検察官は、かなりイライラしていた。今月20日、東京地裁で開かれたACCS不正アクセス事件の被告人質問でのできごとである。
事件はかなり有名になったから、知っている方は多いだろう。インターネット上でofficeと名乗っていた京都大学研究員の男性が、コンピュータソフトウエア著作権協会(ACCS)のウエブサイト「ASKACCS」に侵入したとして、不正アクセス禁止法違反で逮捕、起訴された事件である。裁判は5月26日の初公判以降、これまで4回にわたって開かれている。
弁護側も検察側も、「office氏がASCACCSのCGIを操作してウエブサーバ内のログデータを閲覧した」という客観的事実については争っていない。争点は、その行為がはたして不正アクセス禁止法に抵触するのかどうかに絞られている。もう少し具体的に言えば、検察側はoffice氏が「アクセス制限機能を有する特定電子計算機であるサーバコンピュータに、アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる指令を入力し、不正アクセス行為をした」と断じているのに対し、弁護側は「CGIはID、パスワードなどの認証はなく、アクセス制御機能はなかった」と反論しているのである。
この争点について裁判所がどのような判断をするのかはかなり興味のあるところだが、いずれにしても結果は判決を待つしかない。その本質的な問題は置いておくとして、この日の裁判で非常に面白かったのは、検察官とoffice氏のやりとりだった。
office氏が何か答えるたび、検察官はあごに手をやり、被告席を時々にらみつけ、そして苦虫をかみつぶしたような声でふたたび質問を投げかける。
「事実関係については争わないんですね?」
「はい、争いません」
「ではASKACCSのサーバログに残っているあなたのアクセス時間と回数については、起訴状別紙の通りで間違いないですか」
「覚えてません」
「でもサーバログに残ってるんですよ? アクセスログが記録されてるのは知ってますか?」
「それは知ってますが、そのログが真正かどうかはわかりませんから」
「じゃあログが真正だと認められれば、内容を認めるんですね?」
「それは……真正だと立証されたら、お答えしたいと思います」
検察官から見れば、のれんに腕押しの答弁というところだろう。逮捕されて被告席に立つのは初体験のはずだが、office氏の法廷闘争は相当にタフである。見た目は真面目な技術者にしか見えないが、逮捕されてからの二十日間の拘留中も、警察官や検察官を相手に技術論争、法律論争を果敢に挑み、結局最後まで折れなかったというから相当なものだ。日本の検察官の取り調べの厳しさは、昔から定評がある。日ごろは威張っている官僚や政治家も、汚職などでひとたび逮捕され、検察官の強烈な取り調べを受けると、思わず泣き出してしまう人も少なくないという話を聞いたことがあるほどだ。
「あなたがCGIを操作していたのは、ACCSやサーバ管理会社が想定していないイレギュラーな方法だったんじゃないですか?」
「本を買った時に、私がカバーをめくって内側の表紙を見たとして、それはイレギュラーなやり方になるんでしょうか? 本を作る側はカバーをめくられるのを意図していないのかもしれませんが、私のカバーをめくるという行為は批判されるものではないでしょう」
突然たとえ話を持ち出して延々と説明し始めるoffice氏に、検察官の表情は激しく苛立ち、そしてとうとう彼は遮って叫んでしまう。
「質問に答えなさい!」
弁護士が「異議あり!」と立ち上がり、裁判長が「検察官、法廷にふさわしくない行為ですぞ」とたしなめ、法廷は混乱した。
検察官はなおも食い下がって質問を続ける。
「あなたのCGIの操作はイレギュラーじゃないんですか?」
「イレギュラーかどうかは私にはわかりません。ACCSにはそれをイレギュラーと思う人もいるでしょうし、そう思わない人もいると思います」
「じゃあそういう操作を意図した人もACCSにはいる?」
