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カミノアナログ

POGに命を削る日々を綴る「紙の穴」ブログ編。ドラフト終了までは日当たりアクセス100以下に抑えたいんで、ご協力よろ。

追加検証-Haloインブリード

2010-08-13 | pog-strategy
確変分析-Haloインブリード
確変継続予告-12年目のHaloインブリードについての追加検証。

マンハッタンカフェ全産駒 代表マンハッタンスカイ
 生涯 451頭出走 171頭勝上 勝馬率37.9% 1頭当賞金1344万円 平均勝利距離1758m
    勝率9.6% 単回83% 生涯獲得賞金2千万以上80頭 同確率17.7%
    ※(うち24.4%、110頭が浦河町産)
 3歳春まで 432頭出走 144頭勝上 勝馬率33.3% 1頭当賞金695万円 平均勝利距離1706m
    勝率10.7% 単回81% 3歳春獲得賞金1千万以上69頭 同確率16.0%
マンハッタンカフェ産駒-Haloクロス有 代表メイショウレガーロ
 生涯 16頭出走 12頭勝上 勝馬率75.0% 1頭当賞金3737万円 平均勝利距離1896m
    ※(うち75.0%、12頭が浦河町産)
    勝率15.0% 単回94% 生涯獲得賞金2千万以上8頭 同確率50.0%
 3歳春まで 15頭出走 11頭勝上 勝馬率73.3% 1頭当賞金2366万円 平均勝利距離1783m
    勝率23.7% 単回161% 3歳春獲得賞金1千万以上8頭 同確率53.3%

マンハッタンカフェ産駒-牡セン 代表マンハッタンスカイ
 生涯 248頭出走 114頭勝上 勝馬率46.0% 1頭当賞金1833万円 平均勝利距離1819m
    勝率11.3% 単回84% 生涯獲得賞金2千万以上64頭 同確率25.8%
 3歳春まで 237頭出走 97頭勝上 勝馬率40.9% 1頭当賞金957万円 平均勝利距離1755m
    勝率12.7% 単回94% 3歳春獲得賞金1千万以上51頭 同確率21.5%
マンハッタンカフェ産駒-Haloクロス有-牡セン 代表メイショウレガーロ
 生涯 12頭出走 11頭勝上 勝馬率91.7% 1頭当賞金4941万円 平均勝利距離1900m
    勝率15.0% 単回94% 生涯獲得賞金2千万以上8頭 同確率66.6%
 3歳春まで 12頭出走 10頭勝上 勝馬率83.3% 1頭当賞金2916万円 平均勝利距離1782m
    勝率27.0% 単回138% 3歳春獲得賞金1千万以上8頭 同確率66.6%

マンハッタンカフェ産駒-牝馬 代表レッドディザイア
 生涯 203頭出走 57頭勝上 勝馬率28.1% 1頭当賞金748万円 平均勝利距離1601m
    勝率6.9% 単回82% 生涯獲得賞金2千万以上16頭 同確率7.9%
 3歳春まで 195頭出走 47頭勝上 勝馬率24.1% 1頭当賞金377万円 平均勝利距離1593m
    勝率7.8% 単回62% 3歳春獲得賞金1千万以上18頭 同確率9.2%
マンハッタンカフェ産駒-Haloクロス有-牝馬 代表キョウワレジーナ
 生涯 4頭出走 1頭勝上 勝馬率25.0% 1頭当賞金125万円 平均勝利距離1800m
    勝率3.3% 単回119% 生涯獲得賞金2千万以上0頭 同確率0.0%
 3歳春まで 3頭出走 1頭勝上 勝馬率33.3% 1頭当賞金166万円 平均勝利距離1800m
    勝率7.7% 単回274% 3歳春獲得賞金1千万以上0頭 同確率0.0%

フジキセキ全産駒 代表カネヒキリ
 生涯 1052頭出走※ 451頭勝上 勝馬率42.9% 1頭当賞金1885万円 平均勝利距離1545m
    勝率9.4% 単回79% 生涯獲得賞金2千万以上244頭 同確率23.2%
    ※(うち19.5%、205頭が浦河町産)
 3歳春まで 947頭出走 353頭勝上 勝馬率37.3% 1頭当賞金671万円 平均勝利距離1504m
    勝率10.8% 単回79% 3歳春獲得賞金1千万以上185頭 同確率19.5%
フジキセキ産駒-Haloクロス有 代表ダノンシャンティ
 生涯 16頭出走 8頭勝上 勝馬率50.0% 1頭当賞金2232万円 平均勝利距離1412m
    ※(うち25.0%、4頭が浦河町産)
    勝率8.7% 単回47% 生涯獲得賞金2千万以上6頭 同確率37.5%
 3歳春まで 15頭出走 8頭勝上 勝馬率53.3% 1頭当賞金1706万円 平均勝利距離1446m
    勝率13.8% 単回49% 3歳春獲得賞金1千万以上5頭 同確率33.3%

フジキセキ産駒-牡セン 代表カネヒキリ
 生涯 524頭出走 241頭勝上 勝馬率46.0% 1頭当賞金2117万円 平均勝利距離1607m
    勝率10.0% 単回75% 生涯獲得賞金2千万以上132頭 同確率25.2%
 3歳春まで 476頭出走 196頭勝上 勝馬率41.2% 1頭当賞金717万円 平均勝利距離1559m
    勝率11.7% 単回77% 3歳春獲得賞金1千万以上96頭 同確率20.2%
フジキセキ産駒-Haloクロス有-牡セン 代表ダノンシャンティ
 生涯 10頭出走 6頭勝上 勝馬率60.0% 1頭当賞金2815万円 平均勝利距離1517m
    勝率10.1% 単回61% 生涯獲得賞金2千万以上4頭 同確率40.0%
 3歳春まで 9頭出走 6頭勝上 勝馬率66.7% 1頭当賞金2487万円※ 平均勝利距離1500m
    勝率19.1% 単回74% 3歳春獲得賞金1千万以上4頭 同確率44.4%
    ※(シャンティ除くと671万円)

フジキセキ産駒-牝馬 代表アルティマトゥーレ
 生涯 528頭出走 210頭勝上 勝馬率39.8% 1頭当賞金1655万円 平均勝利距離1470m
    勝率8.8% 単回84% 生涯獲得賞金2千万以上112頭 同確率21.2%
 3歳春まで 471頭出走 157頭勝上 勝馬率33.3% 1頭当賞金626万円 平均勝利距離1436m
    勝率7.8% 単回62% 3歳春獲得賞金1千万以上89頭 同確率18.9%
フジキセキ産駒-Haloクロス有-牝馬 代表エンジェルクルー
 生涯 6頭出走 2頭勝上 勝馬率33.3% 1頭当賞金1260万円 平均勝利距離1160m
    勝率6.6% 単回26% 生涯獲得賞金2千万以上2頭 同確率33.3%
 3歳春まで 6頭出走 2頭勝上 勝馬率33.3% 1頭当賞金535万円 平均勝利距離1200m
    勝率6.1% 単回14% 3歳春獲得賞金1千万以上1頭 同確率16.7%

中距離志向で典型的なコルトサイアー(牡馬の方が走る種牡馬)であるマンハッタンカフェと、やや短距離志向で典型的なフィリーサイアー(牝馬も牡馬並…統計差考えると牡馬以上に走る種牡馬)であるフジキセキについて調査した。
いずれも、Haloクロスで牡馬の威力倍増。牝馬には今の所効果が見られない。
なお、生涯成績でフジキセキの数値がマンカフェより高いのは、世代数の多さと競走年数の多さによる差なので注意。

DS師匠に言われたから種牡馬2頭だけほりさげたが、ぶっちゃけ現時点で出して大きな意味のある数字だと俺は思わない。牝馬なんかサンプル数少ないし。
前回の表を一覧すれば、Haloインブリードの有効なアタリ種牡馬と、そうでない、もしくはサンプル数不足でまだ結果が出ていないハズレ種牡馬がいることは容易にわかる。
大事なのは、アタリとハズレがどこに片寄ってるかを見抜くこと。そのために大きな地図をつくること。

アタリとハズレをわけているのは社会的理由と物理的理由の両方だ。血統上の要素はその一部でしかない。それでも観察と推論をつみかさねれば十分狙える角度が見つかるのが、ブラッドスポーツの奥ふかさと俺は思う。
それがわからない偉い人は自由にふんぞり返ってればよくて、別にここに来てもらわなくて構わない。調査の猿真似をしてもらう必要もない。

何もかんがえずに全体見れば微妙な結果になって当たり前。どんどん絞っていけば当たりが見つかって当たり前。なぜアタリになるかかんがえて応用できてはじめて価値があるんじゃないだろうか。

本音。

・つーかさー、ノーザン系の一口買ってるなら血統系より気にすべきエントリ別にあるんじゃね?
・勝手に噂ひろめられてマジ萎える。デッドコピー調査でdisられてマジキレそう。
・ウザイんで某会員掲示板に引きこもるわ。ノシ

連産リズム理論(2)

2010-07-11 | pog-strategy
初仔・空胎明けおよび高産次・高齢出産についての知られざる事実。

出産時年齢と産駒の成績の関係は、優秀な競走馬を生産するための種雌馬の要因(JRA競走馬総合研究所)若いお母さんは、好きですか?(傍観罪で終身刑)など、過去にも調査されている。
だが、出産時年齢にもとづく考察には、いくつも難がある。
  • そもそも牝馬によって繁殖入りのタイミングが違う。
    不出走のまま4歳時に初仔を産む母もいれば、長い競走生活を経て10歳時に初仔を産むものもいる。
  • 全体における割合では7~10歳時出産馬がもっとも多く、毎年世代全体の40%以上を占める。
    活躍馬も多くなるのは当然。
  • メジロ牧場のように数年おきに空胎をはさむ生産者もいれば、空胎をはさまず毎年受胎するまで種付けしようとする生産者もいる。
  • 高齢の母は受胎率が低下することから、生産者の経済的事情により高額な種牡馬が付けられることが少なくなり、世代全体で見れば母の加齢にしたがい必然的に成績を落とす。
  • 社台Gなど大手の牧場に限ると、繁殖で実績をあげた牝馬だけが高齢まで出産を続ける傾向にあるが、世代全体ではそうじゃない。

この結果、前提を踏まえない調査、調査にもとづかない迷信が横行。
おかげで一般には「母は若ければ若いほどよい」「初仔は狙わず2番仔3番仔を狙うべき」「初仔でも大きければOK」「母7~10歳時出産馬が狙い頃」など、さまざまな説があふれ、あげくのはてに「初仔は早熟で高齢出産馬は晩成」「繁殖牝馬には一発屋タイプと連発タイプがいる」などといった珍説までがまかり通っている。
しかし、そうじゃない、そうじゃないんである。

初仔が不利なのは、血統に合わせたノウハウの不足や、のちほどのべる特定の条件によるものであって、すべての初仔が狙えないわけじゃない。
正しい理解があれば、初仔は積極的に狙える。高齢出産馬についても同様。

