カミノアナログ

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確変継続予告-12年目のHaloインブリード

2010-06-28 | pog-strategy
Haloインブリードについての続編。

3歳世代では春G1馬2頭、他に重賞勝馬2頭をだして大暴れだったHaloインブリード配合馬。
2歳ではさらに増えて229頭、前年の1.5倍にのぼるため、Haloインブリード旋風は続くだろう。じっさい、先週ディープインパクト産駒の初勝利をあげたのもHaloインブリード馬だった。

俺はこれら229頭のなかから5頭をことしの私撰馬にとりあげた。あまりにも穴狙いすぎて、噴いたり引いたりした人もいるだろうかw

Haloインブリード配合馬は今後も増え、1歳では341頭、世代全体の5%近くを占めるようになる。
ア●クサデンエン・ス●ィフトカレントの兄弟から10年、ここまで増え、クラシックを毎年取るまでになるとは正直、俺も予想外だった。

ここで過去のHaloインブリードを振り返りながら、そのポイントを押さえておきたい。
簡単な数字の比較を示しながら説明するが、こちらの表を参照しながら繰り返し読むと、深く理解できるはずだ。
なお、同表の作成にあたっては血統派の星、pbさんのご協力をいただいた。感謝するとともに同氏のPGPサテライトにおける優勝を祈念したい。

1997年産~2007年産 11世代 全Haloインブリード馬
 血統登録馬 448頭
 中央登録馬 393頭
 生涯 331頭出走 121頭勝上 勝馬率36.6% 1頭当賞金1591万円 平均勝利距離1656m
 2歳~3歳春 310頭出走 98頭勝上 勝馬率31.6% 1頭当賞金812万円 平均勝利距離1609m

2歳~3歳春の重賞・OP連対 計22頭
 重賞勝ち 7頭
  ロ●ユニヴァース、ヴ●クトワールピサ、ダ●ンシャンティ、
  コ●モネモシン(牝)、メ●ショウクオリア、サ●ディエゴシチー、
  ア●リーロブスト
 重賞2着 5頭
  メ●ショウレガーロ、マ●ハヴェロシティ、ダ●アモンドヘッド
  モ●ローブロンド(牝)、ウ●ングレット(牝)
 OP勝ち 9頭
  ア●バンスヘイロー、メ●ショウドンタク、ノ●トアローン
  カ●ンナホホエミ(牝)、シ●バーストーン、ジ●ウクリュウシン
  サ●ディエゴシチー、ウ●ングレット(牝)、ヴ●クトワールピサ
 OP2着 4頭
  ニ●ンピロザプラウ、テ●エムミゴテカ(牝)、ガ●マーバースト、
  エ●シンイチモンジ

ネオユニ×Machiavellianが強烈すぎてそこに目を奪われている人が多いようだが、狙うべきポイントは他にもある。

2歳~3歳春の牡セン馬★
 178頭出走 71頭勝上 勝馬率39.9% 1頭当賞金1145万円 平均勝利距離1654m
2歳~3歳春の牝馬 
 131頭出走 27頭勝上 勝馬率20.6% 1頭当賞金359万円 平均勝利距離1452m

まずはここ。
牡馬では平均よりもずっと高い数字が出ている。延べ178頭でこの数字というのは非常に優秀であり、あとで述べるような絞り込みによって数字はさらに跳ね上がる。
ところが、牝馬の数字は、牝馬の世代毎平均にほぼ等しい。若い牝馬では、Haloインブリードによる「強い癇性」がコントロールできず、成績向上に役立たないんである。

2歳~3歳春の芝★
 263頭出走 60頭勝上 勝馬率22.8% 1頭当賞金768万円 平均勝利距離1671m 勝率10.2% 単回71円
2歳~3歳春のダート
 206頭出走 41頭勝上 勝馬率19.9% 1頭当賞金237万円 平均勝利距離1480m 勝率7.4% 単回92円

Haloインブリードは血統表のアメリカンな要素を増幅するものだが、基本は芝向きである。
ダートでは馬券での穴狙いがうまい。
坂/平坦あるいは大回り/小回り、良馬場/重馬場の成績にはそれほど差はない。ただ坂や大回りコースで先行すると脆い傾向が見られる。