「そうかもしれません」
「意図してるんだったら、わざわざあなたが脆弱性を指摘する必要がないのでは?」
「……たとえ話をしていいですか?」
「どうぞ」
「アイスターという会社があって、経営している旅館がハンセン氏病患者の方の宿泊を拒否した事件がありました。そしてこの問題への抗議文を書いた人の住所と名前を、ある時アイスターはウエブで公表してしまったのです。これはアイスターが意図した行為だったと思うのですが、多くの人が抗議して、この行為は是正されました。だから意図していたとしても、指摘することは必要だと思います」
検察官は言葉に詰まってしまった。法廷には十数秒間、沈黙が流れた。
office氏の主張、態度が正しいのかどうかという議論は、別にしておこう。それにしても、ここまで検察官が被告人質問で翻弄されている姿を、私はこれまでに見たことがなかった。
こういう人、増えていきますよね。ITにかかわる技術者はセキュリティや権利についても、コンピュータにかかわっていない人より鋭い感性を持っているし。
その辺を検察側がきちんと理解しているのか、疑問です。
やりとりがおもしろいです。
読みいってしまいました。
いくら知識があっても、相当頭が切れる人でない限りはあのような振舞いはできないと思います。
想定していないんじゃなく想定できなかったが故の欠陥だったわけだし。
想定できたoffice氏と想定できなかったCGI制作者。
どっちに非があるかと言われても。。。。
このブログ結構面白いじゃない
(あいまいな表現でごめんなさい)
「任意の文字列をパラメータとして受け取る」
のが仕様なわけで。。。
そう考えると、CGIの制作者が、「任意の文字列が与えられるという仕様に対して、配慮を怠った」と考えるほうが自然な気がするなあ。
たとえ話をすると、
「NTTに損害を与えるような番号列が電話機から入力可能だったとすると、その番号列を入力したものは罰されるか」
ということで。
「番号を押した奴が悪い」というより
「そんな番号を存在させていたなんて、NTTはなんてバカなんだ」と考えるんじゃないかなあ。
わかり易い例えですね。
どこでもドアを使ったのびたが、しずかちゃんの入浴場面に出会ってしまっても、
覗いたのびたが悪いのかどこでもドアの仕様が悪いのか…
行き先をしずかちゃんちのおフロと指定した以上、
当然しずかちゃんの入浴を期待していたと思われます。
もしドラえもんがのび太くんの側にいたのならば
道具を貸した彼の責任が問われるかもしれません。
むはは
>「NTTに損害を与えるような番号列が電話機から
>入力可能だったとすると、その番号列を入力した
>ものは罰されるか」
>ということで。
損害を与えることをわかっていながら敢えてそうしたんなら、立派な犯罪だと思いますが。
ってのは”悪魔の証明”だからやってはいけない事で、この場合は
「損害を与える事をわかっていた事を検察が証明しなければならない」わけで。
今回の事件と全然関係ないけどナー
まーグレーゾーンの事象の判定だからどっちへ転ぶかわからんけど
もう”法廷技術”の問題であって、少なくとも証拠と立証をぶっ飛ばして
「立派な犯罪だと”思います”が」ってのは論外ではないかナーと(笑
オモロイリンクどうも、あとは2ちゃんでナ。
「電話帳に自分の住所氏名を載せるのを拒否している人の情報を確認できてしまう電話番号が存在していた。」
って事になりますか。
損害の有無にかかわらず、「アクセス制限がかかっている情報に不正にアクセスすることは犯罪」という話なんだよね。
Office氏の件は、「CGI提供者が想定していないパラメータを与えてアクセスした」のは不正なアクセスにあたる、と持っていこうとしてるみたいなんだが。
でもCGIのパラメータというのは「任意の文字列」を想定するのが常識であって。それは電話機が任意の番号列を入力として想定しなきゃならんのと同じ。
だから、パラメータをいじくっている限りは「想定していない使い方」とは言えないんじゃないの?
