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死票多い「小選挙区制」批判相次ぐ 反省なき総選挙報道・最低の試合2002年サッカーワールドカップ

2012-12-19 | 政党・政治
最低の試合 2002年サッカーワールドカップ


真剣に見直すとき 「死票」多い・・・

「小選挙区制」批判相次ぐ

 今回の総選挙で自民党は小選挙区で前回比166万票減の得票率43%なのに、議席議席占有率は79%にもなりました。虚構の「自民圧勝」をつくりだした選挙制度に見直しの声が上がっています。

 4割台の得票で8割もの議席を自民党が独占したことについて作家の高村薫氏は「自民党は大勝に値するほど望まれたわけではない。・・・小選挙区制は、真剣に見直す時が来ているのかもしれない」(「読売」17日付)と選挙制度の見直しを求めています。
 みんなの党の渡辺喜美代表も16日夜のNHK「開票速報」で「今回の特徴として、非常に『死票』が多い。世論調査、事前の調査などでも自民党支持は2、3割ぐらい。この選挙制度に相当問題があることがわかった」と語っています。
 この『死票』について法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁教授はブログ(14日付)で「制度によって殺されてしまう民意であると言っても良いでしょう」と指摘します。

 1994年に小選挙区制の成立を強行した細川政権の官房長官、武村正義氏ですら「(小選挙区制に)批判の声が高まっていることを承知している。もっといい制度が見つかるなら、変えたらいいと思っている」(京都新聞2日付)と総選挙公示の直前に語っています。

 今回の総選挙で小選挙区制の弊害が明らかになった以上、現行の選挙制度を見直し、国民の中になる多様な意見を国会に鏡のように反映する選挙制度の実現へ議論することが強く求められています。

主張

民意のゆがみ

選挙制度の抜本改革は急務

総選挙の結果「大勝」した自民党の議席は、1人1区の小選挙区では4割台の得票で8割の議席を独占するという、きわめていびつなものです。得票に応じて議席を配分する比例代表では3割台の議席しか獲得していないのに、小選挙区では8割の議席を占めているというのも、民意のゆがみを象徴しています。

 選挙制度は本来、国民の意思が議席に正しく反映するのが原則です。民意をゆがめる小選挙区制を廃止し、選挙制度を抜本改革するのは待ったなしです。

大政党の“独り勝ち”に

 小選挙区制は得票が1票でも多ければその選挙区の議席が獲得できるため、大政党に有利になる弊害は、これまでもしばしば指摘されてきました。今回は自民党が4割台(43%)の得票で8割(79%)の議席を独占しましたが、前回選挙では民主党が4割台の得票で7割を超す議席を占めていました。大政党の“独り勝ち”は、小選挙区制のもともとの欠陥です。

 大政党に有利な半面、小選挙区は大政党以外を議席から締め出し、議席に結びつかない大量の「死に票」を生みます。今回の選挙でも、自民党と民主党以外の党が小選挙区で獲得した議席は全体の1割をわずかに超すだけで、小選挙区選挙で投票された約5962万票のうち、議席に結びつかなかった「死に票」は53%にものぼります。299の小選挙区に立候補した日本共産党は、470万票得票したのに、1人も当選しません。小選挙区は民意を締め出す制度であり、国民の投票の権利に照らしても致命的な欠陥を持ちます。

 1990年代にそれまでの中選挙区制に代えて小選挙区制を導入した際、盛んに「政権交代」が実現可能な制度であることが宣伝されました。しかし、小選挙区制は得票がわずかに移動しただけでも、議席が大幅に変動する不安定な制度です。実際、今回の自民党の得票や獲得議席も、自民党が大敗した前回の総選挙に比べ得票数は200万票も少ないのに、民主党の不振と低投票率で得票率が39%から43%に上がったため、議席は4倍にも増えています。本来政権交代は民意を正確に反映してこそ行われるべきで、選挙制度を使って人為的に政権交代を実現しようとすること自体、本末転倒です。

 小選挙区制の欠陥があまりに明らかなので、制度導入の際の議論では、小選挙区制の議席は全体の半分にとどめ、残りは比例代表で選ぶはずでした。ところが大政党の談合で成立したさい、小選挙区300、比例200とされ、その後比例の定数が20削減されたため、ひずみがますます激しくなっています。民主党などが比例代表の定数をさらに減らそうというのは、大政党の横暴そのものです。