2歳~3歳春の父SS系★
 168頭出走 60頭勝上 勝馬率35.7% 1頭当賞金1108万円 平均勝利距離1649m 勝率10.7% 単回89円
2歳~3歳春の母父SS
  49頭出走 13頭勝上 勝馬率26.5% 1頭当賞金507万円 平均勝利距離1612m 勝率7.5% 単回72円
2歳~3歳春の母父SS以外のSS系
  42頭出走  9頭勝上 勝馬率21.4% 1頭当賞金301万円 平均勝利距離1309m 勝率5.4% 単回135円
2歳~3歳春の父母とも非SS系
  55頭出走 17頭勝上 勝馬率30.9% 1頭当賞金503万円 平均勝利距離1571m 勝率7.7% 単回55円

Haloインブリードに限っては母父SSよりも父SS系の方がよい。通常=非Haloインブリードでは逆なのだが。

2歳~3歳春の父SS系×母父SS以外のTurn-to系
 36頭出走 12頭勝上 勝馬率33.3% 1頭当賞金553万円 平均勝利距離1415m 勝率6.9% 単回47円
2歳~3歳春の父SS系×母父Danzig系★
 12頭出走 6頭勝上 勝馬率50.0% 1頭当賞金3002万円(ロジユニ除いても775万円) 平均勝利距離1800m 勝率18.5% 単回97円
2歳~3歳春の父SS系×母父Danzig以外のND系
 26頭出走 10頭勝上 勝馬率38.5% 1頭当賞金689万円 平均勝利距離1746m 勝率9.0% 単回80円
2歳~3歳春の父SS系×母父Machiavellian★
 35頭出走 13頭勝上 勝馬率37.1% 1頭当賞金1484万円(ヴィクピサ除いても808万円) 平均勝利距離1743m 勝率11.5% 単回56円
2歳~3歳春の父SS系×母父Rahy★
 17頭出走 7頭勝上 勝馬率41.2% 1頭当賞金1144万円(クオリア除いても715万円) 平均勝利距離1555m 勝率12.0% 単回83円
2歳~3歳春の父SS以外のTurn-to系×母父SS系
 50頭出走 13頭勝上 勝馬率26.0% 1頭当賞金490万円 平均勝利距離1453m 勝率8.3% 単回116円
2歳~3歳春の父ND系×母父SS系
 24頭出走 4頭勝上 勝馬率16.7% 1頭当賞金260万円 平均勝利距離1600m 勝率9.0% 単回80円

まず前提として、「Haloクロスは避けるべきものではなく狙うべきもの」という理解が生産者の間に広まったのは、以前に述べたように05-06年頃である。
ただし、依然として「サンデーサイレンスのクロスは避けるべき」と考えられており、実例もまだ少ない。2歳馬では9頭、1歳馬では18頭と増加の兆しが見えるが、Haloインブリードと比べると圧倒的な少数だ。
したがって、Haloインブリードをつくる際にはSS以外のHalo経路、具体的にいうとDevil's BagやGlorious Song、Coup de Folie、グッバイヘイロー、Rowdy AngelといったHalo牝馬の存在が必須になる。

父SS系に対して、母父MachiavellianやRahyなどHalo牝馬を通じた異性経由のHaloインブリードが定番で、重賞勝馬の多くがここから出ている。Devil's Bagはその数に比べて結果が出ていない。
母父Danzig系で母母にHaloをまぜてくるのもよい。ただしDanzigとそれ以外のND系では標本数に差があるため、Danzigでは早くに結果が出ただけであって、今後は他の母父ND系にも活躍馬が出るだろう。
逆に父ND系はひどい。当歳が生まれたばかりのフサイチリシャールなど、ND×SSの種牡馬が今後登場してどこまで変わってくるかというところだ。
Haloの経路としてはCoup de Folie>>父方SS>Devil's Bag≒Glorious Song>母方SSである。SSは当然として、Coup de FolieよりもDevil's Bag経由の方が数は多いが、活躍する確率はだんぜんCoup de Folie経由の方が高い。
種牡馬としてはマンハッタンカフェが父サンデーサイレンス並かそれ以上の優秀さを発揮しており、ついでゼンノロブロイ。爆発力のネオユニヴァース、Singspielに対して、フジキセキ、タイキシャトル、バブルガムフェロー、スペシャルウィーク、アグネスタキオンなどは小銭こそ稼ぐものの、まだ大爆発が少ない。

