『ちゅらさん』の続編『ちゅらさん3』は、親子愛、夫婦愛をテーマに描かれ、訪問看護師になったえりぃが、患者とその家族と向き合いながら成長していくところが見どころとなっている。
続編では、えりぃが落ち込んだり悩むことが多く、文也は自分のことで落ち込んだり悩んだりするシーンはない。文也がえりぃの相談にのって励ますシーンがとても多い。
しかしそんな文也が、えりぃを怒鳴ってしまうシーンもある。文也が怒鳴って私もびっくりしたさ。なぜ怒鳴ったのかその話は後ほど。
えりぃは、訪問看護師の仕事をしながら東京の一風館で暮らしていた。ようやく取れた短い休みを利用して、家族で久しぶりにふるさとの小浜島を訪れた。すると小浜島のこどもたちや島の人たちがお出迎えをしていた。
えりぃ「あー!小浜だ!小浜が見えてきたよ!」
文也「おー懐かしいねー!」
和也「うん、小浜だ!」
文也「えりぃ、なんか東京にいる時と全然顔違うね。」
えりぃ「うん?ホント?」
文也「やっぱ八重山のてぃだの下が一番似合ってるのかなー。」
えりぃ「え?マジで?そんなにきれい?」
文也「ん?いや、特にそう言ってないけどなぁ。」←文也は、とぼけている。
えりぃ「ん?」
文也「笑」
文也は子供のように海に向かって叫んでいる。文也は、今、青春を満喫しているように思える。えりぃはますますきれいになってる。文也も、もちろんそう思っているでしょ。笑
文也「兄貴、ただいま。」
えりぃ「和也くん、ただいま。うちの和也大きくなったでしょ」
家族三人で、久しぶりに和也の木に会いにきた。和也の木は、ずっとここで見守ってくれている。
三人はおじいが眠るお墓に向かった。東京と違って沖縄のお墓はとても大きいから掃除も大変。
えりぃ「和也、あそこにあるお花取ってきて。お墓の中にいるおじぃが好きな花だからさ。」
和也「はい。」
えりぃと文也は、花を摘む和也を眺めていた。子供の頃、和也のように二人で花を摘んでいたことを思い出していた。
えりぃ「あ、同じこと思い出してた?ひょっとして。」
文也「うん。そうみたい。」←以心伝心夫婦は今も健在
えりぃ「あの時はわからなかったけどさ、あれってあれだよね?」
文也「あれって?」
えりぃ「いや、だからさ、私が東京にはかわいい女の子たくさんいるの?って聞いたら、文也くん、そうでもないよとか言ってさ、それってよく考えると、えりぃが一番かわいいよって意味なのにねー。好きだったんだね、私のことが。」←文也をからかって得意げなえりぃ。
文也「おい、自分の旦那、からかってどうするんだよ。」←照れを隠す文也。
えりぃ「あ、そうか。」←単純さは健在。
文也「自分だって結婚しようねーとか言って走ったくせにー。」←今度はえりぃをからかう文也。
えりぃ「であるね。笑 くくく。」
えりぃと文也の初恋は、今も二人の心にずっと残っているんだなぁ。すごく素敵。
文也「あと何年かすると、和也もあん時の俺たちと同じ年になるんだよなー。」
えりぃ「そうかー。不思議だね。なんだか。文也くんたちがこの島に来なかったら、今、あの子はこの世界にいないんだもんね。」
文也「違う人生だったらどんなんだったんだろうなぁ。」
えりぃ「ん?そっちがよかった?」←また文也をからかう。
文也「いや、んなこと言ってないじゃないですかー。」←文也くん、違う人生じゃなくてよかったよ。
えりぃ「ホント?幸せ?私と結婚して。」←やっぱり単純が炸裂
文也「はい、ありがとうございます。おかげさまで。」
えりぃ「で、あるよねー。このこの!」←嬉しくて文也にちょっかいを出すえりぃ。
えりぃと文也が仲良くふざけていたら、おばぁがお墓にやってきた。
おばぁ「何をお墓の前でいちゃいちゃしてるさー。」
おばぁは、お墓の前で仲良くしているえりぃと文也に、もっといちゃいちゃしていいよと言い出した。二人は相変わらず強烈なおばぁにタジタジ。そして、えりぃたちはこはぐら荘で久しぶりに静かな夜を過ごしていた。文也が弾く三線の音が心地よく聞こえた。
