カミノアナログ

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牝馬とPOG

2009-06-21 | pog-strategy
血統派も馬体派も、多くのPOゲーマーが口をそろえて「牝馬の指名はむずかしい」という。

俺はことし、実弾戦での牡牝比率を8:1としたが、牝馬がゼロの年もあった。
junさんの集計によれば、過去11年の桜花賞馬のうち、POG自動集計に登録したサークルの半分以上が指名していたのはわずかに3頭、ダンスインザムードとダイワスカーレットとブエナビスタだけだった。牡馬クラシックにくらべると、そのむずかしさがよくわかる。
これらは過去6年に集中しているので、そこだけみれば、一見「POGで桜花賞馬を狙う」という戦略もなりたつ気がするが、すこしむかしまで振り返ると、その厳しさはあきらかだ。
じっさいのところ、海千山千の目利きぞろいであるPGP+サテライトでさえ、人気薄の牝馬を指名してG1を勝ったのは、過去9年でレディパステル(もとさん指名)、ショウナンパントル(k-bayさん指名)、レジネッタ(陽だまりさん指名)だけだった。

牝馬は、平均獲得賞金が牡馬よりも低く、勝ち上がり率も低い。
このエントリを書いた4年前にくらべればすこしは改善されたものの、3歳世代のダービーまでの期間でいうと、平均獲得賞金の差は出走1頭あたり約100万円、勝ち上がり率の差は10ポイント近い(牡馬29.5%、牝馬19.8%)んである。
しかし、だからといって全員が牡馬偏重の指名をしていると、牝馬が死角になりかねない。ここがむずかしい。

そのむずかしい死角を突こうというのが、PGPに牝馬のみ指名という奇抜な戦略で挑戦されている上三條さん。俺がことしの指名を楽しみにしていたプレイヤーのひとりだ。
だが、産みの苦しみというのだろうか、まだそのシステムは完成の域にまで達していないように見える。
上三條さんは牝馬の方が「重賞への出走のしやすさ」が上だと主張されているのだが、これは心理的なものだろうか。実際にはやはり牡馬の方が上である。

過去5世代-2歳~3歳春
全生産者-牡馬:重賞出走819頭/血統登録21023頭=3.9% 819頭/出走11704頭=7.0%
全生産者-牝馬:重賞出走548頭/血統登録19654頭=2.8% 548頭/出走9129頭=6.0%
ノーザンファーム-牡馬:重賞出走94頭/血統登録681頭=13.8% 94頭/出走488頭=19.3%
ノーザンファーム-牝馬:重賞出走64頭/血統登録636頭=10.1% 64頭/出走421頭=15.2%
社台ファーム-牡馬:重賞出走70頭/血統登録622頭=11.3% 70頭/出走496頭=14.1%
社台ファーム-牝馬:重賞出走63頭/血統登録598頭=10.5% 63頭/出走452頭=13.9%

また、今年度版の上三條システムによれば、社台ファーム生産の牝馬で重賞路線を経由し、桜花賞を狙うのがもっともよいとされている。なるほど、ノーザンFがオークスを狙っているのに対して、社台Fは桜花賞などの短距離路線を狙っているとはよく言われることだ。しかし…

ノーザンファーム-牝馬 @ 過去5世代-2歳~3歳春
 血統登録636頭
 出走421頭 勝利172頭(勝馬率40.9%) 連対率25.4% 平均勝利距離1552m
  238- 209- 152-1160/1759 賞金合計422497万
  1走当賞金240万円 1頭当賞金1003万円
 重賞出走64頭 勝利12頭(勝馬率18.8%) 連対率27.8% 平均重賞勝利距離1740m
  桜花賞出走16頭 勝利2頭(勝馬率12.5%) 連対率31.3%
  オークス出走19頭 勝利3頭(勝馬率15.8%) 連対率31.6%

社台ファーム-牝馬 @ 過去5世代-2歳~3歳春
 血統登録598頭
 出走452頭 勝利198頭(勝馬率43.8%) 連対率25.0% 平均勝利距離1542m
  249- 212- 207-1179/1847 賞金合計383735万
  1走当賞金207万円 1頭当賞金848万円
 重賞出走63頭 勝利5頭(勝馬率7.9%) 連対率19.9% 平均重賞勝利距離1457m
  桜花賞出走18頭 勝利1頭(勝馬率5.6%) 連対率11.1%
  オークス出走20頭 勝利0頭(勝馬率0%) 連対率10.0%