と思うわけだす。
CGIからアクセスできるならアクセス制限かかっているとは言えないし。
office氏、のらりくらりと逃げるのはうまそうだけどアレを最初から提供されていたサービスと主張(厳密に言えば主張していないが)するのはちょっと苦しいような。
でも、IT技術に関しては、社会通念などというものがあるのかと言われれば何とも言えない。
・・・でもでも、office氏は一応その道のプロでしょ?やっぱりわかってて面白がってやったとしか思えないなあw
どのような目的で彼か行動を起こしたかが焦点になる時が来ると思うが、どのように答えるのかな。
目的にしているのが感じられて不謹慎に感じるなあ。
ある意味ネット上の論争のやり方を法廷に持ち込んでいる感じで
面白いと言えなくもないけど、やっぱりちょっとねえ。
俺だったら「たとえ話だとわかりにくいので直接的な答えをいただけますか?」
と嫌みったらしく言ってやるけど。
office氏の例え話、何回か読み返してもまじで何が言いたいのかわからない。
とありますが、なにか法的根拠はあるんですかね?
根拠のない質問に、2ch流にしょうもないたとえで回答したみたいに見えますよ。
「ACCSに」と言う表現を用いていますが、これを「ACCSのWEBサーバを構築した人たちの中に」とか「ACCSからの依頼でCGIを作成した人(達の中)に」という表現を用いても良いかも知れません。
WEBサーバの構築にあたった人達は、部外者から見たらどのパターンでもACCSですし。
#WEBサーバの構築にあたった人達にそのような意図があった、と断定している訳ではないです。念のため。
セキュリティホールの50%以上は内部犯行という話もあります。MS-Windowsには米NSA用である可能性の高いバックドアが仕込まれていた、というニュースも過去にありました。検証していませんがバックドアは実在する様なので、これが事実なら、MS-Windowsの入っているPCの所有者から見ると“イレギュラー”な使われ方を意図した人がいたことになります。もっと、この件は確かめようがないので結論が出ないですが。
また、ITの世界に限らず、仕組みを作る人とそれを運用する人は別人という状況が殆どと思います。運用者以外の利用者が問題に気づいた場合、その問題点を運用者へ指摘し修正を促すことは、継続してその仕組みを利用する人たちにとって必要ですよね。でないと、どこかのISPみたいに内部の人が情報を引き出してどこかに売りさばこうとする可能性も否定できません。
とは言いつつ、ACCSへ連絡するまでの経緯は道義的にちょっと…と感じるところもあったりします。
そう、質問に答えたのはその部分だけなんですよ。
例え話の下りは間髪を入れずに二段論法を組立てることによって自分の主張を正しいと思いこませたいだけ。
何がしたいのかはわかるけど、例え話と本件とに直接的なつながりが感じられないから結局何が言いたいのかわからない。
ちなみに、法曹界の人って技術論には疎いけどこういうのを見抜く事に関しては長けてますよ。
所謂理系の文章ってのは大抵そういう書き方です。
まず論点Aに対してA´という仮定を作り、その´部分の説明を延々と繰り返してB´という結論に導き、最終的にA=Bである、と位置づける。
これが実際の殺人なんかだと否定されますけど、プログラム分野になると・・・
最も、この論法を使う時点で裁判官の心象は非常に悪くなるのが日本の裁判です。詭弁として扱われますから。
この人もWINNY作者もこういった受け答えだと悪いイメージを持たれそうですね。
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意図している、していないということと、指摘する必要がある、必要がない、ということは、無関係です。意図していたとしても、その意図が良くないことであり、当人が良くないことに気付いていない、または気付いていて何もしない場合には、指摘する必要があります。意図していないとしても、問題の無い行為なら指摘する必要はありません。
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本当に悪意がある人だったらダウンロードするだけして、後からアクセスログみて気付いたとしても手遅れ、っていうのは散々言われたことだね。
なんか、オウムの上祐に通じる感じ。
ディベート得意っぽいね。
いわば、ピッキングをする泥棒をとりしまるためにピッキングを犯罪にして、「この鍵、問題あります。」って指摘した人を逮捕してるんでしょ。
善意を踏みにじり問題を先延ばしにするための法律みたいだ。
被告が同じ論法で理解を求めようとすると「すり替え」とか「心象悪い」って言うのはスジが通らないかと。
ココの記事を読んだ限りでは、検察側の失敗じゃないかな。
「アクセス制限」が有ったのに「それを破って」情報にアクセスした。ことを立証しなきゃいけないはずなのに、「製作者が意図していない」≒「暗黙のアクセス制限」みたいな論法に持っていったわけだし。
>にピッキングを犯罪にして、「この鍵、問題あり
>ます。」って指摘した人を逮捕してるんでしょ。
office氏の場合は、先に個人情報をこっそり取り出してから、それを公共の場で個人情報込みで発表して、それから相手に指摘したので、「この鍵、問題あります。」って指摘した人ではなく、「この鍵、問題あるのでピッキングしてみたらできました」という人を逮捕してるということになります。
>被告が同じ論法で理解を求めようとすると「すり替え」とか「心象悪い」って言うのはスジが通らないかと。
判例は、司法による法律判断の先例なので、単なる例じゃないですよ。office氏が挙げた、本の例やアイスターの例のどこに実際の法律判断があるんですか?