母の出産時年齢より重要なのは、初仔から2番仔、3番仔にかけて、あるいは空胎後1年目、2年目、3年目といったタイミングでの産駒の動向である。

そこで俺は昨年自分で調査し直した。
対象は過去10年間の中央G1連対馬、延べ454頭、実264頭。
調査は、期間中のG1連対馬それぞれが何番仔か(産次)、初仔からあるいは空胎後何年連続での出産にあたるか(連産状況)をみた。
母馬の戦績や引退後初仔が産まれるまでの日数も併せて調べたが、ここではその結果は脇においておく。

さまざまな切り口で分析したが、もっとも明瞭な差が見られたのは性別だった。



これだけでは雑然としているけれども、牡馬はグラフの左では一般の上に、右では一般の下に。ぎゃくに牝馬は左では一般の下に、右では一般の上になっているのがわかる。
この関係がよくわかるように描きなおすと。



つぎに産次から、より重要な連産状況へと目を移す。



さきほど初仔について現れていた「牡G1連対馬>一般>牝G1連対馬」の関係は、空胎明けについても同様であることがわかる。
同じように描きなおすと。



牡駒では3歳までのG1連対馬の16%が初仔、21%が空胎明け。2~3連産が37%、4連産以上が26%という割合になっている(図4)。
初仔と空胎明けはいずれも全体における割合をやや上回る。すなわち、牡駒ではフレッシュな状態の母から生まれた方がやや成績がよく、一般に言われるような初仔の不利は認められない。
古馬G1ではさらにその傾向が強まり、初仔の占める割合が20%を越える。こうなると初仔ははっきり有利といえる。

初仔ほどではないが、続いて生まれた2番仔や3番仔も悪くない。
メイショウボーラー、フサイチリシャール、キャプテントゥーレ、ロジユニヴァース、ローズキングダムなどのように、性別や種牡馬が変わって2・3番仔が走るケースが多い。
初仔牝駒でソコソコ、翌年2番仔牡駒で爆発のパターンは他にも数多くあり、定番の狙い目。後述するように初仔牝駒にはハンデがあるので、それを乗り越えて走った場合母には高いポテンシャルがあると推定できる。2番仔で牡駒に変わればそのポテンシャルが最大限発揮できる、というわけだ。

空胎明けも重要。
若い繁殖牝馬に、不受胎などで贅沢な空胎がもうけられると、しばしば翌年すばらしい牡駒が出る。空胎明け3番仔はアドマイヤドン、二冠馬エアシャカール、シックスセンスにトライアンフマーチ、アドマイヤオーラ、マイル路線ではイーグルカフェにクロフネ、ブラックシェル。空胎明け4番仔はキンシャサノキセキに変則二冠馬ディープスカイ。
しかも、牡駒では空胎明けやその後数年の少連産以内であれば、高産次・高齢の母からでも大物が出る傾向があり、6番仔以降がG1連対馬の34%を占める(図2)。テイエムオペラオーやダイワメジャーは空胎明け7番仔、ネオユニヴァースは不受胎空胎明け3連産目の10番仔、タケミカヅチは流産と不受胎による2年空胎明け2連産目の12番仔だった。
なお、これら空胎明けの効果で走った名馬は、翌年以降に弟がPOGで大人気となることも多い(ラパルースベイ、エアサバス、アドマイヤテンカなど。再び空胎を挟んだのがキャプテンベガ)。空胎明けの効果はほとんどの場合一度きりなので、これらは案の定スベった。空胎明け効果の射程距離をこえた期待は禁物だ。

とにかく、優秀な牡駒を産むためには、母の年齢うんぬんよりも、胎内がフレッシュで活発な状態であることが重要といえる。


いっぽう牝駒では、3歳までのG1連対馬の13%が初仔。割合的には全体をやや下回る程度とみえるが、じつは該当する12頭のほとんどが2着馬で、G1勝馬は10年間でアドマイヤグルーヴ1頭だけ。
デビュー時426キロと小柄だったローズバドはともかく、トゥザヴィクトリーやアドマイヤグルーヴは十分な馬格をかねそなえていた。しかしそれでも3歳春の時点ではG1を勝てなかった。初仔の牝駒で3歳春までのG1を勝ったものとなると、12年前のファレノプシスまで遡る。ちなみに過去10年古馬G1で連対した初仔牝駒は、この4頭だけ。毎年500頭が産まれる初仔牝馬、あまりに寂しい結果といわざるをえない。
シスターソノ、ダイイチシガー、ロイヤルパートナー、メジロヒラリー、アドマイヤテンバなど、女傑の初仔は牝馬であっても大きな期待を背負うが、ほとんどの場合まもなく期待におしつぶされる。スイープトウショウの09もまた、この道をゆくのか。

ようするに、初仔の成績が悪いという数字あるいは印象は、牝駒における初仔不振によるもの、それがほぼ同数の牡駒で薄められながらも数字として現われたものだといえる。
裏返せば、初仔が走らないという一般の印象の、さらに半分しか、初仔の牝駒は走らないということでもある。
そして、空胎明け出産の牝駒にも同様の現象が起きている。

牝駒の空胎明けは初仔よりさらに成績が悪く、11%にすぎない。こちらも連対馬9頭中勝馬はヤマカツスズランとファインモーションの2頭だけ、G1勝牝馬中のたった4%で、牝駒全体では20%ちかくが空胎明けで生まれていること、牡駒ではさきほど述べたようにこのケースが大活躍していることと比べると、無残な成績というほかない。
牝駒では、牡馬とはぎゃくに直近の空胎明けをペナルティとみなしてよかろう。

その分、牝駒では連産での活躍馬が多く、3歳までのG1連対馬では2~3連産目が44%、4連産以上が34%を占める(図4)。
高産次・高齢出産であろうと、牝駒が若いうちは平気で走り、6連産目の6番仔であるアストンマーチャン、6連産目の7番仔であるシーザリオ、8連産目の8番仔であるアサヒライジング、8連産目の12番仔であるピンクカメオ、4連産目の10番仔であるダイワスカーレット、そして10連産目の10番仔であるスティルインラブなどが活躍した。
つまり、牝馬では連産を気にするどころか、ぎゃくに連産を狙うべきだといえる。

ただし多連産馬はいずれも5歳春までにターフを去っており、古馬になって活躍する牝馬はその多くがウォッカ、スリープレスナイトのような空胎明け2~3年目の連産馬である。ブエナビスタもきっとこのまま6歳春まで走り抜けるだろう。

さきほど空胎明け効果で走った牡駒の弟は過信しすぎるなと書いたが、これが妹であれば話は別で、普通に走る。ダイワスカーレット、ブエナビスタのように兄を越えるケースさえある。


以上を端的に象徴するのが次の図5だ。



すなわち、ここまで述べてきた傾向は、競走能力にすぐれた個体ほど強くあらわれる。
名馬を探し求めるにあたって、この事実を知っているか知らないかの差は大きい。

こうして数字としてあらわれると、俺もかつて初仔の牝馬を狙いことごとくハズレに終わったことや、空胎明け名馬から連産の妹をスルーして二匹目のドジョウを逃したことなど、あらためてイタイ過去を反省せずにはいられなかった。
今年の私撰馬リストは、市長さんの指摘された初仔の数だけでなく、過去の反省を生かし↓の狙い方を踏まえたものとなっている。

結論。
・牡馬は、初仔でもためらう必要はない。連産は多少気にせよ。
・初仔が牝馬でそこそこ走り、2番仔で牡馬に変わったら注目。
・不受胎や流産で空胎を挟んだ後に産まれた牡馬を、見逃すな。
・牝馬は逆で、連産時がむしろ狙い頃。初仔や空胎明けは極力避けろ。
・3年以内に空胎を挟んでいれば母高齢でも問題ない。
・空胎明け効果で走った牡馬の下が、牡馬なら一歩引いて見よ、牝馬なら狙える。
・以上をもって「連産リズム理論」と名づける。

連産リズム理論(1)

2010-07-09 | pog-strategy
市長さん、するどい質問をありがとう。
重要な内容なんで、コメントではなくエントリで答えさせてください。

>質問なのですが,hyraco様の私撰馬40頭のうち昨年度は9頭,今年度は8頭が初仔なのはなぜですか.

数え直してみてほしい。
今年も9頭、つまり俺は2年連続で私選馬の23%を初仔としている。
全国200万のPOGプレイヤーのなかでも、おそらくもっとも初仔を好んで指名する類の人間だろう。

重賞勝馬の全弟妹を指名しないことをモットーとされている栗山氏、B-TYPEやB-SKILLで知られる住之江氏も、初仔好きだが俺ほど極端ではないと思う。

>私は一口馬主の出資に際して初仔は避けると決めています.
>身体が小さく出て成績が悪いと聞いたからです.
>hyraco様程の方が証拠も無しに初仔を狙ったりされないだろうと色々考えました.
>今回の記事にお書きの事と同じで,初仔は人気がないからでしょうか?

初仔は嫌われるから、というのも理由のひとつだが主な理由ではない。
ずばり言うと、初仔の狙い方がわかっているからだ。
じっさい昨年の私撰馬の初仔9頭のうち、3頭が重賞やOPを勝ったことで自信を深め、今年も同じ方針をとることにした。
市長さんのような方に見抜いてもらえて光栄だ。

・初仔が走らないというのは本当か?
・狙えるとすれば初仔のどこを狙えばよいか?
・また高齢出産馬にも狙い方があるのか?