文也「あーやっぱりのんびりするな。時間の流れが違うみたい。東京と同じ一日は24時間なのにね。」
えりぃ「うん。そうだねー。東京では忙しいからね。」
文也「であるね。」←すっかり沖縄弁が出ているね。
おばぁ「おばぁは安心したさ、二人とも忙しいかしらんけど、顔は疲れていないし、幸せだね。」
えりぃと文也は見つめ合いながら笑顔でおばぁの言葉に答えた。
えりぃ「うん、幸せさ。」
えりぃと文也はとても幸せだった。夫婦仲良く支え合って医療の仕事もがんばっている。息子の和也も元気に育っていた。
那覇では、恵文が定年となりタクシー運転手の最終日を迎えていた。えりぃと文也、和也は、那覇の古波蔵家を訪れて、恵文の定年を一緒にお祝いした。ごちそうが用意され、家族の賑やかなサプライズに恵文は感動のあまりに涙した。恵文さん、定年おめでとうございます!和也がお祝いの色紙をプレゼントする。そこには、えりぃと文也のメッセージも添えられていた。文也くん、意外と達筆…。
その頃、一風館は、ちょっとしたベビーブームだった。柴田と容子夫婦に長女の栞ちゃんが誕生し、恵達と祥子夫婦にも、もうすぐ赤ちゃんが誕生しようとしていた。東京に戻ったえりぃと文也は、休日に恵達と祥子と一緒に過ごしていた。えりぃと一緒に祥子は那覇で出産するために買い物に行った。
恵達は、何かに悩んでいるようだった。文也は心配になって話を聞いた。恵達は、地道に音楽活動していたがヒット曲に恵まれず、音楽から離れて配送作業の仕事をしていた。生まれる子供のために一生懸命働いてはいたが不安定な精神状態になっていた。
文也「どうした?恵達。」
恵達「……文也くんさ、和也生まれる時、どんなだった?怖くなかった?」
文也「んーそりゃ怖かったよ。何ていうのかなー。俺が父親になってもいいのかなーって思ったりもしたし。」
恵達「そっか…」
恵達は、祥子の出産が近づくにつれて父親になることが怖くて震えていた。
恵達「なんか、怖いね。怖い…。嬉しいんだけどさ、怖い…。いいのかなって思うよ。この俺で。」
文也「そんなのみんな同じだよ。」
文也は、恵達の気持ちを楽にしようと優しい言葉をかけた。
一風館では、祥子が那覇で出産するお祝い会が行われようとしていた。那覇からは勝子とおばぁが身重の祥子を迎えにきていた。ところが、その席に主役の恵達がいなかった。恵達は、祥子を置いて姿を消してしまった。「祥子、ごめん。」と書いた恵達の手紙を読んで祥子はショックを受ける。えりぃたちは、慌てて恵達を探しに行ったが見つからなかった。
えりぃ「なんなのあの子は…。なんなわけ?一体。」
えりぃは残された祥子を思うあまりに、逃げ出した恵達への怒りが止まらない。
文也「恵達さ、怖かったんだよ。きっと。」
えりぃ「怖い?何が?」
文也「父親になることがな。」
柴田「あぁ…。」←父親になったばかりの柴田くんもそう思ったんだね。
えりぃ「何それ?なんで?何が怖いの?」
文也「だからさ、えりぃ…」
えりぃ「わからないよ。怖いからってなんでいなくなるの?なんで逃げるわけ?祥子ちゃん置いて。」
文也「だから、それはそうなんだけど…」
えりぃ「わからないよ!そんなの!おかしいさ。卑怯だよ!逃げるって。だって自分の子だよ。自分の子が生まれるのに怖いから逃げるって、最低さ。そんなの。」
えりぃの怒りは収まらず、文也の話を聞こうとしない。
文也「だからさ…えりぃ。何もね、俺は恵達が正しいって言ってるわけじゃない。」
えりぃ「だっておかしいよ!そんなの。みそこなった。許せない。最低だよ。」
文也「ちょっと聞けよ!!」
文也は、とうとうえりぃを怒鳴った。一方的に恵達を責めまくり文也の話に耳を傾けようとしなかったからだ。文也が周囲で怒鳴ったことは初めてのことだった。
