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ジャーナリスト。1961年生まれ。大手新聞社で警視庁捜査一課、遊軍などを担当し、殺人事件や海外テロ、コンピュータ犯罪などを取材する。その後、1999年10月、アスキーに移籍。月刊アスキー編集部などを経て2003年2月に退社。現在フリージャーナリストとして、週刊誌や月刊誌などで活動中。
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Vol.33 Web2.0的信頼の構築

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佐々木俊尚の「ITジャーナル」
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 コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)を舞台にした不正アクセス事件の第5回公判が11月下旬にあった。専門家の意見ということで、北陸先端科学技術大学院大学の篠田陽一教授が弁護側の証人として出廷した。

 結論から言えば、篠田教授の主張は「office氏の行為は不正アクセスには当たらない」というものだ。その論拠として教授は、次の2点を挙げた。

 まず第1の論拠は、不正アクセス禁止法をめぐる新たな解釈である。同法では、「アクセス制御機能を有する特定電子計算機」のアクセス制御を回避してサーバにアクセスすることを禁じているが、この「特定電子計算機」というのは物理的なマシンを指すのではなく、FTPやHTTPなどのサービスを指している――と篠田教授は指摘した。

 この裁判で検察側は「問題のWebサーバがFTPでID、パスワード認証されているのにも関わらず、office氏はこれを回避してHTTPプロトコルを使ってCGIを操作して侵入した」と断じている。しかしFTPサービスとHTTPサービスは互いに独立したまったく別のもので、FTPでアクセス制御機能があるからと言って、HTTP経由でアクセスすることは不正アクセスにはならないだろう、というわけである。

 もうひとつは、CGIをめぐる問題である。検察側はCGIの不正な操作で侵入したと言っているが、そもそもCGIにはアクセス制御機能がなく、ウェブブラウザのアドレス欄への文字入力という方法でCGIのソースを改変したとしても、それは犯罪ではない――と篠田教授は指摘した。

 弁護側の主尋問に対してわかりやすく説明されたこれらの論理は、きわめて理路整然としており、瑕疵はないように思えた。

 となると、興味深いのは、検察側はどう反対尋問を展開するのだろうかということだ。果たして篠田教授の論理を突き崩すことができるかどうか。

 だが検察官は、思いもよらない方法で質問を切り出した。こう聞いたのである。

 「その考え方は、不正アクセス禁止法とは矛盾しませんか?」

 要するに篠田教授の論理は、不正アクセスという言葉の新しい解釈とでもいえる論理であって、そうした新解釈を行ったら、現行の不正アクセス禁止法と矛盾を生じてしまう可能性があるのではないか? 検察官はそういうことを質したのである。

 しかし篠田教授はネットワーク技術の専門家だから、法律のことを聞かれても当然答えられない。当たり前である。答に窮している篠田教授に対し、検察官は「これは法律論になってしまいますが」と言いながらも、こう畳みかけた。

 「その考え方と不正アクセス禁止法が矛盾していないという検証は、行っていますか?」

 藪から棒にそんなことを言われても――おそらく篠田教授は、そんな受け止め方だったのではないか。

 しかし日本の裁判所というところは、今のところは少なくとも、技術論争をする場所にはなっていない。技術的に正しいかどうかということではなく、それが法的に正しいかどうかを問われる場所なのである。

 篠田教授の証言はある意味で、不正アクセス禁止法という法律そのものの問題点を暴く技術論争だったといえるだろう。少なくともこれまでに、特定電子計算機はプロセスか、それとも物理的なサーバーかという議論が法的な土俵で戦わされたことは一度もない。もしこの議論を推し進めた結果、不正アクセス禁止法そのものの定義に問題があるということになれば、法律を改正しなければならなくなる。

 だがその役割は立法府である国会が持っているのであって、法を執行する司法機関である裁判所の役目ではない。裁判所の法廷で不正アクセス禁止法の不備を指摘するのは、無罪を勝ち取る方法としてはあまり得策とは言えないのではないか。

 だから検察官はその部分を巧妙に突き、「その論理は現行の不正アクセス禁止法と矛盾しないのか?」と聞いたのである。もし矛盾するのであれば、現行の法律をもとに被告を裁く法廷では、その論理は意味をなさないからだ。

 前の回の公判では被告人質問に立ったoffice氏にいいように翻弄された検察官だが、この公判の証人尋問では、「一本」とまでは言えないにしても、「有効」ぐらいは決めたということになるのかもしれない。

 篠田教授の法廷での尋問に戻ろう。いったんは言葉に詰まってしまったものの、裁判長からも促され、篠田教授は気を取り直してこう答えたのである。

 「検証はしていないが、矛盾していないと信じています」
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 アスクジーブスという欧米では有名な検索エンジンがあって、今年の春から日本でもサービスを提供している。ヤフーとグーグルが市場を分け合っている日本で、知名度の低い検索エンジンが果たして割り込めるのだろうか? グーグル以外にも、ヤフーやMSNなどの強力企業がガンガン参入を狙ってきているというのに――。

 そんな疑問を問いただそうと、アスクジーブスジャパンの塩川博孝社長に取材した。インターネットマガジンの仕事である。

 渋谷のオフィスで塩川社長は開口一番、「僕らはグーグルをぶっ倒そうなんてことは、まったく考えてない」と言った。そして「グーグルを使ってもヤフーを使っても両方だめだったとき、最後の駆け込み寺の検索エンジンとして使ってもらいたい。そういう検索エンジンを目指したい」という。

