電車の往復の時間に何を読もうか考えて、本棚を見たら、夏目漱石の「坊っちゃん」があったので、久しぶりに読んだ。新潮文庫の百冊という帯がかかっているやつだ。後ろ表紙からするとどうも平成4年(18年前)に購入したみたいだ。
ストーリーは何となくわかっているつもりだったが、ほとんど忘れていた。「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている」で始まるこの本は、特にわくわくするストーリーでも何でもなく、主人公と山嵐(本当は堀田という)が正義とするなら教頭の赤シャツと野だの悪とけんかして、主人公たちが松山から出て行くという話しだが、江戸っ子のまっすぐな性格が全編をつらぬいており、気持ちがいいのが特徴である。
特に、松山弁の「ぞなもし」との対比においてべらんめい調はうまくはまっている。それに、1銭五厘の氷水を山嵐におごってもらったことを後悔して返したり、また、もらったりとか、いなご事件とか野だに卵をぶつけたりとかこれでもかという感じで暴れ回るのがいい。
夏目漱石というと、「こころ」とか「道草」とか主人公の内面を描いた作品が多く、(漱石は今でいうところの鬱病をわずらったことがあるらしい)そこからするとこの作品や「我が輩は猫である」とかは異色だ。
今では、千円札の肖像が書かれ、誰もが知っている国民的作家だが、人間の陽と陰を描いたという意味で、(それもわかりやすく)賞賛されているのであろう。
「坊っちゃん」を読んだ後、川端康成の「伊豆の踊子」(これも新潮文庫の百冊)を読んだ。人好き好きだが、「伊豆の踊子」の方がどうも主人公と踊り子の淡い恋だけのせいもあり、物足りなく感じた。
さて、ここで問題です。
①「坊っちゃん」に出てくる校長のあだ名は?
②坊っちゃんを心から愛していた、お手伝いさんの名前は?
③踊り子の本当の名前は?
正解は、少し下に書いておきます。ヒントは全て漢字1文字です。
正解
① 狸(たぬき)
② 清(きよ)
③ �・(かおる)