えりぃ「文也くん…」
文也くんが怒鳴って驚くえりぃ。
文也「恵達はこないだ言ってたんだ。公園で。怖いって。いいのかな、このまま父親になっていいのかなって。そりゃ逃げ出した恵達は悪いと思うよ。いけないと思うよ。だからって最低じゃないし、祥子ちゃんやお腹の子のことどうでもいいとかそう思ってるんじゃないんだよ。それはわかってくれよ。気持ちはわかるんだ、俺だって。そりゃ俺は逃げなかったけどさ、なんていうか、どうしようもないくらい自分に対して不安になるんだよ。」
えりぃ「でも、でも祥子ちゃんはさ、祥子ちゃんは今、一番一緒にいて欲しい時なんだよ。恵達に。」
勝子「恵達は弱い子だよ、きょうだいの中で一番弱い子。恵達は、三人きょうだいの中で一番冷静で、落ち着いていてしっかりしてたさ、小さい頃から。でもね、恵達は弱いわけ。すごく気持ちが弱いとゆうか、自信がない子なわけ。だからあの子は不安だったと思う。どうしていいかわからなかったんだよ。そんな自分のまま父親になるの怖いんだろうね。弱い子さね、恵達は。」
文也が怒鳴ったことで、えりぃは冷静さを取り戻した。また勝子が恵達のことを話してくれたおかげで祥子を不安な思いにさせずに済んだ。
えりぃ「文也くん、何かあったらいつでも言ってよ。」←怒鳴られても瞬時にプラスに考えるえりぃ。
文也「よせよ。いやぁ俺こそ怒鳴ってごめんね。」←怒鳴ってしまったことを謝る優しい文也くん。
えりぃ「ううん、驚いたけど、ちょっとかっこよかったさ。」←え?
文也「え?本当に?」←え?だよね。そんなえりぃの言葉に苦笑。
えりぃ「うん。笑」←えりぃは素直だから、文也と険悪にはならないね。
一風館の仲間が、場の空気を変えようとみんなで盛り上げようとする。みんないい人!
祥子「恵達は必ず戻ってきます。沖縄で待っててもいいですか?」
勝子「もちろんさ、帰ろうね那覇に。」
祥子「えりぃ、姉ぇ姉ぇありがとう。よろしく。」
祥子は、恵達の帰ってくると信じて、勝子とおばぁと一緒に那覇へ旅立った。
あれから恵達は行方不明だった。どこにいるのか何をしているのか…。
えりぃは、訪問看護先の患者のことで悩んでいた。新しく担当となった患者・辻内美帆子は夫を亡くした後、小学校5年生の一人娘の愛子と暮らしている。遥が手術を担当したのだが病状は重く、今は在宅で治療を続けている。えりぃは明るく笑顔で辻内親子に接するが、愛子の方は、えりぃに全く打ち解けようとしなかった。
そしてある日、えりぃは帰ろうとした時、愛子を心配して声をかける。
愛子「うるさいな、あんたに関係ないじゃん。早く行けば?他の人が待ってるんでしょ?私には他の人はいないから。お母さんだけだから、あんたなんか仕事でやってるだけじゃん。」
愛子の言葉にえりぃは落ち込んだ。病院の屋上に行くと遥がベンチに座っていた。えりぃは遥に愛子のことを相談した。
遥「それは仕方ないよ。悩んでもしょうがない。確かに私たちのしてるのはお仕事だよ。それでお金ももらってる。一人の患者さんのことだけを考えているわけじゃないし、24時間その人のことだけを考えているわけじゃない。でも、そんなことで自分を責めたらキリがないよ。仕事は仕事かもしれない。でも、その時間内は一生懸命がんばる。それしかできない。それでいいと思うよ。」
えりぃ「うん。」←瞬時にプラス思考に考える。
遥「うらやましいなーあなたが。」
実は美帆子の担当医の遥も、愛子に「嘘つき!お母さんの病気が治ってないじゃん」と言われて落ち込んでいた。文也は元気のない遥を気にかけたが、遥は文也に打ち明けることができなかった。素直に悩みを打ち明けられて前向きに考えるえりぃが、きっとうらやましいと思ったんだね。
えりぃ「?」←意味がわからない
遥「ううん、そういうこと。そんなに落ち込むな、ね。」
えりぃ「うん、ありがとう。」
遥「いいえ。」←遥も落ち込んでるのにー!
