いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

(第10話)存在・・ / [小説]甘い誘惑

2009-11-30 23:02:19 | [小説]甘い誘惑
<ここまでの話>
(第1話)きっかけ・・
(第2話)待ち合わせ・・
(第3話)イタメシ屋・・
(第4話)ワイン・・
(第5話)胸・・
(第6話)手・・
(第7話)電車・・
(第8話)携帯電話・・
(第9話)神様のバカ!・・

------------------------------------------------------------------------------
【ご挨拶】 (;^_^A

 ども、今年の6月から1年ほど放置していましたブログを再開し、
[小説]ガンダム外伝は再開したものの、こちらの方がまだ放置状態で・・(^^)ゞ

 [小説]ガンダム外伝の1話は9000文字以上ありますが、こちらは4000文字程度で
量的には、かなり少ないのですが・・
 実は、書くのには「倍」の時間がかかっちゃいます(笑)
(赤く塗って、ツノをつければ3倍に(゜_。)\(--;バキ)

 でも、完全復帰とするには、こちらも連載を開始しないと駄目!って
考えていまして・・ あれこれと妄想するうちに、数ヶ月が経過しちゃいました

  本当に申し訳ありません  (;^_^A

ということで、 [小説]甘い誘惑・・ 再開しま~す(^O^)/  ではでは♪
(忘れていると思いますので、また、過去分を読んでくださいね(汗;))

                          by いちごわさび
------------------------------------------------------------------------------
(第10話)存在・・ / [小説]甘い誘惑


着信があったその日は、かかってくる電話が全てが期待はずれの相手に感じ
少々イライラするような対応になっていた・・

「どうしたんですか? 今日は言い方きついですよぉ~」

と、事務の女子社員が話しかけてくる・・

「えっ・・ そうか? 普通にしているつもりだけど・・」

「そんなことないですよね? 先輩?」

「そうね・・ この子が言うように、今日は口調がきつく感じます・・」

「あ~ぁ! 何かあったんだぁ! 喧嘩したとかぁ♪」

「いや・・ そんな事は、何も無いって!」

「そうね・・ 不倫相手に振られたぐらいかしら・・」

「な・・ 何を言い出すんだ!!」

「あら? 反応が早いですね♪」

「ええっ! 不倫ですかぁ!! すっご~いっ♪」

「こら! 声が大きいって! というか不倫ってどこから出てきたんだ!!」

「特に他意はありません・・、ただ、だったら面白いわ?って・・」

「でも・・ あるかもしれませんよ~♪
 だって、今日は朝から携帯を気にされていて・・
 取るのもはやいですよ~♪」

「そうね・・ 確かに早いですわね♪」

「って・・ それ、何の話だ? いつも一緒だろ?」

「実は、男の浮気を見つける方法!ってあるんですよ・・
 結構有名で、女の子はみんな知っています。」

「へぇ・・ そんなのがあるのか?・・ 例えば?」

「ああぁ! 食いついてくるんですか? やっぱりあやしいですよ~」

「ばか! 一般的な知識として、巷ではどのような常識があるのか
 知っておくことも大事な事だと思っただけだ!・・  で?・・」

「もう・・ バカって言ったぁ~」

先輩と呼ばれた女子社員が笑いながら説明をはじめた

「ご興味があれば、サイトなどで検索されれば出てきますけど・・
 幾つかあるのです・・ でも一番多いのが・・
 行動がいつもと異なる、というのがあります
 これは、新しい事を始めると、いつもの作業に影響しちゃいますから
 同じように行動しようと意識しないと隠せません・・
 コミュニケーションの道具である携帯電話などの扱いが大きく変ることが
 ポイントみたいですよ・・ 今みたいに・・♪」

「そうなんだ・・ 携帯電話ってポイントなのか・・」

「そうですよ! 現代社会の重要なアイテムだけに
 敏感に反応が出ちゃうようです。
 そして、次ですが・・
 返事の仕方が変わるとかがあります・・♪
 まぁ、最初の行動の変化と同様かもしれませんが・・
 聞いてないのに、色々とで説明する・・とかが要注意です
 心にやましい事があると、それを隠そうとする心理が働いて、
 正当性を主張したいのか、いつもは言わない事まで言っちゃうとかぁ・・」

と、話ながら、小首を左に傾け上目遣いで私を見ている・・ なんだ?
こ・・ これは、明らかに疑いのまなざしでは?・・ やばい・・
こういうタイプの女の子は、妙に感が良い・・ 細心の注意が必要だ!