近年の結果は、重賞においても春クラシックにおいても、勝馬率・連対率ともノーザンF牝馬の方があきらかに高い。
牝馬で重賞に勝ちたいなら、社台F生産馬で桜花賞を狙うより、ノーザンF生産馬でオークスを狙う方がいいんである。
ここでは過去5世代について見たが、過去3世代でも大勢は変わらない。
なお、ノーザンF生産の牝馬は、社台F生産の牡馬↓よりも成績が良いくらいなので、これ自体じゅうぶん狙い目が立つ。

ノーザンファーム-牡馬 @ 過去5世代-2歳~3歳春
 血統登録681頭
 出走488頭 勝利278頭(勝馬率57.0%) 連対率32.5% 平均勝利距離1734m
  407- 281- 240-1191/2119 賞金合計687604万
  1走当賞金324万円 1頭当賞金1409万円
 重賞出走94頭 勝利22頭(勝馬率23.4%) 連対率27.3% 平均重賞勝利距離1908m
  皐月賞出走22頭 勝利3頭(勝馬率13.6%) 連対率18.2%
  ダービー出走22頭 勝利2頭(勝馬率9.1%) 連対率18.2%

社台ファーム-牡馬 @ 過去5世代-2歳~3歳春
 血統登録622頭
 出走496頭 勝利268頭(勝馬率54.0%) 連対率29.3% 平均勝利距離1656m
  364- 300- 233-1371/2268 賞金合計491929万
  1走当賞金216万円 1頭当賞金991万円
 重賞出走70頭 勝利8頭(勝馬率11.4%) 連対率20.0% 平均重賞勝利距離1756m
  皐月賞出走9頭 勝利1頭(勝馬率11.1%) 連対率22.2%
  ダービー出走15頭 勝利0頭(勝馬率0%) 連対率13.3%


さらにノーザンF牝馬のなかでは、とくにクラブ馬の活躍が目立つ。これはすでに広く知られているとおり、牧場に確実に良血牝馬を返したいというノーザンFの意向が表れている。

牝馬の不利さと、その間隙を突く狙い方がみえてきた。最後にマクロな話をしよう。

牡馬と牝馬の正しい指名比率というものはあるのだろうか。

仮にダービーまでの獲得賞金2000万円(あるいは3000万円)以上を合格ラインとすると、過去5世代で牡馬532頭、牝馬238頭(3000万なら牡263、牝115)が合格となる。通常のPOGサークルでは総指名頭数は750頭を越えることはないだろうから、牡:牝=532:238≒263:115≒70:30、つまりおよそ7:3がサークル全体での「正しい指名比率」といえるのではないか。
全指名馬を見渡して、牝馬の割合が3割を切っているなら、あえて牝馬を指名するのも手、というわけである。この傾向はサークルごとにほぼ固定であることが多いんで、今年の指名馬について牝馬率を調べ、来年に活かすことができる。

参考までに、俺のサークルでは26%、PGPでは37%、UMAJINサイトのPOG指名済馬上位100頭では38%であった。
ちなみに38%という数字は、さきほどの設定で、合格ラインを1億円以上とした場合の比率に一致する。G1級の活躍を見せた馬は、36:22≒62:38の比率になるんである。
牝馬限定の重賞が演出するこの数字に、みなが踊らされているといったら言い過ぎだろうか。指名全馬についてG1馬が確実に選べる人は、38%を牝馬とするのが合理的。だがすくなくとも俺は、通常のルールに対して指名馬の38%が牝馬で占められるような戦略に、合理性を見出すことはできない。

牝馬トップが牝馬限定重賞の賞金でゲタをはかされているのに対し、牝馬限定の新馬・未勝利戦や条件戦はつねに不足し、条件馬は牡馬との戦いをせまられている。過去エントリに書いたように、牝馬のアドバンテージはすでに失われているのに、だ。
それが牝馬不遇の根本原因なんである。

もちろん、30%や38%といった数字の妥当性は、牝馬の選定も、牡馬の選定と同じくらい正確に行えるという前提に基づいている。
牝馬の選定では、牡馬とは違った尺度や視点がもとめられる、と俺はかんがえる。それは↑に書いた生産者だけでなく、血統や馬体についても言えるんである。この点についてはまた別の機会に書くことにしよう。

結論:
・牝馬1頭につき100万円損をすると考えろ
・ノーザンF牡馬 > ノーザンF牝馬 ≧ 社台F牡馬 > 社台F牝馬
・社台F生産馬で桜花賞を狙うより、ノーザンF生産馬でオークスを狙え
・サークル全体で牝馬率が「30%」を超えているなら、牡馬のみ指名でも問題ない
・1億以上稼いだ馬たちの牝馬率「38%」に騙されるな


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