とどのつまり二段論法でしょ?で、二段論法の正当性は過去の法律判断だから保証できる。というだけでしょ。
判例は全てにおいて正しいですか?絶対に覆りませんか?どんな時代でも適応可能ですか?
法律判断が無いと「理解を求めるための例」をあげるのもダメですか?
例を使っているだけで批判されるのはどうかと、その例がこの場合そぐわないとかを突っ込むべきでしょ。あるいはその例の解釈は間違っているとか。
どんな例が出てくるかわからんのに認めた検察の落ち度でしょ。
>とどのつまり二段論法でしょ?で、二段論法の正当性は過去の法律判断だから保証できる。というだけでしょ。
何をもってAとA'とを似たもの、判断を共通化させることが出来るものと決定してるんですか? 判例と言うからには、それらが最低限同じ法律に関する判断である必要があるんですけど。恣意な決定で済むんだったら三権分立の一角たる裁判所は要りません。
あなたが言ってるのは、「AではBと判断されました。」を「CではDと判断されるかもしれない」と並べてるようなもんで完全に的外れです。
Office氏は「ピッキングした」じゃなくて、「別のカギを使ったら開いた」or「適当にがちゃがちゃやったら開いた」 と主張している訳やね。
「普通にドア開けようとしたら開いちゃって、中にこんなのありました。まずいんじゃない?」という主張……ですかね
だーかーらー
私、判例を用いて量刑をつけることを否定してますか?
前にも書いてますが、
>> 例を使っているだけで批判されるのはどうかと、その例がこの場合そぐわないとかを突っ込むべきでしょ。あるいはその例の解釈は間違っているとか。
つまり、二段論法で防御する被告を非難するのでは無く、その二段論法で用いた例を「どういう点がそぐわないか、どういう点がおかしいか。」を非難するべきだと言ってるのですが?
1. 全ての「意図してやっていること」に対しては指摘の必要がない
であり、その否定は
2. 「意図してやっていること」であって、指摘の必要があることが存在する
です。
office 氏は主張 2. を証明するために具体例を出しただけで、極めて論理的ですね。
office 氏自身の行為が問題ないことの根拠としてアイスターの例を使った場合には論理の飛躍といえますが、そこまでは言っていないようですし。
で、被告の行為に問題があると証明する責任は検察側にあるわけで、被告は自分が正しいと証明する必要はない。検察の主張が正しくないと証明するだけでよい。この場合、主張 2. を証明するだけでよい。であれば、office 氏自身の行為と直接関係ない例であっても、主張 2. を証明する根拠として使う限りにおいて、アイスターの例を持ち出すことに問題はない。
それぞれOSIネットワークモデル・クライアント=サーバモデルやプロセス=オブジェクトモデルによって、
「クライアントプロセスとサーバプロセスの間の(電気)通信の仮想回線」や「本件特定電子計算機サーバの特定サーバプロセス(httpd等と、NISだかNetBIOSだかのアクセス制御機構)」に、
「モデル分解化」して考えるかどうかで、立証の手段や複雑さが全く異なって来ると思います。
検察はどうも物理的な「電気通信回線」や「特定電子計算機」でしか考えてなさそうな感じがありますが。
で、被告人はどう考えても事実認識から行為実行および結果のレベルまで徹頭徹尾「モデル分解化」して考えて実行したはずですし、その能力があるのも自明。
裁判官が「モデル分解化」をはしょって、法文の字面だけで判断する事の無いように期待します。
また、それは「判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認」に当たるでしょう。
「意図していたとしても一般常識とのずれが大きければ外部よりの指摘がなされ、
それにより何らかの修正が行われることがある」
