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ジャーナリスト。1961年生まれ。大手新聞社で警視庁捜査一課、遊軍などを担当し、殺人事件や海外テロ、コンピュータ犯罪などを取材する。その後、1999年10月、アスキーに移籍。月刊アスキー編集部などを経て2003年2月に退社。現在フリージャーナリストとして、週刊誌や月刊誌などで活動中。
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Vol.33 Web2.0的信頼の構築

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佐々木俊尚の「ITジャーナル」
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 心膜嚢腫の手術でしばらく入院していて、更新が遅れてしまった。この間にニッポン放送株をめぐる問題は次々に展開し、あっと驚くような展開を迎えている。まさかソフトバンクインベストメント(SBI)の北尾吉孝社長が登場してくるとは、想像もしていなかった。

 北尾氏は、光通信の重田康光会長と並ぶ日本のネットバブルの張本人である。

 野村證券出身の北尾氏はかつて「北尾天皇」「将来の社長候補」とも言われ、同社のメインストリームを歩んでいた人物である。1994年、ソフトバンクが新規株式公開(IPO)を行った際、主幹事証券である野村證券のソフトバンク担当者だったのが北尾氏だった。その手腕に惚れ込んでソフトバンクの孫正義社長がスカウトし、北尾氏は翌年野村證券を退社し、ソフトバンクに常務として入社する。

 孫社長はIPOで2000億円近い資金を市場から調達し、この資金を元手に90年代後半にかけ、憑かれたように投資ビジネスへとのめり込んでいく。「時価総額極大化経営」と呼ばれる戦略である。記者発表会をひんぱんにひらいては新事業のプランをぶちあげて株価を高騰させ、その高い株価をバックに資金を調達して企業買収を進めていくというその経営手法は、「発表会経営」と揶揄されたりもした。

 孫社長は卓越したビジョナリーだが、決して実務の人ではない。そしてこの時代、孫社長の「時価総額極大化経営」というビジョンを実現するため、ありとあらゆる戦術や手法を駆使して辣腕をふるったのが、北尾氏だったのである。

 ネットバブルの絵を描いたのは孫社長だったが、実際にネットバブルを隅から隅まで演出したのは、北尾氏だったといえる。途方もなく大きな時価総額をバックにソフトバンクがカネをかき集め、そのカネを北尾氏の率いるSBIがネットベンチャーにばらまいたのだ。

 だがネットバブルは2000年春にあえなく崩壊した。

 ソフトバンク、SBIともども苦境に陥った。バブル崩壊によってどのネットベンチャーも伸び悩み、投資の回収が止まってしまったからである。

 そしてソフトバンク本丸はこの状況を打開するため、乾坤一擲の大勝負に出た。投資ビジネスから離れ、Yahoo!BBを中心とする通信ビジネスという実業へと転向したのである。そしてその「通信ビジネス」という孫社長のビジョンを実現するため、北尾氏に代わって登場したのが、めたりっくグループ出身の宮川潤一・フトバンクBB常務だった。「ビジョナリー-実務家」のカップルが、組み替わったのである。

 以降、ソフトバンクは宮川氏を中心にして通信ビジネスへと突き進んでいくことになる。当初は1700億円という膨大な社債の償還の不安に駆られ、しかもYahoo!BBのパラソル部隊の営業コストがかさみにかさんで相当に厳しい状況にあったが、しかしNTT東日本を越える圧倒的な普及率をバックに、ソフトバンクの通信ビジネスは投資家からも評価を得られるようになる。資金的なメドもたつようになり、一時の危機は完全に脱した。そして同社は現在では、日本テレコム買収、携帯電話への参入へとすすみ、NTTと互角の通信総合企業へと脱皮しつつある。

