
本書の場合、私でも流石に3分というわけにはいきませんが(笑)。
ちなみに、失敗図・変化図に関しては、できれば一度ぐらいは読んでおいた方が良いと思います。
ただ、2回目以降は必ずしも必要ではなく、飛ばしてしまっても構わないでしょう。
これも時間節約のためです。
かなり手数が長いものもありますからね。
これは覚えておきたい、と感じたものだけやって頂ければ良いでしょう。
最後に少し補足しておきましょう。
まず、本書で覚えるべきはテーマ図からの数手の手筋です。
中には正解図が20手以上あるようなものもありますが、それを丸暗記するような必要は全くありません。
また、解説を見てもよく意味が分からない手筋もあるかと思いますが・・・。
「ふーん、そういうものか」と流しておいてください(笑)。
高度な手筋を無理に理解する必要はありません。
それでも、目に焼き付けておくだけで感覚は養われるでしょう。
囲碁の本には色々な種類がありますが、本書はとにかく囲碁が強くなりたい方向けと言えます。
ハードですが、効率の良い学習ができるでしょう。
皆様こんにちは。
都内はかなり雨が強くなってきました。
こんな日は家に閉じこもりたいのですが、うっかり予定を入れてしまいました。
大きな傘を持って出かけようと思います。
さて、本日はこちらの本をご紹介します。
「決定版! 厚みの教科書 基本戦略からアルファ碁流まで」 著・加藤充志九段
まずは本書のまえがきの1行目を引用しましょう。
"私が「厚み」と「模様」の違いに気付いたのは棋士になってからでした。"
いきなり衝撃的な一文ですね。
これはすなわち、どんな棋力であっても、厚みと模様の区別が付いていない方がいらっしゃるということです。
実際、多くの方が最も苦手としている分野であることは間違いありません。
そもそも、苦手であることを自覚していない場合も・・・。
私の指導法においても、厚みと模様(または勢力)の違いを正しく認識して頂くことは重視しています。
盤上の状況を正しく認識できなければ、自然な手を打つことは難しいですからね。
本書では、厚みと模様には大きな違いがあることや、それぞれの価値や活用法について、実例を用いながら解説されています。
厚みと模様は見た目は似ていますが、その活用法は正反対になることもあるのです。
本書を読んでから、囲碁観が大きく変わる方も多いのではないでしょうか?
ちなみに、本書の第1章では囲碁AI「ZEN」の対局を取り上げていますが、本書の中ではレベルが高い内容になっていると思います。
厚みと模様の違いがあまり理解できていない方は、飛ばして第2章以降を読んでも良いでしょう。
まずは厚みの活用法、模様ができた時の考え方の違いを、しっかりと感じて頂くことが大切です。
1周した後に戻ってくれば、格段に理解しやすくなっていることでしょう。
ところで、本書では模様派の代表である武宮正樹九段が厚み派ではないと言及しています。
この事実もまた、ほとんどの方がご存じないでしょう。
こういったことも分かるようになると、プロの対局を観戦しても違った見え方をするようになるのではないでしょうか。
ちなみに、補足しておきますと、武宮九段の白番の打ち方は厚い碁だと思います。
薄い石をつくらず、じっくり打って追い込んでいくことが多いです。
本書で紹介されている大竹英雄名誉碁聖との対局は、その典型でしょう。
また、最近は黒番も模様派というよりも厚み派寄りになっていると思います。
最後に、注意点を述べておきます。
本書はプロの対局を題材にしているため、当然ながら所々で高度な手も出てきます。
ただ、それらの手そのものを真似しようとする必要はありません。
大事なことは、考え方を身に付けることです。
「この壁は厚みだから、囲わずに戦いを起こそう」
「この模様は薄いから、入られないように囲っておこう」
実戦で、自然とこんな考えができることになることを目指しましょう。
皆様こんばんは。
本日はお金にならない問題を作ってくれた寺山怜五段のために、彼の本をご紹介したいと思います(笑)。
寺山五段と言えば、NHK杯でお馴染みですね。
第63期には準優勝という大活躍でした。