こういった点を事実にもとづいて検証してみたい。
題して「連産リズム理論」。

2頭併せの遅れた方

2010-07-01 | pog-strategy
(※ 最初に書いておくが、この記事はPOGで負けがちな人は読まない方がいい。
基礎のできた中級者以上向けの内容になっており、基礎のかたまっていないPOGプレイヤーにとっては、読むことでかえってフォームを崩す恐れがあるからだ。
自分はすでに勝ち組で、しかももっともっと勝てるようになりたいと思っている、そんな人だけ読んで欲しい。)


POGにおいて、ゲームに習熟し、コンスタントに勝ち組に入れるようになった頃、忘れがちなことがある。

それは、他人と違う視点を持つことの価値。
常々俺が言っている、「人の行く 裏に道あり 花の山」というヤツだ。

昨年でいうと、栗東・坂口正則厩舎にツルマルジュピターエーシンダックマンという2頭の早馬がおり、ドラフト前から好調教で有名だった。どちらを取るか1年前に悩んだ人も多いと思う。
じつは俺もそうだった。配合には両者とも見所があり、どちらを取るかの判断が本当に難しかった。

しかし5月27日の併せ調教で、後者が遅れを見せると、評価に大差がつく。
ツルマルジュピターは、サークルによってはドラ1級の人気となった。POG自動集計の人気ランキングを見ると、ツルマルジュピターは416グループで281回の指名、世代の33位につけた。
一方エーシンダックマンはというと、113回の指名、世代の100位となっている。

この様子をリアルタイムで観察していた俺は、最終的に私撰馬としてエーシンダックマンを採用し、ツルマルジュピターを外した。
フツーとは逆の手を選んだわけである。

当時、俺はこう考えた。

調教で優勢かつ遅生まれのツルマルが人気でまさっているが、血統的な伸び代ならむしろエーシンに分がある。
ツルマルの加速力と、エーシンの粘り、タイプは違うがどちらも一介の早熟馬ではない。
2頭の配合評価はほぼ同等。
 ↓
ツルマルが本当にすごければ、それと同等に見込まれ併せていたエーシンの能力も保証される。
仮にエーシンが他の2歳馬と併せていれば、チギリ捨てて過剰人気になった可能性が高い。
そう考えるとエーシンの人気の落ち方は極端すぎる。
 ↓
ならば中位で取れるエーシンの方がウマイ。

はたして実弾戦ドラフトでは、ツルマルは1位で25人中4人競合となり、エーシンは3位で単独指名だった。
俺は4位で指名予定だったのでエーシンを指名しそこねたが、ツルマルに突っ込むよりはエーシンの方を狙って正解だったと改めて思った。

1年後、2頭はともに3勝をあげ、4722万円と4683万円というほぼ同じ賞金を稼いだが、ツルマルの3勝目はダービーの翌週であったため、ダービールールでは3294万円獲得となり、エーシンの方が上になった。
上位でツルマルを指名していた人にとっては、かわりにエーシンを取っていれば上位でもっと人気の馬に突っ込めて、賞金もより多く稼げたことになる。

多くのPOGプレイヤーは、こうした現象を結果論と笑い飛ばしながら、毎年同じことを繰り返す。

お前それで良いのか?(ブロント様)


たしかに、単に調教時計だけ、厩舎やラインだけ、父や母父の名前だけ、脚が何本あるかだけを見ていると、何回繰り返しても2頭のうちツルマルジュピターに飛びつく癖をなおすことはできないだろう。

じゃあ・・・いやいや、誤解しないでくれ。
俺は何も、類似品がいたらいつでも人気のない方を指名すべきだと言っているわけではない。
競馬ではよく「2頭出しは人気薄を狙え」というが、これも2頭の力関係とオッズを適切に判断できてこその狙い目。2頭出しを見るたびに人気薄を買っていても、回収率は絶対に上がらない。

大切なのは、他人と違う視点、それでいて確実に使えることが実証されている視点を持つことだ。
ツルマルとエーシンは本当に人気ほどの実力差があるのか?
それを判断する物差しを自分の中に持っている人は、人気をむしろ武器に換えることができる。
俺の場合は配合分析だが、もちろん別な物差しだってかまわない。
その中身が、他人にはないもの、予想されないものであって、ツールとしての実用性・信頼性が備わっていさえすればいいんである。
・・・いっそ、逆に考えてみよう。
ツルマルとエーシンのように、よく似たタグがついている類似品同士ほど、君の持つツールの実用性・信頼性を確かめるのにふさわしい標本はない、と。


今年の2歳なら、ホーマンフリップホーマンルッツがちょうどいいか。

いずれも父フジキセキで、母父はDeputy Minister直仔。よく似た血統構成だ。
同じ馬主の所有で同じ栗東・安田隆行厩舎に早期入厩し、開幕開催を狙っていた。
ただ、ノーザンF生産でG1-2着馬の半妹である前者は、牡馬とはいえ預託生産馬しかも初仔である後者より、メディアで取り上げられる機会は多かった。
昨年のツルマル対エーシンと違い、人気は最初から傾いていたわけである。
しかし、前者が後者に2頭併せで先着した途端、人気の振り子は一方に振り切れた。

POG自動集計の人気ランキングにはツルマル対エーシン以上の差がついている。
前者は現在312グループ中指名回数211回、全体でも32位につける人気。
後者はなんと指名回数4回、全体では500位以下だ。
フリップとルッツは、本当にこの人気ほどの実力差があるだろうか?

俺は、2頭の配合評価をほぼ同等としていたが、人気を見て迷いなく後者を私撰馬とし、実弾戦でも最下位指名した。

2頭の評価を、単に露出の多寡や人気の比例でフリップ>>>ルッツとしていた人は、自分のツールを再点検してみてはどうだろう。
ひょっとしたらその先に、まだ見ぬ地平が広がっているかもしれない。

確変継続予告-12年目のHaloインブリード

2010-06-28 | pog-strategy
Haloインブリードについての続編。

3歳世代では春G1馬2頭、他に重賞勝馬2頭をだして大暴れだったHaloインブリード配合馬。
2歳ではさらに増えて229頭、前年の1.5倍にのぼるため、Haloインブリード旋風は続くだろう。じっさい、先週ディープインパクト産駒の初勝利をあげたのもHaloインブリード馬だった。

俺はこれら229頭のなかから5頭をことしの私撰馬にとりあげた。あまりにも穴狙いすぎて、噴いたり引いたりした人もいるだろうかw

Haloインブリード配合馬は今後も増え、1歳では341頭、世代全体の5%近くを占めるようになる。
ア●クサデンエン・ス●ィフトカレントの兄弟から10年、ここまで増え、クラシックを毎年取るまでになるとは正直、俺も予想外だった。

ここで過去のHaloインブリードを振り返りながら、そのポイントを押さえておきたい。
簡単な数字の比較を示しながら説明するが、こちらの表を参照しながら繰り返し読むと、深く理解できるはずだ。
なお、同表の作成にあたっては血統派の星、pbさんのご協力をいただいた。感謝するとともに同氏のPGPサテライトにおける優勝を祈念したい。

1997年産~2007年産 11世代 全Haloインブリード馬
 血統登録馬 448頭
 中央登録馬 393頭
 生涯 331頭出走 121頭勝上 勝馬率36.6% 1頭当賞金1591万円 平均勝利距離1656m
 2歳~3歳春 310頭出走 98頭勝上 勝馬率31.6% 1頭当賞金812万円 平均勝利距離1609m

2歳~3歳春の重賞・OP連対 計22頭
 重賞勝ち 7頭
  ロ●ユニヴァース、ヴ●クトワールピサ、ダ●ンシャンティ、
  コ●モネモシン(牝)、メ●ショウクオリア、サ●ディエゴシチー、
  ア●リーロブスト
 重賞2着 5頭
  メ●ショウレガーロ、マ●ハヴェロシティ、ダ●アモンドヘッド
  モ●ローブロンド(牝)、ウ●ングレット(牝)
 OP勝ち 9頭
  ア●バンスヘイロー、メ●ショウドンタク、ノ●トアローン
  カ●ンナホホエミ(牝)、シ●バーストーン、ジ●ウクリュウシン
  サ●ディエゴシチー、ウ●ングレット(牝)、ヴ●クトワールピサ
 OP2着 4頭
  ニ●ンピロザプラウ、テ●エムミゴテカ(牝)、ガ●マーバースト、
  エ●シンイチモンジ

ネオユニ×Machiavellianが強烈すぎてそこに目を奪われている人が多いようだが、狙うべきポイントは他にもある。

2歳~3歳春の牡セン馬★
 178頭出走 71頭勝上 勝馬率39.9% 1頭当賞金1145万円 平均勝利距離1654m
2歳~3歳春の牝馬 
 131頭出走 27頭勝上 勝馬率20.6% 1頭当賞金359万円 平均勝利距離1452m

まずはここ。
牡馬では平均よりもずっと高い数字が出ている。延べ178頭でこの数字というのは非常に優秀であり、あとで述べるような絞り込みによって数字はさらに跳ね上がる。
ところが、牝馬の数字は、牝馬の世代毎平均にほぼ等しい。若い牝馬では、Haloインブリードによる「強い癇性」がコントロールできず、成績向上に役立たないんである。

2歳~3歳春の芝★
 263頭出走 60頭勝上 勝馬率22.8% 1頭当賞金768万円 平均勝利距離1671m 勝率10.2% 単回71円
2歳~3歳春のダート
 206頭出走 41頭勝上 勝馬率19.9% 1頭当賞金237万円 平均勝利距離1480m 勝率7.4% 単回92円

Haloインブリードは血統表のアメリカンな要素を増幅するものだが、基本は芝向きである。
ダートでは馬券での穴狙いがうまい。
坂/平坦あるいは大回り/小回り、良馬場/重馬場の成績にはそれほど差はない。ただ坂や大回りコースで先行すると脆い傾向が見られる。

2歳~3歳春の父SS系★
 168頭出走 60頭勝上 勝馬率35.7% 1頭当賞金1108万円 平均勝利距離1649m 勝率10.7% 単回89円
2歳~3歳春の母父SS
  49頭出走 13頭勝上 勝馬率26.5% 1頭当賞金507万円 平均勝利距離1612m 勝率7.5% 単回72円
2歳~3歳春の母父SS以外のSS系
  42頭出走  9頭勝上 勝馬率21.4% 1頭当賞金301万円 平均勝利距離1309m 勝率5.4% 単回135円
2歳~3歳春の父母とも非SS系
  55頭出走 17頭勝上 勝馬率30.9% 1頭当賞金503万円 平均勝利距離1571m 勝率7.7% 単回55円

Haloインブリードに限っては母父SSよりも父SS系の方がよい。通常=非Haloインブリードでは逆なのだが。

2歳~3歳春の父SS系×母父SS以外のTurn-to系
 36頭出走 12頭勝上 勝馬率33.3% 1頭当賞金553万円 平均勝利距離1415m 勝率6.9% 単回47円
2歳~3歳春の父SS系×母父Danzig系★
 12頭出走 6頭勝上 勝馬率50.0% 1頭当賞金3002万円(ロジユニ除いても775万円) 平均勝利距離1800m 勝率18.5% 単回97円
2歳~3歳春の父SS系×母父Danzig以外のND系
 26頭出走 10頭勝上 勝馬率38.5% 1頭当賞金689万円 平均勝利距離1746m 勝率9.0% 単回80円
2歳~3歳春の父SS系×母父Machiavellian★
 35頭出走 13頭勝上 勝馬率37.1% 1頭当賞金1484万円(ヴィクピサ除いても808万円) 平均勝利距離1743m 勝率11.5% 単回56円
2歳~3歳春の父SS系×母父Rahy★
 17頭出走 7頭勝上 勝馬率41.2% 1頭当賞金1144万円(クオリア除いても715万円) 平均勝利距離1555m 勝率12.0% 単回83円
2歳~3歳春の父SS以外のTurn-to系×母父SS系
 50頭出走 13頭勝上 勝馬率26.0% 1頭当賞金490万円 平均勝利距離1453m 勝率8.3% 単回116円
2歳~3歳春の父ND系×母父SS系
 24頭出走 4頭勝上 勝馬率16.7% 1頭当賞金260万円 平均勝利距離1600m 勝率9.0% 単回80円