 実業へと向かったソフトバンクが、北尾氏の率いるSBIとは一定の距離を置くようになったのは当然の帰結である。両者の路線が分かれたころから、孫社長と北尾氏の間には「不仲説」がささやかれるようにもなった。だが不仲なのではなく、それは単純に経営路線の決別だったのではないか。徐々に別の経営戦略、別の企業風土を持ったまったく異なる企業グループへと分かれていったということなのだろう。

 一時は苦境に陥っていたSBIだが、2003年ごろから急激に復調するようになった。ブロードバンドの普及を背景にネット業界が息を吹き返し、投資先から資金を回収できるようになったからである。そして北尾氏は「これからはネットビジネスの第二ステージがくる」と宣言し、2004年ごろから新たなファンドの設立を積極的に手がけるようになってきている。

 その戦略の一環として、今回のフジテレビとの協業は非常に納得できるものだ。フジテレビから200億円を引っ張り出してブロードバンドコンテンツ関連ベンチャーに対する投資を行い、しかもフジテレビの「目利き」を出資にうまく利用するという手法は、SBIの経営戦略にすっぽりとはまっているように見える。

 一方で、ソフトバンク本体の狙いは明確ではない。同社はかつてBBケーブルやイーズ・ミュージックなどでブロードバンドコンテンツビジネスに参戦したことがあるが、いずれも不調に終わっている。しかも同社は今や立派な通信総合企業であり、通信業界において地歩を固めることが最優先課題となっている。今の時点で「昔の夢をもう一度」作戦に打って出るのは、同社にとっては得策ではないように見える。

 今回のSBIの行動について、孫社長がどのように関与したのかは明らかになっていない。北尾氏は「孫さんは関係ない」と否定している。そのコメントが正しいのかどうかはわからないが、両社をとりまく現在の状況を見る限りでは、今回のニッポン放送の件は北尾氏の単独行動ではないかという気もする。
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 中国に進出している日本企業の間では、ビジネスソフトの不正コピー利用が大きな問題になってきているという。

 不正コピーというと「あいかわらずアジアでは著作権意識が低くて……」という話と思われるかも知れないが、実はそうではない。中国企業が日本のソフトの著作権を無視しているというのではなく、日本企業の従業員たちが、ビジネスソフトを不正コピーして使っていることが問題になっているのである。

 先日開かれた社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)総会で、ソフト開発会社クオリティの浦聖治社長が以下のような話を紹介していた。同社は2002年から上海に進出している。

 「いま上海の日系企業がたいへん苦労していることはふたつあります。ひとつは違法コピーで、もうひとつは情報システムの維持管理」

 「違法コピーに関して言うと、先日も日系企業でこんなことがありました。従業員約300人の現地法人です。この会社にある日突然、上海市政府から電話がかかってきて、『おたくに違法コピーがあるそうなので、調査におうかがいしたい』という。間もなくやってきた市担当者は、アメリカ系のビジネスソフト企業担当者を連れてきているんです。そして『あなたの会社はこのビジネスソフトをこれだけ違法にコピーしてますね』と、違法コピーの正確な状態を示している詳細なリストを見せ、『もし正式に使うのであれば、これだけの追加購入が必要です』という見積書まで持ってきていました」

 もちろんこの日系企業は上海市政府の申し出をありがたく受け入れ、ライセンスを追加購入して事なきを得たという。

 「上海市政府にどうしてこれだけ克明な情報が入ったのかといえば、推測にはなるけれども、おそらくは不満を持って辞めた社員が退職前に克明に調べておき、当局に通報したのではないかと思われました」

 優秀な技術者がまだ数少なく、しかも起業志向の強い中国では、人材の流動化は日本と比べものにならないほど激しい。優秀であればあるほど欧米系の企業などに流れてしまうケースが少なくなく、日系企業はあまり人気を集めていないのが現状だとされる。オラクルの中国担当幹部に取材したことがあるが、その幹部も次のように説明していた。

 「せっかくいい人材を日系企業が採用しても、少し経験を積むとすぐに退職して独立してしまうんです。他社からヘッドハンティングされて引き抜かれるケースもある。日本的な仁義のある世界ではないから、プロジェクトの途中だとか会社に恩義があるだろうといった日本的な発想はまったく通用しない」