現役バリバリの棋士が作った問題集です。
囲碁の本はベテラン棋士が出すイメージが強かったですが、最近は結構若い棋士も挑戦していますね。
時代が変わってきた感じがします。
さて、本書はヨセの問題集ですが、1つ1つのヨセの目数を問うものではありません。
9路盤の中で最善のヨセを打ち、碁に勝ってくださいという問題になっています。
これも一種のパズルと言えるでしょう。
「囲碁パズルを楽しみながら、結果的にヨセも上手くなる」
本書にはそんな姿勢で取り組むと良いのではないでしょうか。
元々ヨセという分野は、パズル的な要素が強いのです。
これは寺山五段が話していたことで、本書にも書いてありますが、アマチュアの方は本当にヨセが苦手だと思います。
もちろん、読みや計算などもプロとはレベルが違うのですが、一番大きな差があるのがヨセでしょう。
そもそも、大半のアマチュアの方は、ヨセの基本をほとんど理解できていないのですから・・・。
高段者の中にも、ヨセを勘だけで打っている方は少なくありません。
実際、私に3子や4子で指導碁を受ける方の多くも、ヨセになると次々と損をしていきます。
(それは1/3目損だけど仕方ないかな)
(うーん、1目損な方選んじゃったか~)
(3目損はもったいないな~)
などなど、損がどんどん積み上がっていくのがよく分かります。。
そして、途中から数えるのを止めるのですが・・・(笑)。
逆に考えると、ヨセがほんの少し上手くなるだけでも毎局数目という差が生じますし、人によってはそれが何十目にもなるでしょう。
ヨセの能力が裏切ることは無く、ヨセの上手い人はどんなに碁の調子が悪くても、ヨセだけは毎回得をします。
棋士の中でも、タイトルを沢山獲得してきた人は例外なくヨセが得意です。
もちろん、本人の中で一番の得意とは限りませんが・・・。
ということで、強くなりたい方には、ヨセの勉強は非常に効果的です。
そして、本書はヨセの目数計算ができなくても大丈夫です。
また、碁盤に並べて解きたいという方もいらっしゃるでしょうが、9路は安く買えますし、なんなら19路盤を紙で区切っても良いのです。
お好きな方法で取り組んで頂くと良いでしょう。
<注意点>
ここで紹介したのは、ヨセの強化書・基礎編です。
似たデザインの応用編もありますが、両者にはかなり難易度の差があります。
よほど腕に自信のある方以外は、まずは基礎編から購入することをおすすめします。
皆様こんばんは。
本日は久しぶりに書評シリーズです。
今回扱う題材はこちらです。
歴代最強の囲碁棋士は誰か?
そう聞かれれば、多くの棋士は本因坊道策と答えます。
では、江戸時代で最も有名な棋士は?
それは恐らく、本因坊秀策でしょう。
ヒカルの碁を読んで知った方も多いと思います。
実力と人気を兼ね備えた存在と言えます。
本書の主人公である本因坊秀和は、その秀策の師匠です。
秀和は悲運の棋士とも言われます。
名人になるべき力量を持ちながらも、幕末の混乱期の中ついに八段止まりでした。
また、将来を託すはずの秀策も早世するなど、後年は本因坊家当主として苦しい時代を過ごしました。
ですが、秀和は600局以上の棋譜を残しました。
その中には井上因碩(幻庵)との熾烈な勝負碁なども含まれています。
また、弟子の秀甫や実子の秀栄はそろぞれに大きな業績を残しました。
秀和もまた、囲碁の歴史に大きな足跡を残しているのです。
本書は棋譜の解説本ですが、時代背景や登場人物のエピソードにも力が入っています。
碁盤を通して、物語を観賞するつもりで楽しめる構成と言えるでしょう。
著者の福井正明九段は有名な古碁マニアですが、いかにもという内容ですね。
堅塁秀和とタイトルが付いていますが、秀和の若い頃は黒番で確実に勝つ能力が必要でした。
先述の井上因碩との勝負などはその代表ですね。
強敵を相手にしても確実に数目残す打ち回しは、まさに堅塁と言えるでしょう。
一方で、白番が多くなってからは自由自在の打ち回しを見せています。
ある時は力強く、またある時は軽快にと、どんな碁でも打ちこなしました。
考え方が非常に先進的であり、現代の棋士が見ても驚くことがしばしばあります。
秀甫や後年の秀栄に大きな影響を与えたことは間違いないでしょう。
