TATSURO SHIBUYA + ARCHITECTURE LANDSCAPE DESIGN STUDIO

アーキテクチュアは建築、ランドスケープは景観。風景を生かす建築環境デザインに取組んでいます。

拝啓 上遠野徹様

2009-11-29 01:29:02 | サステナブル建築
上遠野さんが今月のはじめに亡くなられていたことを先ほど知りました。
2004年に札幌の家を訪れた時のことを昨日のように覚えております。

自邸の見学を快諾頂いただけでなく、自らご案内頂いたこと、自邸である「札幌の家」のことなど大変貴重なお話をうかがえたことに大変感謝しております。

実は、いま建設中の住宅、「白鷹の家」は、上遠野さんの建築に対する考え方(イズム)に大変影響を受けています。

例えば、リビングの天井高さ。札幌の家はリビングの天井が2250mmと低く、でもそれがかえって落ち着く心地よい空間になっていることを上遠野さんは、まるで少年のように生き生きとお話してくださいましたね。

また、北国の住まいのあり方について。「札幌の家」は一見するとミースのようなモダニズム建築にも見えますが、実は、冬季の積雪や日照を考慮した結果であり、地域に根ざした建築なのですよね。

そして、コールテン鋼や煉瓦といったエイジング素材。単なる工業製品としてではなく、長く使うことで生まれる素材の持つ美しさを上遠野さんは、熟知されていましたね。

最後に、何といってもランドスケープと建築のあり方。「札幌の家」で見たナナカマドの大樹、庭の緑、煉瓦の壁、青い空。どれも心地よい音楽が聞こえてきそうなくらい美しいものでした。

興奮していたせいか、ご自宅に傘を忘れてしまい、後日わざわざ郵送いただいたのも、忘れられない思い出です。

いつか、僕も上遠野さんのように、飾らず、真摯に建築や都市と向き合い、見知らぬ若者にも心広く、熱く語れるようになりたいと思います。
ご冥福をお祈りいたします。


印象深いアプローチのナナカマドの大樹


心地よいテラスと庭との距離感、建物の高さ


天井高さを低く抑えたリビング
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