 また先述の浦社長は、こう説明していた。

 「当初はきちんと従業員人数分のソフトを購入しても、中国市場は爆発的な成長を遂げているから、現地法人も人数がどんどん増えてしまう。途中できちんと正規品を購入すればいいのだが、現地のマネジャーが『とりあえず』と不法コピーして使っているうちに、収支がつかなくなるまでに不法コピーが増えてしまう。こうなると本社に『正規品のライセンスを購入したい』と稟議を出しても、『ずっと放置しておいて、今さら何をやってるんだ』と怒られてしまうから、現地法人側はなかなか言い出せない。おまけに『せっかくコスト削減のために中国に進出したのに、どうしてそんなにカネがかかるんだ?』などと嫌みを言われることもある」

 話を戻そう。

 クオリティの浦社長が指摘するようなケースが、いま上海では続発しているという。日系企業が次々と、ビジネスソフトの不正コピーで当局に摘発されているというのだ。

 それにしても、いったいなぜ日本企業なのだろうか?――そんな疑問を持つ人は少なくないだろう。そもそも東アジアでの著作権違反といえば、中国企業の著作権意識の低さが最大の問題ではなかったのか。

 実際、中国企業の手法は過去にもさまざまなトラブルを引き起こしている。米国製ビジネスソフトの中国語海賊版があいかわらず多数出回っているのは有名な話だし、日本企業も自社製品を勝手にコピーされ、ひどい目に遭っているケースが少なくない。

 この件について著作権に関わる業界の関係者に聞いてみた。彼は「これは政治的な問題だ」と前置きし、次のように説明してくれた。

 「中国政府も、自国企業の著作権意識の低さについては頭を悩ませている。もちろん積極的に摘発を進める意志はあるが、一朝一夕にそうした文化がなくなるわけではない。その一方で、欧米や日本からは違法コピーの問題をさんざんに追及され続けているわけです。そこで中国政府が考えたのが、他国から進出している外資企業の現地法人をやり玉に挙げ、『そうやって中国を批判しているが、おまえのところの国もひどいことをしているではないか』と反論するという戦術だった」

 要するに日系企業が摘発されているというのは、スケープゴートに過ぎないのだという。

 とはいえ、だからといって日系企業現地法人の著作権違反が許されるというわけではない。つけ入れられる隙を与えないよう、万全の体制を取るしかないようだ。

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先日わたしがこのブログで書いた「かつて、キュービーというベンチャー企業があった。」という記事に対して、「書かれている内容は事実と異なる」という反論をコメント欄でいただいた。匿名でコメント欄に書かれている方に対して、わたしは「それが事実であればたいへん申し訳なく思っている。取材を差し上げて記事化したいので、ご連絡をいただければと思う」という内容のコメントを書いた。

 しかし残念ながら、いまだにどなたからもご連絡をいただいていない。

 わたしは再度SENTIVISIONの明瀬洋一氏に取材し、コメント欄に書かれている内容について聞いた。それに対して明瀬氏は、このブログに転載することを認めたうえで、コメントを寄せた。以下はその全文である。

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 閲覧者のみなさん、はじめまして。そして、旧キュービー関係者のみなさん、ご無沙汰しております。明瀬洋一です。今回、佐々木俊尚氏の「ITジャーナル」にエントリーされた私に関する記事に対して、様々な発言が寄せられていることを友人から聞き、先ほどこれまでのコメントを読ませていただきました。受けた取材がブログという形で公開されたことは佐々木さんからうかがっていましたが、1か月半の間にこのような反応があったことは知りませんでした。それらをふまえて、この場を借りて、私の意見を述べさせてもらいます。

