●洞爺湖サミットを終えて
今年最大の環境イベントであった洞爺湖サミットが終了した。素人感覚からすると、これからの世界の将来を左右するような大きな決定事項が発表されるのかと思ったが、「2050年(今から42年後)までに温暖化ガス排出を半減する目標を世界で共有する」という若干フラストレーションが溜まるような表現で、評価が分かれるところだろう。加えて、中国やインドといった経済が急成長し、温暖化ガス排出量でもトップクラスになりつつある新興国の反発が依然強いことが明確になった。
日本の首相は、この宣言をまとめることでリーダーシップを発揮できたと珍しくガッツポーズをしていたが、果たして決定打を打てたのだろうか?
●エネルギー問題
サミットで交わされた討論で特に気になったのがエネルギー問題。最近の原油高騰で石油エネルギーに代わる新しいエネルギーへの注目が集まり、ドイツは政策面で成功した太陽熱発電をアピールし、フランスやアメリカは原子力発電の優位性を強調した。特にフランスはサミット開催中に中国、インド等の新興国や開発途上国に原子力発電の温室効果ガス削減に対する高い効果をあげ、自国技術のセールスに懸命だったと聞く。そのおかげで、いくつかの商談(原子力発電所の導入)が決まったそうだ。
確かに、原子力発電は温室効果ガス削減に対する効果だけでなく、発電効率も良いと聞く。しかし、日本の原子力発電所の状況を見ても適切に管理することが大変なことであり、まして緊急時の対応などは困難が伴いリスクが高い。例えば、中国でスリーマイル島やチェルノブイリ等の事故が起きたらと考えると、日本に多大な被害が及ぶことは確実で考えたくない。
このまま、世界中に原子力発電所が建設されることは、世界の未来にとって良いことなのだろうか・・・?
太陽光発電技術も当初は日本がリードしていたが、政策の違いからドイツに抜かれた経緯がある。ドイツでは家庭で太陽光発電の設備を購入するのに国から補助金が出る上、電気を電力会社が高い価格で買い取ってくれる。日本でも同様のことが検討されたが、いろいろな壁や圧力で政策面で断念せざる負えなくなった。
何度も言うが、本当にこのあたりで選択を迫られていると思う。このまま原子力発電にどこまでも頼るのか。それとも、代替エネルギー開発を政策でバックアップして少しずつ原発を他の代替エネルギー発電(太陽光発電、風力発電、等)に替えていくのか。
●これからの日本の役割
70年代に起きたオイルショック以降、日本は「省エネ」技術を磨き世界の中でも省エネ大国として名を馳せた。京都議定書で約束した温室効果ガス削減の基準になった1990年は省エネ技術が開花した状況で、その基準からマイナス6%の削減というのは、絞りきった雑巾を更に絞ることになり不公平だという意見が経済界を中心にあがった。
しかし、日本の技術が限界に達してはおらず、まだまだ元気なアイデアや技術が豊富であることを、テレビ東京系列の「ガイアの夜明け」を見て感じた。政策も外交も決して得意でない日本だが、技術力ではまだまだ負けない。この技術力こそが、これからの日本のリーダーシップを後押しするものではないのか。
「ガイアの夜明け」の内容ををいくつか紹介しよう。
6月8日放送分
○世界中の水をきれいに
以前ブログで紹介したが、アフリカやアジアの開発途上国では、有害物質で汚染された水を生活用水として使用し、病気にかかったり、乳幼児が死んだりという状況にある。
そんな中、大阪の浄化剤メーカーである日本ポリグル株式会社が開発したのは、納豆のネバネバ成分を利用して水分中の砒素などの有害物質と結合させ、それを何度か濾過することで汚れた水を安全な飲料水として提供しようという画期的な技術だ。既に商品化されており、安い価格で現地に提供できそうだという。素晴らしいではないか!
