バンマスの独り言 (igakun-bass)

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日曜日、鍵盤姫と : 江東フィルハーモニー

2014年07月09日 | 音楽:クラシック系
毎年この時期になるとご招待をいただく「江東フィルハーモニー第16回定期演奏会」に伺いました。

去年は(第15回)あいにくの急用で開催当日にドタキャンせざるをえなくなり残念でしたが聴き逃してしまいました。演目は「チャイコフスキーの6番(悲愴)」他。どんな演奏が繰り広げられたのか気になってはいましたが・・・。

先日6日(日)、梅雨のさなかの晴れに恵まれ、少し暑さを感じるくらいの午後、かねてよりこの日のコンサートに同伴を誘っていたウチのバンドのキーボード姫と地下鉄「住吉駅」で待ち合わせ。湿気をおびた緑の木々の匂いの中を数分歩いて会場である「ティアラこうとう」へ行ったのでした。

この日は江東フィルの第16回定期演奏会。この演奏会のリポートはすべてこのブログに書き込んであります(「音楽:クラシック系」カテゴリー)が演目がこの時期にとてもふさわしい爽やかなものだったので期待も大きく、楽しみにしていました。

1 モーツァルト 交響曲第40番 ト短調 k.550

2 J・ウィリアムズ 組曲「スター・ウォーズ」より
    ダース・ベイダーのテーマ
    レイア姫のテーマ
    王座の間~エンド・タイトル

3 ドヴォルザーク 交響曲第8番 ト長調 op.88

                          江東フィルハーモニー管弦楽団
                          土田 政昭 指揮

モーツァルトの40番は出だしのメロディを多くの人がご存知の有名な曲です。作曲者には珍しく「短調」で書かれています。深く透明な悲しさを表現するこの「ト短調」という調性は悲劇的だったりどろどろしたりすることなくきれいな感情が支配するかのようです。僕は第3楽章メヌエットが昔から特に好きで時々単独でこの楽章を楽しんでいます。

「スター・ウォーズ」は誰でも知っている映画音楽ですね。前曲の40番では出番がなかった金管楽器が元気に初登場です。特にトロンボーンの時には柔らかく時には力強い圧倒されるような響きには元気をもらいました。

実は今日のプログラムを知った時に「えっ?なんでこの曲が中プロなの?」と思ったのですが(終わった今でも選曲の根拠が???ですが)きっとオケのメンバーからポピュラーもやってみたいという強い希望があったのでしょう。音楽はとても楽しげに元気よく演奏されました。
今回つき合ってくれたキーボード姫もとても楽しみにしていた様子で、真剣に耳を傾けていた横顔が印象に残っています。

休憩の後、いよいよドヴォルザークが始まりました。この曲は僕が中学生の頃、まだクラシックを聴き始めて2~3年という時に同じ作曲者の第9番「新世界より」とほぼ同時に何度も何度も聴き込んだ今でも大好きな曲です。
いわゆる「ボヘミアン」な素朴で爽快で新緑と豊かな大地が広がる様を感じる曲想が全曲を通して楽しめます。

モーツァルトの「ト短調」に対してこちらは「ト長調」。オケの選曲がこの対比を意識していたかは分かりませんが実に心にくい並べ方ですね。
「ト長調」(#1個)はバイオリンなど弦楽器の響きがよく鳴る調なのです。開放弦をうまく使えることから響きが豊かになる傾向があり、「明るさや快活さ」を表現するのにふさわしい調なのです。他に「ニ長調」(#2個)「イ長調」(#3個)「ホ長調」(#4個)(いずれも#系の長調、増えるにしたがってだんだん屈折した響きになる)なども似たような明るい響きとなります。

第一楽章冒頭のチェロの響き・・・これが貧弱だと後々までテンションが下がってしまうのですが・・・江東フィルの中低音セクションは柔らかく柔軟で豊かな響きで好スタートを切ってくれましたので嬉しくなりました。
随所で活躍する木管群も時折荒い表情を見せて残念でしたが、時にはキラキラと楽しげなソロを見せ、曲の特徴であるひなびた田舎の自然の音をがんばって再現してくれました。

会場でもっとも良い音響コンディションの席がどこかはまだ数回の来場経験では今だ不明ですが今回は一階席中央で前後でいえば中間よりやや後ろというロック・コンサートにおけるPA席(音響のコントロールをする機械が陣取る席)があることの多い「良い」席だったのでほとんどバランスのとれた音を聴けたのですが、このドヴォルザークではトランペットが異常なほど過多に響き、この曲の持つやんわりとした響きに一種の毒を注ぐような過剰さ気になりました。これは指揮者のコントロールのせいでもあると思います。このオーケストラは全体に弦楽器群のパワーがあまりなくどうしても金管が強めに出る傾向にあります。
指揮者はトランペットのベル(朝顔)をちょっと下向きにさせるとかの工夫をして全体のバランスをとるべきでした。
このオーケストラのウィーク・ポイントであるホルン(多くのアマ・オーケストラ共通の関心事)のがんばりようは今回特に顕著に感じました。要するに進歩が見えているということです。発音時にひるまずに堂々と吹き始める様子は頼もしく、たとえ多少の音のひっくり返りがあったとしても、他の奏者の意気をそぐほどの状況にはならないほどの勢いがありました。