まず前提として、「Haloクロスは避けるべきものではなく狙うべきもの」という理解が生産者の間に広まったのは、以前に述べたように05-06年頃である。
ただし、依然として「サンデーサイレンスのクロスは避けるべき」と考えられており、実例もまだ少ない。2歳馬では9頭、1歳馬では18頭と増加の兆しが見えるが、Haloインブリードと比べると圧倒的な少数だ。
したがって、Haloインブリードをつくる際にはSS以外のHalo経路、具体的にいうとDevil's BagやGlorious Song、Coup de Folie、グッバイヘイロー、Rowdy AngelといったHalo牝馬の存在が必須になる。

父SS系に対して、母父MachiavellianやRahyなどHalo牝馬を通じた異性経由のHaloインブリードが定番で、重賞勝馬の多くがここから出ている。Devil's Bagはその数に比べて結果が出ていない。
母父Danzig系で母母にHaloをまぜてくるのもよい。ただしDanzigとそれ以外のND系では標本数に差があるため、Danzigでは早くに結果が出ただけであって、今後は他の母父ND系にも活躍馬が出るだろう。
逆に父ND系はひどい。当歳が生まれたばかりのフサイチリシャールなど、ND×SSの種牡馬が今後登場してどこまで変わってくるかというところだ。
Haloの経路としてはCoup de Folie>>父方SS>Devil's Bag≒Glorious Song>母方SSである。SSは当然として、Coup de FolieよりもDevil's Bag経由の方が数は多いが、活躍する確率はだんぜんCoup de Folie経由の方が高い。
種牡馬としてはマンハッタンカフェが父サンデーサイレンス並かそれ以上の優秀さを発揮しており、ついでゼンノロブロイ。爆発力のネオユニヴァース、Singspielに対して、フジキセキ、タイキシャトル、バブルガムフェロー、スペシャルウィーク、アグネスタキオンなどは小銭こそ稼ぐものの、まだ大爆発が少ない。

さらに絞り込んでみよう。

2歳~3歳春の父方SS経由×母方Coup de Folie経由、牡馬★★
 19頭出走 11頭勝上 勝馬率57.9% 1頭当賞金3755万円 平均勝利距離1846m 勝率20.4% 単回93円
生涯の父方SS経由×母方Coup de Folie経由、牡馬★★
 21頭出走 13頭勝上 勝馬率61.9% 1頭当賞金6311万円 平均勝利距離1925m 勝率13.8% 単回93円

定番のHaloインブリード配合というと、父はSS系経由、母はCoup de Folie経由(典型例はMachiavellian)になるだろう。
2歳の該当馬は、フ●ルスター、リ●ウノオーシャン、シ●イニングカラー、マ●ネルシトラス、タ●ゲットマシン、ス●イルサポートの08、ソ●ンクの08、キ●ュウフラワーの08、ミ●トエンジェルの08の9頭である。

2歳~3歳春の社台グループ生産馬★
 51頭出走 22頭勝上 勝馬率43.1% 1頭当賞金1772万円 平均勝利距離1749m 勝率14.7% 単回74円
2歳~3歳春の社台グループ以外の生産馬
 258頭出走 76頭勝上 勝馬率29.5% 1頭当賞金622万円 平均勝利距離1557m 勝率7.9% 単回83円

2歳~3歳春の社台グループ生産牡馬★★
 21頭出走 15頭勝上 勝馬率71.4% 1頭当賞金3565万円 平均勝利距離1818m 勝率23.0% 単回89円
2歳~3歳春の社台グループ生産ネオユニヴァース牡馬★★★
 2頭出走 2頭勝上 勝馬率100% 1頭当賞金25990万円 平均勝利距離2000m 勝率76.9% 単回230円

あとで述べるように社台以外も悪いわけではない。が、さすがに社台、Haloの扱いに慣れている。
牡馬に限ると恐ろしい数字になる。とくにネオユニ産駒では2頭中2頭がクラシック勝馬で数字が振り切れてしまう。
2歳には残念ながら該当馬がいない。

ネオユニ以外のSS系産駒では、先ほどあげたファルス●ー、ターゲットマ●ン、ソニ●クの08、スマイルサポ●トの08のほか、メ●ショウリョウマ、フ●ールジャック、デ●アルスウォード、ア●セナルゴール、ロ●ハーツ、ミ●クルペガサスの6頭が該当する。

また母方にSSが入るパターンでは、非Haloインブリード馬同様、社台系が強い。数は少ないがア●クゼットキなどが出ている。
2歳ではルイド●ル、アグネスタラ●アの08、ギミーシェル●ーの08が該当する。

非社台では、SSの入った牝系に淘汰圧が十分かかっていないためか、母方にSSの入ったパターンがひどい。
狙うなら父SS系。とくにアベレージでもっとも優秀な数字をあげているマンハッタンカフェ産駒に注目すると、非社台での狙いどころが見えてくる。

マンハッタンカフェのHaloインブリード馬は、メ●ショウレガーロ以来毎世代確実に重賞級を出しているが、なんとそのすべてが浦河町東部の牧場生産馬。そのためメイショウの持ち馬が多い。これらはすべて牡馬である。
これほど猛烈に偏っていると、POGでも馬券でも狙いやすい。

メ●ショウレガーロ 牡 2004 (美)小島太  三嶋牧場 マンハッタンカフェ×コ●コレ(Carson City) 3歳春 5980万円
メ●ショウクオリア 牡 2005 (栗)西橋豊治 富田牧場 マンハッタンカフェ×ア●ノウンウォーターズ(Rahy) 3歳春 8010万円
ジ●ウクリュウシン 牡 2005 (栗)昆貢   林孝輝 マンハッタンカフェ×イ●デポジット(Nureyev) 3歳春 2030万円
メ●ショウドンタク 牡 2006 (栗)本田優  太陽牧場 マンハッタンカフェ×ミ●ティックライト(Machiavellian) 3歳春 4030万円
マ●ハヴェロシティ 牡 2006 (美)武藤善則 日の出牧場 マンハッタンカフェ×マ●ミッシェル(タイキシャトル) 3歳春 4460万円
サ●ディエゴシチー 牡 2007 (栗)作田誠二 アイオイファーム マンハッタンカフェ×ジ●ニーソング(Rahy) 3歳春 5980万円

マンカフェ産駒の重賞級は、全体としては地域に偏りは見られない。安平町や千歳市(いずれも社台グループの拠点)からも、新冠町や新ひだか町からも、それぞれ活躍馬が出ている。しかし、それらのマンカフェ産駒はHaloインブリードではない。
つまり現時点では「浦河東部の生産者グループ」だけが、何らかの確信を持って「マンハッタンカフェを用いて」「意図的に社台のやらないHaloインブリード配合を試み」「牡馬で成功している」わけなんである。

2歳~3歳春の浦河町東部生産、マンカフェ牡馬★★
 8頭出走 7頭勝上 勝馬率87.5% 1頭当賞金3933万円 平均勝利距離1793m 勝率31.1% 単回181円

G1勝馬無しでこれ↑は、とんでもない数字なのがわかるだろうか。
今年この条件にあてはまるのが、ス●ートストームクリークの08、ゲ●ラの2頭だった。

また、絞り込み条件の「父マンハッタンカフェ」を「父SS系」にするとこうなる。

2歳~3歳春の浦河町東部生産、父SS系牡馬★
 15頭出走 10頭勝上 勝馬率66.7% 1頭当賞金2234万円 平均勝利距離1700m 勝率19.5% 単回193円

数字はかなり落ちるが、今年の2歳は浦河でもマンカフェ以外の数が増えてきているので状況が変わるかもしれない。
こちらはメ●ショウテッサイ、タ●ノシャーロック、コ●コレの08、ジ●ピターズビコーの08、ビ●ーティーコンテストの08、サ●ンシーラの08、レ●ィーデイの08の7頭が該当する。

結論。

・Haloインブリードは通算1000頭を越え、09年産では世代全体の5%を占める。
・父方にSS、ボトムラインにMachiavellianやRahyを入れるのが定番。
・Devil's Bag経由はここまで案外だが、09年産ではさらに大きく増える。
・Haloなら歓迎だが、SSインブリードは時期尚早。少なくともそう考えられている。
・牝馬は無視して牡馬を狙え。
・社台では父母どちらにSSが入っても狙えるが、やはりネオユニ牡馬の爆発力が突出。
・マンカフェ牡馬で社台を圧倒する、浦河東部生産の牡馬にも注目せよ。
・ほかではゼンノロブロイ、フジキセキ、バブルガムフェロー、スペシャルウィーク産駒に注意。

ドラフト戦略参考資料

2010-06-11 | pog-strategy
ドラフト前こそ、冷静に復習することが必要。

マクロPOG学入門
牝馬と2歳戦
牝馬とPOG
確変分析-Haloインブリード
アグネスタキオン08産駒
確変予告-5年目のギム・ポケ
確変予告-2年目のマクトゥーム家
確変予告-37年目のメイショウ

クールにドラフトを乗り切れ。アツくなるのは指名馬の出走するG1でよい。

確変予告-37年目のメイショウ

2010-06-01 | pog-strategy
日高産の地味な血統馬を買って走らせる、古風な馬主にして、日本馬主協会連合会会長、松本好雄氏。
馬主生活28年目でたどりついた、メイショウドトウによるG1初制覇。これ以降、松本氏は急激に所有頭数を増やすとともにメイショウボーラー、二冠馬メイショウサムソンなどPOG期間内にも活躍馬を出すようになった。
かつてはPOGと無縁の馬主と見なされ、今もPOGメディアへの露出がほとんどないため、POG的には大きな死角となっている。

しかし、hyracoはおそらく今年から3年以内に、この馬主が三度目のブレイクを果たすとみている。

説明しよう。

メイショウドトウの宝塚記念制覇と引退が2001年。当時歴代6位となる9.2億円の獲得賞金と、9億円(1500万円x60株。供用はイーストS)のシンジケートが組まれた種牡馬代金が、松本氏の手元に入った。またこの年、重賞を2勝し3億以上を稼いだメイショウオウドウも引退種牡馬入りしている。
これらの資金は、松本氏のポリシーにしたがって大部分が馬産地、とくにある地区に集中して還元された。その結果が、メイショウ軍団の急増であり、その中に01年産のボーラーや03年産のサムソンがいたんであった。

歴史はくりかえす。

メイショウサムソンの引退が2008年。10.7億円の獲得賞金と、10.8億円(1800万x60株。供用は社台SS)のシンジケートが組まれた種牡馬代金が、松本氏の手元に入った。
その資金はどのように還元されたか。
・・・そう、ご想像のとおりだ。
昨年のメイショウホンマルは、あふれる才をみせながら斃死したが、今年は去年以上に好配合馬を多数抱えており、ブレイクは必至とみる。