「1票の格差」是正にも

 小選挙区制は全国を300の選挙区に細分化するため、人口の移動にともない絶えず「1票の格差」が生まれるという欠陥も持っています。最高裁から「違憲状態」と指摘されていた今回の総選挙でも、小選挙区単位の有権者の数が最も少ない高知3区に対し千葉4区での格差は2・4倍に達しています。

 「1票の格差」を是正し、選挙権の平等を保障するためにも、得票が議席にそのまま反映する比例代表を中心に選挙制度を抜本改革することが不可欠です。

いまメディアで

“民意の行き場”奪ったのは誰か

反省なき総選挙報道

今回の総選挙は、自民党が、政権を追われた前回総選挙より比例で219万票、小選挙区で166万票を減らしながら300近い議席を得るという、民意とかけ離れた結果を生みました。各紙ともにいう「熱気なき圧勝」―それをもたらしたのは何でしょうか。

 国民への公約を裏切った民主党への怒りと批判が投票率の低下などを生み、相対的に自民党を浮上させました。各紙が「小選挙区制の特性」というように、自民党が4割の得票で8割の議席を得た小選挙区制度の害悪も露呈しています。

 その中で見過ごせないのは、選挙を前後した巨大メディア自身の報道姿勢です。

 「朝日」社説(17日付)は“熱気のなさ”の「最大の理由」は「民意が…行き場を失ったことだろう」と書きます。しかし、その一つの要因は、巨大メディアが今回の選挙の構図を“政権の枠組み”選択にあると描き、一貫して「民主か自公か第三極か」という視点で報道したことにあったのではないでしょうか。

目に余る報道

 日本ジャーナリスト会議は8日の緊急アピールでマスメディアの今回の選挙報道を、「民主党と自民・公明、それに『第3極』と称するいくつかの保守政党をベースに選挙を描き出している」「すぐに政権に関わらない政党は意味がないかのような『政権の枠組み』報道に終始」していると指摘。加えて「自らによる世論調査で、『勝ち馬』意識を煽(あお)るバンドワゴン効果を広げようとしている」と世論誘導を批判しました。

 同会が選挙中にメディアの報道姿勢を批判するのは異例です。それほど巨大メディアの「政権の枠組み」報道と選挙妨害ともいえる「議席予測」報道は目に余るものでした。

 「朝日」(8日付)には「世論調査 世論操作に見える日々」との川柳も載りました。

 NHKも毎回のニュースなどで枕ことばのように「政権の枠組みが最大の焦点」「政権をかけた攻防」などと表現。ニュースで取り上げる党首の街頭演説風景も、民主、自民、維新、未来に偏っていました。

 国政の基本で違いのないこれらの党を中心とした報道は、結局、自民党型政治の枠外にある選択肢、真の対立軸を有権者の目から隠し、政治の変革を求める「民意の行き場」をふさいでいるのです。

 「毎日」(17日付)の社会面には、福島県で仮設住宅に暮らす被災者が、原発建設を推進した自民党を選ぶことに抵抗感を持ちながらも「仕方ねえ。自民党しかいれるところがないんだもん」と語り、愛知県の自営業者が「期待はずれだった民主党と寄せ集めの第三極には入れたくなかった」と自民党を選んだことが紹介されています。

選挙後も誘導

 にもかかわらず、巨大メディアは選挙後もまったく無反省です。17日夜のNHK番組「政治はどこへ向かうか」では「日本政治の今後を問う」として自民、民主、維新、公明の4党だけを登場させ、今後の政策を語らせました。

 「読売」「毎日」「朝日」「日経」各社説(17日付)はそろって、選挙後も民自公3党の枠組みで社会保障と税の「一体改革」をすすめるよう“指図”しています。大手紙自身の社論が民自公路線にあり、民意をそこに誘導しているのです。

 これらのメディアは、日本共産党の示す消費税増税に頼らない社会保障拡充政策をまともにとりあげることはありません。消費税を上げながら社会保障は改悪する「一体改革」は国民に閉塞(へいそく)しかもたらしません。

 今回の選挙結果を受け「読売」社説は小選挙区制度について「抜本改革に踏み切る必要がある」とし、「日経」は「小選挙区選挙…の見直し論議に火がつくのは必至」とします。指摘はもっともですが、小選挙区制の導入を「政治改革」の名でみずから進めてきたことへの反省が必要です。(西沢亨子)
(しんぶん赤旗2012年12月19日)

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