 グーグルやヤフーと比べれば、アスクジーブスのエンジンはいくぶん「トリビア的、学術的」(塩川社長)のような特徴があって、じゅうぶんニッチとして検索業界で生きていくのではないか――それが同社の戦略のようだった。たとえば「クジラは何歳まで生きるの?」といった子供の疑問への回答を、アスクジーブスでは見つけやすいというのである。

 私は「ニッチということは、ユーザーのセグメントを絞るということなんでしょうか?」と聞いた。専門的なマニア層や特定の年齢層にターゲットを絞ることで、ニッチな生き残りを図っていくのではないかと思ったのである。

 だが塩川社長は、「エキサイトがF1層(20~34歳の女性)にターゲットを定めたように、ポータルサイトならセグメントを絞ることはできる。でも検索エンジンでセグメントを絞るのは難しいですね」と説明し、そして「でも子供を抱えているお母さんとかお父さんとか、そういう層には受け入れてもらえるかも」と話した。

 「でもそういう層にどうやってアクセスするのかは、難しいですよね?」
 「いくらでも方法はあると思いますよ。たとえば普通のテクノロジ企業が出稿しないようなメディアに広告を出すという方法もある。たとえば家庭画報とかミセスとか、あるいはコスモポリタン、VERYみたいな雑誌とか」

 検索エンジンを使っている人口は世界で8億人と言われているらしい。膨大な数だが、世界人口の総数を考えれば、まだまだ成長の可能性があるという見方もできる。コップ半分の水を、まだ半分しか入っていないと見るというわけだ。

 日本ではヤフーやグーグルが圧倒的な支持を誇っているのは確かだが、この支持がいつまでも続くという保証はない。検索エンジン市場がさらに拡大していけば、他社が市場を制覇できる可能性はじゅうぶんに残されている。現在の市場はまだまだコンピューティングやインターネットテクノロジに親和性の高い層に支持されているに過ぎないからだ。

 若い女性や中年主婦、高齢者といった層にはまだ検索エンジン市場はあまりリーチしていない。パソコンがコモディティ(日用品)になったと言われて久しいが、そうしたコモディティ化の波はテクノロジー分野をも覆いつつある。インターネットテクノロジも、どれだけ“非テッキー”な市場に切り込めるかどうかが勝敗を分ける要因になっている。

 そうした非テッキー史上に最初に目を付け、秀逸なマーケティング戦略を展開したのは、アップルコンピュータだった。同社は1990年代のかなり早い段階から、パソコン雑誌にはいっさい広告を掲載せず、ひたすら女性誌や総合誌などでの展開を進めていたのである。
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 インターネットブラウザ「NetFront」で知られるACCESSの荒川亨社長を取材したことがある。今でこそ携帯電話向けブラウザ市場を制覇している同社だが、決して順風満帆だったわけではない。過去には失敗もある。

 もっとも大きな失敗は、1991年にネットワークテレビを発売したことだった。「これからはすべての家電がネットワークに接続される」と確信し、満を持して発表したものの、製品はまったく売れなかったのである。

 1991年は、インターネットはまだ一般社会に認知されていない。ISPが登場し、ごく普通の人々でもネットに接続するようになったのは、1994年以降の話である。WWWも電子メールも普及していないような時代にテレビをネットに接続しても、確かに使い道はなかった。それでもある電機メーカーが製品化の道を探ってくれ、プロトタイプも作られたが、メーカー側の企画担当者のこんな言葉で、商品化は立ち消えになった。

 「で、これはいったい何に使うんですか?」

 荒川社長はこの疑問にうまく答えられなかったのである。インタビュー取材の際、荒川社長は当時を振り返ってこう述懐した。

 「家電をネットワークにつなげたのはいいけれど、それをいったい何に使うのかという提案がまったくなかった。すばらしい技術を持った製品を出せば、使い道は後からついてくると思っていたのが、完全な誤りだった」

 話は改まって先日、通販大手のジャパネットたかたに取材した。通販番組への出演で有名な高田明社長にインタビューし、その人物を描くという取材である。東京から片道六時間、長崎県佐世保市の海に近い高台にジャパネットたかたの本社はある。

 この高田明という人は、テレビであれほどまでに電化製品やパソコンの魅力を語っておきながら、不思議なほどに物欲というものがない。車は社有車しかないし、自宅には大型液晶テレビこそ社員の手によって据え付けられているものの、それ以外にはめぼしい電化製品は見あたらない。

 「最近買ったモノは?」と聞いてみると、携帯電話を取り出して、ストラップを見せてくれた。「この二つは沖縄旅行で買ったもの。もうひとつは人からもらった沖縄みやげ。この二年で買ったのは、これぐらいかな」。そしてこう言うのである。「モノ自身にはあんまり興味はないですね」

 高田社長のメッセージは、明快だ。モノ自身へのこだわりではなく、モノを媒介にして、いかにわれわれの生活を豊かに楽しくできるのかということなのである。マニアックにモノを愛するという発想はそこにはない。確かにジャパネットたかたの通販番組やコマーシャルフィルムを見ていると、「どうやってモノを使うか」というメッセージが前面に打ち出されていることがわかる。

 「メーカーの打ち出す新機能ってのは消費者を見ている部分ももちろんあるけれど、それと同じぐらいにライバル社を見ている部分もある。他社との競争の中で、他社に負けないような高性能をアピールしてるんです。だから実際に必要のない高性能へとどんどん走っていってしまう。だからテレビで紹介する時に、そこをわかりやすい言葉に置き換えることが大切だと思います。カタログの最後のページにしか載っていない小さな部分を、頭に持ってきて解説することもありますね」

 彼の思想は、モノ文化へのアンチテーゼなのかもしれない。モノ文化の権化のような通販番組をビジネスにしておきながら、こうした発想を持っていることは非常に興味深い。
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