日本ポリグル株式会社 : http://www.poly-glu.com/
○マラリヤから子供達を救え
世界で年間約100万人がマラリヤで死亡し、その多くが5歳以下の子供達だという。
大手化学メーカーの住友化学株式会社が開発したのは、殺虫効果のある薬を繊維に練りこんで作った蚊帳だ。この蚊帳に蚊が触れると死んでしまうというこれも画期的な商品。住友化学は、アフリカの企業に無償で技術提供もしている。
住友化学株式会社 : http://www.sumitomo-chem.co.jp/
7月15日放送分
○廃油が赤字バス会社を救う
沖縄県うるま市の4つの島を結ぶ路線バスは年間850万円の赤字をかかえ、さらに原油高騰の影響も受け、経営が厳しい状況が続いている。そこでうるま市では、エコ・エナジー研究所と共同で家庭やレストランから出る廃油をリサイクルしたバイオ燃料EDF」(エコ・ディーゼル燃料)で路線バスを動かすプロジェクトをスタートさせた。スタート時は、なかなか廃油が集まらず苦労したが、地域住民やレストランへの懸命な説明や講習会が功を奏して廃油が集まり始めた。
この試みは、うるま市だけでなく、バス業界や運送業全体の燃料問題解決の糸口に成り得るのではないか、期待したい。
○再生プラスチックがみかん農家を救う
愛媛県の、とあるみかん農家(愛媛県)では今が夏みかんの出荷時期だが、今年は収穫したみかんの2割が形、大きさ、傷等が原因で出荷できず、ジュース用として安い値段で引き取られた。最近では廃業する農家も増え、経営的にもかなり厳しいという。
こそこで救世主として現れたのが、東京にあるバイオテックマテリアル株式会社だ。この会社が開発したのは木のおがくずや果実に絞りかすからバイオプラスチックを作るという技術だ。みかんの絞りかすで作られたバイオプラスチックの建材は良質で高く売ることが期待できそうだと言う。みかん農家の将来に光が見えてきた。
バイオテックマテリアル株式会社:http://www.bio-tm.com/
今年最大の環境イベントであった洞爺湖サミットが終了した。素人感覚からすると、これからの世界の将来を左右するような大きな決定事項が発表されるのかと思ったが、「2050年(今から42年後)までに温暖化ガス排出を半減する目標を世界で共有する」という若干フラストレーションが溜まるような表現で、評価が分かれるところだろう。加えて、中国やインドといった経済が急成長し、温暖化ガス排出量でもトップクラスになりつつある新興国の反発が依然強いことが明確になった。
日本の首相は、この宣言をまとめることでリーダーシップを発揮できたと珍しくガッツポーズをしていたが、果たして決定打を打てたのだろうか?
●エネルギー問題
サミットで交わされた討論で特に気になったのがエネルギー問題。最近の原油高騰で石油エネルギーに代わる新しいエネルギーへの注目が集まり、ドイツは政策面で成功した太陽熱発電をアピールし、フランスやアメリカは原子力発電の優位性を強調した。特にフランスはサミット開催中に中国、インド等の新興国や開発途上国に原子力発電の温室効果ガス削減に対する高い効果をあげ、自国技術のセールスに懸命だったと聞く。そのおかげで、いくつかの商談(原子力発電所の導入)が決まったそうだ。
確かに、原子力発電は温室効果ガス削減に対する効果だけでなく、発電効率も良いと聞く。しかし、日本の原子力発電所の状況を見ても適切に管理することが大変なことであり、まして緊急時の対応などは困難が伴いリスクが高い。例えば、中国でスリーマイル島やチェルノブイリ等の事故が起きたらと考えると、日本に多大な被害が及ぶことは確実で考えたくない。
このまま、世界中に原子力発電所が建設されることは、世界の未来にとって良いことなのだろうか・・・?
