「何か満たされないもの」
人は生きている。
毎日、平凡だが(実はそれが平凡ではないことを知らずに)起きて、着て、食べて、飲んで、仕事して、出して、寝て、ある時は遊んで。
そして、時々笑うのだ。そして、楽しいと。
でも、楽しいばかりの人生ではない。泣きたくなるくらいの辛い日もある。
その時は、なんてついていないのだろうと思う。本当は、その辛さも幸せの一部分であるのに。
また、幸せな毎日を送っていても、「何か満たされないもの」を感じることがある。
それは、自分という人間の理性と欲望が激しく渦巻いているからかもしれない。
表面では嬉々としていても、裏面では鬱屈したものを抱えているのかもしれない。
でも、だからていって、自分だけがおかしいのではない。
「何か満たされないもの」を抱えて、一生懸命満たそうと努力して生きることこそが尊いのだ。
もし、仮に一時的に満たすことができても、また、別の杯が用意されることだろう。