バンマスの独り言 (igakun-bass)

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週末にまったりと・・・映画「マイ・ブルーベリー・ナイツ」 (2007)

2015年01月18日 | 映画
今回は久々に映画のお話です。

ここで映画を取り上げるのは本当に久しぶり(約3年弱ぶり)なのですが、実は今でも1週間に2~3作はDVDで映画を楽しんでいます。
昨夜(土曜の夜)は夕食後、早めの風呂に入りその後は音楽も聴くのも読書をするのも気分じゃなく、まったりとした時間に身を置きたかったので<明日は日曜日だ~!>ということもあり、サスペンス感やスピード感のない、その上、強烈な感動もないゆっくりとした気分になれる映画作品をチョイスしたのでした。
アイラモルトをチビリチビリやりながら見たのがこの作品:ウォン・カーウァイ監督作品の「マイ・ブルーベリー・ナイツ」。

封切られてすでに7~8年にもなる、歌手ノラ・ジョーンズ主演のラブストーリーでありロードムービー的な要素もある淡白な作品です。多くの皆さんはこの作品をすでに楽しまれているでしょうが、僕はDVD入手以来かなり久しぶりに見た映画です。

この映画、よく言われるのが共演者たちの芸達者ぶりです。
エリザベス(ノラ・ジョーンズ)は恋人の心変わりによって深く傷つき、ニューヨークでカフェを営むジェレミー(ジュード・ロウ)に出会います。そしてこの彼に淡い気持ちを抱きながらも、失恋で誰も信じられなくなった自分を見つめなおすために旅に出るのです。
旅先でバーの店員などをしながら、メンフィスでは「元妻が忘れられない警察官とその妻だった女」に出会い、ラスベガスでは「ギャンブルに明け暮れる女」に出会います。
その人たちの人生に出会いながら自分を見つめなおし成長していく自分探しのロードムービーなんです。

音楽はライ・クーダー、BGMはジャージーなサウンドとノラの歌。それらももちろん良いのですが、何と言っても夜の風景とその空気感を撮らせたら最高のカーウァイ監督、全編を通してカフェやバーの色彩豊かな店内やお客との会話シーンが多く、独特のテンポで移り変わるシーンの連続と新鮮なカメラワークに魅了されっぱなしになります。

僕が昔、生活していたNYのカフェやバーの色彩、空気感が見事に表現されていて同感できたし、それに加えて監督独特の揺れる映像やスローモーション/ストップモーションの混合された不思議な感覚がけっして見る者を興奮させるのではなく、ふわ~っとまったりさせる魅力があるのがたまりません。

また、セリフはアメリカン・ラブストーリーによくある気恥かしい愛の言葉もなく、映像は光と闇の溶け具合で詩的な情緒を見事に醸し出していて、週末の夜に僕のような気分の人間が見るのにはうってつけの作品です。

共演者のジュード・ロウのニューヨーカー的な乗りとかっこいい優しさ、警察官の元妻スー・リン:レイチェル・ワイズの美しさと完成された演技、警察官のアーニー:デヴィッド・ストラザーンの破滅してゆく中年男性の哀感あふれる演技、女ギャンブラー レスリー:ナタリー・ポートマンの今までとは違う新境地を見せた演技と美貌・・・そしてシンガーとして人気が確立した映画初主演のノラ・ジョーンズ。
このコはけっして他の共演者のような美人というわけではないし、ちょっと探せばこのくらいのチャーミングな女優さんはいるのでは、と思うけれどその普通な感じの主人公に多くの女性観客は映画の中で同化できるのでは、と思ったりもしました。

お話はさらっと進み、自分のことで精一杯だったエリザベスが出会った人たちの苦しみや悲しみを目のあたりにして、当初は第三者的だった気持ちに変化が起きて自分本来の強さに気づく、という展開になります。

<人によって傷つけられた痛みは、人によって癒される>

それがこの作品の描き出したいポイントであると思われました。

でも、この作品は大きな盛り上がりがあるわけでもなく、女優さんたちのサービス・ショットを見られるわけでもなく、ただただその夜を描く映像美に身をゆだねてまったりとのんびりと見たらいいのでは、と思われる作品なのでそのスローなストーリーに苛立つことなく、週末の映画鑑賞を楽しんだということを皆さんにご報告させてもらいます。


蛇足ですが、僕はブルーベリーパイよりアップルパイの方が好きです。(映画の中でブルーベリーパイはいつも売れ残り、ジェレミーによって廃棄処分されています)

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