真夜中、真理亜はえりぃと容子のことを思い出していた。眠っていたえりぃは、真理亜の夢を見て目が覚めた。外は土砂降りの雨だった。
文也「どうした、えりぃ?」
えりぃ「うーん、真理亜さん大丈夫かねー。」
文也「なんで?」
えりぃ「夢見たさ。真理亜さんの。なんか寂しそうでさ…」
文也「はぁ…」
えりぃ「なんか気になるなぁ…」
文也は、きっとえりぃは真理亜の元に向かうと思っていた。文也くん、えりぃの行動を先に読めてますね。
えりぃは訪問看護に行く途中、太陽を眺めながら…あることを思いついた。
えりぃ「よし!」
真理亜のことが心配で心配で仕方ないえりぃは、驚きの行動に出る。何と!えりぃは急いで東京に向かった。文也くん…えりぃの行動は読めていたけれど、まさかその日に東京に行っちゃうとは想定外だよね。笑
真理亜は「ゆがふ」にいた。寂しさを紛らわせようと一人で吞んでいた。東京にやってきたえりぃは、真理亜を優しくあすなろ抱きした。笑
えりぃ「真理亜さん、大丈夫だよ、大丈夫。離れていても私たちの心の絆は消えたりしないさ、絶対。寂しくてSOSしてくれたんですよね。私にはちゃんとわかりますから。わかるんです。」
えりぃは、真理亜にとって太陽のような存在でありたいと思っている。それは真理亜に限らず、自分の周りにいる全ての人たちに対してもそうでありたいと思っている。
小浜の太陽を眺めた時に、自分が真理亜の冷たくなっている心を溶かそうと思ったのだ。そう思ったら居ても立っても居られず、即行動するところはえりぃの真骨頂。笑
真理亜のそばに心優しい東京組がいても、やっぱり真理亜はとても寂しかった。しかしそれを悟られたくなくてずっとあまのじゃくになっていた。人に見せられない寂しさを抱えて過ごすことはとても苦しかったことだろう。そんな時、えりぃが小浜から突然やってきて優しく抱きしめてくれて。優しい言葉をかけてくれて。えりぃの前ではあまのじゃくにならなかった。
真理亜は、自分を心配してえりぃが来てくれたことがとても嬉しくて涙を流した。再会したえりぃと真理亜は、その後、久しぶりに吞んで過ごしていたが…
えりぃ「あぁ!」
えりぃは、港に自転車を放置したまま、東京に来てしまった。しかも文也に連絡もせず…。
文也「すいませんでした。」
連絡をもらった文也は、和也と一緒に港へ向かった。えりぃならやりかねないとわかってはいるけれど、今回は、さすがに度を超えている。笑
文也「まったく、想像を超えてるよなー。お母さんのする行動は。ホントにー。」
和也「疲れるね、ホントに。でもおもしろくていいね。」
文也「え?」
和也は、誰かのために諸突猛進なえりぃのことをおもしろいと思っているようだ。
文也「そうだな。」
和也「うん。がんばってよ、お父さん。」
文也「はい。え?こら、生意気いうな。笑」
文也と和也は、笑顔ではしゃぎながら家に帰っていった。
文也が和也と自宅に戻った頃、東京の「ゆがふ」では出版会社の編集者が真理亜の元へやってきた。真理亜の書いた小説「ゆんたく三姉妹」が大友賞の候補となったそうだ。
真理亜は、自分の作品が候補になっていても、賞には特に興味を持っていなかった。しかし作家としては一人前と評される賞だった。そんな名誉ある賞を真理亜が受賞するかもしれない。その決定的瞬間を見ないでどうする!と思ったえりぃは、翌日の発表の連絡を待とうと、一風館で住人たちと待つことにした。古波蔵家はおばぁが代表で東京に行き、他の家族は那覇で待機することに。小浜にいる容子は急いで一風館に向かって、文也と柴田は小浜で待機。
受賞を一緒に分かち合いたいと思ったえりぃと容子がやってきて、久しぶりに三人が真理亜の部屋に集まった。
真理亜「受賞するかどうかわからないさ…ってゆうか、落ちる可能性の方が高いし。」
えりぃ「何言ってるんですか?私たちはそりゃもちろん真理亜さんが受賞したら嬉しいですよ。でもどちらかと言えば落ちた時のためにいるんですよ。ここに。」
容子「そう。」
真理亜「え?なんで?」
えりぃ「落ちた時の方がそばにいて欲しいじゃないですか、大切な人に。」