では、世代あたり70頭をこえるメイショウ軍団のどこに当たりがひそんでいるのか。
軍団を分解してみよう。

1)市場購入馬
メイショウセンゴクなど。
過去73頭が平均975万円で購入され、1頭当たりの平均獲得本賞金は984万円。
最も稼いだのが準OP勝ちのメイショウセンゴク、大物を求めていないのがよくわかる。
他の馬主とちがい、メイショウ軍団においては、市場購入馬はもっとも小粒。
ほかに買い手のない馬を、目立つように市場で買ってやる、という慈善事業に近い行為なのだ。

2)外国産馬
メイショウドトウなど。
過去12頭が購入され、1頭当たりの平均獲得本賞金は9466万円。
一時期盛んに購入し、ドトウ以外でも平均獲得本賞金は2063万円と決して悪くなかったにもかかわらず、大当たりしたドトウ世代を最後に、ぱったりと途絶えた。
これはマル外よりも内国産馬を買うべきだという指摘を受けたからだといわれる。

3)預託生産馬
メイショウホムラ、メイショウバトラーなど。
過去261頭がおり、1頭当たりの平均獲得本賞金は1555万円。
門別の日成牧場をはじめとする日高各地の牧場にあずけられた松本氏所有の牝馬から生まれたもの。
数は多いがけっして成績はよくない。
ここからメイショウバトラーのような血統の重賞勝馬が出た意義は大きいが、POG的には避けるべきだろう。

4)庭先購入馬
メイショウボーラー、メイショウサムソンなど。
過去647頭がおり、1頭当たりの平均獲得本賞金は2272万円。
あきらかに主力である。
メイショウ軍団が日本競馬界のもっとも古風なモデルと言われるのは、まさにこれらの存在、調教師が牧場を回り、発掘してきて松本氏に買い取りを依頼するという形態からだ。
メイショウサムソンなどは、松本氏自身デビュー戦のパドックで会うまで、一度も直に見たことがなかったという。
この場合、いわゆるラインを主導するのは馬主でも牧場でもない。トライアングルのうち調教師が主導権を持ち、その相馬眼が成績を左右する。
また、きょうだいも松本氏が所有する「事実上の預託生産」状態になった場合は、きょうだいが同じ厩舎に入ることがほとんどだ。

4a)三嶋牧場など浦河町杵臼・西舎・西幌別地区の生産馬
庭先購入馬の一部だが、浦河町杵臼にある三嶋牧場の生産馬だけは、きょうだいであっても預託先厩舎が一定しない。
すなわち、調教師ではなく馬主・松本氏と牧場主・三嶋氏が主導権を持っている。
これは、松本氏と親交の深い三嶋氏が、近隣(おもに浦河町杵臼および隣接する西舎・西幌別の3地区)の生産者たちと、調教師の間の仲立ちをしているためだろう。

かつてのメイショウビトリアやオウドウこそこれらの地区出身馬だったが、そのころの松本氏は他の地区からも結構な数を買っていた。
ところが、メイショウボーラー(浦河町杵臼、日の出牧場生産馬)の活躍をうけた03年産以降、松本氏が仕入れと育成のまとめを三嶋氏にまかせるようになり、一気に浦河、とくに杵臼・西舎・西幌別の三地区に購買が集中したんである。
これらの馬は、育成も杵臼地区の三嶋牧場(あるいは西幌別地区の日進牧場)で行われることが多い。

こうした背景があったから、メイショウの第二次ブレイクが起こった。
メイショウドトウのライバル、テイエムオペラオーは杵臼生まれだったが、それを意識してオペラハウスを受胎したマイヴィヴィアンを西幌別の若き生産者・林氏が静内から購入し、生まれた子を三嶋氏の紹介で松本氏に売却したのが、あのメイショウサムソンだったんである(下記引用参照)。
03年産以降の世代では、浦河町杵臼・西舎・西幌別生産馬がメイショウ軍団のおよそ2/3を占める。
サムソン以降も、ベルーガ、レガーロ、クオリア、ドンタク。最近のメイショウの活躍馬はほとんどがこれらの地区生産馬であり、庭先で松本氏に売却されている。


> メイショウの冠号で知られる松本は、150頭近い現役馬を所有する大馬主である。預託先の厩舎が40にも及ぶこと、「所有馬が出走しない日はまずない」という事実も、彼が擁する“軍団”の規模を物語っている。ただしそのメイショウ軍団には、明確な特徴を指摘できる。メジャーな良血馬、値段の高そうな馬がほとんど見当たらないことだ。
>
> 「僕らは地道な機械屋でしてね。何億もする機械を買うときには様々な角度から、それこそ何年もかけて検討をするんです。そんな本業のことを考えれば、1頭の馬に1億も2億も投資するなんてことは僕には考えられない。そもそも、いくら血統や馬体がよくても“絶対に走る馬なんていない”というのが僕の信条なんです。それなら人との付き合いのなかで馬を選んだほうが楽しみが大きい。僕はそう考えて馬主をやってきました」
>
> 馬の仕入れは基本的に調教師に任せきりにしている。調教師の側でも彼の信条をよく呑み込んでいるから、億に手が届くような高馬を勧めてくることはまずないという。親交の深い日高の牧場から頼み込まれて、セリで売れ残ってしまった馬を自分の所有とすることもある。“人との付き合いのなかで馬を選ぶ” とはつまりそういうことである。

> 1千万円にも満たない価格で購買したメイショウサムソンも、“人との繋がり”のなかで巡り会った馬だった。周知の通りこの馬はもともと、前任のトレーナーである瀬戸口勉が発掘し、今年の2月末に定年を迎えるまで管理していた馬だ。
>
> 「3年前、定年を間近に控えていた瀬戸口先生が“最後の世代に社長の馬がいないのは寂しいから”ということで北海道へ馬を探しに行かれたとき、僕と付き合いが深い三嶋牧場の三嶋さんが仲間の牧場から馬を4、5頭集めて、その中から瀬戸口先生が選んだのがメイショウサムソンだったんです。だからこの馬は、みんなが探してくれた馬。自分のやり方を貫いてきた結果、この馬に巡り会えたということではないかと思っています」
(Number [大いなる計画]メイショウサムソン 義理人情と凱旋門。)


4b)新冠町生産馬
オマケになるが、意外におもしろいのが新冠町生産のメイショウ馬。
過去124頭がおり、1頭当たりの平均獲得本賞金は2682万円。
1998年産以降激減し、世代あたり1~3頭の庭先取引馬と数は少ないものの、高い確率で活躍馬を出している。
とくに メイショウトウコンなど、マヤノトップガン産駒がすごい。

結論。

・メイショウは今年の2歳世代から三度目のブレイクをむかえる可能性大。
・メイショウ軍団では、市場取引馬や預託馬を軽視せよ。
・メイショウのマル外は12年前、ドトウ世代を最後に絶滅している。
・社台G生産馬は基本的にハズレだが、サムソンが社台SS入りしただけに今後要警戒。
・中心はボーラー・サムソンらが出た浦河町杵臼・西舎・西幌別地区生産の庭先取引馬。
・三嶋牧場生産馬のみ厩舎振り分けあり、その他は基本上と同じ厩舎に入る。
・新冠町生産馬は98年産以降少数精鋭。とくにマヤノトップガン産駒。

今年の私撰馬では、メイショウ軍団から3頭を取り上げる。こうご期待。

確変予告-2年目のマクトゥーム家

2010-05-11 | pog-strategy
ダーレーがなぜダノンシャンティのような馬を2887万円ぽっちで野田氏に売ったのか、復習と応用が必要だ。
なぜなら3歳世代と2歳世代では、狙うべきポイントも変わるからである。

概略を昨年書いた記事に記したが、馬主資格について、既存の馬主たちから反発を受けつづけ、体制も定まらず・・・でダーレーは迷走していた。

ディープスカイがデビュー直前に山内厩舎から昆厩舎に移ったのは07年9月。
この頃からダーレージャパンにお家騒動ありとささやかれていたが、実際11月にダーレージャパンは高橋代表を解任し、馬主資格を返上。
シャンソネット-07(のちのダノンシャンティ)は行き先がなくなり、翌08年7月のセレクトセール1歳に上場され、売られていったわけなんである。

さらに09年4月になって、ようやく海外居住馬主が正式に認められることになった。
夏に申請、秋には実際にマクトゥーム家から3名(ほかにシンガポール在住のオリオンF代表・大谷氏)の馬主登録が行われた。

・H.H.シェイク・モハメド:勝負服は 海老、白袖海老一本輪
  (60歳、UAE副大統領、ドバイ首長、ゴドルフィンの名目上のリーダー。
   H.H.シェイク=His Highness Sheikh=殿下)
・H.H.シェイク・ハムダン:勝負服は 緑、袖赤一本輪
  (27 歳、モハメド殿下の次男で一昨年皇太子に。
   エンデュランス競技ではアジア大会金メダルを獲得)
・H.R.H.プリンセス・ハヤ:勝負服は 緑、袖黒一本輪
  (36歳、ヨルダン国王の異母妹でモハメド殿下の妃のひとり。
   障害飛越競技でシドニー五輪にヨルダン代表として出場。
   H.R.H.プリンセス=Her Royal Highness Princess=王女殿下)

依然として所有頭数などに制限※のあるものの、一応の体制は整った。
新生ダーレー始動である。

※海外居住馬主は、マル外1頭につき内国産馬5頭を登録しなければならない、という制限。つまりマル外による席巻をおそれた非関税障壁だw

昨年は時期をはずしたために数頭しか登録がなかった。元年というべきは今年だ。
じっさいに今年からの彼らは、良駒を自家所有する傾向が、配合分析からはうかびあがっている。
つまりフリオーソの下よりも、売られていないBint Allaylの近親や、しでかしちまったEye of the Tigerの近親や、中竹のタキオン、そして今後輸入されてくるマル外あたりの方が狙える、とhyracoは見ている。
育成や共有者として、ファンタストC、自称日高の帝王こと冨岡氏関連、中村畜産=ケイアイF=ロードHC関連、あるいはノーザンF関連との連携も予想される。
今年はそういった方面にアンテナを張ることが大切だ。

なお、ダノンシャンティの母シャンソネットは放牧中の事故で亡くなり、ダノンシャンティが唯一の仔となっている。もったいねー。


結論。

・ダーレーは今年から本気出す。狙うなら元年だ。
・今年は売られてない馬、買い戻された馬、輸入されるマル外を精査しろ。
・馬主名義は3人に分かれているが、中見は一緒だ。他との共有もありうる。

確変予告-5年目のギム・ポケ

2010-05-05 | pog-strategy
去年の確変予告で述べたように、今年の2歳馬では、06-07年、とくに07年春クラシック戦線で活躍した種牡馬が意欲的な種付けを行っている。
主なものの産駒登録数と07年当時の種付料を見てみよう。