「そっかぁ・・ なんか今日の私みたい・・ということか?
 まぁ・・ そんな風に見える事もあるだろうが・・
 今の話は、私には不要な情報だ・・ 縁がないからな!」

「なんだぁ・・ 違うんですか?
 もしそうだったら・・ 大スクープだったのにぃ ねっ、先輩っ♪」

「バカ! そんな事ないし・・ 逆にあったら嬉しいぞ!
 というか、相手になってくれるのか? 私は口は堅いぞ ♪」

「やだぁ! 想像できませんよぉ! セクハラだしぃ♪」

「だろ? と言う事でこの話はこれで終わり!・・
 はいはい! お仕事お仕事ぉ!」

(ふぅ・・ なんとかその場を切り抜けたか・・
 どうやら怪しい行動になっていたようだな・・ 反省しないと・・

 しかしだ・・ 電話を待っているだけで・・ 不倫なんだろうか?
 いや、不倫の定義は明確だ、姦通罪と同じ基準で考えれば良い。
 そう考えれば、偶然ではあるが、手を繋いだ事は不倫には相等しない。
 不倫にはならない相手からの電話を待つ・・ 問題は無いはずだ・・

 ただ・・ 法的な定義と、個人個人の考え方は千差万別であり
 捕らえ方の基準は無限にある・・ それがやっかいだ・・
 ある人が見たら、不倫だと答える人も居るだろう・・
 誰の基準であろうが「不倫」とのレッテルを貼られた場合・・
 社会人としての、いや会社内でのコンプライアンス的にも問題に発展する・・)

女の子との些細な会話がきっかけとなり、私は「不倫」に近づく第一歩を
踏み出している事にはじめて気がついたのだった・・

何か期待している自分が居て、その期待している事に罪悪感を感じつつ
その罪悪感から行動に変化が出ているのであるならば・・

もう忘れる事が、得策なのではないか?と、考える自分がそこに居た・・

・・・

人間という生き物は、非常に良くできている。
忘れるという機能が存在している事だ。忘れる機能が無ければ
人間はストレスに押しつぶされ、死んでしまうという学説があるぐらいだ。

一旦忘れよう・・というベクトルに思考が傾いた事から、
自分から、電話をかける口実を考える事がなくなり、気分は楽になっていた
ただ、ちょっと残念な気持ちもあることは事実であり、
たまに、電話がかかってきたら・・などの妄想をする事もあったことは
事実ではあるが・・ 時間というものがその頻度を低くし、また、多忙な
毎日から、楽しかった記憶だけが残って、妄想する事も少なくなっていた・・

季節は変わって秋になっていた・・ 時間の経つのは早いものである。

秋といえば、わが社には大きな行事がある。技術交流会・・
1年の締めくくりとして、この1年の間に功績のあったプロジェクトの
発表と表彰などが行われるのだが、年に1度のイベントだけに、
毎年、温泉などのホテルを借り切って、1泊2日で実施されるのが通例であった。

今年も、その時期がやってきた・・

私の部署では、表彰するプロジェクトを決定する権限を持っていた事から
技術交流会に関する全ての情報が集まってくるようになっていた・・
既に、優秀プロジェクトなどの表彰すべきプロジェクトの選考は終了し、
あとは、交流会のスケジュールなどの雑務に追われていた・・

ふと・・ある1枚の資料が、なにげに目に留まった・・ 何だ?

それは、あの彼女の名前・・ 忘れていたはずの彼女の名前・・
そう!偶然なのか、それとも神のいたずらなのか・・
何気に名前の文字列が目に飛び込んできたのだった。

「おい・・ その表は?なんだ?・・」

「あっ・・ これですか? 今回の欠席者リストです・・
 今年は長期出張者なども多くって、業務都合での欠席者です・・」

「ふ~ん・・ ちょっと見せて・・」

と、女子社員から手渡されたシートを、再度確認した・・
間違いない・・ 彼女の名前だ・・ 名前の横には業務都合との理由があった・・

「なんだ・・ これは? 理由が理由になってないじゃないか!
 技術交流会は会社行事だぞ! 動員率はマネジメントデプスだ!
 業務都合じゃ解らん! 詳細な理由を提示させろ!」

(あれ? 私は一体何を言っているんだ?)

と、シートを女子社員に突き返しながら、知らない間に指示を出していた。

「えぇ~・・ 毎年、理由はこれだけですよ?・・ 」

「だからぁ・・ それじゃ駄目なんだ! よく考えたら、この時点で甘いから
 参加しない奴が出て、だんだんと参加しなくても良いように思うようになって
 そういう我がままが増えてくると、それが組織を腐らせるんだよ・・
 毎年、同じだから・・ は、もうやめて
 今、気がついたんだったら、それを改善すべきだろ?」

(と、良いことを言ったように繕ってはいたものの・・
 大きな罪悪感が私を襲っていた・・
 私は・・ 私は一体・・ 単に彼女の現在の動向を知りたいだけなのでは?)

時間の経過ともに、すっかり忘れていたはずの彼女なのに・・
突然、巨大化して襲い掛かってきたのだ・・

忘れていたのでは無かった!
私の深層心理の隅っこで、時間という栄養素を一杯に吸い込み、
ドンドン成長していた彼女という存在を、再認識している自分を発見していた・・

(第11話)期待・・」に続く・・・
------------------------------------------------------------------------------
Copyright ichigowasabi