さらに絞り込んでみよう。

2歳~3歳春の父方SS経由×母方Coup de Folie経由、牡馬★★
 19頭出走 11頭勝上 勝馬率57.9% 1頭当賞金3755万円 平均勝利距離1846m 勝率20.4% 単回93円
生涯の父方SS経由×母方Coup de Folie経由、牡馬★★
 21頭出走 13頭勝上 勝馬率61.9% 1頭当賞金6311万円 平均勝利距離1925m 勝率13.8% 単回93円

定番のHaloインブリード配合というと、父はSS系経由、母はCoup de Folie経由(典型例はMachiavellian)になるだろう。
2歳の該当馬は、フ●ルスター、リ●ウノオーシャン、シ●イニングカラー、マ●ネルシトラス、タ●ゲットマシン、ス●イルサポートの08、ソ●ンクの08、キ●ュウフラワーの08、ミ●トエンジェルの08の9頭である。

2歳~3歳春の社台グループ生産馬★
 51頭出走 22頭勝上 勝馬率43.1% 1頭当賞金1772万円 平均勝利距離1749m 勝率14.7% 単回74円
2歳~3歳春の社台グループ以外の生産馬
 258頭出走 76頭勝上 勝馬率29.5% 1頭当賞金622万円 平均勝利距離1557m 勝率7.9% 単回83円

2歳~3歳春の社台グループ生産牡馬★★
 21頭出走 15頭勝上 勝馬率71.4% 1頭当賞金3565万円 平均勝利距離1818m 勝率23.0% 単回89円
2歳~3歳春の社台グループ生産ネオユニヴァース牡馬★★★
 2頭出走 2頭勝上 勝馬率100% 1頭当賞金25990万円 平均勝利距離2000m 勝率76.9% 単回230円

あとで述べるように社台以外も悪いわけではない。が、さすがに社台、Haloの扱いに慣れている。
牡馬に限ると恐ろしい数字になる。とくにネオユニ産駒では2頭中2頭がクラシック勝馬で数字が振り切れてしまう。
2歳には残念ながら該当馬がいない。

ネオユニ以外のSS系産駒では、先ほどあげたファルス●ー、ターゲットマ●ン、ソニ●クの08、スマイルサポ●トの08のほか、メ●ショウリョウマ、フ●ールジャック、デ●アルスウォード、ア●セナルゴール、ロ●ハーツ、ミ●クルペガサスの6頭が該当する。

また母方にSSが入るパターンでは、非Haloインブリード馬同様、社台系が強い。数は少ないがア●クゼットキなどが出ている。
2歳ではルイド●ル、アグネスタラ●アの08、ギミーシェル●ーの08が該当する。

非社台では、SSの入った牝系に淘汰圧が十分かかっていないためか、母方にSSの入ったパターンがひどい。
狙うなら父SS系。とくにアベレージでもっとも優秀な数字をあげているマンハッタンカフェ産駒に注目すると、非社台での狙いどころが見えてくる。

マンハッタンカフェのHaloインブリード馬は、メ●ショウレガーロ以来毎世代確実に重賞級を出しているが、なんとそのすべてが浦河町東部の牧場生産馬。そのためメイショウの持ち馬が多い。これらはすべて牡馬である。
これほど猛烈に偏っていると、POGでも馬券でも狙いやすい。

メ●ショウレガーロ 牡 2004 (美)小島太  三嶋牧場 マンハッタンカフェ×コ●コレ(Carson City) 3歳春 5980万円
メ●ショウクオリア 牡 2005 (栗)西橋豊治 富田牧場 マンハッタンカフェ×ア●ノウンウォーターズ(Rahy) 3歳春 8010万円
ジ●ウクリュウシン 牡 2005 (栗)昆貢   林孝輝 マンハッタンカフェ×イ●デポジット(Nureyev) 3歳春 2030万円
メ●ショウドンタク 牡 2006 (栗)本田優  太陽牧場 マンハッタンカフェ×ミ●ティックライト(Machiavellian) 3歳春 4030万円
マ●ハヴェロシティ 牡 2006 (美)武藤善則 日の出牧場 マンハッタンカフェ×マ●ミッシェル(タイキシャトル) 3歳春 4460万円
サ●ディエゴシチー 牡 2007 (栗)作田誠二 アイオイファーム マンハッタンカフェ×ジ●ニーソング(Rahy) 3歳春 5980万円