 まず最初に、元キュービーの社員のみなさんに謝罪させていただきます。経営上のごたごたにつきあわせた上、突然の解雇を言い渡すなど、本当にいろいろとご迷惑をおかけして申し訳なかったと思っています。当時のキュービーの失敗は残念ながら私の力不足のせいだったと言わざるを得ません。そして、もちろん、VCはじめ個人投資家のみなさんに対しても協力してくれたことへのお礼と、うまくいかなかったことへの謝意をつねに忘れることはありません。VCには「大損」させてしまいましたが、彼らとは合意のうえ、会社を清算し融資の返済(微々たるモンでしたが)に充てさせていただきましたし、その他取引会社の債務も、経緯を説明して支払いを分割にしてもらったりしてあれからずっとコツコツ返済しています。見捨てずに見守ってくれてきたみなさんと一緒に、いまも私たちは相変わらずVOD事業の片隅でがんばっています。

 さて、エントリーに対するコメントに関しましては「元社員」を名乗られる方の内容には一部、事実と異なる部分があります。もちろん、事実もあります。そして、私に対して不快を表している方には、そういう気持ちになるのも無理はないな、と感じています。ただひとつだけ私が言いたいのは、ベンチャーはリスクを取らなければいけない、ということです。そして、あの頃の私たちキュービーがネットバブルに浮いた「ビジネスプラン」だけの会社でなく、技術力を持った製造会社でもあったため、リスクがさらに高かったということです。高いハードルを越えられなかったのではなく、超えるのに予定より時間がかかったことから事業が立ち後れ、経営不振に陥ったのは事実ですが、それを「詐欺師」と呼ばれるのは納得できません。

 キュービーが事実上の倒産に至り、社員が離散したのは先述の通りですが、結局、いま私が経営している会社をここまでにしてくれたのもキュービーの元社員と元エンジニア(ポーランド・チーム)、そして、当時からの社外協力者のみなさんです。おかげさまで、現在、そのSentivision社の事業は順調に運んでいます。

 また、今回の「ITジャーナル」のエントリー記事は、私たちの動向をStarDSL社立ち上げから5年来、ウォッチしてくれていた佐々木さんが、自らの情報力によって、Sentivision社を探し当て(秘かにやってるわけではないのですが、なにしろ会社が小さいので)、直接、取材を申し入れて下さいました。結果として、文章になった物が「美談」という印象を与えるなら、それは恐らく、必死こいてやってる私(実際、凄く大変)に共感してくれた佐々木さんの気持ちが言葉に出ているのかもしれません。しかし、それはあくまで印象であり、内容は98%事実です。(2%については後述します) 冷静で客観的な通りすがりの読者には、まさに「単なるいい話ですね…」程度の話で、世の中にはもっと苦労され、這い上がった人もいるわけで、私本人は、美談なんてとんでもないと思ってます。(というか、まだ、本格的に再起してませんから)

 それから、反論するのもバカバカしいですが、コメントを信じる人がいないともいえないので、一応断っておきます。私はそっち方面に疎いので、佐々木さんのお名前も知りませんでした(失礼しました)。もちろん、金品をお渡しして取材を依頼した事実もありません。「いくら貰った」とか書かないでいただきたいです。ただ、いまのオフィスはエレベーターがない4階で会議室もトイレもないので、近くのオフィスビルのコーヒーラウンジで取材をしてもらい、その際のコーヒー代だけは私が払いました。