程度の意味しか持っていないと思いますよ。
office氏は「是正され」という言葉を使っていますがこれは言い過ぎかと。
そこまで言うには前提が絶対悪でなければならないので。
最終的に「だから意図していたとしても、指摘することは『必要』だと思います」と
「必要」という言葉を織り込んで言い切ったのも大きく飛躍しています。
結局この例えはoffice氏の回答を補足する役目は果たしていないのです。
そもそもたとえ話は問題を分かりやすくするために使用するには効果的でも
主張の根拠としては使えないというのは
世に存在することわざにまったく逆の意味を持つものが多数存在することからして
皆だいだい理解しているはずです。
しかし、今回は問題を逆にわかりにくくするばかりか
自分の主張の裏付けとして利用している様子が伺えます。
そうなれば仮に詭弁と言われたとしても仕方がなく、
相手としてもいちいち真っ向から反論することもないでしょう。
法廷はディベートの場ではないので議論自体は目的ではありませんから。
余談ですが、仮にアイスターの住所名前の掲載の件を絶対悪とするならば、
今回、かなり多くの人が図らずも絶対悪的な行動を起こしてしまっていますよね。
IT関連って法的見解が固まっていないからいろいろ難しいですね。
検察側もその例えの件と今回の件を同様なものとしてとらえているのかどうかを
問いただす行動を起こしたでしょうね。
今回は「策士、策に溺れる」的に思われるので、向き合う必要性は感じられません。
検察なって結局は法律オタク。技術については素人同然。
検察の実力じゃ立証は厳しいでしょう。
Office氏の行動の良し悪しは別問題として、法治国家である以上法律で立証する必用がある。
彼はクレバーです。検察も負ける戦をするよりも素直に現行法の欠点を修正すべきです。
しかし、仮にアイスターの件が office 氏の件と直接関係ない例だったとしてさえ、検察官の主張(質問)
1. 全ての「意図してやっていること」に対しては指摘の必要がない
の反例として使うだけなら、挙げたって構わないのでは?
勿論、この前提は「アイスターの件においては外部からの指摘が必要であった」ですから、もしこの点に問題があるなら、検察はそこを指摘すればよかったわけですね。
相手が A と主張しているときに、「”例えば”かくかくしかじかの場合には A が成り立たない、だからあなたの主張は正しくない(場合がある)」というのは、論理的にも(多分法廷でも)正しいと思うのですが。
まぁ、雰囲気は捉えてるんでしょうけど。
どうどうと、正しいことをしたんだと主張して、結果を受け入れる潔さが全く無い。
これは、Winnyの開発者にも通じる点だ。
はっきり言って、みっともない。
有罪を目の前にして崩れるような信念は信念ではない。自分がいかに見苦しいことをしているのか、office氏には自覚がないのだろう。
office氏が有罪になれば、トンデモ解釈が成り立つって危機感も、
業界にはありますから。
流れの中で見れば到底そんな事を検察は主張しているように見えないのに、あなたはわざと曲解させようとしているね。
そういうネット上の小競り合い的手法は、法廷では通用しない、と言っているのに。
通常において「意図してやっていること」に対しては指摘の必要がない
(そしてあなたも指摘する必要はなかった)
どうしてもたとえ話を使いたいというのであれば、
office氏は「指摘の必要があるケース」と「その理由」を述べ、
「今回の件が同じ理由を持ち指摘の必要がある」ことを淡々と説明するべきでした。
たとえ話は問題をわかりやすくするために使用されるものであると先にも書きましたが、
今回office氏がわざわざアイスターのwebサイトの件を出してきたのもいささか不誠実といえます。
宿泊拒否でヘマをやらかしたホテルのことは9割以上の人が知っていると思いますが、