えりぃ「がんばるしかないねー。落ち込んでる暇なんかないのにね。」
遥「そうだよ。」←遥、えりぃのように考えられたらいいね。
その夜えりぃは、文也に辻内親子のことや遥からアドバイスされた話をした。
文也「えーそう言われたんだー。うーん。俺もそう思うなー。てゆうか、別にゆうことないじゃん。俺ら。」
えりぃ「どう?文也くんの方は?」
文也「うん、今、耳鼻科じゃん。人がいないからさ勉強どころじゃないんだよね。ま、それが勉強というか勉強になるのかもしんないけどさ。」
えりぃ「なるほど」
文也「まだまだだねー俺も。」←文也は優秀だから、耳鼻科の仕事も要領よくこなしそう。
えりぃ「私も。」
『ちゅらさん3』では、文也が医療現場で何かトラブルが起きるようなことは一切描かれていない。文也にとって医者の仕事は天職。周囲から見れば相当優秀な医者だと思う。でも、文也は医者の自分を常に客観視していてまだまだ力量不足だと感じている。だから見えないところでも努力を重ねて勉学に取り組んでいる。文也の背中を見ながら、えりぃが元気をもらっていることは確かだ。
訪問看護にやってきたえりぃに、美帆子が愛子のことを話した。
美帆子「まいった…。あの子ね、私はそんなに長く生きられないってわかってるの。」
えりぃ「え…。」
美帆子「わかってるの、あの子、だから私と一緒にいたいのよね。一時も私と離れたくないんだよね。かわいそう。小さい時にパパに死なれて今度は私までいなくちゃうなんてかわいそう。
ねぇ、恵里ちゃん、なんで人は病気になるんだろうね。間違ってると思うな、神様。私を重い病気にするなんて間違ってると思う。あの子を一人にするなんて間違ってる。間違ってる。ごめん、泣きごと言っちゃって。病気についての覚悟はもうできてるんだ。
治らないことはわかったし、だから自宅に帰って恵里ちゃんたちの訪問看護をお願いした。愛子のためなのね、入院してると病院ばっかりに来てあの子。だから、家に戻ったらせめて学校だけはちゃんと行ってくれるかなと思って。子供らしい生活して欲しくて。でもすぐ戻ってきちゃうの。責められない。そんなに。
でも、このままじゃダメ。あの子ダメになっちゃう。私がいなくなって一人になる。その運命から逃げられないの。その後も、ちゃんと生きてくれる子になってほしい。私がいなくなった後も、ちゃんと強く生きられる子になって欲しい。でもどうしたらいいかわかんないんな。わかんない。」
えりぃ「…。」
美帆子「あ。ごめん、長話しちゃった。仕事邪魔だよね。」
えりぃ「いえ、大丈夫です、大丈夫です。」
えりぃは、美帆子と愛子のことを気にかけていて何か出来ないだろうかと考えていた。
文也くん、難しい医学書を読みながら合間があれば勉強の日々。尊敬しちゃうな。
えりぃは美帆子に愛子を一風館に連れていくことを提案した。