 タニノギムレット
  産駒登録数 161頭(うち社台系生産 32頭)
  当時種付料 300万円、前年比+50万
 ジャングルポケット
  産駒登録数 160頭(うち社台系生産 32頭)
  当時種付料 250万円、前年比同額
 ステイゴールド
  産駒登録数 98頭(うち社台系生産 14頭)
  当時種付料 300万円、前年比+180万
 アドマイヤコジーン
  産駒登録数 69頭(うち社台系生産 10頭)
  当時種付料 300万円、前年比+220万
 オペラハウス
  産駒登録数 51頭(うち社台系生産 2頭)
  当時種付料 150万円、前年比+100万

ようするに、初年度産駒のウオッカ・フサイチホウオーが活躍したギムとポケが5年目産駒で再ブレイク必至なわけだ。
実際これらのなかには重賞級の配合馬が何頭かいる。
今年は新種牡馬の産駒が話題だが、それらを狙うよりギム・ポケ産駒の方がよほど割がいい。
問題はこれらを何位で指名するか、だ。

アグネスタキオン08産駒

2010-05-01 | pog-strategy
私撰馬に挙げたリディルをはじめ、リルダヴァル、ダノンパッション、ディープデザイア、ザタイキと、クラシックを狙う駒がことごとく戦線離脱してしまった3歳のアグネスタキオン。
ポキオンと呼ばれる体たらくに、亡くなった父も浮かばれまい。

08年産の2歳世代は産駒数が増えたが、マンカフェ、新興のネオユニ、さらに新種牡馬ディープやハーツにおびやかされてもおり、トップ種牡馬の座を守れるかの正念場だ。

ここで注意したいのが、タキオン産駒数増加の正体。
原因はずばり種付け料の上下であり、数は増えてもアタリは減っている可能性がある。注意したい。

 05年種付け料 500万
  06産登録産駒数 126頭
  うち社台系生産 43頭(34%)

 06年種付け料 1200万
   07産登録産駒数 106頭(少数精鋭)
  うち社台系生産 55頭(52%)

 07年種付け料 800万
  08産登録産駒数  148頭(水増注意)
  うち社台系生産 71頭(48%)

 08年種付け料 1000万

 09年種付け料 1000万(途中死亡)

結論。
・2歳のタキオン産駒は数が増えているが、質は落ちている恐れが強い。
・今年は他のサンデー系種牡馬に押されて、POG人気も落ちる。
・昨年までと違い、下位でうまく取るよう心がけるべし。
・脚が折れても、心は折るな。

確変分析-Haloインブリード

2010-04-30 | pog-strategy
昨年のロジユニヴァースにつづき、ヴィクトワールピサがクラシックを勝った。
いずれもネオユニヴァース×Machiavellian+Busted+Lorenzaccioという、きわめてよく似た配合馬だ。

hyracoは07年ネオユニヴァース産駒を選ぶ際、ベスト8まではヴィクピサを残していたが、それを半分に絞って私撰馬とする最終段階でこれを取りのがしてしまった。
痛恨事。猛省している。

ただし、ヴィクピサはロジユニ同様、本質的に粘着スタミナ成分不足であり、ダービーへの適性は低い。
昨年のような不良馬場や、超スローの上がり勝負といった特異な展開にならないかぎり、おそらく1番人気で飛ぶことになるだろう。


さて、ロジユニ・ヴィクピサに見られるようなHaloのインブリードは、3歳世代の私撰馬でおそらくNHKマイルCで1番人気になるであろうダノンシャンティ、同じく2歳重賞を制したサンディエゴシチー(これも私撰馬)、コスモネモシンにも共通するものだ。他にダイワアセット、カレンナホホエミなども稼いでいる。
これまで、メイショウクオリアで重賞勝ち(同世代ジュウクリュウシンとノットアローンでOP勝ち)したことはあったが、同世代でダービーまでに重賞勝馬4頭というのはいかにも派手なブレイクだ。まさに確変と呼ぶのがふさわしい。

Haloのインブリードがなぜこれほど猛威をふるっているのか?
なぜこれまではそうでなかったのか?


説明しよう。

Haloには下記の特徴があるため、そのインブリードはPOGでは有利にはたらく。

1)
Halo自身が強烈な近交馬である。
よってその近交には通常の近交以上の効果(望遠鏡効果)が期待できる。

2)
Haloの両親はそれぞれ互いに相似な「米血セット」
  母:Cosmah =Mahmoud
      +Pharamond
      +Spearmint近交
      +Blue Larkspur
  父:Hail to Reason =Royal Charger(母Sun PrincessがMahmoudと7/8同血)
      +父にPharos 近交(Pharamondと3/4同血)
      +Sir Gallahad~Plucky Liege近交(その父Spearmint)
      +Blue Larkspur
になっており、他の米血セット、例えばMr. Prospectorの母やRed God、Robertoなどと呼応する。

3)
Haloの伝える資質のうち、最も重要なのは「癇性の強さ」である。
これは気性難というデメリットと、早熟さ、そしてギアチェンジの素早さ=末脚の斬れというメリットを併せ持つが、現代の日本競馬における、道中スロー末脚勝負という展開や、サンデー産駒等で培われた育成技術がこれに適合している。


しかし、サンデー直仔ではHaloが2世代目にあたるためか、Haloインブリード配合馬は、サンデー最晩年の3世代で計5頭生産されたにすぎない。
Haloクロスの成功例としては

  ウイングレット(04-05年に本格化)
  アサクサデンエン(05年に本格化)
  フィフティーワナー(05-06年に本格化)
  スウィフトカレント(06年に本格化)

であり、これらの「リーチ目」を受けて06年の種付け(07年産=現3歳)世代以降、Haloインブリード配合馬が急増、のちの「確変」を導いたんである。
事実、それまでジリジリと増える程度であったHaloインブリード馬は、06年産で83頭、そこから07年産ではなんと154頭へと、爆発的な増加を見せた。
08年産では229頭にのぼり、さらに来年デビューの09年産では341頭に達する。今後もますます増加するわけだ。

母数とノウハウが増えれば、当然アタリも増える。今年も好配合馬が複数おり、私撰馬として推奨予定だ。

ちなみに余談だが、サンデーサイレンス・インブリードは毎年世代に数頭存在する。
過去モルフェマイハートが地方で初勝利、その後ナムラエンプレスが中央初勝利(2戦目で競走中止予後不良)を挙げ、昨年はモルフェサイレンスが障害戦を連勝して中山大障害にまで駒を進めた。
これらも血統的にはHaloインブリードによく似るものの、Haloほどの効果はないと予想できる。


結論。
・HaloインブリードはPOGで有利。
 4歳世代でダービー馬、3歳世代では皐月賞馬など重賞勝馬4頭を出している。
・Haloインブリードは07年産から急増しており、08年産では世代200頭を越える。
 アタリは多いが、ハズレも多い。
・Haloインブリード以外の部分に「米血セット」がある配合を選べ。
・Haloインブリード馬の良さは早熟さと末脚の斬れにある。
 逆に気性と体質に気をつけろ。

牝馬とPOG

2009-06-21 | pog-strategy
血統派も馬体派も、多くのPOゲーマーが口をそろえて「牝馬の指名はむずかしい」という。

俺はことし、実弾戦での牡牝比率を8:1としたが、牝馬がゼロの年もあった。
junさんの集計によれば、過去11年の桜花賞馬のうち、POG自動集計に登録したサークルの半分以上が指名していたのはわずかに3頭、ダンスインザムードとダイワスカーレットとブエナビスタだけだった。牡馬クラシックにくらべると、そのむずかしさがよくわかる。
これらは過去6年に集中しているので、そこだけみれば、一見「POGで桜花賞馬を狙う」という戦略もなりたつ気がするが、すこしむかしまで振り返ると、その厳しさはあきらかだ。
じっさいのところ、海千山千の目利きぞろいであるPGP+サテライトでさえ、人気薄の牝馬を指名してG1を勝ったのは、過去9年でレディパステル(もとさん指名)、ショウナンパントル(k-bayさん指名)、レジネッタ(陽だまりさん指名)だけだった。

牝馬は、平均獲得賞金が牡馬よりも低く、勝ち上がり率も低い。
このエントリを書いた4年前にくらべればすこしは改善されたものの、3歳世代のダービーまでの期間でいうと、平均獲得賞金の差は出走1頭あたり約100万円、勝ち上がり率の差は10ポイント近い(牡馬29.5%、牝馬19.8%)んである。
しかし、だからといって全員が牡馬偏重の指名をしていると、牝馬が死角になりかねない。ここがむずかしい。

そのむずかしい死角を突こうというのが、PGPに牝馬のみ指名という奇抜な戦略で挑戦されている上三條さん。俺がことしの指名を楽しみにしていたプレイヤーのひとりだ。
だが、産みの苦しみというのだろうか、まだそのシステムは完成の域にまで達していないように見える。
上三條さんは牝馬の方が「重賞への出走のしやすさ」が上だと主張されているのだが、これは心理的なものだろうか。実際にはやはり牡馬の方が上である。

過去5世代-2歳~3歳春
全生産者-牡馬:重賞出走819頭/血統登録21023頭=3.9% 819頭/出走11704頭=7.0%
全生産者-牝馬:重賞出走548頭/血統登録19654頭=2.8% 548頭/出走9129頭=6.0%
ノーザンファーム-牡馬:重賞出走94頭/血統登録681頭=13.8% 94頭/出走488頭=19.3%
ノーザンファーム-牝馬:重賞出走64頭/血統登録636頭=10.1% 64頭/出走421頭=15.2%
社台ファーム-牡馬:重賞出走70頭/血統登録622頭=11.3% 70頭/出走496頭=14.1%
社台ファーム-牝馬:重賞出走63頭/血統登録598頭=10.5% 63頭/出走452頭=13.9%

また、今年度版の上三條システムによれば、社台ファーム生産の牝馬で重賞路線を経由し、桜花賞を狙うのがもっともよいとされている。なるほど、ノーザンFがオークスを狙っているのに対して、社台Fは桜花賞などの短距離路線を狙っているとはよく言われることだ。しかし…

ノーザンファーム-牝馬 @ 過去5世代-2歳~3歳春
 血統登録636頭
 出走421頭 勝利172頭(勝馬率40.9%) 連対率25.4% 平均勝利距離1552m
  238- 209- 152-1160/1759 賞金合計422497万
  1走当賞金240万円 1頭当賞金1003万円
 重賞出走64頭 勝利12頭(勝馬率18.8%) 連対率27.8% 平均重賞勝利距離1740m
  桜花賞出走16頭 勝利2頭(勝馬率12.5%) 連対率31.3%
  オークス出走19頭 勝利3頭(勝馬率15.8%) 連対率31.6%

社台ファーム-牝馬 @ 過去5世代-2歳~3歳春
 血統登録598頭
 出走452頭 勝利198頭(勝馬率43.8%) 連対率25.0% 平均勝利距離1542m
  249- 212- 207-1179/1847 賞金合計383735万
  1走当賞金207万円 1頭当賞金848万円
 重賞出走63頭 勝利5頭(勝馬率7.9%) 連対率19.9% 平均重賞勝利距離1457m
  桜花賞出走18頭 勝利1頭(勝馬率5.6%) 連対率11.1%
  オークス出走20頭 勝利0頭(勝馬率0%) 連対率10.0%