web掲載の件までは広く一般に知られているとは到底言えません。
今後もそのように相手が知っているかどうか分からないたとえ話で
法廷を翻弄していったとしても、ただ単純に翻弄させる、それだけのことです。
陪審員制のように印象によって大きく結果を左右するわけではないので
まったく決め手にはなりませんし、質問の迂回のためにやっているのだとしても
リスクが大きいと思われます。
仮にある企業のネットワークに侵入して、重要なデータを見たり書き換えたりした場合、そこに偶然迷い込んでしまった時と、意図的に侵入を図った時では、違いがありますよね。当人が「意図があった」と言わない限り、起訴側が犯意を証明する必要がありますよね、きっと。ある建物(コンピュータやデータ)に入るのにドア(アクセス制限)があり、一般常識的に考えると普通の人はドアから建物に入るけど、たまたまドアの上に小窓があったら、そこから入ることが可能でした、と主張できるんでは。ドアや建物の構造上、普通はドアから入ることを意図して作られていますが、小窓を作ってあったのは製作者が入ることを許容して作ったのか、製作者の勘違いのような偶然のミスで作られた小窓なのかは、入っていった者には証明できませんよ、と言う事もできますよね。一般常識では誰もそんな話は信じることはできませんし、不正侵入目的に小窓から入ったことはだいたい想像がつきますよね。でも、刑事責任を問う以上、「小窓から入ってはいけないとは思わなかった」と主張されたら、小窓から入る行為がどんなにイレギュラーな(検察は外来語使わず漢字で話して欲しいな)方法であったとしても、本の表紙の喩え通り罰の対象とはならないんではないか、と主張できると思うんですけれども。民事裁判なら、小窓から入ることが、社会通念上合理的理由はない、と言えると思いますけど、刑事裁判なら合理的理由がないと言うだけでは、犯罪の成立とは証明されないのでは?でも、検察が起訴の踏み切ったのは立証できる見込みがあるからで、法律のプロから見れば無罪主張は無理ってことなんですよね。
検察をやり込めたということで目を引きますけど、裁判上、実のあった反論ではないのかなという気がします。単に検察が気まずい思いをしたというだけで。
陪審員による裁判なら多少の効果があったかもしれませんけどね。
i) ACCS の CGI が「意図してやっていること」ならば指摘は必要なかった
で、その暗黙の仮定として
1. 全ての「意図してやっていること」に対しては指摘の必要がない
を必要としていて、「 1. ならば i) 」という論理構造になってる。だから、 1. を否定すればそれで十分、というのが私の主張だったのですが、今読み返すとわかりにくいですね、すみません。
1' . 通常において「意図してやっていること」に対しては指摘の必要がない
を暗黙の仮定とした場合については少し考えてみます。
一般論として「検察の主張が正しくないことを示すための反例としてならば、無関係のたとえ話を挙げても構わないのでは?」という点には誰も否定してない様に見えますが、これはいいんですか?
で、特に限定する条件がない命題に「全ての」を補うのは述語論理においては当然なので、上掲の「主張 1.」を導いて議論したわけです。
何も補わなければ
1''. 意図してやっていることならば指摘の必要のないことである
なので、 1. が私の曲解と思う方は上掲の私の議論にこちらを代入して解釈して下さい。 1''. の否定も
2. 「意図してやっていること」であって、指摘の必要があることが存在する
なので、結論「office 氏がアイスターの件をたとえ話に持ち出したのは問題ない」は変わりません。
というわけで、私の結論が間違っているとすると、
a) 検察の主張(の前提)を 1'' と解釈するのが間違い
b) 1'' が正しいとしても、その後の議論に穴がある
のどちらかですね。
前提1: 検察の主張の前提は 1''.