えりぃ「いいと思うんですよね、一風館で暮らしてみるっていうのも。ただいきなり今日からここで暮らしなさいって言われても、反発すると思うので、とりあえず一度遊びに行ってみて、みんな楽しい人たちだから愛子ちゃんきっと好きになってくれると思うんですよ、で、そうなったらっていうことで。」
美帆子「恵里ちゃん、なんでそこまで…」
えりぃ「私、わかるんですよ、お気持ちが。」
美帆子「私の?」
えりぃ「はい、私も母親だから。それに私、こうみえて一度大きな病気をしたことがあって、手術しないと命に関わるかもって、ただですね、その時、和也が…あ、私の子供の名前なんですけど、心の病気にかかっていて、そのことが心配で心配で自分のことなんかどうでもよくなって、和也のために島に行っていたことがあるんです。」
美帆子「島に?小浜島?」
えりぃ「ええ、和也の病気よくなるかなぁと思って。ですから全然違うとは思うし、気持ちがわかるとか言ってはいけないのはわかるんですけど、やっぱりわかるんです。親は子供のためなら何だってできるというか命だって投げ出せれるし、とにかく子供のことが一番で。」
美帆子「恵里ちゃんありがとう。よろしくお願いします。」
美帆子に事情を話したえりぃは、愛子を一風館に連れていく。いきなりえりぃから連絡が入った一風館では、慌ただしく住人たちが、愛子のために食事会の準備をしていた。みづえは、愛子のことを思って家庭料理のオムライスを用意してくれた。突然の食事会でも、いつもと変わらずニコニコしながらメニューを考えるみづえさん。素晴らしい管理人さん。容子と真理亜は、いつもいきなりだと文句を言いつつ準備をしていた。笑
容子「急に言うんだものね、恵里ちゃん。」
真理亜「いつもそうよ、あいつは。」
えりぃの突然の思いつきを聞いた文也は、慌てて一風館に帰ってきてすぐに皆に謝った。
文也「ただいま。なんかすいません。えりぃが突然。」
真理亜「ホントよ。もう少し文也くんにもビシッとしてもらわないとさ。」
文也「すいません。」←えりぃ案件ではすっかり恵達の跡を継いでいる文也くん。
容子「いいのよ、気にしないで。この人(真理亜)とっても楽しんでるんだから。とってもね。」
文也「いや、でも、ホントすいません。あのホントどうなのか心配してるんですよ。仕事の範囲も超えてると思うし、それに、あの、僕、こないだえりぃに珍しく怒鳴ったじゃないですか、聞けよって。そしたらね言ったんですよ。ありがとうって。」←文也もびっくり。
容子「何でもプラスに解釈するんだねー。恵里ちゃんて。」←感心する容子さん
文也「えぇ、まぁ。でもね、それは企んでる顔だったんですよね。もしかして今日のことじゃないのかなと思って。」←そのとおり。
容子「なるほどねー確信犯だー。」
文也「えぇ、だからちょっと心配なんですよね。」←ちょっとじゃないでしょ?すごく心配でしょ?
