バンマスの独り言 (igakun-bass)

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素朴な癒しを求めて : R.V.ウィリアムズ 「富める人とラザロ」の5つのヴァリアント

2015年01月12日 | 音楽:クラシック系
正月の騒ぎ(?)もいつのまにか消え、仕事も生活も食料品店の品揃えもすべて平常に戻りましたね。

昨年は我が家、喪中のせいもありひときわ静かな正月を迎えました。
いつものように自分の部屋の窓から外を眺めています(これが好きなんです)。うれしいことにこの窓からの視界は数百メートル遮る物がなく、中心に原っぱと駐車場と山桜の巨木があるのみなので物思いにふけったり音楽を聴きながら読書をしたり、コーヒーを飲みながらおやつを食べたり、ブログの構想を練ったりしているのです。

その外界は時折強風が吹いているようで、道を行く数少ない歩行者も寒さで身を縮めて足早に通り過ぎていきます。土がむき出しになっている場所からは風にあおられて土煙りが舞っています。
秋に落ちた枯葉がカリカリに乾燥してアスファルトの上を滑ってどこかへ行ってしまいます。空はぬけるように青く、真っ白な雲は上空の風に流されながら急速にその形を変化させ、やがて消えていきます。

遠くから聞こえる車の音、電柱に当たる風の音、静かな静かな休日のひと時です。
もう十分なほど心は休んでいますが音楽を流してもっと穏やかな癒しを求めたくなってこの音楽を引っ張り出してきました。

過去、このブログで、そしてこのカテゴリー(音楽:クラシック系)で紹介してきた数々のすばらしい曲はこの際、脇に置かせてもらい(ペルトでもトリプティークでも皇帝2楽章でもエクローグでもRシュトラウスでも・・・全くいいのですが)今日は行ったことのない僕の憧れの地、アイルランドに思いを馳せてかの地で採取された古い(16世紀くらいか?)民謡をもとに作られた、もうそれはそれは癒される音楽を紹介します。

イギリスの作曲家ヴォーン・ウィリアムズが北アイルランド地方その他で採取した民謡のメロディ5編を一曲の中に並べた13分ほどの音楽で弦楽オーケストラとハープのための作品です。

新約聖書の中に「富める人とラザロ」という聖書の文としては比較的分かりやすい一節があるのですが、その分かりやすさのために、イギリスの各地でその表題を持つ民謡や旋律が数多く歌い継がれていたのを作曲者が現地で採譜してそれが曲の材料となり、その中から5つの異版(ヴァリアントといいます)を一曲に編んでいったということです。


R・ヴォーン・ウィリアムズ 
「”富める人とラザロ”の5つの異版(ヴァリアント)」 Five variants of Dives and Lazarus(1939)




基本的に僕はアイルランド民謡あるいはスコットランド民謡などから感じ取れる素朴でやさしいメロディと日本人が元来好むメロディーとの共通性にとても関心があって、それはポピュラー音楽におけるケルト音楽やアイルランド系のロックバンド、アーティストのそれと同じように、聴いていると何やら癒しのパワーを受け取れるところが大好きなのです。

アルカイックなやさしいメロディーが緑の草原の上を流れていくようでもあり、ヨーロッパの古い街に建つ古びた教会の北側の窓から見下ろすひと気のない路地裏の様子を感じるようでもあり、聴く者を旅人にしてしまうような魔力も持ちつつ、短い時間ですがよい時間を過ごせると思っています。

寒い季節に入り、暖房を入れながら特別に深刻な悩みもなくひと時の休息をとっている・・・そんな時、これ以上に癒されたい!という贅沢な欲望にそっと寄り添ってくれる・・・そんな音楽がこの音楽なのです。

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