いよいよ発表の夜が近づこうとしていた。みづえさんは、張り切って豪華なイタリア料理を作った。みんなが嬉しそうに準備しながら待っていた。那覇からおばぁもやってきて一風館は更に賑やかになっていた。皆が想像以上に盛り上がっていて、真理亜はプレッシャーを感じていた。
真理亜「管理人さん、落ちる可能性の方が…」
みづえ「それならそれでいいじゃない。残念会で。」
静子「落ちたら落ちたでねー。」
真理亜「まだ決まったわけじゃないけど。」
容子「自信あるんだー。」
真理亜「そうじゃないけど。」
一風館で静かに連絡を待つ真理亜と住人たち。
小浜では文也と島田が電話を待っていた。(和也と栞ちゃんはどこ?寝た?笑)
那覇の古波蔵家も連絡を待っていたが、待ちきれなくてついフライング電話をかけてしまう。笑
その後、一風館に電話が鳴った。周囲が緊張する中で真理亜は連絡を聞いた後、受話器を置いた。
真理亜「だめだった…だからゆったじゃん。笑 すいません。がっかりさせて。」
受賞を逃してしまったことで皆がしんみりとしていた。しかし、おばぁは喜んだ。
おばぁ「よかったさぁ。今回ダメだったっていうことは、来年またチャンスがあるっていうことでしょ?」
真理亜「いやぁ、うん。まぁ。」
おばぁ「だったらよかったさ。来年またこうして集まれるさ。」
静子「なるほどー。笑 」
容子「あぁそうだよね。笑 あんた毎年落ち続けなさい。」
えりぃ「来年は、もう少し早めに教えて下さいね。来れない人もいましたから。その人たちのためにも今年はダメで良かったさー。」
容子「であるね。」
真理亜は、えりぃたちが前向きなエールをくれたことで笑顔になっていた。那覇の古波蔵家にも受賞を逃したことを連絡した。すると恵文がおばぁと同じエールを送ってくれた。
恵文「よかったさー真理亜ちゃん。来年こそはみんな全員集まれるでしょう。その方がいいと神様が来年にしてくれたわけよ。そう考えればいいわけさ。」
お祭り騒ぎが大好きな古波蔵家は、受賞を逃したお祝いをして踊りまくっていた。
えりぃ「それでは真理亜さんの落選を祝ってカンパーイ!」
一風館も負けずに落選のお祝いで盛り上がっていた。
ちなみに…文也と柴田のところには連絡が来なかった。どうやら二人は、連絡が来るまで泡盛ではなく乳飲料をちびちび飲んで待っていたようだ。笑
文也「ぼくら、ひょっとして忘れられてますよね。間違いなく。」
柴田「ですね。」
文也「ですよね、柴田さんがんばりましょうね。」←がんばれ文也くん。笑
柴田「がんばりましょうですよね。」←がんばれ柴田くん。笑
一風館で盛り上がる中、真理亜は自分のためにこうして皆が集まってくれたことが嬉しかった。そして感謝の思いでいっぱいだった。
真理亜「みんな!ありがとう。ふん、泣かないわよ。」
真理亜は涙を流してから照れ隠しの変顔をして皆を笑わせた。受賞していないのに楽しい夜となった。笑
『ちゅらさん4』のラストシーン。和也の木の前には、えりぃと文也の姿があった。
この日は快晴だった。空も、海も、青くて美しい。
えりぃ「文也くん。」
文也「ん?」
えりぃ「私、決めた!私の目標。」
文也「え?何?」←興味津々な文也くん。
えりぃ「アイツ!太陽さ!」
文也「は?笑」←次元の超えるえりぃの答えに思わず???の文也くん。
えりぃ「だって太陽は、みんなに力を与えることができる、あったかくすることができるでしょ。小浜も、那覇も、東京も。それに世界中も。だから私の目標は太陽なわけ。」
文也「大きく出たねー。それはまた。笑」←そんな天然えりぃが大好きな文也くん
えりぃ「太陽、てぃだが私の目標さ、がんばるぞーーーー!!」
えりぃは太陽に向かって叫んだ。文也は叫ばずにえりぃの横で笑っていた。
柴田家は民宿をするために、えりぃと文也に支えてもらいながら着々と準備をしている。
えりぃと文也は、医療に邁進しながら小浜島の人々の健康を守っている。
続編は『ちゅらさん4』まで放送されましたがこれがファイナルでした。もっともっと、えりぃや文也たちのその後を見たかったけれど、続編から長い歳月が流れて、今年『ちゅらさん』が再放送されました。私のちゅらさん愛が復活して、楽しんで見ています。『ちゅらさん2』の再放送も決まったそうで、すごいと思います。朝ドラ史に残る素晴らしいドラマに出会えて幸せでした。『ちゅらさん』ありがとう!