前提2: 被告は自分の正しさを証明する必要はなく、ただ検察の論証に穴があることを指摘するだけで十分
前提3: 検察に穴があることを示すためだけに使うならば、争点と無関係なたとえ話を持ち出しても問題ない
の三つから
結論: office 氏がアイスターの件をたとえ話に持ち出したのは問題ない
を導きました。
前提1 は必ずしも同意を得ていないようですが、前提2,3 はどうでしょう。
検察官を言い負かしてしまって、officeさんは大丈夫なのでしょうか。
検察官なんてものになる人は、相当プライドが高そうなので、そういう人相手にやりすぎると、余計な恨みを買ってしまいそうで、とても心配です…
「何言ってるんだ、こいつ?」と思われて不評を買うからではないでしょうか?
それ故、自分の主張を理解してもらうためにこういう言い方をしたのではないでしょうか?
仮に理解できる知識があれば、たとえ話を持ち出さず、しっかり答えたと思います。
小窓の件について書かれてる方もいらっしゃいますが、それについては今回の例とするには前提として
「鍵がかかっていない家には入ってもかまわない」
というのが必要だと思います。
もしくは、小窓の存在によって、この場所が公共の場所になってしまった。
不正アクセス禁止法というのは、鍵のかかった内側が私有地だという法律なわけですから・・・
小窓がわかりにくい場所存在する事がすなわち鍵であるという主張なんでしょうね>検察
今回の争点になるのは単に「小窓を通る行為」が刑法に抵触するのかではなくて、検察側主張の「普通の人はドアを通ることが前提の場合、製作者が誰か通ることを意図して作っていない小窓から入る行為」は違法行為だということですよね。
小窓の存在は通ることを意図して作られたのか、意図しないが出来てしまったのかは、被告には判断しえない、ということです。
そして、「製作者が、”誰かが通ること”を意図して小窓を作っている」と被告が解釈するなら、被告は指摘する必要がないはずである、しかし指摘したということは「製作者が、”誰かが通ること”を意図して小窓を作ったわけではない」と被告が解釈したからである、というのが検察の主張ですよね。
つまり、(製作者が)「意図している」ならば(必然的に)「指摘しない」という前提から、「指摘する」ならば「意図していない」と推論されると言っています。よって検察は、被告は「指摘する」だったのであるから「意図していない」と解釈したに違いないと、問い詰めたんですね。
ところが、被告はもとの前提「意図している」なら「指摘しない」の反例として、第二の喩えを用い、「意図している」でも「指摘する」の場合があると述べていると思うんですが。
ドアでも小窓でも中に入ったら犯罪となるなら、鍵があろうが無かろうが関係なく、「入った」ことを実証すればよいので、防犯カメラの映像(この場合はログでしょうか?)を提出し映っているのが被告であることを証明すれば簡単です。しかし、文脈からすると入るだけでは犯罪ではなく、「ドアから入る」ならOKと思われ、そして、小窓から入ったらどうなの?っていうことでしょ。検察はドアがあるんだから、普通はそこからはいるでしょ、と言い、被告側主張は優秀な技術者なら(一般人は分らなくても)小窓は分るし、通るために作ったのかもしれないと思ったので通りました、ってことでしょ。
検察はこの「通るために作ったかもしれないと思った」という主張を突き崩すため、「意図している」なら「指摘しない」の理論を持ち出してきたんじゃないでしょうか。
コンピュータに詳しい優秀な人間なら、凡人が小窓と思っても、小窓でなく両開きドア(普通の人は片側しか通れないけど、もう一枚のドアからも入ることができる)くらいに見えても不思議はない、ってことを検察に説明しても、理解してもらえなかったのかもしれませんし。
>一般論として「検察の主張が正しくないことを示すための反例としてならば、無関係のたとえ話を挙げても構わないのでは?」という点には誰も否定してない様に見えますが、これはいいんですか?