 それから、コメント中の事実に反する部分に対していくつか、自分なりの反論(言い訳?)をしておきます。

・「明瀬氏が会社の金を個人的趣味(バイクレース、夜の飲食)につぎ込んだ」

 当時の年俸800万円の中から「つぎ込みました」。また、自分の持ち株の一部売却益もありました。独身だったので趣味に使う余裕はありました。バイクのレースといってもその当時は250ccの中古のバイクを使ったアマチュアレースで1レースにかかる費用はタイヤ1セットで3万程度を2セットとガソリン代そして交通費程度です。ただレースというと派手なイメージがあるので一部の社員には無茶なことをしているという風に見えたのだと思います。私はモーターサイクルレースを愛しています。もちろん会社の騒動の間は活動を休止していましたが現在は再開しています。大阪のバイク屋さんに応援してもらって鈴鹿8耐を目指してます。ただし、危機管理の観点から、経営者にとって好ましくない趣味であることは認識しています。夜の飲食は、社内社外の人とのつきあいです。ベンチャーなんだから飲食交際費は全額自腹だ、という考え方もあるかと思いますが、夜遅くまで働いてくれているスタッフたちとの飲み食いは仕事の要素が強いので経費にしました。コメント中の「やきにく」も深夜食として計上していたと思います。主に原宿の「げんかや」です。かなり安い店です。社外の接待に関しても経費にするものがあったのは同様です。

・「会社にビールサーバーがあった」

 ありました。当時のCTOがアル中気味でアルコールが入ったほうが働きが良いという人で、他の社員と相談してレンタルしたようです。ある日、私が海外出張から戻ったら、新しいサーバーがある、と言われました。何ギガ?と聞いたら10リットルと答えた、というのが、社員たちのネタでした。社員には好評でしたが、投資家に言わせれば、非常識です。経営者として、それを許していたのは反省してます。ちなみに、私はアルコールが一滴も飲めません。だからといってまじめとは言えません。どちらかというと遊び大好き人間です。

・「数人の社員に対して即日指名解雇 その1ヶ月後には社員全員が解雇」

 事実です。しかし、経営危機の会社が通らざるを得ない道だと思います。会社が存続できないのですから、雇用はできません。ただ、あの時のやり方や言い方はひどかったな、と今は反省しています。3億数千万の借金でかなり「てんぱって」いたのも事実です。すいませんでした。コメント中「直前解雇の保証」にふれている人がいましたが、給与等の未払いに関しては今後、誠意を持って対応していこうと考えておりますので私宛てにご連絡ください。 akase@sentivision.com までお願いします。

・「VCに関して」

 基本にはほぼ事実ですが先述の2%の誤りがあるとすれば、「VCは胡散臭い人物まで同席させるようになり」という部分です。この部分は私の記憶違いで、いま思い出すと「同席」はしていなかったかもしれません。ただ、この人物が代表する会社との取引に関して、キュービー側にかなり執拗に代表者の個人連帯保証を要求したり、この会社を推薦したキュービー社内の人間の立場などを考えるとVCとの繋がりを想像せざるを得ない状況でした。ちなみに「胡散臭い」とか「大声で恫喝する」といっても「や○ざ」ではなく、SEの会社の社長さんだったと思います。

 小さな会社でしたが中枢にいたのは私を含めて2人だけでしたので、経営に関する事実を知っているのはこの2人だけです。ですから、反論したいところはまだまだありますが、ブログを無駄に伸ばすことになりかねません。それに私としてはできれば、書き込みをした本人と直接会って話をしたいのです。

 最後に、私としてはこのブログという場で色々と意見を述べていただいていることを本当に嬉しく思っています。元キュービーの社員の中には二度と私と関わりたくない人もいると思いますが、私の方はキュービーに関わってくれたみなさんとまた話がしたいです。ぜひ連絡ください! また、佐々木さんに元社員サイドを取材して頂くことには私も賛成ですので、佐々木さんにだけでもご一報下さい。

 そして、通りすがっただけの方は、よくあるベンチャーのもめごとかと思われるでしょうが、当時のキュービーのスタッフは全員、本当にやる気のある素晴らしいチームだったんです。みんなで目標を高く置いて頑張っていましたが、経営がうまくいかなくなったために、後味の悪い残念な別れ方をしなければならなくなったんです。このブログで発言されている「キュービー元社員」を名乗る方々の声は、世の中にたくさんいる失敗したベンチャー企業の元社員の声を代弁しているかもしれません。私は今後も経営者としてやっていかなければなりません。彼らの意見を真摯に受け止めてこれからに生かしていきたいと思っています。ご指導ご鞭撻、よろしくお願いします。
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 「テレビとインターネットは全然別のものですからね。そう簡単に融合というわけにはいきませんよ」「テレビは独自の世界で、オープンじゃないですからからね」――。