どちらからも学ぶものが多いですが、私としては白番の碁に大きな魅力を感じます。
常識にとらわれない打ち回しは、観賞していて楽しいですし、自分の碁の幅も広がるような気がします。
古い時代の碁の中に新しい考え方があり、まさに温故知新ですね。
時代が進むにつれて、どうしても過去の棋士は埋もれていってしまうものです。
しかし、残した棋譜の魅力は決して損なわれるものではないと思います。
秀和の碁の魅力を知らない方は、ぜひ本書で確かめてみて頂きたいですね。
皆様こんばんは。
本日は永代塾囲碁サロンにて、講座と指導碁を行いました。
毎月第2土曜日が指導日となっています。
最近、永代塾では囲碁アイドルなる企画を始めたようですね。
囲碁初心者のアイドルが毎週成長していく様を、ファンが見守るというものです。
ある意味では、NHKの囲碁フォーカスに似ている気もしますね。
あちらも聞き手にはあまり強い人は採用しておらず、読者と一緒に学んでいくような形になっています。
前任の戸島花さんは、最終的には見事初段になって卒業していきましたね。
ただ、囲碁フォーカスは講座なので視聴者が主体ですが、囲碁アイドル企画においてはアイドルが主体です。
早い話、碁のルールを全く知らない方でも、まず視聴から入る可能性があるわけですね。
従来は囲碁のルールを覚える→番組を楽しむ、という流れが基本でしたが、逆の流れも期待できます。
企画の名前だけ見ると軽いイメージを受けますが、講師陣も囲碁に打ち込んできた方ばかりなので、囲碁自体を軽く扱うことは無いでしょう。
新しい試みだけに、成功するかどうかは未知数です。
正直なところ、商業的には厳しいのではないかとも思っていますが・・・。
しかし、意欲的な試みは応援したいですね。
成功するか分からないチャレンジは、なかなか我々の組織ではできないことです。
さて、本日は発売されたばかりのどん底名人をご紹介しましょう。
タイトル獲得数35の大棋士、依田紀基九段がこれまでの人生を自らの手で振り返る、一種の自伝のようなものかもしれません。
ただ、ゴーストライターを使わず、依田九段自身が文章を書いていることもあって、深い所まで踏み込んだ内容となっています。
自身の欠点や失敗がこれでもかというぐらい書かれており、依田九段の本気度が伺えます。
本書を遺言と称するだけありますね。
本日購入して、一息に読み終えました。
囲碁界は極端に実力重視の世界であり、そこに生きる棋士は世間一般の人々とは違った常識や感覚を持っています。
近年は加藤一二三九段を筆頭に、将棋界の方に突き抜けた方が多い印象ですが、かつては囲碁界も負けて(?)いませんでした。
古くは呉清源九段や藤沢秀行名誉棋聖など、そして現役の棋士なら例えば・・・おっと、それはやめておきましょう(笑)。
ともかく、破天荒と言われる棋士は多かったのです。
しかし、それはあるいは依田九段が最後になるかもしれません。
その下の世代では、一見すると普通に見える棋士が多くなりました。
囲碁界だけでなく、世の中全体が変わったのでしょう。
ところで、依田九段は物凄い記憶力を持っていることでも有名です。
子供の頃の会話や食事メニューなどを、何故克明に思い出せるのでしょうか・・・。
碁以上に才能の差を感じます。
依田九段の記憶力は、本書の執筆にも存分に生かされたようです。
自身のことはもちろん、他の棋士などのエピソードも語られており、興味深いところです。
例えば、先に挙げた藤沢名誉棋聖は数々の逸話を残していますが、多少は尾ひれがついているだろうと思っていました。
しかし、依田九段が語ることで、真実味を帯びてきますね・・・。
依田九段は、本書を通して自身の子供たちに語りかけています。
自身の経験を次世代の役に立てたいということで、これは確かに「遺言」です。
成功体験も失敗体験もとてつもなく大きく、読者は人生にはこんなこともあるのかと驚かされるでしょう。
こればかりは、普通の人には決して語れないことですね。
ただ、1つだけ突っ込みたいのですが・・・。
本書は、子供に読ませるには手加減の無い表現が多くありませんか?
そこもまた依田九段らしいですね。