太陽光発電技術も当初は日本がリードしていたが、政策の違いからドイツに抜かれた経緯がある。ドイツでは家庭で太陽光発電の設備を購入するのに国から補助金が出る上、電気を電力会社が高い価格で買い取ってくれる。日本でも同様のことが検討されたが、いろいろな壁や圧力で政策面で断念せざる負えなくなった。
何度も言うが、本当にこのあたりで選択を迫られていると思う。このまま原子力発電にどこまでも頼るのか。それとも、代替エネルギー開発を政策でバックアップして少しずつ原発を他の代替エネルギー発電(太陽光発電、風力発電、等)に替えていくのか。
●これからの日本の役割
70年代に起きたオイルショック以降、日本は「省エネ」技術を磨き世界の中でも省エネ大国として名を馳せた。京都議定書で約束した温室効果ガス削減の基準になった1990年は省エネ技術が開花した状況で、その基準からマイナス6%の削減というのは、絞りきった雑巾を更に絞ることになり不公平だという意見が経済界を中心にあがった。
しかし、日本の技術が限界に達してはおらず、まだまだ元気なアイデアや技術が豊富であることを、テレビ東京系列の「ガイアの夜明け」を見て感じた。政策も外交も決して得意でない日本だが、技術力ではまだまだ負けない。この技術力こそが、これからの日本のリーダーシップを後押しするものではないのか。
「ガイアの夜明け」の内容ををいくつか紹介しよう。
6月8日放送分
○世界中の水をきれいに
以前ブログで紹介したが、アフリカやアジアの開発途上国では、有害物質で汚染された水を生活用水として使用し、病気にかかったり、乳幼児が死んだりという状況にある。
そんな中、大阪の浄化剤メーカーである日本ポリグル株式会社が開発したのは、納豆のネバネバ成分を利用して水分中の砒素などの有害物質と結合させ、それを何度か濾過することで汚れた水を安全な飲料水として提供しようという画期的な技術だ。既に商品化されており、安い価格で現地に提供できそうだという。素晴らしいではないか!
日本ポリグル株式会社 : http://www.poly-glu.com/
○マラリヤから子供達を救え
世界で年間約100万人がマラリヤで死亡し、その多くが5歳以下の子供達だという。
大手化学メーカーの住友化学株式会社が開発したのは、殺虫効果のある薬を繊維に練りこんで作った蚊帳だ。この蚊帳に蚊が触れると死んでしまうというこれも画期的な商品。住友化学は、アフリカの企業に無償で技術提供もしている。
住友化学株式会社 : http://www.sumitomo-chem.co.jp/
7月15日放送分
○廃油が赤字バス会社を救う
沖縄県うるま市の4つの島を結ぶ路線バスは年間850万円の赤字をかかえ、さらに原油高騰の影響も受け、経営が厳しい状況が続いている。そこでうるま市では、エコ・エナジー研究所と共同で家庭やレストランから出る廃油をリサイクルしたバイオ燃料EDF」(エコ・ディーゼル燃料)で路線バスを動かすプロジェクトをスタートさせた。スタート時は、なかなか廃油が集まらず苦労したが、地域住民やレストランへの懸命な説明や講習会が功を奏して廃油が集まり始めた。
この試みは、うるま市だけでなく、バス業界や運送業全体の燃料問題解決の糸口に成り得るのではないか、期待したい。
○再生プラスチックがみかん農家を救う
愛媛県の、とあるみかん農家(愛媛県)では今が夏みかんの出荷時期だが、今年は収穫したみかんの2割が形、大きさ、傷等が原因で出荷できず、ジュース用として安い値段で引き取られた。最近では廃業する農家も増え、経営的にもかなり厳しいという。
こそこで救世主として現れたのが、東京にあるバイオテックマテリアル株式会社だ。この会社が開発したのは木のおがくずや果実に絞りかすからバイオプラスチックを作るという技術だ。みかんの絞りかすで作られたバイオプラスチックの建材は良質で高く売ることが期待できそうだと言う。みかん農家の将来に光が見えてきた。
バイオテックマテリアル株式会社:http://www.bio-tm.com/