 三年ほど前、テレビ業界に集中的な取材を行ったことがある。取材テーマは、「テレビはインターネットとどう融合するのか」。IT業界の側ではさかんに「将来はネットがテレビを呑み込む」「インターネットとテレビは融合していく」と語られているが、放送業界の側ではそれらの意見をどう受け止めているのかを聞いてみようと思ったのだ。

 テレビ局幹部には、上に紹介したようなことを言う人が多かった。遠い将来にはネットと融合するのかも知れないが、今のところそれはあくまで遠い未来であり、現状を見ればネットの世界とテレビの世界にはあまりにも隔たりが大きすぎる――というのが、テレビ業界の一致した見方のようだった。

 これは三年ほど前の取材で、ブロードバンドがちょうど爆発的に普及し始めていたころの話である。あれからブロードバンドはすっかり日用品となり、ネットは生活のすみずみにまで浸透した。だからいまの段階で取材をし直せば、また違った意見がテレビ業界からは得られるのかもしれない。

 だがそれにしても、相変わらずテレビ業界とネット業界の隔たりはきわめて大きいように思う。フジサンケイグループがライブドアに対してあれほどまでの拒否反応を示すのは、堀江貴文社長というキャラクターを気にくわないという単純な理由からだけではないだろう。

 堀江社長はネットで配信している所信表明ビデオやメディア各社からのインタビューで、テレビ・ラジオとの提携によるシナジー効果についてさまざまに語っている。

 その論を簡単に説明すれば、インターネットにはこれまでのテレビやラジオが持ち得なかった特質を持っている。それはオンデマンドとニッチ、インタラクティブという3つの要素で、マスコミはこれらの特徴を採り入れることで、これまでの欠点をカバーできるのではないかということだ。

 オンデマンドは、テレビ番組を視聴者の側が好きな時間に見られる仕組みであり、たしかに現在のテレビ業界は一部の短いニュースをのぞいて実現できていない。またマスを相手にするテレビ局はどうしても最大公約数的な番組作りを行わざるを得ず、ここまで消費者のニーズが細分化された時代に、それらのニッチなニーズに対応できるすべを待ったくっ持っていない。そして当然のようにテレビは片方向的で、BSデジタルなどではわずかに行われてはいるものの、視聴者との間の双方向性をきちんとは実現できていない。

 そしてこれらのマスメディアの欠点は、たしかにインターネットではすべて実現できる。その意味で堀江社長の主張はきわめてわかりやすく、ネット業界で一般的に言われているメディアの将来像に沿ったものでもある。ただこうした将来像が本当に正しくビジネスとして成立するかどうかは、まだだれも実現できてない以上、現状では単なる予測でしかない。

 さらに、これらの論理はあくまでネット業界のロジックである。このロジックが果たしてテレビ業界に理解されているかといえば、かなり疑問といわざるを得ない。

 たとえば堀江社長はライブドア公式サイトで配信している所信表明ビデオで、こんなふうに語っている。

 「放送局側がこれまで持っていたジレンマは、インタラクティブ性がないために視聴者にダイレクトにつながっていなかったことです。顧客は番組をただ観るだけで、放送局は顧客のデータベースも持っていないし、実際のところ顧客がどんなふうに思っているのか、どのようにテレビを見ているのかということを調べ切れていない。だが顧客のアカウント(註:ポータルサイトで発行するIDのこと)を発行して放送局がそのデータベースを持つことで、いろんなビジネスが生まれてくるし、このビジネスは顧客の側にも役立つんです」

