ヒデ系の瞳

平和憲法尊守

自民党・石破氏の軍法会議発言 政治家は戦争に行かない。

2013-08-13 | 憲法


自民・石破氏の軍法会議発言

死刑の脅しで戦場に駆り立てる

飯島 滋明

 今年4月のテレビ番組で自民党の石破茂幹事長が、憲法「改正」により国防軍が創設された場合、戦場への出動命令を拒否すれば軍法会議で「死刑」「懲役300年」などと発言した。
 この「石破発言」は、自民党「日本国憲法改正草案」(2012年4月作成。以下、「自民党改憲案」とする)で明記された、いわゆる「軍法会議」創設(同9条の2 第5項)の危険性を如実に示している。(現憲法76条は軍法会議のような特別裁判所は設置できない、としている)

無視される人権

 「すべては軍の規律を維持するため」と石破氏が番組で述べたように、軍法会議では「軍の利益」が優先され、個人の生命、「基本的人権」は無視される。個人の生命を優先すれば、1968年の『千代田丸事件』最高裁判決(注)で示されたように、外国軍から「撃沈声明」が出されている危険な場所に行かせる命令を個人は拒否できる。
 一方、「戦場に行かない」という軍人を認めれば、軍の規律は維持できない。「軍の理論」からすれば、「敵前逃亡は死刑」といった脅しで隊員を無理やりに戦場に行かせる必要がある。そのために軍法会議が必要となる。
(注)1956年、電電公社(当時)が米軍の要請で朝鮮海峡の海底電線の修理を敷設船千代田丸に指示したが、労働者側が治安悪化を理由に危険な出張を拒否して裁判になった事件。最高裁で労働者側が勝訴し、解雇は無効とされた。
 
 軍法会議の問題は他にもある。「軍の利益」が判断基準となる軍法会議の悪弊として、「組織防衛」「身内のかばい合い」が生じて軍人・軍属の処罰は甘くなる一方、被害者の救済は無視される。
 たとえば2007年10月、広島での米兵4人による集団強姦事件でも、米兵は1年から1年半で釈放された。軍法会議で言語に絶する「セカンドレイプ」の状態に置かれたのに、米兵4人がこうした軽い処罰で済まされたことを聞き、女性は嗚咽したという。
 軍人に甘いこうした軍法会議の実例はいくらでもある。そして、たとえば田母神俊雄元航空幕僚長が「自衛隊のような軍事組織にあっては、指揮官は、部下の梯子を外すような行為があっては絶対にあってはならない」と述べ、「あたご事件」の艦長や「自衛隊セクハラ事件」のセクハラ自衛官をかばい、被害にあった漁船の乗組員や女性を批判するような状況からすれば、日本で軍法会議が設置されても、やはり軍人の処罰は甘くなる可能性があろう。

戦場に行く者は

 戦場への出撃命令拒否の場合は「死刑」などと発言した石破氏だが、テレビ番組「太田光の私が総理大臣になったら」(2006年12月)で、太田氏から「政治家は戦争に行かない」と批判された時、いつもの饒舌な石破氏が黙った。こうした石破氏の態度は、近隣諸国の民衆2000万人、日本国民310万人もの犠牲者を出した侵略戦争を行い、国民には「国のために死ね」と命じながら、いざとなれば自分たちは逃げ出した敗戦までの日本の権力者と同じように無責任だと思うのは私だけだろうか。

 海外での武力行使、国民の「徴兵」や「徴用」も可能にする自民党改憲案。権力者は戦争には行かないのに、国民が危険な戦場に行かなければ「死刑」を科する軍法会議を設置する自民党改憲案。そして、同じような内容の「日本維新の会」や「みんなの党」の憲法改正を私たちは認めるのか。主権者として適切な判断が求められる。
【いいじま・しげあき 名古屋学院大学准教授・憲法学】
(しんぶん赤旗2013年8月13日)

 日本共産党は、徹底した平和主義をかかげる9条、国民の生存権と文化的生活を明記した25条をはじめ、憲法の全条項を厳格に守り実践することこそ、豊かな国民生活を保障する切り札であり、真に国民本位の政治を実現する道だと確信しており、広範な人々との共同を通じて、憲法を擁護しその条項の徹底のために全力をあげます。

日本共産党ホームページ
http://www.jcp.or.jp/

携帯版
http://www.jcp.or.jp/i/index_i.html

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。