近年の結果は、重賞においても春クラシックにおいても、勝馬率・連対率ともノーザンF牝馬の方があきらかに高い。
牝馬で重賞に勝ちたいなら、社台F生産馬で桜花賞を狙うより、ノーザンF生産馬でオークスを狙う方がいいんである。
ここでは過去5世代について見たが、過去3世代でも大勢は変わらない。
なお、ノーザンF生産の牝馬は、社台F生産の牡馬↓よりも成績が良いくらいなので、これ自体じゅうぶん狙い目が立つ。

ノーザンファーム-牡馬 @ 過去5世代-2歳~3歳春
 血統登録681頭
 出走488頭 勝利278頭(勝馬率57.0%) 連対率32.5% 平均勝利距離1734m
  407- 281- 240-1191/2119 賞金合計687604万
  1走当賞金324万円 1頭当賞金1409万円
 重賞出走94頭 勝利22頭(勝馬率23.4%) 連対率27.3% 平均重賞勝利距離1908m
  皐月賞出走22頭 勝利3頭(勝馬率13.6%) 連対率18.2%
  ダービー出走22頭 勝利2頭(勝馬率9.1%) 連対率18.2%

社台ファーム-牡馬 @ 過去5世代-2歳~3歳春
 血統登録622頭
 出走496頭 勝利268頭(勝馬率54.0%) 連対率29.3% 平均勝利距離1656m
  364- 300- 233-1371/2268 賞金合計491929万
  1走当賞金216万円 1頭当賞金991万円
 重賞出走70頭 勝利8頭(勝馬率11.4%) 連対率20.0% 平均重賞勝利距離1756m
  皐月賞出走9頭 勝利1頭(勝馬率11.1%) 連対率22.2%
  ダービー出走15頭 勝利0頭(勝馬率0%) 連対率13.3%


さらにノーザンF牝馬のなかでは、とくにクラブ馬の活躍が目立つ。これはすでに広く知られているとおり、牧場に確実に良血牝馬を返したいというノーザンFの意向が表れている。

牝馬の不利さと、その間隙を突く狙い方がみえてきた。最後にマクロな話をしよう。

牡馬と牝馬の正しい指名比率というものはあるのだろうか。

仮にダービーまでの獲得賞金2000万円(あるいは3000万円)以上を合格ラインとすると、過去5世代で牡馬532頭、牝馬238頭(3000万なら牡263、牝115)が合格となる。通常のPOGサークルでは総指名頭数は750頭を越えることはないだろうから、牡:牝=532:238≒263:115≒70:30、つまりおよそ7:3がサークル全体での「正しい指名比率」といえるのではないか。
全指名馬を見渡して、牝馬の割合が3割を切っているなら、あえて牝馬を指名するのも手、というわけである。この傾向はサークルごとにほぼ固定であることが多いんで、今年の指名馬について牝馬率を調べ、来年に活かすことができる。

参考までに、俺のサークルでは26%、PGPでは37%、UMAJINサイトのPOG指名済馬上位100頭では38%であった。
ちなみに38%という数字は、さきほどの設定で、合格ラインを1億円以上とした場合の比率に一致する。G1級の活躍を見せた馬は、36:22≒62:38の比率になるんである。
牝馬限定の重賞が演出するこの数字に、みなが踊らされているといったら言い過ぎだろうか。指名全馬についてG1馬が確実に選べる人は、38%を牝馬とするのが合理的。だがすくなくとも俺は、通常のルールに対して指名馬の38%が牝馬で占められるような戦略に、合理性を見出すことはできない。

牝馬トップが牝馬限定重賞の賞金でゲタをはかされているのに対し、牝馬限定の新馬・未勝利戦や条件戦はつねに不足し、条件馬は牡馬との戦いをせまられている。過去エントリに書いたように、牝馬のアドバンテージはすでに失われているのに、だ。
それが牝馬不遇の根本原因なんである。

もちろん、30%や38%といった数字の妥当性は、牝馬の選定も、牡馬の選定と同じくらい正確に行えるという前提に基づいている。
牝馬の選定では、牡馬とは違った尺度や視点がもとめられる、と俺はかんがえる。それは↑に書いた生産者だけでなく、血統や馬体についても言えるんである。この点についてはまた別の機会に書くことにしよう。

結論:
・牝馬1頭につき100万円損をすると考えろ
・ノーザンF牡馬 > ノーザンF牝馬 ≧ 社台F牡馬 > 社台F牝馬
・社台F生産馬で桜花賞を狙うより、ノーザンF生産馬でオークスを狙え
・サークル全体で牝馬率が「30%」を超えているなら、牡馬のみ指名でも問題ない
・1億以上稼いだ馬たちの牝馬率「38%」に騙されるな

若手調教師の登竜門

2009-06-20 | pog-strategy
過去エントリのコメントで、WONさんにこたえてこんなことを書いた。

>若手で積極的な調教師は、名門が入れたがらない牝馬でがんばって実績を築いていくケースが多いんで、牝馬で小・中当たりを連発した若手には気をつけるといいっすよ。

手元にある過去5世代のデータで、↓の4つの条件をみたす厩舎を探してみる。

条件1「多数の牝馬をあつかっている」
    :管理馬のうち40%以上が牝馬
条件2「牝馬のあつかいが得意、あるいは良い牝馬が入っている」
    :牝馬のダービーまでの勝馬率が25%以上
条件3「牝馬のあつかいが得意、あるいは良い牝馬が入っている」
    :牝馬のダービーまでの1頭当たり平均賞金が400万円以上
条件4「牝馬のあつかいが、牡馬と比べて得意」
    :上記の牝馬平均賞金が、同厩の牡馬平均-100万円より多い

※一般に、中央登録頭数のうち牝馬は45%を占め、ダービーまでに出走した牝馬の勝馬率平均は20%、1頭当たりの平均賞金は約350万円、同期間の牡牝平均賞金差は約100万円である。

4つの条件をすべてみたしたのは、次の7厩舎だった。

●条件1~4をみたす=牝馬に重心を置いている厩舎
栗東・角居勝彦 2000年開業(10年目) シーザリオ、ディアデラノビア、ウオッカ、トールポピー
栗東・藤原英昭 2000年開業(10年目) ジェルミナル
栗東・平田修 2005年開業(5年目) ベッラレイア
美浦・奥平雅士 2004年開業(6年目) コイウタ
美浦・古賀慎明 2005年開業(5年目) アサヒライジング
栗東・河内洋 2003年開業(7年目)
栗東・矢作芳人 2004年開業(6年目)

おもしろいことに、すべて10年以内の若手、それも新鋭として期待の高い厩舎ばかりだ。
角居と藤原英はすでに牡馬でも結果を出しているが、奥平と平田はまだ牝馬だけ。
かれらは名門が避けがちな牝馬(多くは社台系)で実績をつみ、いずれはいい牡馬を入れてもらいたいと考えている。
ん?どこかで聞いた話だ…。

そう、これは20年前に松田博師が、10年前に松田国師が歩んだ道にほかならないんである。

松博はコスモドリーム、ベガ、ブゼンキャンドルという3頭の難しい牝馬をG1馬に育てたことで認められ、いまの地位を築いた。
松国にしても、牝馬ばかり4頭で重賞に勝ってはじめて、クロフネなどの有力牡馬を入れてもらえるようになったのだった。
角居師の場合は最初の成功が晩成牡馬であったが、やはり牝馬での活躍があっていっきに地位を押し上げたと言えよう。

すなわち牝馬こそ、調教師にとっての登竜門なんである。
積極的に牝馬を入れている若手厩舎では、とうぜん管理する牝馬への意気込みが違う。
POGで牝馬を狙うなら、こういう厩舎から選んでみてはどうだろう。


ちなみに条件1(牝馬占有率)をはずすと、若手がほとんどいなくなる。POGでの牝馬狙いならこちらも注目だ。

●条件2~4をみたす=牝馬は少ないが得意な厩舎
栗東・松元茂樹 牝馬の松茂
栗東・安田隆行 牝馬は短距離志向
栗東・藤岡健一 2001年開業(9年目)
美浦・小島太 アンブロワーズ以来低迷も、リュシオルで少し復活気配か
美浦・国枝栄 ピンクカメオだけが突出も、ダノンベルベールで第2波くるか
美浦・田村康仁 05と06年産世代の牝馬のみ大当たり、この後が続くか
栗東・白井寿昭 フサイチパンドラだけが突出

確変予告-4年目のダーレー

2009-06-17 | pog-strategy
昨日のエントリみたいなわかりやすい攻略記事を、わざわざ俺のブログで書きたくはない。フジキセキ産駒なんてちょっとかんがえれば、誰でも狙えるだろうから。
「人の行く裏に道あり花の山」という。もっとマニアックな所で攻めようじゃないか。


鳴り物入りで参入してきた割に、中央では結果の出ていないダーレー・ジャパン・ファーム。
一足先に馬主資格をとった南関東(ダーレー・ジャパン・レーシング名義)では、シーチャリオット、フリオーソなどで結果が出ているが、中央では馬主資格を認めるかで揺れ、日高の中小馬産家との融和を望んだT代表が解任されるなどの騒動もあり、まだ体制が整っていない。

では、生産者としてのダーレーJFはどうか?

