いごっそうの棲家

以前のblog『オトツマ日記』を改名。オットだけのボチボチ更新雑記。

吉原手引草  松井今朝子

2007-12-02 17:29:59 | 小説
第137回芥川賞受賞作品。
大好きな吉原を舞台にした作品でもあり、受賞直後から読みたくて読みたくて
仕方なかった。
やっと図書館で手に入れました!!

物語は、吉原の花魁の中でもひときわ際立って吉原一と謳われた
舞鶴屋の葛城失踪の謎解きを主軸としている。
戯作者の卵だと名乗る謎の男が、葛城に関わった様々な人々に花魁の失踪の
理由を調べて回る。
全編様々な人が語る葛城の話のみで、当の葛城自身は回想以外出てこない
という面白い語り口になっている。

吉原からの失踪などと、有り得ない芸当をやってのけた葛城は吉原に来た
当初から謎と魅力を持った女だった。
茶屋の内儀、楼主、遣り手、番頭、床回しや船頭。
馴染みの客や身請けをするはずだった男等々いろいろと聞くが誰しも
失踪については知らぬ存ぜぬで語りたがらない。
重い口を開いても肝心の謎の深層には一向にたどり着かないように思えたが・・

色んな人物が、花魁葛城のことを語っていく中で吉原のしきたりや行事。
遊女の生活や花魁との違い。
遊女たちの手練手管までもが語られて、これ一冊読めば吉原のことなら
なんでもござれという具合に詳しく書かれている。
これぞ吉原手引書!!だ。

満足のいく一冊でした。