容子「でも、切ない話だよね。その患者さん。」
柴田「そうですよね。」
真理亜「あのさ、子供はさ、あんまりかわいそうっていう目で見られるのやだと思うんだよね。やめた方がいいと思う。そういう目で見られると、かえって心閉じるからさ。」
容子「そっか、そうだよね。」
一風館の人たちは、みんな優しい。突然やってくる訪問者の愛子を歓迎してくれるし、そしてえりぃの突然の思いつきに振り回されてもみんな優しい。←いつものことだと思ってる
そして愛子が一風館にやってきた。住人たちは笑顔で歓迎した。えりぃは愛子に住人たちを紹介した。
食事会の席で、ずっと黙っている愛子の気持ちが、真理亜にはわかっているようだった。真理亜が食べるように勧めてくれたおかげで、愛子はオムライスを口にした。だが…愛子は何も言わずに涙を流し始めた。
えりぃ「愛子ちゃん…。」
すると愛子は、一風館を飛び出してしまう。
柴田「おいしいもの食べたら、一人でいるお母さんのこと思い出しちゃったんでしょうね。」
容子「いい子だよね、でもまた無理にここに連れてきても出るかもよ。」
えりぃは一風館を出て行った愛子を探したが見つからない。愛子は泣きながら美帆子のいる自宅に帰ってきた。
美帆子「愛子、帰ってきちゃったの?」
愛子「ごめんなさい。」
美帆子は、愛子を優しく抱きしめた。えりぃは、美帆子の家に向かった。外窓から抱きしめ合う二人の姿を見ることができた。えりぃは、かえって愛子を傷つけてしまったことを美帆子に謝った。
美帆子の家からの帰り道で、えりぃは、どうすればいいのか悩んでいた。美帆子の娘を思う気持ちもわかるし、愛子のために何かできることはないか…。
文也「おやすみ。」
家に帰ってこないえりぃの代わりに和也を寝かしつける文也。笑 文也は、えりぃがどうしているのか連絡がなくてもちゃーんとわかっているんだよね。あれこれ言わずにえりぃを見守っているところが文也の優しさ。そして翌日、えりぃは先輩の奈々子から叱責される。
奈々子「なんでそんな勝手なことしたの!あなたのしたことはあきらかに仕事を超えてるでしょ?訪問看護師の仕事じゃないでしょ?そりゃ気持ちはわからなくはないけどさ、みんないろいろあるんだよ、患者さんたちにはそれぞれ。それをあなたは全部家の中に入って解決するわけ?できるの?そんなことが。」
えりぃ「いえ、できません。すみませんでした。」
奈々子「今からは姉ぇ姉ぇとして聞くわよ、大丈夫なの?えりぃ」
えりぃ「なんかね、なんかわからないんだけどさ、でもほっとけないわけ。」←出た!思いつきフラグ。
奈々子「そんなこと言われても…。」←いろんな意味でえりぃを心配している奈々子さん。
えりぃ「ごめんね、姉ぇ姉ぇ。」
えりぃは、休日に文也たちと公園に遊びに来ていた。しかし辻内親子のことを考えてしまうと心が晴れず元気がなかった。
辻内親子の力になれないことを落ち込むえりぃ。文也は元気がないえりぃのところへ行く。
文也「えりぃ。」
えりぃ「ん?」
文也「また、えりぃモードに入っちゃった?」
えりぃ「え?何ね、それ?」
文也「いや、何か考えるとさー。何言っても無駄だからさ。えりぃは。」←おっしゃるとおり。笑
えりぃ「何で?そんなことないさー。」←そんなことあるある。笑
文也「あるよー。」
えりぃ「え?」
文也「まぁ、わからないけど俺はえりぃを応援する。」
えりぃ「え?」
文也「とにかく俺はえりぃを応援する。無条件に。ま、そうでもしないとやってけないでしょ。えりぃの旦那は。そうゆう運命なんでしょ?」←えりぃの悩み解決も運命だと思う文也くん。
えりぃ「すいません。笑」
文也「なかなか素敵な愛の言葉だったでしょ?」←素敵だよー!文也くん。
えりぃ「うん。ありがとう。」
文也「いぃーえ。」
「無条件に」こんな素敵な愛の言葉をサラッと伝える文也は、とても素敵な旦那様だね、えりぃ。えりぃにとって文也は、まさに最強で最高の夫だと思う。医者だから患者や医療の悩みも聞いてくれるし、えりぃが困難を乗り越えて最終的には自分で何とかすると信頼している。だからこそ無条件にえりぃを応援する側でいてくれるのだ。
えりぃは、文也の言葉で元気を取り戻し公園での休日を家族で楽しんだ。