これも高校数学レベルで間違っている、というか前提条件に不備があって
意味を持たない。
たとえ話が無意味だとわかっているのにまたたとえ話で論理を展開。
実りが少ないですね、ネットって。
が、なんで裁判中に本件の前提条件を全てすっ飛ばして命題の提起をしたと考えるのだろう。
あの場面で検察が突然「ディベートごっこ」をしたいと考えた人が
いるとならば、もう世間知らず以上のアレだとしか言いようがないっす。
よければ、どの前提にどのような不備があるのか教えてくれますか?
純然たる興味から訊くのですが。
まともに質問に答えようとしない。
直接的でない、間接的事実の積み重ねにより自分の正しさを証明しようとする。
どちらの観点から見ても彼の言動は詭弁を弄して法廷の人間を錯誤に陥らせようとした行為、
と言わざるを得ないでしょう。
彼がスタンドプレーをしていたのならば弁護士がきつくお灸を据えているはず。
無関係な個々の事実と言い切ってもよい。
別に私は自分が間違ってても構わないので、説得力の有る理由があれば教えてくれますか?
この裁判と関係ない一般論になってしまうので、興味のない方には申し訳ないのですが。
ただしそのたとえ話は絶対に揺るがないものでなければならない。
その文章の中には否定する対象(「A→B」の部分)が定義されていない。
それだけのことです。
興味とか一般論以前にあなた論客として不相応な知識しか持っていないようです。
甘えないで。
その一方で、理系の考えに凝り固まって「演繹と帰納」云々言っている人もいるようですが
自然界の出来事が数学的方法で本気で語れると思っている人間がいるとしたら
これも相当に痛々しい。
テストの問題なんかでも「真空であることを条件とする」といった感じに
特定の条件に制限してはじめて答えが出せるもの。
現実には様々な要因を無視する事なんて出来ない。
よっぽどの○○でない限りそんなこと分かってるはずなのに
知っていてそれをやるから悪意のある詭弁だととらえられるんですよ。
> その文章の中には否定する対象(「A→B」の部分)が定義されていない。
「その文章」というのが何を指すのか不明瞭なのですが、私がカギカッコ内に書いた文章(前提3)のことですか?
一般論で「検察の主張」と書かずに具体的な命題を定義してなければならなかった、と言いたいのでしょうか?
私は先に前提2,3 として書いた程度のことなら、一般論で済むと思ってますが、そうは思わない人もいるのですね。
百回読んでね
無知を棚に上げたあるいは無知を装った質問の多用も含めて。
自分では正しいと確信している意見を表明して、賛同されれば良し。もし間違いだと指摘されたら、どこがなぜ間違っているかを明らかにして自らの過ちを正し、あわよくば、その過程でありがちな勘違いや盲点を明らかに出来れば私以外の人にも資するところがあろう
というものです。
だから「お前は間違っている。理由は自分で考えろ」というつもりなら、質問を止めましょう。
私の「発言の意図を誤解されていたらイヤだ」というエゴを充足するだけのコメントを投稿してしまって、本当に申し訳ないのですが。
不正なアクセスの概要として判りやすく表現されている文章はこのURLを見て頂ければわかるかと思います。
http://www.atmarkit.co.jp/aig/02security/unlawfulaccess.html
今回の裁判における論点は果たしてコレにoffice氏の行為が当てはまるのか否かという部分で、検察が被告に対し質問を行っているという前提部分を欠いての論争に、このコメント欄ではなってしまっているように思います。
例え話を使い、専門用語の理解が甘いであろう裁判官に対し理解を求めるというのは裁判上のテクニックとしては、確かに褒められた形ではないものの、無益な手段ではないと思います。その妥当性はともかくとして、自己の主張を通すという意味で、自ら選択し発言している以上、妥当性の有無等は(裁判という視点から考えるならば)論ずる必要の有る点では無いかと思われますが…。
Office氏にすれば、自分が行った行動は既存の慣習に従った「普通」(あるいは正しい)の行動で、新参者のACCSや検察が「悪」としようとすることに対して普通に考えを展開しているだけだよ、たぶん。
文型オタオヤジ系の人間には、技術系人間が多分に持ち合わせている「気質」がまったく理解できないばかりか踏みにじって当然と考えている、のかもしれませんね。心無い連中。ひでえもんだ。
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