ダーレーJF創業前に海外から来ていた馬は、北海道各地の中小牧場に預託されるかたちになっていた。かれらの海外拠点と比べると設備も技術も貧弱だったのは否めず、当然ながら来るのはそれに合わせたような、血統レベルの低い二流血統馬がほとんどだった(とはいえ世間ではじゅうぶん良血と呼ばれるクラスなんだが)。
6年前の私撰馬を見ると、俺はゼレンカの項に「ただ本国の大艦隊に比べると、どれも掃海艇クラスで。」と記している。事実、ゼレンカはこの世代のダーレー馬でもっとも活躍し、10勝を挙げてなお現役だが、けっきょく大レースを勝つほどではなかった。黒船といえば黒船だが、太平の眠りを覚ますほどのものではなかったんである。
その後のダーレーを見ていると、輸入した繁殖が最初の仔を産む前からセールに出したりすることもあり、あるいは走らせるためではなく、最初から売るために輸入している馬もいたようだ。そういう意味では、T元代表も「日高のため」といいながら見かけ倒しの世界的良血を売りつける、一口でいうところのサウ●ニア商法に手を染めていたのかもしれない。

その後、ダーレーJFを正式に設立し、生産馬を送るようになり、05生世代が26頭、06生世代は35頭、07生世代は37頭。…と徐々に増えつつある(JRAのデータ内では同名で複数の名義に分かれており、合算しなければいけないので注意)。
いや、それだけではない。後述するがじつはこれ↑、中身がぜんぜん違うんである。

創業前後にダーレーにいた繁殖牝馬は、すぐに繁殖セールに出されたり、海外の拠点へ戻されたりして、いまのダーレーにはほとんど残っていない。
JRHRの輸出入を定期チェックしてる人ならわかるだろうが、ダーレーは世界中に預託した牝馬を、つねに移動させている。
動かすことによって、各地の競馬における適性のチェックや、ダーレーグループぜんたいで重心のかけかたを調整しているわけだが、その結果、世界の競馬でもダーレーはしばしば成績を乱高下させている。ある年はケンタッキーダービーを狙い、翌年はイギリスのクラシック、翌々年はドバイ開催を重視といったように。その様子は、じつに気まぐれである。海外には、ある年に殿下の超高馬を何十頭もあずけられながら、数年後にはまったくお声がかからなくなった調教師もいる。気まぐれの被害者は山内師だけではないのだ。

そして07年生、つまり2歳馬の世代では、日本が重点目標のひとつになっていた。
07年産馬を準備している2006年から07年にかけて、ダーレーは本気で日本上陸を計画していたからだ。結果としてそれは遅延のすえ、突如として中断され、山内厩舎や後のダービー馬ディープスカイにまで余波がおよぶのだが、ここではおいておこう。

俺はumauma22さんほど詳しい事情を知るわけではないし、ダーレーの今後にも正直そこまで興味はないのだが、ダーレーの2歳馬が、これまでと違うことははっきりわかる。
説明しよう。

07生世代ダーレー生産馬のなかで、昨年と同じ母が送った産駒は、37頭中のわずか13頭。一昨年と同じ母の産駒は、37頭中たった5頭しかいない
しかも、母の出産時年齢をみると、05生世代が7.8歳、06生世代が8.4歳ときて、07生世代は6.8歳。普通なら1歳近く増えて当然なのに、思いっきり若返っている。
数頭しか繁殖のいない小牧場ならともかく、1年間に2/3、2年間に6/7も繁殖牝馬を入れ替え、しかも大きく若返らせた牧場など、俺は聞いたことがない。これは事実上のリニューアルだw

さらに繁殖牝馬の血統にも、違いがある。
ダーレーはいくつか名牝系をかかえているが、そのなかでモハメド殿下の一等お気に入りはFall Aspen系、なかでも名馬Dubai Millenniumだ。
1世代だけをのこして亡くなったため、殿下はこの血を独占しようとした。なにせ父が亡くなったとたん、世界中の牧場におしかけてDubai Millenniumを受胎した牝馬を買いあげて回ったほどだ。
産駒56頭のほとんどが殿下所有のものとなり、競走年齢にたっするまでにセリ市に出てきた馬はわずかに3頭。それらもけっきょくすべて1億円以上で殿下に買われた。そのなかにはG1を勝って種牡馬になったDubawiもいるが、牝馬はほとんどがレースに使われず、そのまま殿下秘蔵の繁殖牝馬となった。
07年ダーレーJF生産馬には、そのDubai Millenniumを母父にもつものが3頭、またほかにFall Aspenをもつものが3頭、の計6頭いる。それに対し、05生や06生にはこれがいずれもゼロ頭であったw

つまりダーレーは、とびきり良血で、かつフレッシュな期待の牝馬を日本へもってきて、2歳馬を生産、中央初年度デビューを準備していたんである。
ほんらいならばこれらは、ダーレーの勝負服を背にターフへ現れるはずであった。
しかし計画の遅延で、奇しくも次の記事に述べるような馬主の手に渡ることになったのだ。

結論:
07年ダーレー生産馬は、05年や06年の産駒とはひとあじもふたあじも違う。
通常ならありえないことだが、ヤラズ牧場がとつぜんヤリ牧場になる可能性もじゅうぶんあると思って備えること。
母父Dubai Millenniumには金子馬や近藤馬がいるが、ほかにも注目馬が何頭かいる。他の記事も参考にして探してほしい。

確変予告-12年目のキセキ

2009-06-16 | pog-strategy
今年のクラシックで、新種牡馬ネオユニ産駒とならんで、6年目のスペシャルウィーク産駒が大活躍したように、生産界には「ある程度予測できる大成功」というものがある。これを俺はパチンコになぞらえて「確変」と呼んでいる。
言うまでもなく、スペの場合は05年春に2年目産駒のシーザリオやインティライミが活躍をみせ、生産界にスペへの期待感とお値頃感が広まったからだった。

種牡馬のほかにも「リーチ目→確変」にはいろいろある。
一口馬主のリニューアル初・次年度や、調教師の代替わり、育成替わり、故障馬の補填、特定の馬主の厩舎開拓初・次年度など。これらは潜伏期間のある伝染病や、時限式の爆弾みたいなもので、変動の数年後にじっさいの爆発が起こる。
したがって、2歳馬が種付あるいは誕生したころのトレンド(リーチ目)を憶えておくことは、POGに欠かせない戦略のひとつなんである。

今年の2歳馬についても、いくつかの確変が予測できる。

もっともかんたんで、確実なのはフジキセキ産駒の台頭だろう。
もともと、繁殖シーズン半ばに急遽種牡馬入りしたこともあり、フジキセキは初年度から繁殖の質には恵まれなかった。初年度の新種牡馬リーディングも取れなかったし、勝負の2年目ではダイタクリーヴァがクラシック惜敗。ダンスインザダーク産駒にG1勝利を先駆けられてからは、ますます不遇になった。何よりサンデーという偉大すぎるライバルがいて、リーディング2位をとっても目立たなかった。
サンデーの七光りで種牡馬になれたものの、種牡馬生活はサンデーに圧迫されていたのだ。
DS師匠はつぎのように書いている。

>大種牡馬のサイアーラインが同じ地域でずっと続かないのはなぜか。
>血統史は教えている。
>時間的、地域的、或いは血縁的に、偉大な種牡馬に近ければ近い存在ほど、
>強く圧迫されて負の影響を受けやすい。大種牡馬の子が種牡馬として成功する
>のは、殆どが父の死後か、別の場所に於いてである。
(某パティオログより引用、本人許諾済)

俺も別の角度から、似たような分析をした。
なおフジキセキ産駒については賞さんのブログが詳しく、参考になるエントリも多い。

サンデー自身の初年度産駒で、もっとも早く種牡馬入りしたフジキセキ。かれはサンデー系でもっとも長い間サンデーと並んで供用されていた、いうならば「真昼の星」だった。
サンデー死後、05年7月カネヒキリによる産駒G1初制覇を合図に、フジキセキ産駒は次々と活躍をはじめる。06年晩冬の重賞5勝(4週連続。その最後がカネヒキリによるG1フェブラリーS勝ち)は、まともな繁殖を当てればフジキセキはデキるヤツだ、という印象を強く与えた。サンデーという日が沈み、キセキは「宵の明星」となって輝いた。
その直後の種付けシーズンが、今年の2歳馬になるんである。

今年、種牡馬1頭縛りPOGで10頭指名しろと言われれば、俺はタキオンでもネオユニでもスペでもなく、フジキセキを選ぶ。
好配合馬をあげておこう。

母ア●マイヤテレサ 牡 栗東・松田博資 ア●マイヤコウテイ
:5代アウト、Cosmah4x6。芝8Fベスト、早熟か…? ややぎこちないが母にキセキにはあう。
母オ●ラ 牡 美浦・松山康久 カ●ェラビリンス
:Halo3x3。芝7Fベスト、早熟の快速馬。トライアル向き。
母カ●ラパワー 牡 栗東・藤岡健一 ス●ィルゴールド
:Mill Reef≒Millicent4x4、HtR4x5、Alm5x6。やや芝向き、8Fベスト。斬れ味抜群。トライアルやマイルC向き。母はMontjeuの従妹だが、累代の違いでここまでタイプが違うのは面白い。
母グ●ースランド 牡 栗東・松田博資 セ●クリッドセブン
:ドリパス全弟。5代アウト、Wild Risk4x6、Hyp788x57778。芝10F以上ベスト、晩成のステイヤー。有馬ルール向き。ダービールールでは苦しい。
母シ●キングマイラブ メス 美浦・国枝栄 グ●ーンウィズダム
:6代アウト、さらに相反する要素が同居して判断が難しい配合。やや芝向き、9Fベスト。そこそこ斬れる。使いこんでよくなるので、デビュー時期が早いかどうかが他馬と比べてかなり重要。
母シ●ンソネット 牡 栗東・松田国英 ダ●ンシャンティ
:Halo3x3。芝7Fベスト、斬れ味抜群。トライアル向き。
母ス●レイトフロムテキサス メス 美浦・二ノ宮敬宇 ク●フォード
:斬れ味するどい快速フジキセキ牝馬。最近の二ノ宮はショウナンタレントなど牝馬に良績(不出走馬も多いが、使えば勝馬率は高い)。
母ス●リングネヴァー 牡 栗東・橋口弘次郎 シ●イニーナイト
:ダイタクリーヴァ全弟。6代アウト、Nas7x556。好配合だが母高齢で信頼性はいまひとつ。
母ス●リオルパール メス 栗東・松田博資 タ●ノサムアップ
:Alm5x5。芝8Fベスト。母の4年ぶりの産駒。端正な配合で斬れる。
母タ●スブルーム 牡 栗東・森秀行 ベ●トブルーム
:やや芝向き、8Fベスト、斬れ味あってかつある程度距離ももつ。
母デ●ーバ メス 栗東・平田修 タ●ノディーバ
:In Reality4x4、Alm5x6。ダート向きだが、若いうちは芝でも。
母テ●エッチグリーン 牡 栗東・池江泰郎 イ●イカブラウン
:やや芝向き、8Fベスト、末脚斬れる。トライアル向き。
母テ●クミーハイヤー 牡 栗東・松田博資 ス●イフォレスト
:5代アウト、Alm5x6。芝12Fベスト、やや晩成のステイヤー。有馬ルール向き。ドリパスとは3/4以上同血、この手のフジキセキステイヤーを一番上手く鍛えられるのがどこの厩舎かはもう言うまでもない。
母デ●トナイト 牡 栗東・田中章博 フ●ンドリトレイン
:Tt5x5、Alm5x7。スピードがすばらしい。トライアルやマイルC向き。2歳馬シルエットトーク-3で取り上げた。
母ト●ッキーコード 牡 栗東・角居勝彦 エ●クリプション
:5代アウト、Tt5x6、Phr6x667899。芝ダ兼用、9Fベスト。サイレンススズカに似た個性的な配合。上がデビューできなかったことなどもかんがえると、ダービールール向きでは割引が必要か。
母パ●ソナルレジェンド メス 栗東・藤原英昭 ミ●クルレジェンド
:5代アウト、Alm5x67。芝7Fベスト。牝馬向きの斬れ味がある。トライアル向き。鉄砲が効くのはこの厩舎に適。
母ブ●リアントベリー 牡 栗東・音無秀孝 ヒ●ロー
:芝ダ兼用、8Fベスト。斬れ味あるスピード馬。