また今回特に気付いたのはティンパニ奏者の上手さでした。ロックバンドのドラムス同様、オーケストラにおけるこの打楽器の存在は車のエンジンのようなもの。
この楽器が元気に正確に力強く安定したリズムやテンポを叩きだしてくれると、全体がパワフルになり奏者全員のモチベーションも上がるというものです。

この演奏会におけるティンパニ奏者は終始安定した技術をもってオケを支え、高速の連打でもフォルテの迫力、ピアノでの下支えを確実に叩きこなしていました。
(唯一、3楽章でたった一拍(一か所)ですが一瞬の迷いがあったのか微妙な遅れがありました!)

指揮者は永年このオケを指導してきた方。実に堅実な指揮ぶりと解釈で安心演奏!って感じのスタイルをキープする人ですが、アマ・オケにはちょうど良いにしても、以後もう少し冒険的な解釈をして、聴き手を驚かせてもいい時期ではないでしょうか。
別に極端なテンポ変化や強弱変化で、ということではありませんが、あまりにもオーソドックスで物足りない演奏が気になりだしました。

この演奏会の特徴の一つは聴衆がオケのメンバーの家族だったり友人だったり、何らかの招待客だったりすることです。会場内はとてもアットホームな雰囲気で気が楽になりますが、反面クラシック大好き人間ばかりではないということです。

これはオケの選曲に大きな影響を与えているのかもしれませんね。これからもあまりベタでない、それでも難解な曲ではない選曲を期待します。

さて、江東フィルは来年、定期とは別に再びサントリーホールでの演奏会を開催するようですね。演目はベルディの「レクイエム」。
僕のレクイエム好きは筋金入りです!この演奏会には必ず行きますが、以前も江東フィルはこの曲をやりましたね。そのときの模様はこのブログに書いていますが、ひとつ、オケにこの場からお願いがあります。

巨大な第2曲が大きな「アーメン」で終わり、場内が静まり返ったその時、第3曲の「Offœrtorium(奉献唱)」の冒頭にチェロ群による低音から高音へと上り詰めるユニゾンがありますね。
前回の演奏でここを聴いた時はさすがに苦笑してしまいました。ごめんなさい。
ユニゾンでピッチを正確に弾きこなすのはとても困難な場所であることは認識していますが、それでもここは必死に練習をしてください。とても目立つとともに、ここが倒れると後までズッコケた気分になります。全員がピッチを正確に弾く練習、血の出るような努力をしてみてください。期待しています。



最後に今回同行してくれた長い付き合いのキーボード姫、クラシックも大好きなこのロック・キーボードの姫はクラシックの知識習得にもどん欲で、コンサートが終わった後のコーヒー店での会話は普段のロック活動とはまた違うとても楽しいものでした。
時々の気分で僕がその時その時聴いている音楽をMP3にして彼女に送って聴いてもらうのですが、曲の好き好きっていうのは人間それぞれだし、しかもその時の状況でも変るものだからこちらがいいと思って送ってもその反応はボンヤリとしたものということも多々ありますが、たまにお互いの気分にヒットした時などは、後まで盛り上がるのが楽しくて・・・今後も気ままに音楽を送って聴いてもらいたいと考えています。

人生、いろいろ悩みもありますが、せめて音楽を聴いている時は全ての事を忘れて、その世界に没頭したいと思います。

江東フィルさん、これからもがんばってくださいね。事務局の方々も毎年のご招待、ありがとうございます。

姫、コーヒー&モンブラン(好物です!)ごちそうさまでした!

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2 コメント

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こちらこそ! (鍵盤姫)
2014-07-09 11:56:53
先日はステキな1日をありがとうございました。
ちょっと仕事でささくれていた私ですが
心地よいクラシックの生演奏と
バンマスの的確なウンチクで
いっそう楽しいコンサート体験ができたよん!

バンド内クラシック部として
来年はサントリーホール行きましょう(笑)
ぜひまたデートしてください!                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                
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いい時間が流れた・・・ (バンマス@発行人)
2014-07-12 16:13:36
>鍵盤姫 さま

お付き合い、ありがとう!

オケは一生懸命やっていて好感がもてました。
彼らはあの晩、さぞやおいしい酒を呑んで騒いだでしょうね。そういうの僕らのバンドのライブ打ち上げと同じで、親近感がわきます。

バンド内クラシック部には前任のドラマーもいたんですが、ロックとクラシックって両極みたいに普通は考えるけれど、どうです?感動のレベルは同じ線上にあるとは思えなかったですか?

日曜の午後から夕方っていう、ちょっとヘコむ時間帯に一緒に音楽を楽しんでくれてありがとう!

次はスタジオでロックに燃えましょう!!!
BUrrrrrrrN!
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