マンカフェ産駒の重賞級は、全体としては地域に偏りは見られない。安平町や千歳市(いずれも社台グループの拠点)からも、新冠町や新ひだか町からも、それぞれ活躍馬が出ている。しかし、それらのマンカフェ産駒はHaloインブリードではない。
つまり現時点では「浦河東部の生産者グループ」だけが、何らかの確信を持って「マンハッタンカフェを用いて」「意図的に社台のやらないHaloインブリード配合を試み」「牡馬で成功している」わけなんである。

2歳~3歳春の浦河町東部生産、マンカフェ牡馬★★
 8頭出走 7頭勝上 勝馬率87.5% 1頭当賞金3933万円 平均勝利距離1793m 勝率31.1% 単回181円

G1勝馬無しでこれ↑は、とんでもない数字なのがわかるだろうか。
今年この条件にあてはまるのが、ス●ートストームクリークの08、ゲ●ラの2頭だった。

また、絞り込み条件の「父マンハッタンカフェ」を「父SS系」にするとこうなる。

2歳~3歳春の浦河町東部生産、父SS系牡馬★
 15頭出走 10頭勝上 勝馬率66.7% 1頭当賞金2234万円 平均勝利距離1700m 勝率19.5% 単回193円

数字はかなり落ちるが、今年の2歳は浦河でもマンカフェ以外の数が増えてきているので状況が変わるかもしれない。
こちらはメ●ショウテッサイ、タ●ノシャーロック、コ●コレの08、ジ●ピターズビコーの08、ビ●ーティーコンテストの08、サ●ンシーラの08、レ●ィーデイの08の7頭が該当する。

結論。

・Haloインブリードは通算1000頭を越え、09年産では世代全体の5%を占める。
・父方にSS、ボトムラインにMachiavellianやRahyを入れるのが定番。
・Devil's Bag経由はここまで案外だが、09年産ではさらに大きく増える。
・Haloなら歓迎だが、SSインブリードは時期尚早。少なくともそう考えられている。
・牝馬は無視して牡馬を狙え。
・社台では父母どちらにSSが入っても狙えるが、やはりネオユニ牡馬の爆発力が突出。
・マンカフェ牡馬で社台を圧倒する、浦河東部生産の牡馬にも注目せよ。
・ほかではゼンノロブロイ、フジキセキ、バブルガムフェロー、スペシャルウィーク産駒に注意。


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3 コメント

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北米での調査 ()
2010-07-22 10:09:12
こちらも拝見。大変な調査だったのではないでしょうか。ご苦労様です。
ちょうどアメリカで近交について同様の調査をされた方があり、特に Mr.Prospector の近交について興味深い結果が得られておりました。
ttp://ddink55.wordpress.com/2010/07/20/inbreeding-to-mr-prospector/
99~02年に北米市場で購買された馬が対象なので、アタゴタイショウなどもサンプルになっていますw 結果は次の通り;

(1) PPIの比較で、Mr.Prospector 子孫全体の平均1.04より Mr.Prospector 近交馬の平均1.11の方が高い。即ち近交の結果は良。
(2) 経路については、牝馬経由同士が1.21と最も良く、次いで大多数である牡馬経由同士の1.13。Ken McLean の主張する異性経由近交の効果は認められず。
(3) 近交位置については、2×3(3自由世代)が最近、4×4あるいは3×5(6自由世代)が最遠で、平均は4.46自由世代。
(4) 市場価格は3×4(5自由世代)のみ平均を超えるが、その他は平均を割り込む。そして競走成績は5自由世代が群を抜いて良い。

ご参考まで。
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ミスプロインブリード (hyraco)
2010-07-23 00:23:15
教えていただいたブログ見てみます。
返信する
追試? (hyraco)
2010-08-13 16:12:54
どこにコメントすればいいのかわからないんだが

ttp://d.hatena.ne.jp/Southend/20100812/

このエントリ最後の数字と手元の数字が一致することを確認。
俺はマッチングExcel上でしてます。Excelデータ送りますかって拍手※に入れたけど反応ねー、まーいいやっていう。

とにかく結果楽しみ。
調査なんて目の付けかた次第だしなーw
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