 ポータルサイトのあるべき姿を論じた主張としては明快きわまりなく、曇りもないが、しかしテレビ業界にはこの論理は伝わらないだろう。なぜならテレビ業界で言う「顧客」というのは視聴者ではないからだ。放送局の顧客は今のところ、どこまで言ってもスポンサーである大企業でなのである。視聴者は視聴率で表されている単なる数字でしかなく、放送局には視聴者ひとりひとりと向き合って何かをしようという考え方はまったくない。彼らには視聴者とのインタラクティブなどたいして興味のある対象ではなく、知りたいことは「この番組がどの程度の視聴率を取れるのか」ということだけなのだ。

 極論すれば、日本の民放局というビジネスはB2Cではなく、B2Bなのである。

 この放送局の考え方がいまだもって揺るがないのは、数字で裏打ちされているからだ。前回も書いたが、放送業界の広告市場は2兆円強。インターネットの広告市場は増えたとはいえ、わずか1800億円。もっと具体的に見てみれば、フジテレビの年間売上高は4550億円もあり、このうちの放送収入は3000億円にも上る。一方のライブドア。昨年9月期の決算を見れば、年間売上高は300億円あまり。さらにポータルサイトの売上だけに絞れば、わずか30億円強しかない。フジテレビの100分の1である。

 フジテレビから見れば、ライブドアがいくら「ネットとのシナジー効果がある」と力説していても、「なんだわずか30億円増えるだけなの?」ということになってしまうだろう。これではフジテレビ側が提携に対して食指を動かすとは思えない。

 著作権の問題もある。堀江社長は「韓国では放送局がネット企業になりつつある。番組の放映直後にオンデマンドで同じ番組がネットで見られるようになっている。スポンサーの問題さえクリアすれば本当はいいわけです」と話しているが、日本ではスポンサーの問題以外に、著作権ホルダーの権利をどう処理するかという難題が立ちはだかっていて、番組をネットで二次利用する枠組みがいまだに確立していない。

 一年半ほど前に、テレビ番組の著作権処理に取り組んでいるある政府系の外郭団体を取材したことがある。この団体の幹部は、次のように話していた。

 「放送局自体は巨大組織だが、実際に番組制作に携わっている人々は多くは零細企業の社員で、中には個人事業主の人もいる。経理・総務担当の女性がひとりいるだけ、というケースも少なくない。テレビ局や番組制作会社との契約も、多くが『電話一本による口約束』という商慣行になっている。インターネットでの二次使用どころか、最初の契約書さえ交わしていないのが大半だ」

 まったくIT化されていないのである。原因はさまざまにあり、過去の経緯も引きずっているのだろうが、ひとことで言えば、放送業界が免許事業として政府から保護され、護送船団の中で既得権益を享受してきた業界であるということがすべてを阻害している。わざわざITなどという怪しげなところに足を踏み入れ、ネットでの二次利用のことなどを考えても、限られた枠を皆で分け合っていけば十分に食べていくことができるからだ。

 いずれはそうした保護行政は消滅し、著作権の処理も行わなければならない状況が生まれてくると思う。いずれは堀江社長の言う将来像のとおりになっていく可能性はあるだろう。だが現状のところ、放送業界の側は、現状に甘んじていて、堀江社長の言い分など聞く気は毛頭ない。

 それはたとえて言えば、恐竜と小型ほ乳類みたいなものである。恐竜はいずれ滅びることを運命づけられているとはいえ、いまだに栄光の大恐竜時代の最後の残滓を謳歌している。いつ滅びの日が来るのかは、誰にも分からない。明日かも知れない。でも恐竜には、それがいつやってくるのかは分からないのである。

 それに対してネズミやリスのような小型ほ乳類が「おまえらはもうすぐ滅びるんだぞ!」「いずれは俺たちの天下になるんだぞ」とかみついたとしても、恐竜の方は何の痛痒も感じていない。「うるせえなあ」と小型ほ乳類を後ろ足で引っかけ、遠くに投げ飛ばしてしまうだけなのである。
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